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【神】 影法師 宵闇【4日目 『不発弾』処理】>>4:G39 >>4:G37 何かに呼ばれるように、誘われるように足を運んだ先。 記憶違いでも、夢でもなかったらしい。神社の大樹の近く、清和と百千鳥がなにかを掘り起こすのを見て、男は確信した。 「よう」 浴衣姿だった。祭りに行く予定だったのだろうか。 その服装には似合わないギターを手に持っている。 「もう少し遅れてくるべきだったかなー……」 掘り起こすのは骨が要りそうだったから。見た目通り細身の男は力仕事は得意じゃない。それにあの時一体何を入れたのか、男はおぼろげにしか覚えていなかった……おそらく。一体どんな爆弾が埋まっているのか、恐ろしさ半分、好奇心半分だった。 (G1) DT81 2021/08/17(Tue) 15:51:54 |
【神】 影法師 宵闇>>4:G67 鬼走【3日目 夜時空】 「いいんですよ。実際本当に人を愛せたかというと怪しい」 探していた。この何かが足りない気持ちを、満たしてくれる何かを、誰かを。 夢でも見ている「そう見えますか」と笑い交じりに聞き返す。 けれどふいに伏せた目は憂いを湛えていた。 「俺、は。そうだ、ずっとさ…… ここでの生活……いやこの田舎の風景。 ──アイツらのことを考えて、曲を書いてたんだ。 けど、それだけじゃあ"売れなかった"」 都会に出てきた頃は夢を両手いっぱいに抱えていた気がする。 離れてしまっても、どこかで聴いてくれると願って。 そうだ、音楽が、好きだったんだ。 あの日々が、そうさせてくれたんだ。 「メジャーデビューした時の曲なんかさ。 ただ大衆にウケそうなきれいごとを並べて いや、売れることしか考えてなかった……それだけの曲さ」 こんなこと、自分の曲が好きで聴いてくれる人間が聞いたら 石を投げられそうだ。 「最初は嬉しかった。途中からなんだかそれが苦痛に思えてきた」 「俺ってもしかして向いてないのかも」 紫煙と一緒に、軽い調子で弱音を吐いた。 (G2) DT81 2021/08/17(Tue) 17:43:10 |
【独】 宵闇──夢の終わりを告げる声が聞こえた。 ここに残ってと呼ぶ声も、誘う声も、 もう聞こえなくなってしまった。 「やっぱり、夢だったんだな」 自分でも驚くくらい覇気のない声が出た。 夜は明ける、夢はいつか終わる。 泡沫のように夜に溶けて消えていって 疲れることなんてなにも考えなくてもよくて 思い出だけを抱いて漂っていたかった 夢を、ずっと見ていたかった。 でも古民家<ピアノ教室>が本当はもう存在しないように あの頃には、戻れないんだ。とっくに知っていた。 いい、夢だった。子供の頃に戻ったみたいで。 田舎への想いは消えたわけじゃない 男はずっと過去に囚われていたけれど それは現実から目を背けたいだけだった。 ──いい、夢だった。 だけど、それだけで終わらせるには胸中に悲しみが滲んだ。 夢だったけれど、胸に抱いた想いは本物だった。 (-22) DT81 2021/08/18(Wed) 6:05:19 |
【独】 宵闇──考えている。 ──ずっと、考えていた。 祭囃子の音を遠くに聞きながら 人ごみの中をさ迷うように。なにかを探すように。 「どうして、俺だったんだろうな」 誰に届くこともない問いかけが夜の空気に溶ける。 彼になにか特別なことをしてやれていただろうか。 幼少の時のことをぼんやりと思い返す。 いつも自分勝手に振り回していた記憶ばかりだ。 好きになるなら、ルカのほうだっただろとさえ思う。 (-23) DT81 2021/08/18(Wed) 6:09:03 |
