人狼物語 三日月国


132 【身内RP】穏健なる提案【R18G】

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エノ:投票委任

【神】 美術 エノ

よろり、よろり。
何とか動けるようになった体で、席に着く。

「………そう、今回はツルギ君か。」

結果を見て、瞳を閉じた。
(G1) arenda 2022/03/04(Fri) 23:03:58

【秘】 美術 エノ → 普通 ナツメ

噎せる姿を眺める。
唐突な質問だったかな、と首を傾げて。

「そういうのなんだ。」

別に隠さなくても良くない?と言いながら。
ジュースを口に含む。
同じ質問を投げかけられても、こちらは動じることもなく。

「…うーん、フカワ君のことは好きだし。」
「カミクズ君も友達だと思ってるし。」
「でも、別に付き合うとかではないと思う。」

「どこに惹かれたの?」

自分のを答え終わったら、カウンターパンチ。
(-15) arenda 2022/03/04(Fri) 23:49:51

【神】 美術 エノ

彼は欠席か、と端末の連絡を見る。
都合がいいな、と思った。

「元の暮らしに戻ったら…………」
「あんまり、考えてなかったな。」
「……焼肉を食べたり、してみたかったかな。」

過去形。
やや長い沈黙の後に、また口を開く。

「……ごめん。」

手をあげて。
(G4) arenda 2022/03/04(Fri) 23:54:11

【神】 美術 エノ




「立候補する。次の投票に。」



静かに、告げた。
(G5) arenda 2022/03/04(Fri) 23:54:47

【神】 美術 エノ

「理解はね、されてない。」
「理解してくれそうだなって思った人にも、振られちゃった。」
「でもね、話してて俺、気付いたんだ。」
「俺が欲しいのって多分、理解者じゃなくて。」
「忌憚なく傍にいてくれる人だったんだよね。」

「理解してほしいって、散々言っておきながら。」
「自分のことを一番理解してなかった。」

「まぁ、それは良いんだけど。」

理解してくれなくてもいい。
ただ傍にいてくれれば。

色芽木 絵乃と言う人物は。
理解が必要なほど複雑な精神をしてるわけでもない。
何か後ろ暗い過去や境遇があるわけでもない。
ただ、ぬるま湯がぬるいと泣き喚いてるだけの。
普通の人間であった。


「その人からね、生きてくれって言われて。」
「お願いだから未来を見てほしいって言われて。」
「俺、それで。」

「あぁ、生きたいなって、思ったんだ。」
「そんなに言うほど、未来に希望があるって言うなら。」
「生きてみてみたいって、本気で思ったんだ。」
(G10) arenda 2022/03/05(Sat) 18:37:23

【神】 美術 エノ


「生きたくて、生きたくて仕方ないから。」


「生きちゃいけないんだよね、俺は。」


支離滅裂な言動を零して。
一つ、息をついた。
オレンジジュースが飲みたいな。
(G11) arenda 2022/03/05(Sat) 18:38:56

【神】 美術 エノ

「うーん、少し違う。」

ハナサキの言葉に、返答をして。
傍聴席をちらりと見やる。
目を伏せて、また生存者に向き直る。

「俺さ、今まで、投票することも。」

まだ白紙の投票紙を机に置いて。

「死んでいい誰かを選ぶことも。」

端末を机の上に置いて。

「全然悩まなかったんだよ。」
「別に、自分自身が死んでも構わないって思ってたから。」
「人の死を選ぶことも、何とも思わなかったんだ。」
「俺はね、今まで一度も、運任せに投票したことなんてない。」
「全部、俺なりの理由で名前を書いて、投票してた。」
「俺なりに『死んでいい人』を選んでた。」
(G13) arenda 2022/03/05(Sat) 19:42:22

【神】 美術 エノ

「……昨日、生きたいなって強く思うようになってから。」
「初めて、悩んだんだよね。」
「俺が選んだ誰かが死ぬんだって思って」
「その人も、生きたいのかもしれない、と思って」
「生きたいのに死を突きつけられたとき、どのくらい心臓が痛くなるんだろうって思って」
「多分、怖くなったんだよ。」

