【人】 XIV『節制』 シトラ[ 玄関ホールで神様の声を聴いた後、 クリスタベルさんとゼロさんが話しているのは見ていた。 けれど、その会話の内容は頭に入っては来なかった。 わたしが呆然としている間に 気付いたらクリスタベルさんの姿は消えていた。 その身を案じたアリアちゃんが 様子を見に行ったのだとしても、何も不思議はない。 ──そう、アリアちゃんには アリアちゃんのやりたいこと、すべきことがあるはずで。 限られた時間をわたしにばかり使わせることを 申し訳なく思いながら、 ずっとその優しさに甘えてきてしまった。] ………………、 [ こうしてひとりで緑に囲まれていると 世界の崩壊が始まっているなんて嘘みたいだ。 いくつもの想い出が詰まったこの場所も、 明日には崩れ落ちてしまうのかな。 ここは静かだな、と現実から逃避しかけたそのとき 背後からひぇ、と声が聴こえた。>>269] (384) 2022/12/17(Sat) 23:07:45 |