【赤】 片連理 “椿”認めるのが……。 [楓の言葉を繰り返す。 確かにそうなのかもしれない。 が、それを認めてしまうなら、自分と同じにしかならないのだ。それが彼にとって良いことかどうかはわからない。 また、紅茶をひと口啜る。体はよく温まっていたが、頭の奥のどこかが冷たく冷えきっているような気がする。] [紅茶のカップをテーブルに置いて、椿は楓の隣に座った。] どうするのが、正しいのかしら。 ——いいえ、もしかしたら、正しい道なんてどこにもないのかもしれない。 [楓の膝に手を置いて、彼の目を見上げる。それから、揺れる耳飾りを、柔らかく跳ねた髪の先を、さっき喰らい損ねた首筋を見る。本当に貫くことはできないのだろうか。終わらせてしまうのがあるいは正しいのではないだろうか。自分も、楓も。そんなことを考えながら。]** (*26) 2023/03/08(Wed) 15:10:43 |