人狼物語 三日月国


224 【R18G】海辺のフチラータ2【身内】

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【秘】 渡りに船 ロメオ → 門を潜り ダヴィード

「……皆が帰ってきたときにここがいつも通りでなきゃあな。
 わかるよ。皆ちゃんと帰ってくるんだから」

「オレたちはここを守る……うん」

ちびちびとコーラを飲み、
……それでも尚、何か溜飲が下がらない物言いをして。

「……」
「弟捕まってんだよネ」「やだな〜……」

ポロッと、そんな事を急に言い出した。

「ボスでもどうにもならなかったら、
 オレ刑務所に火付けに行くから」
「その時になったら、まあ後はよろしく……止めないでね」

アハハ……と乾いた笑い。口元だけが笑っていた。
冗談交じりに貴方と話す事は多々あるが、
だからこそ、この言葉は冗談じゃないと
貴方は勘づくかもしれない。
(-322) susuya 2023/09/22(Fri) 8:14:10

【秘】 渡りに船 ロメオ → 暗雲の陰に ニーノ

「ああ、いいな。オレ作れるよ、少しくらいは。
 オレんちに泊まりは……あー、多分大丈夫」
「いいよ。やろう」

急に仲間が尋ねてくることも殆ど無いし、
忙しい日に予定しなければいい話だ。
その時は折角だから、貴方の好きな食べ物を
作ってやれたらいいな、なんて。

頬をするりと撫でる手は、やっぱり自分より小さく。

「……伊達なんだよ。これ」

そう言って、肩を竦めて笑ってみせた。
ロメオは店の中でも素知らぬ顔で、
恥ずかしげもなくまたメニューを見て。

「また来ような」

カクテルの届かぬうちに、次の約束をするのだった。
(-409) susuya 2023/09/22(Fri) 19:21:53

【秘】 渡りに船 ロメオ → 口に金貨を ルチアーノ

靴音は固く、人々の賑わいは相も変わらず。
表立っての用事でも無いので、今日は変装もしないでいる。
位置情報を片手にどこにあるか見渡しながら歩けば、
それは案外と分かりやすく建っていた。
良い店だ。外装も良く期待出来る。

「あ、ども……、?」

扉を開けた時に合った視線、
店員からの定型文の後に空いた妙な間。
それに自分もハテナをまた浮かべつつ、

「うす。ティラミスが美味しいって聞いて」

おすすめされるままに、今日の所は控えめに選ぶ。
店内に彼の姿は無く、ハズレだったかと思ったが。
思わぬおまけと共にもらった紙切れに気が付けば、
ふむ、と顎を擦った。

店員に礼を言い、「良い店すね」と愛想を撒いて、
少しばかりのチップをカウンターに置いて店を出る。

そこからまっすぐ目指すのは紙切れに示された先。
傍からは人気の無いそのバーの扉を、
ひとまずはノックしてみた。
反応があればそれで。無ければそのまま薄く扉をあけよう。
(-413) susuya 2023/09/22(Fri) 19:42:15

【秘】 渡りに船 ロメオ → 門を潜り ダヴィード

「ん。弟」「義理……?だけど」

説明が難しんだよな、と首を傾げる。
貴方の察する通り、歯切れの悪さの理由はそこにあった。
弟だけではない。今まで逮捕された仲間だってそうだ。
手段があればすぐにでも解放してあげたい。
けれど、手段はない。
できる事は現状維持、ボスの帰りを待つのみ。

