【人】 ]]『審判』 チェレスタ[色彩豊かではないが目を引く。 『月』の青年、エーリクに抱いた第一印象は確かそのようなものだった。 同時に……どこか気に食わないという印象が付きまとう。 彼は身ぎれいだし、失礼でもない――にもかかわらず。 彼の魂の奥底に『月』がいることがそうさせているのだと悟ってからは、 わけのわからない感情を聞かないふりすることに神経を研ぎ澄ました。 食堂、売店の奥、どこかの廊下。 あるいはちょっとした遠出から帰ってきた後、ただいまと言いながら見回す玄関ホール。 そのどこに彼の姿があっても、彼がどんな表情をしていようとも、 曖昧な笑みで胸の内を誤魔化せるように。>>1:97] (232) 2022/12/17(Sat) 2:18:22 |