「自分がそうなった時どうしようっていう恐怖で」
「誰かにその命運を押し付けるのに躊躇いが生まれたんだ。」

淡々とした声が響く。
きっと青年の中ではもう整理がついていることで。
だから、声が震えることもなく。

「初めて知ったんだよ、俺。」
「皆はとっくの前から知ってたのかな。」
「だとしたら俺は、とっても凄いと思うんだけど。」


「自分の意思一つで誰かを死に追いやるのって、
 めちゃくちゃ怖いんだなって。」


皆ずっと、それを分かってやってたんだね、と。
周りを、傍聴席を見て。
(G14) arenda 2022/03/05(Sat) 19:49:31

【神】 美術 エノ

「だから俺、考えたんだ。」
「誰なら死んでもいいかって。」

右手にペンを持ち、投票紙をとんとん、と叩きながら、
左手で5本指を立てる。
いつか、誰かがしていた動作。

「フカワ君は、俺によくしてくれたんだ。」
「優しくて、大人で、少なくとも俺の手では殺したくない人。」

親指を折った。


「ナツメさんは、医務室でずっと俺を見守ってくれてたね。」
「話したこともない、死にかけの奴をだよ。やっぱり君は、優しいと思う。」

小指を折った。


「カイくんも、俺の治療に来てくれたね。」
「頼まれたから仕方なくって言っていたけれど。」
「でも、わざわざ薬まで作ってくれて、あぁ、こんなお医者さんが居てくれたらいいなって思った。」

薬指を折る


「ハナサキさんは、話したことはないんだけれど。」
「毎回合議をしっかり進めるように声を上げたり、話し合いを大事にしてたよね。」
「俺はそう言う姿勢、好きだった。あと、君を助けたいっていう人に恩があるから、不義理ができないのもある。」

中指を折った。
(G15) arenda 2022/03/05(Sat) 19:58:44

【神】 美術 エノ

「俺は。」

残った人差し指を、自分に向けた。



「───人を殺した。」


「誰なら、死んでもいいか。」
「誰が、死ぬべきか。」

「……考えるまでも、無かったんだよね。」

自分の手で殺した少女を思う。
あぁ、皮肉だ。
あんなに同じように傷つけ、血を流し、殺意を持っても、君のことなんてちっとも理解できなかったのに。
今は何となく、君のことが理解できる。

生きたくて、生きたくてたまらないのに、死ななければならない事。
どうしても歩みたい未来があるのに、それを奪われる事。
それはどうしようもなくムカついて、暴れたくて、泣きたくて。
悲しくて、喚きたくて、助かりたくて、救われたくて。

ただ。

ただ。

どうしようもなく怖かった。


ごめんね、ヒメノさん。
(G16) arenda 2022/03/05(Sat) 20:05:45

【人】 美術 エノ

【プロフィールが更新されました】


名前
色芽木
虹谷 絵乃(にじや えの)
性別/年齢:男/20

外見:176cm
家族
構成
:母、父、兄、姉、姉、弟、
、妹、弟
職業:大学生

1.
私は
、脳死の判定
に従
い、脳死後全ての臓器を提供します。
2.私は、合議の結果を踏まえ、臓器提供の意
思を
決めます。
B.私は、臓器を
提供
しません。
(0) arenda 2022/03/05(Sat) 20:12:00

【神】 美術 エノ

「………」

紙に、しっかりと。
『エノ』と名前を書き、テーブルに乗せた。

「そんな感じだよ。」
「本当にそれだけなんだ。」

「皆、よろしくね。」

それを最後に、口を閉じた。
(G17) arenda 2022/03/05(Sat) 20:17:40
エノは、でも、手の震えだけは、どうしても収まらなかった。こうすると決めた昨日から、ずっと。
(a4) arenda 2022/03/05(Sat) 20:23:10

