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【人】 Y『恋人』 クリスタベル── 回想:匿名希望 ── [ 人生相談の結果、何故か便箋を前に悶絶している。 相談相手のフォルスには 一度お茶をと水を向けられたけれども。>>2:288 やっぱり名前で呼ばれたらと思うと不快だし、 あの眼差しを向けられるのも非常に不愉快で、 なんというか不毛なのでは?と思わなくもない。 それと同時に、 これまで避けて来て急に対面というのは、 無謀この上ないことをよく理解出来てしまった。 ── なので次に思いついたのは手紙であった。 しかし返答が何であれば理解出来るだろう。 というか何を聞けば満足出来るんだろう。 手紙の発端が自分の都合なら、 その内容もまた酷く自分勝手になりそうだった。 ] (19) 2022/12/22(Thu) 3:53:57 |
【人】 Y『恋人』 クリスタベル[ ────……嫌いだった。 いないはずの少女を呼ぶその人が。 わたしたちを容易く否定するように片方を呼ぶその人が。 何も知りもしないで存在を認めるように呼ぶその人が。 嫌で嫌で仕方なかった。私の努力など無いもののように扱って。 それにその名を呼んで欲しいのは貴方じゃない。 …………でも、結局のところ。 『魔術師』が思うものが真実で、呼ぶ名も真実で。 『魔術師』が何ひとつ間違ってはいないのは、 本当に最初から理解はしているのだ。 ただ、認めたくないだけ。 だからこれはただの逆恨みで八つ当たり。 ] (20) 2022/12/22(Thu) 3:54:21 |
【人】 Y『恋人』 クリスタベル[ 封筒に入れて貰えない哀れな便箋が増える。 すぐに考え事を放棄したがる頭が痛み出す。 ……いや、そもそもこれは読まれるのだろうか? 私なら新手の嫌がらせだと断じて衝動的に捨てそうだ。 と、ふと。 以前なんとはなしに購入した 不思議なインクのことを思い出す。 引き出しの中、開けられることなく鎮座したそれは、 乾くと消えるものだという。 >>0:39 対の浮かび上がるインクもこちらで購入している。 それならば手紙の中身が暴かれることはない。 前のことなので認識違いの可能性もあるが、 それはそれで諦めもつくというもの、というのも。 宛先もない、余白だけを乗せた便箋を、 『魔術師』が好きだというメルロンを添えて、>>2:288 真夜中の部屋の前に置き去りにする。 知ろうとする第一歩。 それを誰も知らない。 その答えも誰も知らない。 ] (21) 2022/12/22(Thu) 3:54:48 |
【人】 Y『恋人』 クリスタベル[ 何もかもに絶望して、大事なものまで自分で手放して、 最低で死んでしまいたいって気持ちだった。>>1:317 そんな去り際に『魔術師』が その名を呼ぶ声が届いたなら、>>2:43 その時は確かに「そう」でしかなかったから、 かの声に振り返ることもあったかもしれない。 ……ああ、こんな、最低な気分でも。 どんなに伝わらない手紙を送り続けるよりも、 今が一番素直に話が出来そうだと思ったのは 最高に皮肉が効いていた。 *] (23) 2022/12/22(Thu) 3:55:41 |
【人】 Y『恋人』 クリスタベル── 現在:自室 ── [ 荷物整理中、少し減ったインクの瓶と出会う。 結局、一度もこれ以外で手紙を書くことはなかった。 さぞかし何もない手紙と菓子は奇妙に映っただろう。 それでも送り主を察されるに至らないとは思う。 ……自信はない。まあどちらでも構わない。 貴方もせいぜいわからないことに怯えるといい、 なんて、嫌がらせへの意趣返し。 >>0:493 今思うのは、やっぱり嫌いだなってこと。 『恋人』の感覚は一部を除いてどこか遠い。 それなのに『魔術師』に対する悪感情が消えやしない。 単純に究極的に、「ベルちゃん」呼びの嫌がらせが とてもとても効いていたのだろうな、と思う。 情けない話だけれど。まったく。 だからこれは、最後の嫌がらせ。 ] (24) 2022/12/22(Thu) 3:56:31 |
