【人】 軍医 ルーク[ さて、痣のことに気付かれてからは大変だった。 検査があったから冷やせなかったというわけでもないし、 問題がなければ放っておこうと思っていたというか―― などと、反論する間もなく、 医務室に響いた大声に、ただ不思議そうに首を傾ける。 このうさぎも声を荒げることがあったのか……という、 奇妙な感心だった。 言っていることを三回ほど繰り返して考えた後、 不思議そうに口を開く。 “なぜ心配するのか”とは言わなかった。] わたしの勘違いじゃなければ、君、 その言い方だと、 わたしがいない方がいいとは思っていないように、 聞こえてしまうのだけれど。 [ やっぱり聞き違いだよなあ、と眉を顰める。 返答を聞いてようやく、 自分が“心配”されているのだと理解した。 その怒りが、自分を殴った相手に向いているということも。 たっぷり五秒ほど押し黙り、] ええ…? [ 思わず変な声が出た。] (236) 2020/05/20(Wed) 2:11:57 |