人狼物語 三日月国


145 【R18G】星仰ぎのギムナジウム2【身内】

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【人】 中等部 バラニ

今日も日課のように食堂にいる生徒の数を数える。
足りない人数は昨日までは一人、今日は……四人。

「まさか、ね……」

独り言のような呟きを零してから。
頭を振って、悪い考えを振り払うように。

「……こんな日でも朝食は、しっかりと食べないと。
 私も配膳をする珍しい機会かもしれないけれど……
 誰か、他には手伝ってくれる良い子はいないかね?」

なんて声を掛けながら、いつもならばテラがする仕事をやり始めた。
(3) 7_hertz 2022/05/02(Mon) 21:28:49

【人】 中等部 バラニ

「ありがとう、クロノくん」

配膳を手伝ってくれる下級生に優しく感謝の言葉を。
不安がっているのなんてその表情を見ればすぐにわかったから。
少しでもそれを和らげることができたらと思って、明るく振る舞って見せる。
(6) 7_hertz 2022/05/02(Mon) 21:43:16

【秘】 中等部 バラニ → 夢見る乙女 シャルロッテ

あなたがクラスメイトに視線を向ければ。
明るく振る舞ってはいるものの、ふとした瞬間には不安そうな様子を垣間見せていた。

視線には気が付かないまま、配膳の仕事や下級生の様子を見るのに精いっぱいになっていたが。

ちょうど、浮かない表情をしているときにこちらを見つめる視線に気が付いて、なんとか励ますように微笑みを浮かべてみるのだった。
(-14) 7_hertz 2022/05/02(Mon) 22:28:20

【秘】 中等部 バラニ → 月鏡 アオツキ

「アオツキ先生」

どこか重苦しい空気を漂わせながらの朝食も終わった。
その中で姿の見えないテラの代わりに配膳係を買って出ていたバラニが、こっそりとあなたに近寄ってきた声を掛けてくる。

「少し、伺いたいことが……神隠しのことなのですけども。
 以前からここに居た先生なら、何かご存知ではありませんか?」
(-24) 7_hertz 2022/05/02(Mon) 23:22:58
バラニは、トットに「気を付けたまえよ」と言葉をかけて、見送った。
(a5) 7_hertz 2022/05/02(Mon) 23:32:55

【秘】 中等部 バラニ → 月鏡 アオツキ

「出鱈目……」

ならばここ数日、生徒がいなくなっているのは神隠しの仕業ではないということ。
あなたの語って聞かせた内容は、小さな子供たちを守るためにあるいかにもなもので、バラニもどこかで似たような話を聞いた覚えもあった。

「ほ、本当ですか?
 ならば……どうしてみんなは姿を見せないのですか、神隠しでないのなら、何故……」

食い入るようにあなたに問いかける。
まるで餌を与えられた動物のようにいとも簡単に。
(-33) 7_hertz 2022/05/03(Tue) 0:43:11

【秘】 中等部 バラニ → 夢見る乙女 シャルロッテ

不安なのを隠すように笑う……お互いに。

その笑顔は綺麗だと思うけれど、本当に見たいのはそんな無理してつくるものではなくて。
感じる義務感以上に、その笑顔はこの状況を何とかしたいと思わせるには充分なもので。