【神】 美術 エノ

「うん、ハナサキさん、ありがとうね。」
「怖い事を強いてしまうのは、ごめん。」
「でも、嬉しいよ。」

もっとちゃんと話したかったね、なんて。
顔ばかりが冷静で、茜色の眼をそちらに向ける。
肺に酸素を通すように、大きく息を吸った。
鎖が首に縛りついて、上手く息ができていなかった。

これで、2/5。
(G22) arenda 2022/03/06(Sun) 0:28:03

【神】 美術 エノ

そうして、もう一人の少女の方へ眼を向けて。
深海を覗き込むように、視線を合わせる。

「………やめてよ。」
「取り消したくなっちゃうよ。」


困ったように、小さく笑った。
それはきっと、公の場で見せた初めての笑顔で。
随分と幼げで、拠り所のない笑顔だった。

「死にたくないよ。」
「………死にたくは、無い。」
「…でも、この紙に他の名前も書きたくないんだ。」
「君ならわかってくれるはず。」

「……俺にくれてもいいよ。」
「昨日のお返しにね。」

そうしたら、3/5。
(G23) arenda 2022/03/06(Sun) 0:34:28

【秘】 美術 エノ → 普通 ナツメ

どうにも、恋だの愛だのはよく分からなく。
幼稚園児が、好きな人を問われて仲良しな子の名を挙げるような。
そんな感覚で名を挙げている。
そういえば女子とは全然話してないな、なんて改めて思いながら。

「気になってるんだね。」

もにょもにょを切り捨てた部分だけを切り取って。
ふぅん、なんて、興味のありげな声。
青年は、人のことを聞くことが好きだ。
人を理解したいという気持ちがあるから。

「………………」
「……なんか。」
「ちょろいね。」

そして忌憚のない意見も言う。
ごく、と喉を鳴らしてジュースを飲み下し。
おかわりが欲しいな、とコップを差し出す。

「もし生きて帰ったら、会ったりするの?」

本当に遠慮のない青年であった。
(-104) arenda 2022/03/06(Sun) 12:21:35

【神】 美術 エノ

「取り消せないよ。」
「死は、取り消せないもんな。」

不公平でしょ、俺だけ生きたら、と。
なんだか昨日の仕返しをされてるようなやり取りに、
意外と根に持つタイプだな、なんてぼんやり思う。

「うん、ぜひ悩んで。」
「そして、同じ意見になったならいい。」

ピースみたいになる様に、やる気満々じゃん、なんて。
クラスメイトくらいの距離感の会話。
あぁ、とひとつ、声を上げ。

「同じ意見にならなくてもいいけど。」

「その時は、君と昨日した会話をここで話そうかな。」

気になる人だとかそういう、あれ。
脅し文句だ。
青年も根に持つタイプであった。
(G25) arenda 2022/03/06(Sun) 12:29:37
エノは、本当はあの薬局に居た時、次はアクタに会いに行こうとしていた。
(a12) arenda 2022/03/06(Sun) 16:46:32

エノは、君のくれた温もりと、安っぽいレモンティの味が好きだった。また飲ませて欲しかった。
(a13) arenda 2022/03/06(Sun) 16:47:50

エノは、目を覚まして、最初に、君が候補者に選ばれてるのを知った時、ただ純粋に悲しくなった。
(a14) arenda 2022/03/06(Sun) 16:48:58

エノは、もう、何もかも遅い話だ。きっと。
(a15) arenda 2022/03/06(Sun) 16:51:26

【秘】 美術 エノ → 普通 ナツメ

さほど遠慮も忖度もない会話。
なんとも心地よいものだった。
なんとなく、自分が求めていたのは本当は。
こういうものだったのかな、と思った。

「でも、好きならいつか会うんじゃないの?」
「早めに会ってた方が楽そうなのに。」

なんていうのは、外野の意見。
青年は見た目も今とさほど変わらない。
せいぜい髪色がもう少しまともなくらいだ。

「平安京の人みたい。」

文通、で思い浮かぶイメージ。
今の時代には馴染みがないな、と思いつつ。
君の後ろ向きな理由を察することも無く。

「住所が分かればね。」
「絵葉書、送ってあげようか。」

この時は。
誰に生きて欲しいと言われることもなかったから、そんなふうに簡単に、未来を約束する。
数時間後には、青年の挙手によって破られる約束だった。
(-136) arenda 2022/03/06(Sun) 17:03:05

