【人】 磑風舂雨 バーナード>>486 模擬戦内想定鎮圧対象 あなたの変貌を誰よりも近くで、そして正面で視認して、口元は自然と弧を描く。ゴーグルに隠された瞳であっても近くにいるあなたにはぎらつきが伝わっただろうか。 いずれにしても、腹を殴る本懐が叶わなかった拳はあなたの思惑通りに上方へと跳ね上げられることになる。そこまでの力を想定していなかったかと言えば嘘になるが、分かっていても防げないものというのは明確に存在するのだ。 力。普段であれば一方的に行使し行使されるはずのそれを看守と囚人が互いに振りかざし、一方通行の関係性は崩壊している。 そう、全てはこの場が無礼講であるからこそ。 「ア、ッは!」 股下を抜けることも、背を見せることも許してしまっていながらも口からは喜色だらけの笑いが零れる。 柄にもないが、 柄ではあるが、 不思議と、 当然ながら、 心が躍ってしまいそうだ。 跳ね上げられた拳に追従するように背を逸らし――それは支えがなければそのまま転倒してしまっていたほど著しいものであったのだが――あなたの足に背を蹴り上げられる形で身体を起こして距離を取る。 「あーいったいなあ。でも今ので分かったよスピカ。君って本当に強くて、」 先程の蹴り上げはこの男の羽織るコートを引っかけて宙に舞わせてしまっただろうか。もしそうであればそのコートに隠れるようにして、そうでなければ会話の途中に不意打ちのように、 「厄介な相手だね」 188cmの体格から繰り出される、突きに近しい蹴りを飛ばすことだろう。俗にいうヤクザキックだ。 (488) 2022/02/12(Sat) 16:40:31 |