ちっぽけな決意をひとつ、胸に抱きながら。
朝食の場では苦しみを隠すような笑顔を向け合ってから、しっかりと朝食を摂っていた。

そして朝食のすぐ後、バラニはその場にもいた教育実習生に何やら尋ねているようだったが。

(-42) 7_hertz 2022/05/03(Tue) 1:26:59

【秘】 中等部 バラニ → 夢見る乙女 シャルロッテ

「シャルロッテくん」

それからしばらく時間は経ち、バラニはあなたの姿を見つけて名前を呼んで。

「先程はありがとう、配膳を手伝ってくれて……
 君やクロノくんのお陰で、皆に早く食事を行き届けることができたよ」

「ええと……少し、私の散歩に付き合ってはくれないかな。
 まだ姿が見えない子たちを探すのも兼ねて、なのだが……」

断られてしまったらどうしようかと、内心では少し緊張しながらも尋ねる。
姿が見えない子を探すと言うのも本当で一緒にいたいというのも本当。

良い答えが返って来てくれることを祈りながら、あなたの返事を待っている。
(-43) 7_hertz 2022/05/03(Tue) 1:27:30

【秘】 中等部 バラニ → 月鏡 アオツキ

「大切な話……?」

疑問は尽きない。
いったい誰と、そんな朝食に参加できないほどなのだろうか。

不確定な情報で自分たちを不安にさせたくないと言う気持ちもわかる。
けれど、このまま何もわからないまま不安でいることのほうが、バラニにとっては耐えがたいことだった。

「……だ、大丈夫なものですか!
 落ち込んでいることも、様子が変わっていることも……!

 居なくならなかったからよかったなんて、そんなもの……」

憤る感情を滲ませるも、それをぶつけるべき相手はあなたでもない。
そのまま行き場のない感情を握った拳を開いて、逃がしながら。

(-47) 7_hertz 2022/05/03(Tue) 2:10:48

【秘】 中等部 バラニ → 月鏡 アオツキ

「……泣いてしまうかも知れないほど、恐ろしいと言うのならば」
「私はそれから逃げずに向き合い、乗り越えなくてはならないさ」

呟く言葉には、強い使命感のようなものが籠る。

何か理由があるのか、バラニは不安や恐怖のようなものに抗おうとする姿勢をよく見せる。

それは、まさしく今のような状況に変わりはなくて。

「……聞かせてください。
 不確定だとしても、先生が知っていることで構わないので」
(-48) 7_hertz 2022/05/03(Tue) 2:14:40

【秘】 中等部 バラニ → 月鏡 アオツキ

「…………」

あなたの話を静かに黙って聞いている。
何事かを考えているのか、それとも言葉を失ってしまっているのか。

いずれにせよ、その話はあなたが恐ろしくて泣いてしまうかもしれないと称するに値するものだと、バラニは自分でもすんなりと受け入れることができたのだが。

「もしも、今でもそれが続いていたとしたら……
 先生はそれを、受け入れることができるのですか?

 ……不安や病気が取り除かれるとは言っても、それは」

僅かに目を潤ませながら、じっとあなたを見つめて問う。

不安や病がなくなるのは喜ばしいことだ。
それでも、落ち込んでいたり様子がおかしくなって帰ってくることになるのは、どうにも飲み込み難いものがあった。

病気が治ったのなら、本当はその事をしっかりと喜べないといけないはずだと。
(-80) 7_hertz 2022/05/03(Tue) 14:11:08

【秘】 中等部 バラニ → 夢見る乙女 シャルロッテ

「そ、そうかね……?
 私も……君や、皆がいるからこそ動けているのもあるのだから。
 ありがとう、こちらこそね……」

こちらに向けられる笑みが、気分を和らげてくれるようだった。
嫌な顔もせず快諾してくれたことに安堵しながら、再びお礼の言葉を述べて。
さっそく行こう、と他愛もない会話を続けながらゆっくり歩みを進める。

「うむ、アオツキ先生と少しね……
 私も気になって聞いてみたのだ、何か知らないかと」

そこで一度、言葉は止まって。
続けるかどうか、少しばかり悩むような素振りを見せてから。

「……皆が姿を見せないのは、神隠しとは無関係だと……先生が」
(-81) 7_hertz 2022/05/03(Tue) 14:24:52

【秘】 中等部 バラニ → 夢見る乙女 シャルロッテ

「……そうだね、君の言う通りだ」

「誰かと大切な話をしている、らしい……とも聞いた。
 先生も、何でも知っているわけじゃないと言っていたから……
 本当のことかどうかは……私にもわからないけれども」

