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【人】 田中[四十肩が五十肩に名を替えるまであと何十日か。 カレンダーにカウントダウンでも書き込もうか。 ……そんなくだらないことを考える程度に 余白だらけの人生だ。 若さは蝋燭のように溶けていった。 今時洗顔だけのスキンケアはありえないと 自分の子でもおかしくない年齢の後輩に笑われ 朝の洗面台ではカミソリにも負けている。] (2) nagaren_rp 2024/02/14(Wed) 20:13:37 |
【人】 田中[真っ黒、乃至濃い灰色の弊社では 未だホワイトボードに個人の能力を晒す。 勉強も運動も常にぱっとしなかった成績は 大人になって尚変わらなかった。 もし言い訳をするならば 訳もわからぬご年配の方に ウォーターサーバーやカンタンスマホを 二台も三台も売り付けるのは 詐欺と言っても過言ではないと思うんだ。 思うんだけど。 だからと言って何かを良くしようとする訳でもない。 駅前のちっさすぎる喫煙スペースからはみ出して 電子タバコを咥える男女を一瞥だけする 善人にも悪人にも振り切れない己は 仕事終わりの一服を早々に諦めて ぎゅうぎゅう詰めの電車に揺られる。 あの店はいまでも、喫煙が許されているから。] (3) nagaren_rp 2024/02/14(Wed) 20:14:54 |
【人】 田中はあ…… [思わず出た溜め息。 自分への褒美という色が濃くなって 義理チョコが撲滅傾向にあっても コンビニ、スーパー、電車内……、 至る所でそのイベントは目に飛び込んでくる。 「それは**くんにあげたかったのに……」 バレンタインには青く苦い記憶しかない。 独りでいると碌でもないことしか考えないから 何日も前から店──バーには行くと決めていたし、 いままさに向かいながら早く着けばいいと焦れている。 出逢いか、刺激か、或いは癒しか、 思い思いのものを求める者が集う場所。 趣味嗜好を隠さなくても許される場所。 知ったばかりの時分にはまるで猿のように 足繁く通ったものだが、近年では数ヶ月に一度の頻度か。 歳食って多少は落ち着きも覚えたというか……、 枯れ始めてるって言った方が、正しいかも知れない。] (4) nagaren_rp 2024/02/14(Wed) 20:17:09 |
【人】 田中[付き合っていないし付き合えた訳がないし 想いを告げてすらいない。 買いたてのシャツより白い歯が眩しくて クラスの女子は皆一度は彼に恋をした。 いつだって中心にいて、世界の主人公だった。 俺みたいなモブ、彼は覚えてすらいないだろう。] (6) nagaren_rp 2024/02/14(Wed) 20:18:31 |
【人】 田中[どうなったか後で教えなさいよと 野太いエールと力強い手に押されて たたらを踏みながら店内に入る。 あーもー肩痛いっちゅうの。 一杯ずつ会計を済ませるシステムゆえ 入っていったばかりということは オーダーの列にいただろうか。 それらしき男にすかさず声をかける。] なあ、アンタ良かったら 俺に一杯奢らせてくれないか? [目、鼻、唇、手の大きさ……声。 似ている人にフラれるのは慣れてきたから 声をかけることくらいはお手のものだ。 仕事の時ほど胡散臭くない笑みを見せることも造作ない。] (7) nagaren_rp 2024/02/14(Wed) 20:21:09 |
【人】 田中……っ [だけど相手の顔を見てひととき固まってしまう。 近くに来て見えた、照明に照らされる顔が あまりにも"本人"だったから。*] (8) nagaren_rp 2024/02/14(Wed) 20:22:07 |
【独】 田中/* ?!?!?!?!?!?!?! ひぇっかっこいい…… に、認識されている……?! 神の如き聖域に ひぇぇ た、たなかーーーーおまええ ヘイセ大好きチップの一つなんだけど 絶対似合うとおもってた……しってた…… ひぇぇ 拝み伏す………… (-1) nagaren_rp 2024/02/15(Thu) 22:31:09 |
【独】 田中/* なまえ 名前を考えなくては 認識されてないミジンコくらいの気持ちでいたから あえて下の名前を出さず考えてもいなかった裏話 ええええポジションおいしいな?!?! ありがとうございますありがとうございます…… (-2) nagaren_rp 2024/02/15(Thu) 22:46:50 |
【人】 田中[だってびっくりしたんだ。 相手が神なら自分はミジンコくらいの存在。 どこにでもいる地味で冴えない俺のことを 覚えていてくれて剰え気づいてくれるだなんて 思ってもいなかった。 浮かれそうになる。 ああでも流石ヘイセくんだ。 イケメンなだけじゃなくて 賢くてよく気が回る人だった。 先生達にも一目を置かれていた記憶がある。 取引相手の名前を覚えるのにも いちいち苦労している俺とは違う。] (15) nagaren_rp 2024/02/16(Fri) 0:57:50 |
【人】 田中で、どう? 一杯だけ…… ええと、久しぶりに会ったことだし [下手くそかよ。 改めてお誘いをかけてみるが もっと上手に誘えないものかと早速内心で後悔する。 叶うことなら一杯どころか 十杯でも二十杯でもご相伴に預かりたいくせに 予防線を張って備えるあたり卑怯者だ。 彼が嫌なら上手に断ってくれる筈だし 一杯だけなら本当に付き合ってくれるかも……なんて 打算はしっかり働かせてる。 逃げ出したいのは本音だが 再会したばかりの彼を離したくないのもまた本音だった。**] (16) nagaren_rp 2024/02/16(Fri) 0:58:58 |
(a1) nagaren_rp 2024/02/16(Fri) 1:14:22 |
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