【神】 美術 エノ

「そう、馬鹿なんだよ。」
「怖いけど、こうしないといけないという気持ちばかりがある。」

カイの言葉にただ頷く。
何も返す言葉もない。

「自殺はちょっと怖くて、選ばれたら勇気が出るのかも。」
「でもさ。」
「俺が投票前に自殺しちゃったら、今回の投票は、俺以外の人を選ばなくちゃいけなくなるかもしれないでしょ。」
「それはちょっと申し訳ない。」
「だから、選ばれるまでは生きる予定だよ。」

その方が君達も嬉しいでしょう、と。
せめて、役に立とうの精神だ。
エノと言う男は、幼児をそのまま大人にしたような、
呆れるほど単純な情緒しか持っていなかった。
(G28) arenda 2022/03/06(Sun) 19:04:09

【秘】 美術 エノ → 演者 アクタ

合議の後、青年はまだ癒えてもいない体をひきづって、空間の端に近いところまで来ていた。
そこは海になっていて、地平線の向こうを、ぼんやり青年は眺めていた。
多分ここに来る頃には君はそれはもうヘトヘトだろう。

「…おや、アクタくん。」

声が聞こえれば、そちらを振り返って。
意外そうに目を丸くする。

「嫌われたかと思ってた。」

大丈夫?とつかれてる様子に首を傾げ。
(-188) arenda 2022/03/06(Sun) 22:30:48

【秘】 美術 エノ → 普通 ナツメ

青年は話を聞くにあたり嫌な顔をする事は全くなく、
むしろ興味津々と言った様子で聞く。
別にそれが色恋だから、と言うわけではなく。
例えば君が昨日見た夢の話だったり、好きな食べ物の話でも、
青年は同じくらいの姿勢で持って聞くのだろう。
なのでしっかり覚えて、悪用される。


「負担になるの?」
「相手からそう言われたの?」

本当に不躾なので、何でもかんでも聞く。
ちなみに、完全にもう恋慕しているのだなと言う認識だ。

殆ど君から目を背けないまま、時たまジュースを口に運ぶ。
柑橘の香りが仄かに部屋に漂っていた。

「絵が好きだからね。」
「あぁでも、俺名字が違うからな。」
「虹谷って名字からくるよ。」

知らない人だと思って捨てないでね、なんて、他愛もない会話。
叶わない未来の会話。


「俺にも送ってね。年賀状、同年代からは貰ったことないや。」
(-189) arenda 2022/03/06(Sun) 22:44:18

【秘】 美術 エノ → 演者 アクタ

青年は、肩を掴まれて。
目を丸くして、君の顔を見た。
まさか、そんな風に怒鳴られて、そんな顔をされるなんて、夢にも思ってなかったから。
力任せな抱擁は、大層体に痛みが走ったけれど。
嫌だとは思わなかった。

「………泣かないで。」
「君が泣くと、俺も悲しいよ。」

ぺた、ぺたと掌で君の頬に触れて。
涙を拭うように、動かすけれど、全然拭いきれなくて。

「………………。」
「うん、俺もだよ。」
「生きたい。」
「生きたくて、生きたくて、たまらない。」
「できれば、誰かと一緒に生きたいし。」
「それが君だったら嬉しいなって、思うよ。」

ぽつぽつと語る言葉。
あぁ、最近、ようやく情緒が追いついてきたようで。
そんな風に言われたら、自分まで頬を濡らしてしまって。
(-208) arenda 2022/03/07(Mon) 0:45:01

【秘】 美術 エノ → 演者 アクタ


「………でも、駄目なんだよ。」


「俺は人を殺しちゃったんだよ。」
「たとえ、ここでそれが罪に問われなくても。」
「あの中で、誰が死ぬべきかなんて、決まってるでしょ。」
「俺、他の人を選べないし。」
「ヒメノさんだけ死んだら、不公平だし。」