ひとつひとつ、先生から聞いたことを慎重に伝えていく。

その様子はいつもとは同じようでいて、少し違ってもいる。
いずれにせよこの恋心とは無関係とも言い難いものだった。

「シャルロッテくんは……
 何か方法があれば、いますぐにでも自分の病気を治したいと思うかね」

不意に、そのような事を尋ねる。

この学び舎にいる子供は、誰しも何かしらの事情を抱えている。
それを取り除くためにこうして生徒同士のふれあいを通してじっくり向き合っていくのが、このギムナジウムの姿だけれど。

バラニの言葉は、まるでその以外に夢のような特効薬があるかのよう。
(-92) 7_hertz 2022/05/03(Tue) 16:32:16

【秘】 中等部 バラニ → 夢見る乙女 シャルロッテ

「……治るものなら、治したいと思うよ」
「この病がある限り……
 私は、家督を継ぐ者としては不適当な軟弱者だと。
 生涯消えない烙印を押され続けることになってしまうのだから」

いつもは明朗なその調子にも、わかりやすく不安の色が滲む。

それは、貴族の子であるからこその悩み。
本来ならば、このギムナジウムにいることなどなかっただろうバラニがここにいる理由。

バラニの抱える事情は、とある貴族の跡取りとなるにあたり酷く不都合なものだった。
病気を治すことを彼だけでなく、彼の家族も強く望んでいる。
そしてその想いは、ある意味バラニを蝕む圧力のひとつでもあったが。

(-101) 7_hertz 2022/05/03(Tue) 19:27:22

【秘】 中等部 バラニ → 夢見る乙女 シャルロッテ

「……けれど、病気を治す……それだけではいけないのだ」
「ただ病気を取り除くだけでなくて……
 何者に負けないような強い勇気を持つ、跡継ぎに相応しい男に」
「真にならなければならないのだと、私は思っている……」

簡単な道を選んで得たものは、すぐに失われてしまうものだ。
勇気ある挑戦の先にこそ、本当に大切なものを得ることができる。

バラニが特別好む物語から得た教訓、少年に勇気を与えてくれる教え。
病気を治すことが目的ではない、心の弱さこそがその原因なのだから。

「私にも、しなければならないことはたくさんある……!
 勉強も、皆の為になることも……だから、まだ治らなくていい」

その分だけ、君とも一緒にいられるだろうから。
病気を治さなければならない跡取りとしては間違いだとしても、バラニの気持ちとしてはそう思ってしまうところもあった。
(-102) 7_hertz 2022/05/03(Tue) 19:30:00

【秘】 中等部 バラニ → 司書 エルナト

それは日が空高く登る頃か、それとも彼方に沈もうとする頃か。

いずれにせよ、ルームメイトとしてあなたと同じ部屋で過ごすひとときの出来事。

「なあ、エルナトくん……」

名前を呼んであなたに声を掛ける。
バラニにしては珍しく、どこかぼんやりとした様子のまま。

「これは……そう、例えばの話なのだが……
 ものすごぉく……おいしくないけれども、
 どんな病でも治る魔法のような薬があったとすれば……
 君は飲みたいと思うかね……?」

なんて、突拍子のないような問いかけをあなたにする。

その視線の先には、いつもあなたが飲んでいるような薬。
今でもそれを飲む姿には、どこか苦しそうなものがあると思っているからこそ、そんな問いかけをするのかもしれない。
(-124) 7_hertz 2022/05/03(Tue) 22:29:03

【秘】 中等部 バラニ → 司書 エルナト

「……私は、飲まない」
「もちろん、病気は治したいと、思ってはいるけれど……
 本当に治さなければいけないのは、心の弱さのほうなのだからね」

病気だけを治しても、何の意味はないと言うように。

「……エルナトくんは、そうやってらしくないと言うけれど。
 不安はあるし、皆が思っているほど私は強いわけではなくて。
 ここに来るより前には、泣き虫だとよく揶揄われてたりしてね」

