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【赤】 大学生 葛葉 桜子……名前というか名字、かな。 ぐずな葛葉…って。 [ ひどい、なんて言われれば苦笑いして。 まあ許さないとは思っているけれど 過去の事ですから。 引きずっているわけでもないのです。 連絡先はそのまま登録されたようです。 デートをしようなんて囁かれて ドキッとしてしまいました。 ……遊びでってこと、ですよね? 真意がよくわからなくて わからないまま、頷いてしまうのです。 ―――断れないのが私の悪いところです。 ジュースとサンドイッチを渡されて 私がそれを食べる間に 彼はシャワーを浴びに行ったようです。 食べ終わったら入れ替わりに シャワーを浴びることになるでしょう。 ] (*0) as_252 2021/05/04(Tue) 1:27:26 |
【赤】 大学生 葛葉 桜子 * ……わかり、ました。 [ いつも軽い口調の彼が 真面目に言うものだから、思わず敬語に。 結果から言えば、お金を渡されてしまったので 産婦人科に行って薬をもらうことになります。 そのおかげか、運がよかったのか 妊娠はしなかったのです。 ……責任感があるのかないのか よくわからない対応で、混乱してしまいます。 彼は何を思っているのでしょうか……。 ] (*1) as_252 2021/05/04(Tue) 1:28:27 |
【赤】 大学生 葛葉 桜子おうじくん。 私……恋人に愛されてなかったんですね。 気づかせてくれて、ありがとう。 [ 部屋を出る前にお礼を言うのです。 ええ、お礼を言うどころか 文句を言っても多分、一般的には許されることを 彼にはされましたけれど。 それでも……私にとって ひと時の救いになったのは ごまかしようのない事実なのです。 ―――あの優しさまで嘘だと思いたくないのです。 両手を頬に添えて唇を軽く重ねて 私なりに感謝を伝えたのでした。 ] (*2) as_252 2021/05/04(Tue) 1:29:01 |
【赤】 大学生 葛葉 桜子……また、ね? [ またたくさんしようなんて言われて 返答に詰まってしまいましたが にこにこと手を振られて 手を振り返すのでした。 ] (*3) as_252 2021/05/04(Tue) 1:29:27 |
【赤】 大学生 葛葉 桜子[ 誕生日の出来事としては散々、でしたが。 でも、怪我の功名といえばいいのか。 元恋人への未練はすっかり断ち切れていました。 彼のおかげ、かもしれません。 ……別に連絡先を交換したからといって 会う義務なんてないですし、こちらから消せば それでおしまいのはずです。 それなのに、私は…… ] 『来週の土曜日、空いてますか?』 [ なんて電話をしてしまうのです。 理由は……もう一度だけ、なんて 思ってしまったから。 それが一度になるわけがないと 薄々思ってはいても、そういい聞かせて 連絡を取ってしまうのでした。 案の定、一度きりで済まなくなるのですが。 ]* (*4) as_252 2021/05/04(Tue) 1:30:23 |
【赤】 大学生 葛葉 桜子うん、そうだね。 そういうこと言う人は最低。 [ 彼は一瞬ムッとした表情をしました。 ……人の名前で遊ぶ、ね。 されたことはあるのかもしれません。 私が名前をバカにする人が嫌いなのは 勿論自分が笑われたのもあるのですが。 都恋(みやこ)ちゃんという友達が 名前でいじめられているのを見たから、でも あったりします。名前は読んでもらえなくて その当てつけか何かのように 色々と言われていたのを、身近で見ていました。 勿論、止められる範囲で止めようとは していたのですが。 ] (*9) as_252 2021/05/04(Tue) 10:43:50 |
【赤】 大学生 葛葉 桜子ふふ、心配してくれてる…? ありがとう、もう大丈夫。 [ 優しいな、と思ってしまいました。 どうしてそんな言葉をかけるのは やっぱりわからなかったけれど。 唇を重ねると、頭をなでられて よくできました、なんて褒められるのです。 ……胸がざわつくのはきっと、気の所為。 ] (*10) as_252 2021/05/04(Tue) 10:44:21 |