それが嫌だ。

「……あんた、いい男だな」「ありがとよ」

我儘みたいに打ち明けた八つ当たりの一つを、
見送らず隣に立とうと言ってくれるのが嬉しかった。
無免許宣言に大丈夫かよと笑って。

「ボスの事信じてない訳じゃないけど。
 そうなったらあんまりにもやりきれないからさ」
「一人でやれば捕まったって迷惑かけない。
 皆逃げてくれれば、オレは別に」

「って、思ってるけど。あんたは怒りそうだし」
「一緒に来てもらうのも良いな」

今はまだもしも話にしか過ぎないそれを、
夢物語みたいに目を伏せて唱えた。
(-421) susuya 2023/09/22(Fri) 20:32:39

【秘】 渡りに船 ロメオ → 路地の花 フィオレ

濡れた肩口を気にすることも無い。
ただ貴女の哀しみが少しでも収まるまで、
横で寄り添っていようと思っていたのだ。

居たけれど。

「───へえ?」
「なんだ。あんたのそういう声、初めて聴いたよ」

興味深げに目の色を変え、重たい瞼を少し持ち上げる。

(-425) susuya 2023/09/22(Fri) 21:00:03

【秘】 渡りに船 ロメオ → 路地の花 フィオレ

「そうだよなあ。許せないよな」
「許せないのは当たり前だよ……。
 あんたとあんたの大事なもんは踏みにじられたんだ」
「あんたは信じてたのに。そうだよなあ……」

途端に、寄り添い方を変える。声音を変えて囁くように。


「縄張りを荒らされたようなもんだ。
 善意を装って付け込まれたんだ。
 あんたの大事な場所は、アイツの目には金鉱山か、
 家畜小屋にでも映ってたんだろうぜ……」

貴方の肩に腕を回した。悲し気なトーンを持たせた。
いやに落ち着いた声だ。


「オレもスラムには僅かばかりの恩がある。
 あんたにはやる事がある。そうだろ?」
「なあ。どうしようか」

「──オレはあんたの力になりたいんだ」


この男は明らかに貴女を焚き付けるような真似をしている。
貴女の言葉の端に感じた火種の──熱のその先を見たい。
その興味と善意を薪にして、貴女の選択を見たがっている。
余計な真似と思われても仕方が無い。こちらが怒りを買っても仕方が無い。

男は貴女の答えを待っている。
(-426) susuya 2023/09/22(Fri) 21:04:50

【秘】 渡りに船 ロメオ → コピーキャット ペネロペ

「──はい、はいはい、オレですよ〜」

向こうから近付いてくる声。ロメオだ。
貴方の声を遠くに聞きつけ、ぱたぱたとやってきた。
仕事用の伸縮性のいい黒手袋を外しながら、
髪は一つに結わえたまま。

「どうしまし……酒持ってる」
「やっぱり飲むんじゃないすか……」

貴方の姿を見つけるなり、目に留まるのは酒。

「……どうしました?」
(-432) susuya 2023/09/22(Fri) 21:19:54

【秘】 渡りに船 ロメオ → 口に金貨を ルチアーノ

店の中は仄暗く、喫茶店でもないのに珈琲の香りがした。
人の形跡はある。しかし姿はやはりない。

「…………」

く、と店の奥を見やった。となれば向こう側に居るのか、と。
レジ袋をガサリと揺らし歩を進める。
──ブラインドが掛かった窓の近く、ソファの上。

「あ。お〜い……」
「わかりますかあ。ロメオっす」

ふ、と貴方に影を作るように覗き込む。
癖のある髪が垂れて、薄明るい陽光を透かした。

「ヘルプに来ました」
(-441) susuya 2023/09/22(Fri) 21:39:31

【秘】 渡りに船 ロメオ → 暗雲の陰に ニーノ

「なんなら教えようか。オレの作れるもんくらいは」
「そしたらお前もオレに作ってくれるかもしれねえし……」

というのもまた冗談だが、教えるのも楽しいんじゃないかと思ったのは本当だ。しかしあわよくばいつか、貴方の作ったご飯も食べてみたくは……ある。

伊達眼鏡の理由を聞かれると、少しだけ視線を巡らせて。

「ナイショ。」

なあなあにしてごまかすことにした。
ただのパン屋が変装する義理が無いのは本当だし。
おしゃれと言い張るにはこの眼鏡じゃ無理がある。

「ふ。よかった〜」

楽しみができたわ〜、と気の抜けた声。
預けられた頭の重さに心地良さを感じて、
随分居心地のいい空間だな、と思った。

直にカウンターに置かれるグラスホッパー。
ミルキーなグリーンが揺れて、どこか愛らしい。

「…………」
「乾杯でもする?」

本当は飲み初めにするものだろうが、
なんとなく自分たちの区切りにはいいと思った。
グラスを持ち上げて、貴方に持ちかける。
(-445) susuya 2023/09/22(Fri) 21:54:40