どこかアンニュイな姿を見せながら、少しずつ過去の欠片を零していく。
今のバラニに結びつかないような『泣き虫』というワードを一緒にして。

どうやら察するに、バラニの病気には心の動きが大きく関わっているようだが。

(-139) 7_hertz 2022/05/03(Tue) 23:48:28

【秘】 中等部 バラニ → 司書 エルナト

「確かに……美味しいご飯を食べられないのは辛いものだものな」
「私も君と同じ境遇ならば、また違った選択をしたかもしれない」

普通のご飯が食べられない苦しみ。
普段から当たり前にしていることがそうできない苦しみ。
少し想像しただけでも、あなたの苦労の一端を味わうことは容易いと思って。

「……そうだ!今から治ったら何を食べたいか考えておきたまえ」

「君がいつかこのバラニを祝ってくれるというのならば、
 このバラニもまた君を祝わなければ不公平というものだろう?」

「幸いなことに私は貴族……
 つまり、大概のものは振る舞えるのだ。
 その時は遠慮なく、君の食べたいと望むものを振る舞おうではないか」

咄嗟に思いついたようなことをあなたに提案してみる。
つい先ほどまでの"らしくない"バラニはどこへやら、いつものように明るい表情で。

(-143) 7_hertz 2022/05/03(Tue) 23:51:40

【秘】 中等部 バラニ → 司書 エルナト

「ところで……いつも飲んでるそれは……薬、なのかね?」
「以前から気になっていたが、色々と種類があるようだけれど」

透明なものと、色の着いたもの数種類。
一緒の部屋で過ごしていれば何度も目にする機会もあって、中には眉を顰めながら飲んでいるものがあることも知っている。

けれども、それが何なのかまでは今まで深くは尋ねたことはなくて。
良い機会だとでも言うように、続けて尋ねてみるのだった。
(-144) 7_hertz 2022/05/03(Tue) 23:52:10

【秘】 中等部 バラニ → 司書 エルナト

バラニも病気について、努めて漏らさないようにしているのだ。
初等部からこのギムナギウムにいた事実を、中等部も終わりに差し掛かろうとする今まで明かさないほどには。

隠し通さなくてはいけない理由が貴族の子であるバラニにはあった。
裕福なだけではなく、貴族の家に生まれたからこそ生じる悩み事だ。
その中でこうして友人であるあなたに零す言葉は、ひとつひとつが特別なものでもあるのだが。

「よ、止したまえよ! 可愛いなどと!」

相応しい言葉ではないと、語気を強めながら抗議する。
跡継ぎとして立派な男にならねばならないのだから、この手の自身のイメージに関わる言葉には少し過敏に反応してしまう。
どうにも、今さら手遅れなところはあるだろうが。

「うむ……まあ、そういう事になるね」
「病は気から……というのは少し違うかもしれないけれども。
 気丈に振る舞うことで、本物に近付いていけるような気がするのだよ」

「……英雄譚の主人公のようにね」

バラニは、勇ましい英雄譚を好んで読むことはあなたもよく知っているだろう。
泣き虫のバラニがそれらに勇気を借りて気丈に振る舞うことで、今があるのだ。

(-157) 7_hertz 2022/05/04(Wed) 1:32:15

【秘】 中等部 バラニ → 司書 エルナト

「ほほう、私の好きなもの……」
「いいだろう、その時は私の好物を存分に振る舞ってあげようではないか」

「願わくば、エルナトくんもそれを気に入って欲しいものだね」

同じものを好きになってくれればいいと、ちっぽけな願いを抱きながら。
いつかの未来である、その時を祝うための準備を今から進めてその一歩。

神隠しなどと、重苦しい空気が漂っているここ数日だけれども。
こうして、将来の希望や明るい未来について語らっていると少しは気分も晴れやかになってくるものだ。

(-158) 7_hertz 2022/05/04(Wed) 1:32:58

【秘】 中等部 バラニ → 司書 エルナト

「食事、なのかね……?」

「ふうむ……」

食事だと聞いて、その中身が何かと問われて考える。
握れば見えなくなるほど小さなそれの中にある液体。

考えてみても、おおよそ妥当と思えるような答えは見つからず。

「……ダメだ! 皆目見当もつかない!」
「果実から搾ったものだとか、そういうものでもなさそうだしね……」

思い浮かんだものをひとつ挙げてみるものの、降参だと言わんばかりに両手を挙げて見せた。
(-160) 7_hertz 2022/05/04(Wed) 1:33:29

