人狼物語 三日月国

86 【R15RP】君と僕の、夏祭り


【人】 一年生 花巻 楓

[でも、ただおつかいに来てただけの子をあたしが今でも覚えてるのは
その子が、っていうよりも、その年のお祭りがあたしにとって決定的なものだったから。

それは初めて祖母があたしに誂えてくれた浴衣が発端だった。
白地に薄藍の流水紋と、袖と裾にあしらわれた青もみじ。
ともすれば渋く見える柄を、ふんわりとした兵児帯が子供らしい愛らしさにまとめ上げて。
長い髪を結いあげて、母にトンボ玉のかんざしを挿してもらって、自分ではすごく可愛くしてもらえたと思ってたのだ。

でも、お祭りに行ったあたしを待っていたのは、


「かわいくねーのによくそんな恰好できるよな」


って。
同い年の男の子の、そんな言葉であたしの中の気持ちはぽっきり折れて。
次の日、ばっさり切った短い髪を初めて家族以外で見た人が、その子だったから。
その時、なんて言われたのかまでは覚えてないけど、その子の顔だけは覚えてる]
(327) 2021/07/22(Thu) 23:13:44