【独】 宵闇男は清和を、羨んでいた。 自分には、なんとなく言われてやっていた音楽くらいしかないのに アイツはあちこち飛び回って、色んなやつに影響与えて なんでもできて、風みたいだったし、光のようなやつだった。 あいつが光ならば、自分は、影。──いや闇かもしれない。 光にどこまでもついていく影ほど、近くはなかった。 男は清和のようになりたかったのだろうか。 だから意地なんて張って"プロになる"なんて宣言して。 たくさんの人間に影響を与えるような人間になりたかった。 でも、沢山の人間に向かう器用さはない。昔も今も。 挫折さえしそうな今だ。 だからいつも、子供の頃は近くにいてくれた御山洗を引っ張っていた。それでも嫌な顔ひとつしない、御山洗がいることで安心していた。差し出した手を、取ってくれる彼を。 ただの、自己満足だった。 (-24) DT81 2021/08/18(Wed) 6:11:13 |
【独】 宵闇ふ、と顔を上げる。 「……なんだ。さわがしいな。 やっぱりなかなかやるね、小さいほうのアキラくんは」 ──編笠の放送を聞いた男は、ひとり呟く。 がむしゃらに駆け回っていた青春時代を思い出して 少し胸の奥に火が灯るような気さえした。 俺もできるだけ手伝うよ、少年。と呟く 元の生活に戻ったら。この夢でのこと なんならラジオで彼と彼女の盛大なるラブソングでも 青春ソングでも流してもらおうかと、笑う。 曲が書けないだなんて、言ってられないな。 少しはこの村で、年上らしいことをしてやりたい。 「俺も、後悔しないようにしないとな」 (-25) DT81 2021/08/18(Wed) 6:17:16 |
【秘】 宵闇 → さよなら 御山洗これはひとり祭りをさ迷った後 三人で埋めた秘密を暴きに行った後 そして、だんだんと夢が綻んでいくどこかの時 男は、一方的に吐き捨てた再会の言葉通り、御山洗を探していた。あの時は夢がこんなにすぐ終わるとは、思っていなかったから。 ──彼はまだ、家にいるのだろうか? そうでなければ、どこにでも探しに行く。 夢が終わる前に、夢が終わるとしても さよならをするとしても 男がこのままいい夢だったと終わらせるには 寝覚めが悪かったからだ。 話を、したかった。 (-27) DT81 2021/08/19(Thu) 18:54:58 |
【秘】 宵闇 → さよなら 御山洗>>-28 男は探し人の姿を認めると、色とりどりの光を背に歩む。 しばらく思い出に照らされるその横顔を立ち止まって見ていた。 話しかける機を伺っているのかもしれない。 一際大きな花が夜空に咲き、男の黒も鮮やかに照らされた。 そして、訪れる少しの静寂。 「よう、アキラ」 いつもの調子で、名を呼ぶ声が響く。 昼間のようにはしゃいだ風ではなく落ち着いた声だ。 (-29) DT81 2021/08/19(Thu) 21:53:46 |
【秘】 宵闇 → さよなら 御山洗>>-31 首を傾げた。そんなに驚くことだろうかと言わんばかりに。 「……さあ。どっちだろうな? お前はどっちがいい?」 おどけたように話しながら、からころと下駄を鳴らし 目の前までやってきて、少し困ったように笑う。 「言わなかったっけ"またな"って。話がしたいって ……だから来たんだけど。ダメだったかい」 また逃げられてしまうだろうか、それは悲しいな。 目の前までやってきて、手を差し出す。 それが取られようが取られまいが言葉は続く。 「なあ、少し外歩かないか」 閉じこもってばかりでは気が滅入るだろう、と。 もう夢は終わる。この思い出のままの村の姿は もうなくなってしまう。だから、最後に見ておきたかった。 (-32) DT81 2021/08/20(Fri) 0:41:32 |
【秘】 宵闇 → さよなら 御山洗>>-33 「"ばーか。なに泣きべそかいてんだ。 お前がいつまでたっても来ないからだよ"」 なんてな、子供の頃のような戯言を吐いた。 細いけれどしっかりとした手が、大きな手を引く。 一歩踏み出す、夜に溶けそうな後ろ髪をふわりと翻す。 今や見上げるほど大きな彼を一瞥した。 田舎の夜道を照らすのは、時々上がる花火と 月明かりがほとんどだ。 男は、こうして夜に出歩くのが好きだった。昔も、今も。 「どうして、か。聞きたいのは俺のほうなんだがな。 お前が抱え込んでたもの……全部この耳で聞きたかった。 俺は言葉を音楽にして届ける仕事をしてる。 だから大事さは知ってるつもりだ」 長い前髪が風に乗って、横顔の目元を隠す。 焦がれるほどに誰かを好きな気持ちを抱いたことがない男には きっと、全部は理解できないのかもしれないけれど。 だからこそ、図々しく聞こうなんて思えるのだろうか。 「……じゃあ先に俺もなんか言うか? 祭り一人で行けって言われて割とショック受けた」 夢が綻び始めた夜の道 あてもなく歩く先にはなにがあるだろう。 (-34) DT81 2021/08/20(Fri) 11:02:01 |
