【人】 花嫁の友人 市村 真由美── BAR ── [それは些細な切欠から。 客は自分一人。他に誰も居なくて。 つい、出来心で、マスターにフレアバーディングが出来るか尋ねてしまったのだ。 こんな静かな、隠れ家的な店なのに。 けれどマスターはきらりと目を光らせて、見事な技を披露してくれた。 私は一人、朗らかな笑い声をあげて。 普段は黒子に徹しているマスターの、様々な技を楽しんで。 幾杯か、空けたグラスは全てノンアルコール。 それなのに私の笑い声は少し大きい。 羽井さんが来た頃>>382には、多芸なマスターのテーブルマジックに目を輝かせて。 消えたトランプの行方を追っていた。 最も、お客様が来たことで、すっとまた、黒子に戻ったマスターは、流石プロだと思わせてくれた。] (387) 2020/07/31(Fri) 8:03:39 |