【人】 裁判官 リーベルト[己の言葉の影響力など考えたことがなかった。 どこまでも輝かしく感じられた君が、僕に劣等感を抱いていた>>645など予想だにしなかった。 だから、君が引き籠っていた頃。 僕はどうすればいいか皆目わからなかった。 その頃親友と呼べるような存在が他に居なかった僕に、君の辛さを和らげる術などわかる筈がない。 己の存在自体が君を追い詰めていたとも気付かずに。 明るく社交的だった君が外に出なくなり、あんなに好きだった芝居から離れ、苦しそうな表情をしている。 見るに堪えなかった。 快活な笑顔を浮かべていた頃とは、まるで別人だった。 たとえ拒まれ>>646ようと、何か力になれたならと。 非力な僕に出来たのは、君を見守ることだけだった。] 『……わかりました。今日は帰ります。 ここに来る途中どうしても食いたくなって コロッケを買ったんですけど、 買いすぎてしまったので半分置いていきます。 気が向いたら食ってくださいね。』 [玄関のドア越しにそう告げて、揚げたての豚カツとコロッケを千切りカットキャベツと共に置いていったこともあった。 大人しく帰る素振りで玄関から離れ、差し入れが無事回収されるのを何度となく見守った。] (822) 2019/04/12(Fri) 17:33:08 |