【神】 宵闇>>G11 清和 百千鳥【4日目 『不発弾』処理】 曇った表情の清和に少しばつが悪そうにした。 「……アイツは約束破ったことなかっただろ。 だから来れないのは、俺のせいだ」 子供の頃も男が振り回したりしたせいで 彼がなにかを守れなかったことが、あったかもしれない。 淡々と話しながら、幾分か真面目に掘り進めて ついに中身が開けられるときにぼんやり思ったのは 自分がなにを埋めていたのかよりも、御山洗のことだった。 「まずい、10年前の俺なら……エロ本入れてるかも。 モモチは見ない方がいいかもしれない」 冗談ひとつ、スコップを置き、不発弾の中身を覗く。 カセットテープや、写真、何かを書き残したらしいノート。 男子高校生が埋めるものなんてこんなものという平凡なもの。 当時は面白がってなんでもかんでもいれたのかもしれない。 → (G12) DT81 2021/08/20(Fri) 11:21:29 |
【置】 あの頃の 宵闇──宵闇 翔『不発弾 <タイムカプセル> 』の主な中身『一枚の写真』 10年前の三人が自分を中心に写っている。 卯波少年からもらった(宵闇談)ベストショット 背景は宵闇の家の前、今の田舎そのままだ。 『カセットテープ』 当時宵闇が文化祭のバンドでボーカルをやった ──という設定で歌っている流行りのロックな歌。 今聴けなくてよかったかもしれない。 『ノート一冊』 なにやら色々な言葉やらくがきが書きなぐってある。 村の人たちの名前、料理のレシピのようなもの。 いわゆる、混沌と化したポエムノートかもしれない。 『楽譜』 10年前、初めて自分で作詞作曲したもののようだ。 『薄っぺらい紙切れ』 "10年後の清和へ、お前はたぶん今彼女いないに5000円賭ける" と書いてある。バカ。 (L5) DT81 2021/08/20(Fri) 11:24:14 公開: 2021/08/20(Fri) 11:25:00 |
【秘】 宵闇 → ただいま 御山洗>>-36 「そうか」 どうしてか遠ざけきれなかった男は、眉を下げて笑う。 見上げた先の涙を見れば、どうしても、あの時の表情が浮かぶ。 苦痛を堪えるように目を伏せる姿──同情だろうか。 過ぎ去ってしまった日のことはもうどうにもできないけれど。 「ごめんな」 お前はひどいやつだ、と言われたのを思い出して自嘲する。 彼の気持ちを知りたかった、手を取って振り回すのではなく 隣で歩いてみたかったのだ。もう、あの頃の自分のままではない。 「お前がそんな想いずっと抱えてたなんて知らなかった」 昔。10年もだろうか。忘れられてもおかしくない長い月。 男はそんなに想われるような価値のある人間だっただろうか。 「俺、いつもお前を振り回してばっかだな。大人になってもさ」 こうして手を引いて歩いていても、伝わらないことだらけだ。 男の手は体温が低くて、すこしひやりとしている。 (-37) DT81 2021/08/20(Fri) 16:23:15 |
【秘】 宵闇 → ただいま 御山洗>>-38 沈黙。いつしか頬を撫でる風は潮風になっていた。 ──すこし遠くに、しずかな海が見える。 「なあ、」 ふいに見納める視線から逃げるように手が離れて行った。 男は少し先を歩くと、数歩先で振り返る。まっすぐ視線をやる。 「昔からって10年以上も俺のこと好きだったってことだよな。 やっぱりさ、この夢の終わりに語るには時間が足りないだろ」 「それに、まだ話は終わってない」 「俺は最初からこれを言うつもりでお前に会いに来た」 ──そして、楽し気に目を細めた。 「俺さ、驚いた、知らなかった、とは言ったけど お前の告白に対する返事をまだ"ちゃんと"してないんだよな。 ずっと考えてた……これは、本音だから真面目に聞いてくれよ」 「きっともう、ここ <同じ景色> には二度と帰ってこれないから」この場所に未練を残すのは勘弁だ。 せめて、おかしな夢だったと笑い飛ばしたい。 → (-39) DT81 2021/08/20(Fri) 19:52:35 |