【人】 Y『恋人』 クリスタベル[ 普通のインクで最初に書いた質問を綴り直し、 今のどさくさに部屋に滑り込ませよう。 これが私だと解るなら、 最後に一度くらいはお話ししてあげてもいい。 シンが望むかどうかはしらないけれど。 ……もう名前を呼び間違えることもないのだし。 まったく皮肉なもので。 >>3:277>>3:278 * ] (25) 2022/12/22(Thu) 3:57:13 |
【人】 Y『恋人』 クリスタベル── 自室/夜を望みて ── …………なに、これ。 [ 荷物整理というより、 思い出を振り返るような作業の中。 一番下の引き出し、その奥の奥にそれを見つけた。 朱色の書類封筒。 翠を混ぜた封蝋にはコールリッジの家紋。 覚えがないままに一度握りしめたのか、 悲鳴の様に僅か皺寄るそれに息が止まる。 探った指先で膿んだ傷に触れたような、 じくりと疼く痛みに、細く息を吐いて堪えた。 ……多分、2年前に届いてたであろうそれは、 記憶と共に奥深くに仕舞い込んだままのもので。 一人で見るか、の逡巡は刹那。 未練なく開封して、その紙束に目を通す。 ] (104) 2022/12/23(Fri) 16:30:27 |
【人】 Y『恋人』 クリスタベル[ それは贈与契約書と未成年後見人の連絡先。 契約書に目を通すと、 予め捨てる算段でなかったのみ窺い知れて、 笑えばいいのかわからない。 手紙一つ同封されていないそれは、 ただ最後の責任を果たすのみの手続きだ。 いっそ恨み言の一つでも寄越してくれれば、 なんて思うのは未練というより悔恨に近かった。 結局自分で壊してしまったものに想いを馳せる。 でも何も出来ない。 溢れたミルクを元に戻すことは出来ないし望まない。 ] (105) 2022/12/23(Fri) 16:30:32 |
【人】 Y『恋人』 クリスタベルはあ………… [ しかしながら、だ。 それは収めるものを差し引いても、 人ひとりが一生を慎ましく生きるに困らない額。 この程度は苦もなく準備出来たのだろうとは、 過去のコールリッジ家の財政状況から容易に想像出来る。 ……なんだろう、これは。 絶対素直に感謝する気持ちでないのは明白だけど。 ] (106) 2022/12/23(Fri) 16:30:37 |
【人】 Y『恋人』 クリスタベル………責任も縁、か [ 自分が恵まれているのはわかっている。 それでは足りずに“こう”なってしまったのは、 全て私の咎であることも充分理解している。 ……正直、一緒に生きたいと言いながら、 ナハトの人生の足手纏いにしかならないのは わかりきっていた。 身一つで手に手を取り合い旅立つなんて、 上手くいくのは物語が終わった後が語られず、 めでたしめでたしとなるご都合主義の世界だけ。 17歳の誕生日プレゼントは、 夢の終わりを告げる鐘と、現実を生きる為の杖だ。 ……最後の最後で、たとえ意図したものでなくとも、 漸く贈り物を選んでくれたのだという皮肉には、 少し傷付いたように笑ったかもしれない。 ] (107) 2022/12/23(Fri) 16:30:44 |
【人】 Y『恋人』 クリスタベル[ 先の不安は、 連れ出すと認識しているであろうナハトの方が 余程感じているに違いなくて。 何もかも背負わせるなんてしたくない。 でないと何の為に一緒に生きるのか、 幸せにしてみせると誓ったのか。 ……だから、生きる為に自分に何が出来るのか。 跡なんて継げないことはわかっていたけれど、 それでも家業の勉強をしたこともある。 必要なもの、有用なもの、知りたいこと。 望んだ教育を、充分な環境で受けさせて貰えたこと。 身に付けたものが一つでも役に立つならいい。 南の長閑な田舎町で、自宅で私塾でも開いたら… なんて思い付きには、 南という選択が理に適っていることに一笑。 ] (108) 2022/12/23(Fri) 16:30:49 |
