【赤】 片連理 “椿” 私ははじめから、“そういうもの”だったから…… そうでない時があると、怖いのでしょうね。 [紅茶を冷ましては少し啜っての繰り返し。] 私にはたぶん、わからないの。 昨日まで大事にしていたものを壊したくなる怖さ。 どうせいつかは壊したくなるのなら、初めから近づかない方がいいでしょう。 [楓の夢の話だ。椿には楓がひどく迂遠なことをしているように見える。いつか必ずやってくる拒絶の時を予見しながら、それでもそこを自分の居場所と定めることは、自ら苦しみの中に飛び込んでいるようで。] 私にはそんなものがないから、自分が死ぬのもあまり怖くはないの。生きてても、さみしいだけ。 [椿は楓の膝に頭をもたせかけた。今はどうだろう、と考える。互いに分かり合えなくても、同胞とも言える彼が共にあれば、寂しくはないのだろうか。]** (*24) 2023/03/08(Wed) 10:53:49 |