【秘】 渡りに船 ロメオ → コピーキャット ペネロペ

時間はあると頷けば、
酒の席に自分も加わる事になるのだろう。
続く言葉には……頭を掻いて難しい顔をした。
歯痒い事だが、その通りだと思ったから。

「っぱルチアーノさん、持ってかれるんすかね。
 あの人は自分でもわかってるみたいですけど」
「あんたまで持ってかれたら声の通る纏め役が居なくなる。
 それは困る……」

「そういう事なら喜んでご一緒しますよ。
 あんたのせっかくの厚意ですもんね」

実を言えば、パッとした休憩が欲しくなっていた頃だった。
貴方のお陰で腰を落ち着けて休憩する言い訳ができたので、
ひっそりと喜んでいる。

「あんたの愚痴も聞きますよ。
 場合に寄っちゃあ、聞かなかったふりもできるんで」
(-448) susuya 2023/09/22(Fri) 22:02:27

【秘】 渡りに船 ロメオ → コピーキャット ペネロペ

「え、」

そうなんすか?と素直に驚いた声を出して、
貴方が座った後に自分も腰掛け缶ビールを1つ手に取る。
ごちそうさまです、と一言添えて。

「妙な……夢すか。それはまた」
「予知っつうか、正夢っつうか、そんなやつですか。
 ヤなもん見ますね……」

カシュ、とプルタブを押す音。

「あんた、働きすぎですもん。オレは別にいいすけど。
 使えるだけ使ってもらって全然構わないし」
「でもあんたがくるくる動いてくれてるから、
 オレらもそれに背を押されてるトコありますよ。だいぶね」

仕事に対する罵詈雑言に苦笑しつつ、
自分もピザを1切れ貰う。それから、フライドポテトも。

「惜しいな……カンターミネさんもそうだ。ヴィットーレの姐さんも、黒眼鏡の旦那も、ガイオさんだってそうだ。いつか終わる悪夢であって欲しくてね」

「オレの愚痴はそうなってんのに何も出来ない事くらいすかね。
 誰か殺して済む話ならすぐにそうするんすけど」
「そうじゃないからなー……」

あーあ、と重たい息を吐きつつ缶をベコベコして遊んでいる。
(-461) susuya 2023/09/22(Fri) 22:59:37

【秘】 渡りに船 ロメオ → 暗雲の陰に ニーノ

「作ってくれんの?なんだ、嬉しいな……教育しがいがある」

何を教えてやろうかな、なんて企みも出てきた。
無論変なものを教えたり嘘を教えるつもりはないが、
自分の好物を貴方に作ってもらうのも、また乙だと思ったのだ。

「そーでーす。オレは弟にもナイショごとがありまーす」

さして痛くもない圧力にささやかな訴えを感じつつ、
言えないことは言えないのでしょうがないのだと開き直る。
これ以上の誤魔化し方もわからないし。

下からの目線に目線を合わせ、
目を細めればタイミングはほぼ同時か。
そうだよ、と言外に語って自分も笑う。

「おう。乾杯」

カチン、と透き通った音。
バーに相応しい乾杯のシルエットがカウンターの上に映る。
横目に映ったその影が、ペパーミントの揺らぎが、貴方の微笑みが、約束の形としてずっと記憶に残ればいいと思った。