「……………それに。」


これは、言おうか、いわまいか迷って、合議の場では閉ざした言葉。
特に、君に聞かれたくなくて、言わなかったのだけど。

「………君も、提供候補者でしょ。」
「このままだと死ぬよ………でも。」
「提供候補者は、臓器が足りてれば、提供を免れるから。」
「だから。」

俺の分の臓器が、君の代わりになればいいと思った。
馬鹿みたいだって、ふざけるなって、思うでしょ?
一度ちゃんと話したくらいの、まだまだこれから知っていく途中だった人に、軽率に命をって、思うかもしれないね。
……でも、君が温もりをくれたこと。
好きなものを教えてくれたこと、傍に寄り添ってくれたこと。
俺にとってそれは、とてつもなく嬉しかったことなんだよ。
だから。
(-209) arenda 2022/03/07(Mon) 0:51:49

【秘】 美術 エノ → 演者 アクタ





レモンティー1本分の感謝を、君に。





                                  
君の事、好きだよ。
(-210) arenda 2022/03/07(Mon) 0:54:18
エノは、生きてほしいと願われている。
(a19) arenda 2022/03/07(Mon) 12:19:13

エノは、沢山の人に、生きてほしいと願われている。
(a20) arenda 2022/03/07(Mon) 12:19:31

エノは、何故、俺なんかにそんなことを言ってくれるのだろう、と思った。
(a21) arenda 2022/03/07(Mon) 12:23:18

エノは、ここ数日、泣いてばかりだ。20年の分を、取り返すみたいに。
(a22) arenda 2022/03/07(Mon) 12:23:52

【秘】 美術 エノ →   の名残 カミクズ

青年は、その通知を。
どこか、海の見える場所で見た。

「……なんだよ、そんなの。」
「俺だって、ずっと思ってたよ。」
「君に生きてほしかったんだ。」
「俺だって。」

「……俺、だって……………」


ぽた、ぽたと、砂浜に涙が溢れていく。
ずるいよ、自分ばっかり。
俺は君の事、ちゃんと見送りだしたじゃん。
君もそうしてよ。
そうして、くれないと。

「……っぅぅ………く…………」


───せっかくの脆い決意が、揺らいじゃうよ。馬鹿。


呪いみたいな優しさに、浸されていく。
友達って、ずるいよ。
(-240) arenda 2022/03/07(Mon) 13:03:32

【秘】 美術 エノ → 演者 アクタ

抱きしめられた青年の体は、ずっと小さく震えてて。
小動物は、自分の鼓動で体が揺れてしまうのだと聞いた。
きっと今の自分もそうなのだろうと思う。
恐怖で張り裂けそうなくらいに叫ぶ心臓が、
死にたくないと体を揺らし続けている。

虹谷 絵乃は、恐怖に打ち震えるだけの小動物だった。


「俺は」

そんな奇跡を願っちゃいけない人間で。
だって俺、人を殺してるのに。
皆それを知ってるのに。
人殺しだって石を投げられて、当然なのに。

俺、自分の意思で彼女を殺したんだよ。
刺された場所と同じ場所を狙って撃った。
斬られた場所と同じ場所を、自分でナイフを作って斬った。
それでどうなるかなんて、分かってたのに。
理解したくて。
ただそれだけの理由で人を殺しちゃうような、
優しくされちゃいけない人間なんだよ。


なのに。
(-241) arenda 2022/03/07(Mon) 13:17:38
美術 エノ(匿名)は、メモを貼った。
arenda 2022/03/07(Mon) 13:18:03

【秘】 美術 エノ → 演者 アクタ

「───くない」


「─きたい………」


「……死にたく、ないよ…………」

「生き、たいよ……………」

雨のように零れる言葉。
未来への未練、渇望、望み。
死への恐怖、後悔、怯え。
一度降り始めれば、ざぁざぁと。
音を立てて降り注ぐ。

「なんでそんな風に、言ってくれるの……」
「なんで、一緒に生きようとしてくれるの……」
「なんで」
「……なんでこんな印をつけられて、そんなことが言えるの………」