【秘】 中等部 バラニ → 月鏡 アオツキ

ふわふわとした金の髪は、頭を撫でる手を緩やかに押し戻すように。
優しく撫でられたことに、安心感を覚えながらも少し不服そうにも眉を顰めるも。

それだけ。

その手を強引に跳ね除けたり、優しさに全てを委ねるわけでも、どちらでもなく。

「そう、ですか……」

変わらないと、そう答えたあなたにそれだけの言葉を返して。

(-161) 7_hertz 2022/05/04(Wed) 1:56:49

【秘】 中等部 バラニ → 月鏡 アオツキ

「……」
「ありがとう、ございます……先生」

「私には……
 訳あって、簡単に頼ったりはしたくない気持ちがあるのだけれど」
「善処は、するようにします……我慢をするつもりはありませんから」

バラニは、貴族の子だ。
貴族の子には、貴族の子であるが故に抱え込まなくてはならないものもある。
それが素直にあなたたち大人に近いものを頼ることの障害になっているけど。

「また、何かあれば相談させてください、先生……信じていますから」

それでも、信じて頼る先がいるのは心強いこと。

こちらに視線を合わせてくれた瞳に、まっすぐと眼差しを返す。
あなたを信じていると、頼ることのできる人間と見なしていると伝えるように。
(-162) 7_hertz 2022/05/04(Wed) 1:58:03

【秘】 中等部 バラニ → 夢見る乙女 シャルロッテ

「シャ、シャルロッテくん……!?」

不意に手を取られて、驚いたようにそちらに向いた。

どきどきと、胸が高鳴っているのが否応なくわかる。
こうしてみたいと願うことはあったけれど、心の準備ができていない内にそうなってしまうと緊張ばかりを感じてしまう。

「すっ、すまないね! 大きな声を出してしまって……
 ええと、うむ、ありがとう……嬉しいよ……とっても」

言いたいこと、伝えたい気持ちはたくさんあるのだけど、出てくるものはその切れ端ばかり。
顔がとても熱くて、熱に浮かされているのようだと、これこそ病のようではないかと思って。

このまま、まっすぐに君の顔を見ることも難しいとも、思うのだけれど。

(-173) 7_hertz 2022/05/04(Wed) 3:06:44

【秘】 中等部 バラニ → 夢見る乙女 シャルロッテ

「…………」

まだひとつ。こんな幸せがあっても、幸せだからこそ、拭いきれぬ不安がある。
慎重に言葉を選んで話をした、まだ言ってはいないこと、不確かなことだけど。

「シャルロッテくん」

「今から私の言うことは……まだ、本当かどうかもわからないことだから……」
「全部信じなくてもいい、私もわからないし、そうかもしれないというだけで」

曖昧な言葉とは裏腹な険しい顔をしながら、君をしっかりと見つめて。

「……昔の話だけど、神隠しに遭ったと言われる子は病気の治療のために……
 酷いことをされていた、らしい。それで、結果的には病気は治るのだけれど
 それは、今でも続いている……かもしれない、まだ本当かわからないのだが」

「アオツキ先生に、そう、教えて貰ったのだ……内緒だと、言われていたけど」
「君には……どうしても、伝えて置きたい理由があって……」

内緒だと言われていたにも関わらず、声を震わせながら自分の知りうることを伝える。
不確かな情報しかないけれど、その可能性があることにバラニは耐えられない理由があった。