口を付ければ、生クリーム由来のなめらかな舌触り。
カカオの香りとミントの香りは甘さを伴って、なるほどまさにチョコミントのようであり。

「ん。美味いなあ」

よかったな、と噛みしめるように思った。
(-464) susuya 2023/09/22(Fri) 23:13:29

【秘】 渡りに船 ロメオ → 門を潜り ダヴィード

「アハ。南国に逃亡? いいね、夢がある」
「ノッテで新しい商売始めるか。タピオカドリンクショップ」

それも楽しいな、と思った。
一部が変わるから嫌なのであって、皆で変われば怖くない。
それが良い変化ならいいな、と思った。
全員ムショに入るよか、よっぽどそれがいい。よっぽどだ。

「……今は随分悪夢みたいだ。そんな楽しい夢になりゃいい」
「離れ離れは嫌だ。虚しい。信じられるものが側にいて欲しい」

「…………昔」
「ノッテとドンパチして吸収されたファミリーがあんだと。
 その抗争も、別の縄張りの奴の差し金だったって」

「バラバラになったファミリーって、どうなんのかな」
「オレら、それよりマシなのかね……」

──今日は弱音がよく漏れる日だった。
普段言わないような事をとつとつと話して、
それから急に、ふと思い浮かべるように、人に聞いた昔話を。

「怖いんだよなぁ。オレァ今が幸せだから」
「幸せなのが怖いんだよ。不幸に責められてる気になるから」

「お前は捕まらないでね……」

ぼそぼそと、そんな風に言うのだ。
(-466) susuya 2023/09/22(Fri) 23:25:38

【秘】 渡りに船 ロメオ → 口に金貨を ルチアーノ

ぱち、と。瞬きが一つ。
呼ばれたような気がして、そうではないことに気が付く。
そのまま、されるがままに近づく顔に、

──余程だな、と思った。

様子がおかしい。
その一言で片付ければ簡単な話になってしまう。
簡単じゃない筈だ。単純じゃない筈だ。
ここまで弱った姿を見たことはなかった。話にも聞いて、いつもの疲れ方ではないと感じていた。

「そうでしょう」
「そうでしょうね。お疲れ様です」
「あんたはよくやってます」

自分と似て異なる色を受け止めて、はっきりと言葉を落とす。
拒絶しない。抵抗しない。その腕は未だ首に回されたまま。

「固形物、食べられそうですか。
 冷たいゼリーとカロリー飲料があります」
「何かしてほしいことはありますか」

1つ、2つ。
そしていつもの。

「なんでもしますよ」
「上手く使ってください」

自分はヘルプに来たのだ。
救けるために来たのだと。
(-469) susuya 2023/09/22(Fri) 23:39:40

【秘】 渡りに船 ロメオ → コピーキャット ペネロペ

「はーん。なるほど……」

予知夢なら見てから防ぎようがある。正夢ならない。
確かにそうだ。防げるものならいくらでも防ぐだろうし。
その後の愉快そうな語り口には、興味のありそうな声を出した。

「イレネオ……ああ。初期にとっ捕まってたサツですか。
 身内切りねえ……泣いて馬謖を斬ったって雰囲気でも無さそうですしね。そいつに何か因縁でもあるんすか?」

込み入った話なら聞きませんけどと付け足して、
アヒージョのマッシュルームにピックを刺して口に放る。

「あ、うま……分かってんですけどねえ、持久戦だって。
 ボスがうまくやってくれるんでしょうけど」

「そう、オレも最初それ思ったんすけどね。逆に調子乗らせるかなーって……。
 ボスがお手上げで戻ってきたらムショに火でも放っちまおうかって思ってるとこです。中荒らしてから関係ない奴まで叩き出して」