掌を、両手で手繰り寄せる。
付けられた印を、指で撫でる。
君、夢があるって言ってたじゃん。
夢を語る君の顔が、楽しそうで、素敵で。
俺、君には生きててほしいよ。
……俺が死なないせいで、君の分の臓器が足りなかったら。
俺、死んだ後も後悔しちゃうよ。自分を許せないまま死ぬよ。


───そんな辛い決断を、俺にさせる気なの?ねぇ……
(-244) arenda 2022/03/07(Mon) 13:26:51

【秘】 美術 エノ → アイドル ヒメノ

合議が終わって、すぐの頃。
青年は君の遺体がある場所を人から聞いて、
そのすぐそばまでやってきた。
VRの世界では、遺体は奇麗なままだ。
あるいは遺体はもう残っていないのかもしれないけど。

「…………ヒメノさん、俺ね。」

挨拶もなしに語りだす。
青年にとっては、独り言のようなものだ。
死人は喋らない。だからこれは、自己満足な自分語りだ。

「本当は、虹谷 絵乃っていうんだ。」
「ニジヤ製薬って、知ってる?凄いおっきい所で、多分、うちの薬くらいは何回も見たことがあるレベルの。」
「そう、その製薬会社の社長の、息子なんだ、俺。」

ぽつぽつと、語っていく。
それはあるいは、『自分が特別である』という事を誇示するような。
自慢話にしか聞こえないのかもしれない。

「特にお金とかに困る事も無くてさ。」
「欲しいものは何でも買ってもらえたし。」
「美味しいものだってたくさん食べた。」
「著名人が集まる立食パーティとかもね、家で開かれたことがある。」
(-247) arenda 2022/03/07(Mon) 13:38:57

【秘】 美術 エノ → アイドル ヒメノ

「なに一つの苦労もない人生だった。」
「虹谷って名前があるだけで、色んなことが許された。」
「俺さ、そんなに体格だってよくないけど。」
「変なのに絡まれたこともないんだよ。」
「ドラマみたいな誘拐事件だって、1回も経験したことない。」
「ただそれなりに、やりたい事を自由にやれる人生だった。」

自分の人生を思い返す。
嫌なことを我慢してやる、という事もなかった。
誰一人、叱ったりすることもなかったから。
したい事をして、したくないことはせずに生きてきた。
それでも、青年はそんなに破天荒な性格でもないから。
きちんと学校には行き、法も犯さずに生きてきた。
ただ家柄がいいだけの、普通の人生だった。

「……でも俺は、この名前が嫌いなんだ。」
「『虹谷』っていう、一生付きまとうこの看板が。」
「『絵乃』を覆い隠してしまいそうで。」
(-251) arenda 2022/03/07(Mon) 13:44:53

【秘】 美術 エノ → アイドル ヒメノ

「『虹谷』というだけで、皆が俺と距離を置く。」
「あんまり話しかけても貰えなかった。」
「話しかけられても、無理して笑顔を作ってるような」
「媚びるみたいな感じだった。」
「友達と一緒に出掛けることもなかった。」
「『万が一怪我させちゃったら怖いから』とか」
「『庶民向けのご飯屋だから貴方の口には合わないと思う』とか」
「言ってもいない言葉で遠慮されて」

この前ね、人から、コンビニで売ってるレモンティーを貰ったんだよ。
美味しいんだね、あれ。
午後のって書いてあったけど、午前中でも飲みたいくらい、なんて、笑って。

「………親も、忙しくて、あんまり家にいなかったな。」
「兄弟仲も、悪くはないけど、仲良しって程でもなかった。」
「俺が、『虹谷』じゃなかったら。」
「もっと家族の距離は近くて、友達は普通に笑ってくれて。」
「一緒に遊んで、怪我して、安いご飯をお腹いっぱい食べて、楽しい時間を過ごせるような」
「そんな、『普通』の人間になれたのかなって。」

それは、特別であることを押し付けられた贅沢な青年の、呟きだった。
(-253) arenda 2022/03/07(Mon) 13:52:04