【秘】 宵闇 → ただいま 御山洗「俺は、アキラのことは好きだ──友人としてな。 お前が手を取ってくれると安心するんだ。 好きだと言われて、嬉しかったよ」 これはいつもの軽口ではない、嘘偽りのない言葉だ。 「俺とお前の好きが違うことは百も承知で言うが だからって……このまま手放したくもない。 傲慢だと思うかい、俺はいつも満たされない気分で一杯だ」 想いが両立しないときはどうしたらいいなんて、ひとつだ。 「なら俺が、考えを変えよう。変えたい、そう思った」 いつまでも同じ考えに囚われる必要を捨てる。 それに、やっぱりお前が悪いとは少しも思わないからだ。 そう思わせてしまうほど、きっと心に灯がともってしまった。 これで最後なんて、やっぱり寝覚めが悪いんだ。 どう思われようが構わない、きっと、後悔はしないだろう。 思い出は思い出のままだ。壊れはしない。 あの時楽しかった日々のままだ。 誰がどんな気持ちを抱いても、そうだ。 一歩、また一歩と近づく。目の前までやってくる。 御山洗の胸倉をつかんでぐいと引き寄せる、二つの影が重なる。 → (-40) DT81 2021/08/20(Fri) 19:59:25 |
宵闇は、御山洗に口づけをした。 (a11) DT81 2021/08/20(Fri) 20:02:26 |
【秘】 貴方の隣に 宵闇 → ただいま 御山洗「……どうだ、参ったか?」 顔を離すと、不敵に笑む顔が間近にある。 思い出でも今でもなく"これから"を見つめていきたくなった。 ただ、それだけ。もう、夢は終わるのだから。 (-42) DT81 2021/08/20(Fri) 20:02:54 |
【秘】 貴方の隣に 宵闇 → ただいま 御山洗>>-43 >>-44 >>a12 >>-45 涙声でも、確かに聴こえた言葉に笑う。 「──は、じゃあ、俺の勝ちってことで……」 小さく吐くのは、安堵のため息だ。 得意気に湛えた笑みは少し和らいで その身を目の前の彼に委ねる。 たしかに宵闇は御山洗の腕のなかにいる。 波の音、夜の海がしずかに見守っている。 ここにある想いは、海の泡沫のように消えゆく夢ではなかった。 「もっとちゃんと捕まえとかないと 勝手にどっか行っちまうけど……?」 そっと大きな背に手をまわす こちらはしっかりと体温が感じられるくらい。 「目覚めたらちゃんとお前が見つけられる ようなとこにいてやるけどさ、」 (-49) DT81 2021/08/21(Sat) 11:33:40 |
【神】 宵闇>>G13 >>G14 >>G15 清和 百千鳥【4日目 『不発弾』処理】 「なになに、なんの手紙よ。ラブレター? 俺ルカちゃんへのラブレター書いたけど見るか?」 にやにやしながら、からかうような口調で言って おそらく悪戯や軽いノリで入れたであろうしょうもない 一言が書かれた紙切れをひらひらとさせた。 「反面教師は言うねえモモチさん。 まあ、たしかに俺は家にあったら捨ててそうな しょうもないモンばっか入ってたけど。 ……悪くはなかったよ。」 自分のノートを懐かしむようにぱらぱらとめくる。 「集まったのは偶然ってやつだったけどな でも昔の俺は10年後も会えるって信じてたらしい」 楽譜にさりげなく添えられた手紙を見て、思い出す。 過去と決別するというよりも、未来の自分に 振り返ってほしいものが入っていることを。→ (G17) DT81 2021/08/21(Sat) 14:04:48 |