同じように話題から発言まで火力が強まっている。
摂取したアルコールに思想が引火しているのかもしれない。

「普通に腹立ってんすよね。弟とっ捕まってんで」
「血縁じゃないすけど……」
(-477) susuya 2023/09/23(Sat) 0:09:39

【秘】 渡りに船 ロメオ → 門を潜り ダヴィード

「アハハハハ。ボスにも金払わなきゃな」

浮かれた妄想に過ぎないのだ。
きっとこれはそうで、それでも貴方がいざとなったらそれでも叶えようとするのならば、ロメオもきっと一緒になってそうするのだろう。夢は夢。夢は叶えたいから夢なのだし。

笑い声を上げた後、貴方の言葉をじっと聞いていた。
貴方の希望に溢れた言葉を聞いていた。
眩しかった。どうしてそんな事を言えるのだろう。
どうして保証もないのに言い切れるのだろう。

「………どうだろう」
「どうだろうな。でも……そうか」「うん」
「やっぱお前、いい男だよ」

『人並み』に背を睨まれている。
『幸せ』に後ろ指を指されている。
それは、それらがそこにあるから。近くにあるからだ。
もう失うのが怖いと泣いている心の内のこどもを、
そこにあるものたちがせせら笑っている。
期待をするなと蔑んでいる。

けれど。


「そう思ってくれるんなら、そうなるかもなあ」

ロメオは祈らない。自分の祈りに意味は無いから。
けれど、貴方の祈りには意味があればいいと思った。

「お前の幸せも続けばいい。ずっと」「手伝うよ」
(-495) susuya 2023/09/23(Sat) 1:07:18

【秘】 渡りに船 ロメオ → コピーキャット ペネロペ

「ふーん……『やりすぎ』って奴すか。嫌っすねえ。
 そら尋問じゃなくて拷問……」
「……いや。牢屋の中で私的にそんなことしてないだろうな」

ふっと湧いた嫌な可能性に思わず眉を顰める。
行き過ぎた奴は行くところまで行くんだよな、なんて考えて、
まあ、まさかなと首を振った。

「あー。あーははは。いいですね。
 もしやるなら絶対お供します。一番楽しそうだし。
 そのまんまどっかに逃げましょ」
「ほとぼりが冷めたら帰ってそこに建った慰霊碑でも見ながらピクニックしますか。ホットドッグ持って……」

少し戯言が過ぎてきたかもしれない。
本人はそんな事は思っておらず、今度はラスクに手を付ける。

「そんな感じです。ホントにやな事してくれましたよぉ……
 つか善処してくれるんすね。寛大だな」

「やってやりましょうよ。どこでもお供しますよ」

ランデブーには大いに乗り気で、
気に入らない奴らを好きに出来れば何でもいいらしかった。
溜まった鬱憤の捌け口がこの方向なのかもしれない。

「ま、これ以上逮捕者が出ないのが一番なんでしょうけど。
 そんな事はきっと無いので、どうにかします」
「オレも部屋片付けとこうかな……」
(-501) susuya 2023/09/23(Sat) 1:30:30

【秘】 渡りに船 ロメオ → 路地の花 フィオレ

──いいね!
最高の女だ。
 あんた本当に美人だよ……」

肩に回した腕に力を込めて寄せる。
ロメオは途端に笑顔になって、その決断を肯定した。
冷たい憎悪が差し込む貴女のその表情。
そこにはいつもの可憐な雰囲気とは違う、ぞっとするような美貌があった。それが本当に綺麗だと思った。

「その言葉を聞きたかったんだ。
 心配するなよ、メインディッシュは勿論あんたに譲る。
 それ以外の事は全部オレがサポートしよう。
 車、武器、情報、シチュエーション……
 できる事は全部やろう」

「上手くやろう。上手くだ。
 あんたはできるよ。なんせノッテの人間だ」
「もう正義も悪も関係無い。道理と因果がここにある」

甘言。教唆。それ以外の何物でもない。
しかしそれが相互利益に繋がるだろうと。

「一花咲かせようぜ。フィオレ」
「とびきりのやつをな」

果たして燃え上がった復讐がどんな花を咲かせるのか。
冷たく尖った殺意は、仇の命を狩り取るのか。
それを知りたいがために、貴女の背を押した。
(-506) susuya 2023/09/23(Sat) 1:57:49