【赤】 大学生 葛葉 桜子 * [ 連絡にはすぐに了承の返事が返ってきました。 ……この人暇なんでしょうか、なんて少し。 まさか、彼が布製の首輪付きの下着を用意してる などとは思わず、びっくりしながらも 押し負けて着てしまって、肌を重ねて。 その前の食事でいくつか質問したりしましたが、 彼のことを知ることは出来たでしょうか? 恋人はつくらないの?とか 仕事は何してるの、とか。 そんな質問を、したと思います。 ] (*11) as_252 2021/05/04(Tue) 10:45:07 |
【赤】 大学生 葛葉 桜子気になるもの…… ケーキ、食べたい気分かも。 [ 結局誕生日にケーキを食べ損ねてしまったので その原因の一つの彼に奢ってもらうくらいは 許されるかもしれない、と思ったのです。 恋人つなぎをして歩くのは…… 断れずそうしていましたが、 ……それはダメと言うべきだったかも。 何故なら――― ] 『桜子、お前もう彼氏作ったのかよ? 案外軽い女だったんだな??』 (*12) as_252 2021/05/04(Tue) 10:47:42 |
【赤】 大学生 葛葉 桜子[ ―――元恋人に、遭遇してしまったから。 気づかなかったんです、彼のほうを見ていたから 元恋人がいることにも、こっちに来ていることにも。 彼との時間が楽しかったから 周りなんて、見てなかったんです。 声をかけられて、固まってしまいました。 ぎゅうっと反射的に彼の手を 握って俯いて。何も言えなくなったのです。 ]* (*13) as_252 2021/05/04(Tue) 10:48:06 |
【赤】 大学生 葛葉 桜子システムエンジニア…… プログラミングとか……? ……そっか、なんか……… ううん、やっぱりなんでもない。 [ プログラミング?なんて聞いたのは 大学の講義でそんな内容のものをとって いたからでした。あんまりきちんと理解できなくて 単位をあきらめようかなと思っていたので 一瞬教えてもらおうか、なんて考えましたが ……ちょっと虫のいい話ですよね。 おうじくんは恋人はいらないみたいです。 ……勿体ないと言おうとしてやめました。 私が勝手に思っただけの事ですし、ね。 胸がチクリと痛むのです。 ……恋人がいらないのなら私もきっと、 遊び相手の一人なのでしょう、ね。 少し考えてしまったせいで、 彼が結婚願望を持っている話は たとえしていたとしても 聞きそびれてしまうのです。 私にとっては、大事な話だったのに。 ] (*19) as_252 2021/05/04(Tue) 18:30:08 |
【赤】 大学生 葛葉 桜子[ ケーキを買おう、なんて和やかに 話していたのに。 楽しい時間は簡単に壊されました。 元恋人はそれなりに顔はいい方でしたが 成績はそんなに良くなかった気がします。 ……頭は良くなかったかもしれませんが でも、私に“恋人”だと思い込ませるだけの 口のうまさと、人を丸め込むための観察力は 持っていたようです。 それは立ち直ってから、気づいたことでしたが。 ともかく、私が何も返せずに黙ってしまったのを あの人はきちんと見ていました。 ―――何かを、察したような顔をしました。 何か言われる前に無視して通り過ぎなければ と思って彼のほうを見ましたが 彼は何故か反論していて。 蔑むような笑い方をしているのです。 ] (*20) as_252 2021/05/04(Tue) 18:31:14 |
【赤】 大学生 葛葉 桜子『僻む?そいつに? まさか。なんか勘違いされてるみたいだけど そいつはハナから本命じゃねーし、 今、本命のコとは付き合えてるし? そいつは性欲満たすためだけに付き合ってたけど 思ったより何倍もめんどくさい女だったわ。 そいつの魅力? 体だけだろ、そんなの。 たかだか学生の付き合いで 将来まで考えようとするとか重すぎて 誰も付き合いたくねーよ。』 [ 馬鹿にされたのに苛立ったのか なおも彼は何か言い募っているようでしたけれど 正直聞くだけ無駄です。 彼の手を少し引っ張って、もう行こう と促そうとしましたが…… 彼は動いてくれたでしょうか。 ]* (*21) as_252 2021/05/04(Tue) 18:32:13 |
【赤】 大学生 葛葉 桜子……単位がその… そういう科目があって…… [ ちょっと目をそらしつつそんなことを言って もし時間があるのなら教えて欲しいと 頼んでみたことでしょう。 思ったことをそのままいえば もしかしたら何か違ったのかもしれません。 でも、言えなかった。 聞けなかった意気地なしの私は こう思ったんです。 “恋人がいらないのなら好きになったら嫌われる” ] (*25) as_252 2021/05/04(Tue) 23:25:40 |
