[夢を渡るときの姿は、その時によって違う。
蝶だったり、鳥だったり、4足の獣だったり…。
その日は、ひらひら舞いたいと言う気分だったから、蝶の姿で、夢を渡っていた。
そこで、一つの夢にたどり着いた。
真っ赤な、真っ赤な夢の中。
そこにいるのは、昼間話していた獣人…話したことにより、繋がりが出来ていたのかもしれない。
だから、その日の夜に夢を訪れたのだろう。
が、そこにいた獣人は昼間の穏やかな装いとは違い、とても凶暴で、人を――私を襲っていた。
夢の中の私と、訪れた私。
それがリンクしてしまったのだろう…気づいたら私は獣人に襲われているところだった。
身体に走る痛みと恐怖。急いで逃げて、隠れて…。
すぐにこの夢から出ないといけないのに、痛みと恐怖で、逃げ出し方を忘れてしまった。
痛い。どうしよう。痛い。どうしよう…。
そう繰り返していたら、ふと、痛みがなくなる。
なぜと思うと、いつの間にか獣人がまた目の前に。
なぜと、思う間に、また私は襲われる。
痛みが走り、怖くて逃げだす。
そんな同じ事が、何度も何度も…終わらない。終わりが見えない。
獣人が目が覚めれば抜け出せるかもしれない。
なのに、何度も繰り返すから、瞬きの時間が、永遠のような時間に思えるほど。
痛くて、怖くて――ここで自分はと思うほどに…。]