【秘】 渡りに船 ロメオ → 口に金貨を ルチアーノ


「…………」
「いいのに」


「難易度高〜。二つ目と三つ目は出来ますけど」

ふ、と笑ってそれを許した。
そっと貴方の腕を解いてソファの正面へ。
「動かしますよ」と許可を取ってから、
貴方の身体を起こそうとするだろう。
自分で動けるのなら、それはそれでいい。

そのまま自分がソファに座って、

「ほら」

貴方が許すのなら、そのまま自分の膝に貴方を倒そうと。
──勘付いてもいい。膝枕をする気だ。
その上で頭を撫でようとしている。
貴方がそれを許さないのであれば、NOを示せば止まる。
何も無ければそのままだ。
(-509) susuya 2023/09/23(Sat) 2:07:28

【秘】 渡りに船 ロメオ → 口に金貨を ルチアーノ

「旦那ならできるかもしれないすね。
 オレじゃ腕の力が足りない」
「やってくれるかどうかは別か。ハハ」

自分の膝に貴方の頭がされるがままに落ちた。人の重み。
そのまま視線を下ろせば顔を合わせる形になる。
長い髪がカーテンみたいに揺れている。
しばし見つめて、そっと頭を撫でた。

ゆっくり、ゆっくり貴方の頭の上を滑る大きな手。
大事なものを扱うかのような、穏やかな手だった。

「心配だから来ました」
「部下の方から最近の様子を聞いて。……ああ、白猫は家に。
 餌食べたらスヤスヤ寝ちまってね」

「甘やかしに来ました」
「来てよかったですよ。そのまま放っとけない……」

疲れましたね、とまた言葉を落とした。
(-547) susuya 2023/09/23(Sat) 8:48:18

【秘】 渡りに船 ロメオ → コピーキャット ペネロペ

「……オレも面会したい人ばっかだったんすけどね。
 そいつがヤなやつって事は覚えましたよ」

下っ端の自分でさえ行く暇を見つけられなかったのだ。
貴方であれば猶更面会に行く時間は無かったのだろう。
願わくば牢の中の再会にならない事を祈るばかりだが。

「不謹慎極まってて面白いな……ぜってー炎上する」
「ま、馬鹿が死ぬのはめでたい事ですからね。
 多分国民の祝日に制定されるからセーフか」

もしかしたら自分達以外にも
こんな事を話している人間がいるのかしら。
このまま検挙が続けば、案外笑い事には
ならなくなるのかもしれないな、なんて思った。

「大抵の事はやらせてもらいますよ。
 大抵の事やってきたんすから、穴埋めにはなれます。
 身は一つですけど。マルチタスクならできますからね。
 指示出しは流石に立場的には無理すけど」

「オレがいなくなったらそれはそれで。
 上に響かなけりゃ一番いいです」

任せてくださいよ、と缶を置いた。
そのまままたフライドポテトを数本纏めて口に入れる。

「ちゃんと現状維持に努めます。
 最後までここに残れるようにはするんで……
 持ち堪えられたら帰って来た後褒めてください」
(-559) susuya 2023/09/23(Sat) 9:25:35

【秘】 渡りに船 ロメオ → 路地の花 フィオレ

グイと引き寄せられた先、
頬に感じた感触に目を細めて「ハハ!」と笑った。
かわいい犬にじゃれつかれたみたいな気分になったからだ。

「いいよ。あんたが知りたい事、なんでも」
「オレが教えられるのにも限度があるけど……
 あんた、どこでどうやって殺したい?」

希望があればそれを聞こう。
それに沿った事を教えるのがいい。
直属でなくともファミリーなのだから、
そのくらいの事は喜んで教えよう。

「いいね。そういう人間は好きだ。
 正義だ悪だ言ってる奴は皆病気だからな」

機嫌が良さそうにそう言って、
残ったボンボローニを口に運ぶ。

どんな色の花が咲くのかが楽しみだ。
花は咲き続けるのか、それとも──咲かずに終わるのか。

「ま、まずは奴さんがムショから出てくれねえとな。
 牢屋の中の人間をやるにゃ骨が折れる」
(-574) susuya 2023/09/23(Sat) 10:27:07