【秘】 宵闇 → 公安警察 清和「なあ、そういやルカ。お前この間最後のぎゃふんの『ん』は ──俺が作る、お前への歌と交換だって言ったな」 不発弾の処理が終わった後くらいそろりとやってきて話す。 ここから帰りたくないような 誰かが自身を呼んでいるような、そんな声が聞こえていた頃 けれど、薄々とここが夢だということに気づきはじめていた頃。 「それは"ここから"帰って再会した時ってのはどうだい」 ここで全て済ませてしまうことはできる。 その材料が揃っているからだ。 「全部田舎で済ませちまうのも、なんか勿体ないだろ ──まあ、先に聴いておきたいってんならいいけど」 せっかく再会したのだから、その先があってもいいはずだ。 だからこれは口実のようなものだった。 清和を追いかけるための。 「それに、実はさ、その曲ってのはお前だけでなく アキラにも聴いてもらいたい曲なんだよな、どうだ?」 そして、男は不敵に笑った。 (-54) DT81 2021/08/21(Sat) 14:41:04 |
【秘】 貴方の隣に 宵闇 → ただいま 御山洗>>-50 「お、やっと素直になったな」 そう、それでいいんだよ、なんて上から目線。 細身の男は背丈も体格も違うその腕の中にすっぽりと収まって くすくすと機嫌がよさそうに笑う声が耳をくすぐる。 男は、嬉しかったのだ。本当に、嬉しかった。 あの時苦痛を堪えるようだった姿は 怯えるように男を無理やり遠ざける姿は もう見なくてもいいのだと思うと肩の力も抜ける。 そうだ、彼に笑ってほしかったんだ。 この心が少しだけ満たされるような気分になる。 「ああ、待ってるよアキラ」 目を閉じて、広い胸に額を押し付ける。 「そしたらさ、また俺に好きだって言ってくれよ 何度でも聞いてやるし、言ってやるし」 ゆっくりと話しもしたい。この先に想いを馳せる。 ──だから夢が終わるまで、もう少しこのままで。 (-57) DT81 2021/08/21(Sat) 17:03:54 |
【置】 あの頃の 宵闇すこし古ぼけてかすんでいる楽譜、かろうじて読めるくらいの。 まだ音楽への知識が浅い時にはじめて創作したもの。 その曲のタイトルは『再会』 あの頃の少年が細い指でギターをかき鳴らす。 ──ふわりと、頬を風が撫ぜた 前奏、それはそよ風のように優雅に 爽やかな空気の流れるはずんだ音 雲ひとつない青空広がるすっきりとした空。 ──僕らは繋がっている ──きっと同じ空を見上げている 間奏、転調、雨が降ったように、ぽつりぽつりと。 しっとりとした、音が紡がれる。 それは恵みの雨、悲しみを流す清らかな水だ ──晴れた夕焼け空にカラスが鳴く ──帰ろう、僕らの道へ 後奏、夜が訪れるように 宵闇は光へと続くしずかな夜だ。 ──朝は必ずやってくる ──それまでは安らかな夢を (L13) DT81 2021/08/21(Sat) 18:19:17 公開: 2021/08/21(Sat) 18:20:00 |
【置】 あの頃の 宵闇 "未来"の宵闇 翔へ 元気ですか? ちゃんとメシ食ってますか? 彼女はできましたか? 夢は叶えましたか? 俺は小さい頃、なんとなく母さんが喜んでくれるからって 理由でピアノをやってたけど、今ではすごく楽しんでる。 都会の音楽に触れられるようになったのはルカのおかげだし。 俺もなにか夢を持ってみたいと思ったのはアキラのおかげだ。 未来の俺はどうですか? もし、挫折してたりつまんねえなって思ってたら いっそ音楽なんてやめちまえばいいと思います。 それもいやなら、一緒に入れた楽譜を見て思い出してくれ。 これはアイツらには今はナイショだけど、曲をつくったんだ。 練習もしたから今の俺は歌えるし、思い出すはずだ。 まだうまくできないけど、未来の俺がアイツらと再会したら 歌ってくれよな。絶対はずかしいと思うけど。 過去の宵闇 翔 (L14) DT81 2021/08/21(Sat) 18:21:01 公開: 2021/08/21(Sat) 18:25:00 |
【人】 音楽家 宵闇ここにずっといたら取り戻せそうだった心があった。 今の自分にはなくて、過去に置いてきてしまったものがあった。 思い出せそうだった、すこしだけ思い出した。 それは『好き』という、身近にあって大事もの。 この村で培ってきたものが、音楽が好きだった。 男はきっと、この夢の事を一曲にするだろう。 ひとりの老人が、皆が愛した村。 ──時数えの田舎村。 (39) DT81 2021/08/21(Sat) 20:55:31 |
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