[彼が過去に出会った男の子とは気づかない。
気づいたところで、彼に記憶がないことも知らない。
それでも昔を思い出してしまうのは、
どこかぶっきらぼうな様子がロンと似ていたからだろうか。
>>176]
そのときは「おうじさま」が助けに来てくれるの。
本当よ、会ったことがあるの。
[くすくすと笑いながら、赤い髪の少年を思う。
いつしか彼につられて口調も崩れてしまっていた。
この時期の泉は少し冷えるかもしれないが、泳ぐわけでもなし。
足を浸すぐらいなら我慢できるだろう。
靴を揃えて、いざ泉に向かおうとしたところで―――、]