【秘】 渡りに船 ロメオ → 暗雲の陰に ニーノ

「なーにをナイショにすんだよ」

そんなもんあんのか、と肘で小突いた。
あったとしても責める気は無いし、聞き出す気も無いけど。
人に触れられたくない部分があるのは、
当たり前だと思っているから。

爽やかで、まったりとして、甘やかで。
たまにはこういう時間も悪くないと思った。

『幸せ』に後ろ指を指されている。
お前にそんな資格はないと。早く孤独を思い出せと。

今はその声を、無視することにした。


(-577) susuya 2023/09/23(Sat) 10:36:08

【秘】 渡りに船 ロメオ → 暗雲の陰に ニーノ

「よくないで〜〜す……」

どうしようかな、と思っていた。
自分は酒は飲むが、一定のラインを超えると逆に酔わない方だった。酔い方に波が無い。少しふわふわする程度に留まる。

「お前、そんな酔い方するんだ……」
「ここで寝ないよ。帰るか、フレッド」

てろてろな貴方をよっこいせと剥がせば、
きっと酒のせいでより体温が高くなっているのだろう。
子供か、なんて胸中独り言ち。

「立てる? なんならおぶるか?」
「家行けっかな……オレんちでいいか……」

お泊り会は案外早く来るかもしれない。
(-578) susuya 2023/09/23(Sat) 10:36:36

【秘】 渡りに船 ロメオ → 門を潜り ダヴィード

「名がデカくなるな……」

今はもしも話でいい。
逃げずに現状維持ができるのが一番なのだ。
今が一番いい。ロメオはそう思っているのだから。
けどまあ、慰安旅行くらいなら現実的かもな。

「良いよ出さなくて。ハハ……」

案外、ロメオは祈りに護られているのかもしれなかった。
穏やかな願いがヴェールになっているのかもしれなかった。
祈りのそれだけで、十分幸せに値する。
贅沢だ。

「……そんなつもり無いよ。必要がなけりゃね」
「オレは替わりが利くけれど、
 それはオレが消えていい理由とイコールにはならない。
 しっかりしがみついて、皆の言うこと聞いてるよ」

使い捨ての駒にされても構わないけれど、
そうされなければいいな、と思っている。
貴方も、自分も。

「捕まっても帰って来るよ」「オレはしぶといからね」
(-582) susuya 2023/09/23(Sat) 10:54:08

【秘】 渡りに船 ロメオ → 口に金貨を ルチアーノ

「、ん?」

腕を止められた。抗議の意か。やはり気に食わなかったろうか。
貴方の心中を察する術はない。
それでも表情は変えずに、あなたを見下ろしている。

「あんたを放っておけないのは……なんででしょうね。
 あんたにどっか行ってほしくないからかな……」
「食うもん食って元気になるならそれがいいです。
 体調もきっと悪いでしょう。回復してくれないと」

貴方に抱いている仲間としての深い情。

「オレの目的はオレに無いですから。
 あんたの望みがオレの目的。
 オレはあんたのいいようにしたい」

それから、道具としての本能。

「ここにはオレとあんたしかいませんよ」
「別に、見栄張らないでいいんです」

ゆっくりと、緩慢に首を傾げた。 

「ね」

だから求められれば求められるだけ与える。
こちらに際限は元より無い。度外視されている。
掴まれた腕も従順に、そのまま動きを止めたまま。
(-591) susuya 2023/09/23(Sat) 11:30:58

