【赤】 天狗 1回生 ヨシツネ「僕の事?」 彼女に問いかけられても、まだ少し意識は覚束ない。 言われてみれば僕自身の事を誰かに話した事もなかったし、話すべきでないとも思っていた。 けれど、彼女が望むなら、目的地の無い散歩には丁度良いかと思って。 「僕には二つ上の、血のつながりのない兄様がいて――…」 それから、色々と話した。 珍しい種族だからと攫われて、「鑑賞品」として生きていた事。 同じく囚われていた兄様に助けられた事。 兄様が闇に囚われて、自分の手で兄様を討った事。 今まで誰にも秘密にしてきたことを全て、彼女へと打ち明けながら。 (*103) 2023/06/26(Mon) 0:00:50 |