【赤】 大学生 葛葉 桜子 * [ おうじくんは何か理路整然と話しています。 ……なんでそこまでかばってくれるのか わかりませんけれど。 きっと優しいから、ですよね…? はったりだとは分からず聞いていましたが 元恋人の方はといえば めんどくさいと思ったのか。 私たちが動くのとほぼ同時に 通り過ぎようとしました。 ……私の横を通ったあの人は 私にだけ聞こえるような小声で 最後にこんなことを言い残して。 ] (*26) as_252 2021/05/04(Tue) 23:26:13 |
【赤】 大学生 葛葉 桜子[ 思わず元恋人のほうを見ました。 何も、言えなくて動揺してしまって。 私の反応を見たあの人はふぅん、と それはそれは嫌な笑みを浮かべました。 ] 『馬鹿な女だな、ほんと』 [ どちらにも聞こえるように言って 今度こそ去っていきました。 ……そう、私がいくら意気地なしでも ここまで何も言い返さなかったのは 私を知っているあの人にとっては 私たちの関係性を推しはかるには十分な情報で。 その一言が、何より私には辛かったのです。 何を言われたのか聞かれても おうじくんに教えるつもりはありません。 先ほどかばってくれたお礼を言いましょう。 ] あの、ありがとう…… ごめん、ね、巻き込んで…… * (*27) as_252 2021/05/04(Tue) 23:27:27 |
【赤】 大学生 葛葉 桜子そりゃおうじくんにとっては 簡単でしょう…… [ 少しだけ拗ねてしまいました。 私の理解力がないのかもしれませんが 余裕そうなおうじくんをみると 少し悔しくなってしまったのです。 プログラミングを取った理由は 時間割表と相談して空いてたからっていうのと…… 出来たらかっこいいなって思ったんです。 だから、教えてもらった時は ちょっとおうじくんがかっこよく見えました。 ……わかりやすかったです、悔しいことに。 ] (*30) as_252 2021/05/05(Wed) 1:05:14 |
【赤】 大学生 葛葉 桜子 * 気分…私の、せいで…… ごめんね……。 うちって、おうじくんの? [ ぐっと引っ張られて ぐらりとよろめいてしまいます。 転びはしなかったけれど、 おうじくんに抱きついてしまいました。 タワーマンションにたどり着くと ここ……?と思わず彼のほうを見てしまいます。 普通のアパートに住んでいた私にとって びっくりしてしまうのは仕方のないことだと そう思うのです。 ……おうじくんはどこか 機嫌が悪そうな気がします。 いつもにこにこしているけれど… どこか表情がいつもと少しだけ違うような…。 ] (*31) as_252 2021/05/05(Wed) 1:05:47 |
【赤】 大学生 葛葉 桜子……おうじくん、その、 私、だいじょうぶ、だから……。 [ 覗き込むようにしてそういったら 彼はどんな反応を見せたでしょうか。 部屋に招き入れられるのなら 少しだけ躊躇してから、 お邪魔することになるのです。]* (*32) as_252 2021/05/05(Wed) 1:06:15 |
【赤】 大学生 葛葉 桜子……にがて、かも [ あんまり要領がいいわけではないので 繰り返しやって、少しずつ理解していくことに。 慣れてくると、少し面白いな、 と感じるようになったのと ……一緒にいる口実にちょうど良くて 単位に関わらない部分まで教えて欲しい、 なんてお願いをするようになったのでした。 ] (*37) as_252 2021/05/05(Wed) 14:18:14 |
【赤】 大学生 葛葉 桜子* [ 抱きついてしまって、いつもなら 嬉しそうというか、そんな反応をする彼が 今日は反応しませんでした。様子が少し変です。 煙草の匂いがする部屋に通されて 促されるまま、ソファに座ります。 ……誰も入れたことがない、などと言われては 私は特別なのか、なんて期待してしまいます。 頬がほんのり染まったような。 ] (*38) as_252 2021/05/05(Wed) 14:18:35 |