【秘】 渡りに船 ロメオ → 暗雲の陰に ニーノ

「おっと」「いや……立ててないですケド……」

よろめいた所を咄嗟に支えて、
やれやれとため息まじりに笑った。
マスターに退店を伝えて会計を済ませる。
その最中も貴方を支えていた。

「……ほら。おんぶ」

まるで子供にするみたいに、
貴方を立たせてから貴方に背を向けて少し屈む。
腕を伸ばしてくれるなら、そのままおぶり上げるだろう。

「帰ろ。帰りは寝てていいから」

呼ぶならタクシーも呼べるのにそうしないのは、
自分もやってみたかったからだ。
今なら人通りも少ないし、見られることもないだろう。
(-595) susuya 2023/09/23(Sat) 11:39:30

【秘】 渡りに船 ロメオ → 門を潜り ダヴィード

「解ってる、解ってるよ。
 こんなオレでも、オンリーワンではあるらしい」

不思議な話だよな、なんて皮肉ったらしく笑った。
自分に何かあれば、確かにあいつは泣くかもしれない。
貴方も泣くかもしれない事は、
ロメオはまだピンと来ていないけど。

「おう。約束」
「……悪いな。愚痴っぽくなって。お前も愚痴とかないの?」

目を細めて、穏やかに笑んで。
それからお詫びに聞きますよ、と貴方に問いかける。
(-618) susuya 2023/09/23(Sat) 13:47:32

【秘】 渡りに船 ロメオ → 門を潜り ダヴィード

「───ふうん。なるほど」

少しずつ語られる、貴方の相談事。
役に立ちたいという気持ちも、命を捧げようという気持ちも、
ロメオには心当たりがあり、共感できるものだった。

「……観察かなあ」

首を傾げながら、思考しつつ口を開く。

「別にオレは目標とかも無くて、生きんのに必死で
 気が付いたらこんなスタイルの生き方になってたけど。
 まずオレみたいな生き方をしたら殴られると思え」

「人の為に生きるなら、人が何を欲してるか知らなきゃ。
 何が嫌で、何をしたら喜ばれ、何をしたら役に立つか。
 人を観察して、そういうのを吸収する。
 人間が正しく自発的な行動がとれるようになるのは、
 経験と知識があってこそなんだよ。挑戦するのもいいが。
 未熟者の挑戦は無謀と同義になる事もある。
 この世界でそうなると、死ぬ事もあっから……」

目標があればいい、理想があればいい。
その真似をしてみるのもいい。勿論背丈に合った方法で。
そういう事を、ロメオは言った。

「何かある?そういうの」
「どうありたい……とかでもいいけど」
(-636) susuya 2023/09/23(Sat) 15:25:54

【秘】 渡りに船 ロメオ → 暗雲の陰に ニーノ

「はいはい、おんぶですよ」

あんまりにもこどもみたいだから思わず笑ってしまった。
背中に感じる重みと体温は想像よりも軽くて、それでも別の重みを感じたのだ。背負って歩けないほどではない。
けれど大切な重みだった。

「はーい。オレんちに帰るからね」

マスターに礼を言って、店の外に出ればいい風が吹いた。
火照った体にしんと染みるような涼しい空気は、
確かに秋を連れてきているのだ。

家は近い。おぶって歩くにはやや遠いか。
それでもたまにはこんな帰り道もいいだろう。
背中に聞こえる模索に、少しの気恥ずかしさを感じて。


「……〜〜〜〜〜〜♪ 〜〜♪」
「……───♪」



ふと、教会にいた頃にずっと聞いて歌っていた、
聖歌の一節をハミングする。
どうか子守歌の代わりにでもなればいいと思った。
どうかおやすみ、かわいい子。

月明り、夜道に二人の影がある。
兄弟の影だ。
ひとりといっぴきの影ではないのだと、
貴方と出会って初めて、ここで思えたのだ。
(-687) susuya 2023/09/23(Sat) 20:38:29