人狼物語 三日月国

87 【身内】時数えの田舎村【R18G】


【秘】 宵闇 → ただいま 御山洗

>>-36

「そうか」

どうしてか遠ざけきれなかった男は、眉を下げて笑う。
見上げた先の涙を見れば、どうしても、あの時の表情が浮かぶ。
苦痛を堪えるように目を伏せる姿──同情だろうか。

過ぎ去ってしまった日のことはもうどうにもできないけれど。

「ごめんな」

お前はひどいやつだ、と言われたのを思い出して自嘲する。
彼の気持ちを知りたかった、手を取って振り回すのではなく
隣で歩いてみたかったのだ。もう、あの頃の自分のままではない。

「お前がそんな想いずっと抱えてたなんて知らなかった」

昔。10年もだろうか。忘れられてもおかしくない長い月。
男はそんなに想われるような価値のある人間だっただろうか。

「俺、いつもお前を振り回してばっかだな。大人になってもさ」

こうして手を引いて歩いていても、伝わらないことだらけだ。
男の手は体温が低くて、すこしひやりとしている。
(-37) DT81 2021/08/20(Fri) 16:23:15