【赤】 片連理 “椿”近くの村は、ここ。 ここから、ずっと北に向かうの。 [カウンターの上のメモパッドを一枚千切って、鉛筆で地名を書きつけた。彼の知る地かどうかはわからないが、少なくとも、知らない言語ではないはずだ。 大事なことは伏せたまま一瞬の希望を選んでしまったことは、きっと罪でしかない。 それは彼を更に絶望に落とすかもしれない、おそらくは間違った選択で。 許されたいとは思わない。許されていいとも思えない。最後の最後まで、正しいことは何ひとつできなかったけれど。 それでも、“そうしたかった”。]** (*21) 2023/03/10(Fri) 8:30:05 |