>>271

「……メレフ。」

そんなあなたの背後から、そっと声をかけました。
ひょっとすると、もう小瓶を触るのを辞めた頃合いかもしれません。

「相談があるのだ。なるべくなら、みんなには聞かれたくない。」

*ヒソヒソ*

「場所は任せるのだ。ブラキは内緒話をあんまりしたことがないからな。」

*ヒソヒソ*

ブラキウムは、あなたの後ろをついて歩くでしょう。
今日はずっとウサギのぬいぐるみを抱えています。

部屋に入れば、ようやくいつも通りの声量になりました。

「そうだ、ラスから貰ったぞ！　イブって言うのだ。」

ブラキウムの部屋は、あまり使っていないようでした。
持ち込まれた物といえば、テーブルに置かれた一冊のノートと鉛筆くらいでしょう。

「んーと、内緒話って言ってもみんなに内緒ってわけじゃないのだ。
戦えない人たちを不安にしてしまうのは、あまりよくないと思うからな。」

「ああ、ぬいぐるみがいっぱいだった！　みんな幸せそうだったのだ。」

ブラキウムは、ベッドに腰掛けます。そして膝の上にぬいぐるみを置きました。

「ええと、ブラキが羽根を失くしたのは昨日話したな。
……今日ブラキが最初に見つけた、藤色の髪の人がいただろう？　その人に昨日、羽根を見せているのだ。」

ブラキウムは、俯きました。
ぬいぐるみの手を軽く握ります。

「…………もしかしたら、羽根に関わった人から死んじゃうのかもしれない。」

「一緒に羽根を探したのは。」
「藤色の人の話をしたのは、そのと。」
「あと羽根についてたくさん話をしたのは、とだ。」

ブラキウムは、会議に出席した殆どと羽根についての話をしています。
しかしその中からなるべく多く関わったと思う名前を挙げました。

「みんな羽根を直接触ったわけじゃないのだ。
でも犯人が羽根を探しているとしたら、探そうとしただけで襲われるかもしれない。」