【人】 環 由人[ この場所に恐怖がないかって言われたら 「あるよ」とあっさり答えただろう。 なにもかもを見透かされるような心地。 己という存在は異質で、世界から ひとりぼっちになってしまうような 気がするけれど、この場所は それをW罪Wゆえだと突きつけるような そんな心地さえしたのだから。 無宗教だとおもう、自分は。 だからこそ世界のどこにもきっと属さない。 だけど、神に祈ることはあるんだから 無神論者とは言い切れないのかもしれない。 それに信仰をもっているわけじゃない。 その神がここにあるステンドグラスが もといた場所で崇拝されていたものか、 はたまた寺や神社で奉られているものか、 そんなことは知ったことではない。] (0) 2020/09/15(Tue) 12:32:03 |
【人】 環 由人[ ひとりなら、この場所に立てていたか、 そう尋ねられたならば、 はっきり答えることはできないだろう。 ただ、手を取ったのが答え。 それを握ったのが、答え。 彼と共にここにいるから、 自分は「きれいだ」と思えたし、 まっすぐに見上げることができた。 粛々とした雰囲気の闇に落ちた、 小さな謝罪が聞こえなかったわけじゃない。 だけど、それになにかいうことはしなかった。] (1) 2020/09/15(Tue) 12:32:26 |
【人】 環 由人[ それを言葉にはできないけれど、 ただ心に上るから。 名前のない関係に、名付けるのが 恐ろしいとおもう臆病者だけど。 それでも、あんたと一緒に これから先も、進みたいとおもうから。 伝えた。 返事と一緒に見えた、 泣きそうな笑顔は、 ステンドグラスの光に照らされて とても、きれいだった。] (2) 2020/09/15(Tue) 12:33:26 |
【人】 環 由人* [ ホテルにつけば、辺りを見回しながら 中へと入っていく。 利便性の良い場所にあるホテルで、 とてもきれいな場所だった。 チェックインを済ませたら、荷物を カートに乗せて運んでくれようとするから 「大丈夫です」と断りを入れてふたり、 それぞれに荷物をもってエレベーターに乗った。 Gがかかって箱は上がっていく。 なんとなく、ずっとなにも話さなかった。 本当ならきっと、きれいなホテルだな、とか ガイドブックそのままでびっくりした、とか なにか感想こそ出そうなものなのだけれど、 微妙な距離感をあけたまま、部屋へと向かった。] (3) 2020/09/15(Tue) 12:33:51 |
【人】 環 由人[ 彼がボストンバッグを放ると、 どさ、と音がしてベッドが揺れた。 己はそのまま、彼が置いてない方の ベッドの方へと向かい、サイドに荷物を置く。 背中越しに切り出された言葉に、 折っていた腰をまっすぐにして、 ゆっくりと振り返る。] ……ああ [ 小さく頷いて、向かい合っている 1人掛けのソファの片方に腰掛けた。] (4) 2020/09/15(Tue) 12:34:13 |
【人】 環 由人[ 茶でも入れようか、と言おうとしたが、 必要ない気がして、やめた。 彼が腰掛けてくれるのなら、 その様子を黙って見つめて。 暗い部屋にふたり、向かい合えば、 一瞬迷うように瞳を伏せて揺らし、 息を吸って、吐いて。 それからまた上げて、見つめ。] ───あのさ [ と切り出そう。]* (5) 2020/09/15(Tue) 12:34:38 |
【人】 かみさま 尊龍[伸ばした手に絡まる指。 真名を呼ばれれば愛し気にその指先に唇を落とそう。 もうこの指先は私のものだ。 私が触れた場所からお前は人から神となる] (6) 2020/09/15(Tue) 14:46:30 |
【人】 かみさま 尊龍えりさ。 さあ、おいで。 [柔く微笑み、誘って。 宙に身を投げ出すエリサを胸に抱いて受け止める。 柔く指先を絡めながら、片側の腕で抱き締めて。 ふわりと吹く風が二人を包んで世界を閉ざし――] (7) 2020/09/15(Tue) 14:47:13 |
【人】 かみさま 尊龍[ふわりと風が吹き止む頃。 見晴らしの良い丘に人の姿は見当たらず。 ただ穏やかな日差しが差し込む野菊の名所となった。 ――二人の行方は、まさに神のみぞ知る。**] (8) 2020/09/15(Tue) 14:48:00 |
【人】 ミズナギ[ ちゃんと後ろに付いてはぐれていないか確認しつつ 雪と氷の広がる景色の中、自分達は歩いていた。 一見すると故郷と似たこの未開の地。 しかし、寒さは故郷ほどの過酷さはなし 地面に現れる危険な氷の裂け目もここにはなく 人間が雪山と呼ぶものが周りに幾つか見えていたり 地面に水の流れている大きな道があったりした。 初めて見る光景もそれなりにはあるが 自然環境面での問題は大してあるように感じない。 人間の感覚でもそうなのかは知らないが。 ] ………、ん? [ 雪山の根元(というのか?) そこに入口のような小さめの空洞が見えた。 ここからではまだ少々距離がある。 中までは見えないが、何かあるのだろうか。 ] ヒナ、あの場所まで行くぞ [ 振り向いて、後ろを歩くお子様に目的地を伝える。 はぐれるなよ、という意図も込めての言葉。 ] (9) 2020/09/15(Tue) 14:48:21 |
【人】 ミズナギ( いつもこうならいいんだが…… ) [ 気になるものがあるとすぐに見に行きたがるのだが 今回はまだ大丈夫そうだ、たぶん。 大丈夫でいてくれないと困る。 ……とにかく、今はあの空洞へ向かおう。 ]* (11) 2020/09/15(Tue) 14:49:35 |