「わ、私は──」

(-174) 7_hertz 2022/05/04(Wed) 3:07:28

【秘】 中等部 バラニ → 夢見る乙女 シャルロッテ

「──君が、好きなんだ……!」


「友人ではなくひとりの
女性
として……君を、愛おしいと思っている!」

ああ、言ってしまった。
こんな不安から逃れるような告白など、彼女の言ってくれた立派な大人には程遠いのに。

「だからこそ、だからこそ……君には、酷い目に遭って欲しくないんだ……」
「君が酷い目に遭わないように……私が、君を……守ってあげたいんだ……」

私は今どのような顔をしているだろう。
せめて、涙を流すような酷い顔をしていないといいのだけれど。

このままずっと、君の顔を見てなんていられなかったから、俯いて隠してしまう。
(-175) 7_hertz 2022/05/04(Wed) 3:08:09

【秘】 中等部 バラニ → 司書 エルナト

「止したまえと言っているだろうに……」
「まったく困ったものだね、我が友人の悪戯好きには」

悪態じみた言葉を吐きながらも、その調子は気安いもの。
本気で困っているわけでもない、いつものじゃれ合いと同じ線の上にあるようなやりとり。

貴族か、庶民かであることに関わず、同年代の友人としてのかけがえのない関係で。
あなたがバラニにとって、大切な止まり木のひとつなのは間違いないのない事実だ。

「ふふ、なんだか賢者の忠言のようだな、エルナトくん。
 そうだね‥‥…英雄譚は決してひとりでは成し得ないものばかりだものな」

「私だけで太刀打ちできそうになければ、誰に頼れるよう肝に銘じておくよ」

告げられた言葉に対して、どこか楽しげな調子でからからと笑う。
確かに友人からの言葉を胸に刻みつけて、しっかりとした声色で応える。

(-219) 7_hertz 2022/05/04(Wed) 19:53:56

【秘】 中等部 バラニ → 司書 エルナト

「そうか……果物もいけないのだね」

指でバツを作る姿を真剣に見つめながら、だとすれば何をと少し考えて。
そうしているとあなたからヒントが与えられる。曰く、自分でも作り出せるものだというではないか。

「私にも作り出せるもの……」

透明なもの、紅色のもの、黄色がかったもの、白色のもの。
小瓶に入るような液体らしきものと考えて、紅色に心当たりがひとつ。

「も、もしかして……紅色のものは、血液かい……?」

だとしたら、黄色がかったもの、白色のものは……
まだ正解は判明していないけれど、連鎖的にとある可能性を思い浮かべてしまって思わず苦い顔を浮かべてしまった。
(-220) 7_hertz 2022/05/04(Wed) 19:54:41

【秘】 中等部 バラニ → 夢見る乙女 シャルロッテ

「っ、ま、待って、シャル────」

それ以上、声が出なかった。
手を伸ばすことができなかった。
背を向けて駆けていく君を追いかける一歩も、踏み出すことができなかった。

この手に僅かに残ったぬくもりが、空気に融けて消えていく。
伝えるべきではなかったのだろうか……この想いも、不確かな情報も。

そこに残ったものは、君との関係が修復不可能になるかもしれない不安と、とても大きな後悔の念。

「おとう、さん……」

「ひとりで舞い上がり、先走って……私は……」

溢れて零れ落ちそうになる涙を必死に堪えながら、絞り出すように独り言ちる。
あなたの背がとっくに見えなくなっても、バラニはその場に立ち尽くしていた。

歩き出せるようになったのは、それからしばらく経ってからのことだった。
(-225) 7_hertz 2022/05/04(Wed) 20:08:31

【人】 中等部 バラニ

「…………」

この日、お昼を過ぎた頃からどこか浮かない顔のままふらふらとこの学び舎を歩き回っているバラニがいた。

いつものような明朗さはどこへやら、ぼんやりとしていた心ここに在らずと言った具合で。

何をしているのかと尋ねれば、姿が見えない子を探していると答えるが、きっとそれだけだろう。
(50) 7_hertz 2022/05/04(Wed) 20:11:57