○月●日
まだ、確証はないのだが。
僕にはもうあまり時間がないのかもしれない。
できるかぎり、そうならないよう尽力するが
最悪が起きてしまってからでは遅い。
だから書けるうちになるべく、
ここに、書き残しておきたいと思う。
これは先ほど、ここに来る前の仮眠で見た夢だ。
気づけば僕は、暗い暗い、吸い込まれそうな闇を
見下ろすようにして立っていた。
僕は横や後ろを見ようとしなかったから
視界を埋め尽くす闇以外の場所は、
どうなっているのか、わからなかった。
後ろから声が聞こえた。
僕に対する感情など何もないような、
基地内のペンギンたちをただの端末と見てる人が
彼らに対して命じるような、冷たい声だった。
『事前に立てた予測と何も変わりは無かった。
お前の調査結果の通り、外には望みは無い。
あのような環境で生き延びられるのは
精々、お前らのような存在だけだろう。
―――計画を実行に移す。行け。』
僕は、後ろを振り返ることなく頷く。
僕の横からその闇の中へと向かって、
何か巨大なものが落ちてゆく気配がした。