【赤】 大学生 葛葉 桜子はじ、めて…… あ、いってらっしゃい…? [ 煙草を吸ってくると言われて 引き止めることも出来ず、そのまま見送るのです。 冷蔵庫に甘いものがある、と言われても 私は立ち上がりませんでした。 ……冷蔵庫って、その人の生活がよく見える気がして 見ていいのか、迷ってしまったんです。 恋人じゃないから 、遠慮が先に出てしまって。] (*39) as_252 2021/05/05(Wed) 14:19:11 |
【赤】 大学生 葛葉 桜子[ おうじくんが出ていってから、 先ほど言われた言葉を反芻していました。 ……本当に付き合っているわけではなくて だったら、彼にとっての私は 何なのでしょうか。 ―――特別な何かを期待したいのに。 恋人はいらないならそれは違うんだろうな と思ってしまいます。 ……好意を伝えることだって きっと迷惑なんだろうって思うのです。 あぁ、私は確かに――― ] 馬鹿、だよね…… (*40) as_252 2021/05/05(Wed) 14:20:03 |
【赤】 大学生 葛葉 桜子[ 体だけの関係というには一緒にいすぎたんです。 愛されているって錯覚が 錯覚じゃないような気がしてきてしまって 錯覚じゃないと、思いたくて。 一人になるとそんなことが頭をよぎってばかりです。 一人だからこんなことを考えてしまうんです。 ……泣きたくなってしまいます。 きっとおうじくんがいれば忘れられる… 全部忘れさせてくれる…… そう思って、リビングの扉を開けて どこにいるのか、探そうと歩き始めたのです。 ]* (*41) as_252 2021/05/05(Wed) 14:20:28 |
【赤】 大学生 葛葉 桜子[ プログラミングを教える講座を していたという話を聞く機会はあったでしょうか。 聞けていなかったとしても、対価まで 私は考えていませんでした。 ……体で対価になるのなら喜んで払うけれど 抱かれたいと思っているのに、果たしてそれは 対価になりうるのでしょうか。 教えて欲しいと頼んだのは私ですが、 何故教えてくれるのか、 私にはわかりませんでした。 ] (*45) as_252 2021/05/06(Thu) 13:05:40 |
【赤】 大学生 葛葉 桜子[ 部屋を出ていったおうじくんを 探そうときょろきょろしていると 彼はは隣の部屋から出てきました。 何か言う前に抱きしめられるのです。 ゆらゆらと体を揺らされて、 私は身体を預けて返事をします。 ] ……一人で食べても、寂しいから。 どうして、そんな…… 頼りないことと私がケーキを食べないの、 関係あるの……? (*46) as_252 2021/05/06(Thu) 13:06:18 |
【赤】 大学生 葛葉 桜子[ 冷蔵庫を開けてすらいませんが、 開けたとしても、きっと私は食べなかったでしょう。 ただ甘いものが食べたかったんじゃないんです。 “おうじくんと”食べることに意味があったから。 彼の声はいつもよりずっと落ち着いていて 年相応、というと変かもしれませんが 私よりずっと大人に聞こえました。 とても、落ち着く声で もっと、聞いていたい声。 ……その声で名前を呼んでくれるのなら それだけで幸せになれそうな、声。 ] おうじくんは頼りなくなんてない。 さっきだって私の事、守ってくれた… そうじゃない、の……? * (*47) as_252 2021/05/06(Thu) 13:07:36 |
【赤】 大学生 葛葉 桜子 ― とある日の事 ― ……いた、い…………。 [ 人より生理が重い体質で痛みに苦しんでいた日。 周期より早く来てしまったせいで、 彼との約束に被ってしまった時の事です。 ] ごめんね……体調良くないから行けない……。 [ 一度電話をかけてみて出てくれるようなら 直接、だめならメッセージを送って 布団に潜り込みます。 高校の時は鎮痛剤とかを飲んで誤魔化しては いたものの、あまり効きがよくなくて。 飲まない選択をしたらしたで 動けなくなってしまうのです。 ……こんな時、恋人なら 傍にいてくれたりするのでしょうか。 それをねだることが許されるのでしょうか。 私にはきっと、許されないだろうけれど つい、今日会うはずだったおうじくんのことが 頭によぎるのでした。 ] (*51) as_252 2021/05/06(Thu) 23:45:16 |
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