【人】 Y『恋人』 クリスタベル[ 変わっていく世界で自分たちがどうなるか、 考えてもわからないことだらけだけれど。 どう生きていくかは一緒に考えていきたい。 自分に出来ること、出来ないこと。 持っているもの、持っていないもの。 置いて行ってもいいもの、手放せないもの。 あなたに望むこと、して欲しくないこと。 わたしに望んでいること、そうでないこと。 ナハトは洋館には戻らないって勢いだったけど、 帰る場所がひとつくらい多くあったっていいと思う。 嫌いじゃないと思えるもの、人、居場所を、思い出を、 ……持っていて欲しいと伝えたい。 今までは彼がそれを選ぶならそれでいいかと思ってた。 ありのままを許し受け入れ肯定するのが愛だと信じてた。 けど、これからは、 私も私なりに彼の為にと想うことをしたい。 望みたい。 押し付けたりはしたくないけど、向き合っていたい。 一緒に生きるってそういうことだと思ったから。 ] (109) 2022/12/23(Fri) 16:31:44 |
【人】 Y『恋人』 クリスタベル[ 今夜、お茶に誘ってみよう。 忙しく動いてくれているだろう彼を、 お疲れ様っていつもみたいに撫でて労って、 あの日みたいに貝型の焼菓子と紅茶で語らいたい。 もうあの頃みたいに、 小夜鳴鳥の歌と共に帰ることはないし、 朝雲雀が鳴いたって離れなくてもいい。 夜の世界に夜を返したくない。 あなたが来てくれた日は、 いつだって引き留めたかったって言ったら笑うかな? あの頃も夢見がちなわたしたちだったけど、 それが馬鹿なことだってことはちゃんとわかってたよ 私たちは絵本の世界の住人ではないし、 めでたしで終わってもまだ先は続いていくから、 一緒に選んで生きていく明日は不確かなものだけど。 ── でも、繋いだ手だけは決して離さない。 あの日の私たちの運命を、 長い人生の果てに幸せで閉じられるように。 * ] (110) 2022/12/23(Fri) 16:32:08 |
【人】 Y『恋人』 クリスタベル[ 慣れない作業に早速頭痛を起こしかけたので小休止。 部屋を出て、食堂に歩を進めている。 珍しい人からの全体メッセージ>>64に、 今回のことで彼女も何かを変えようとしている…… のだと勝手に解釈した。 彼女の、大事な人。 アリアを挟んで邂逅を果たした>>2:383 その人は見るからに繊細で儚くて、脆さを思わせて、 自分のような存在を受け入れるのは負担を強いるのでは と気遣いのつもりで距離を置いていた。 ……随分と都合よい言い訳だ、と廊下からでも微か香る 甘い香りにつられて自嘲の笑みを零す。 結局どれもこれも自分のためだったというのに。 さて。件の彼女はまだ在席だろうか? 衣装はいつもの男装なので、余計な刺激は与えないだろう けれど、折角頑張っているところに水を差したくない。 居たとて邪魔をするのは本意ではなく、 お目当てを頂戴してからそっと辞去しよう。 「ありがとう、頑張ってるね」 くらいは声をかけてもいいだろうか。 ……やっぱり少しお話しても許されるかな? そんなことを思いながら、食堂の扉を開けた。 * ] (126) 2022/12/23(Fri) 21:05:57 |
【人】 Y『恋人』 クリスタベル[ 扉を開けると一層漂う甘やかな香り。 居るだろうか、と思ったその人に 実際出迎えられると>>139 少々動揺してしまう。 …気取られてはいなさそうか。 シトラは快く迎え入れ、席を勧め あまつさえ新しいものをと用意してくれる。 あるものでいいよ、 なんて気遣いもするりと出て来ず、 申し訳なさになんだかそわそわしてしまう。 なのでそっとその横顔をうかがえば、 花が綻ぶように微笑みを浮かべているのを見て、 (……ああ、彼女が大切に思うのが 少しわかった) なんだか彼女が笑うとこちらまで嬉しくなる。 まるで心にあたたかさを分けてくれるような。 ……それに気付いた私も、 きっと少し笑顔になっていたと思う。 ] (150) 2022/12/23(Fri) 22:55:45 |
【人】 Y『恋人』 クリスタベルごめん、気を遣わせちゃったね。 [ 曖昧な謝罪。 ホットチョコレートのことのようで、少し違う。 こちらから取った距離を、そのまま受け入れ 遠慮とか配慮とかさせていたんだろうな、と思うから。 どうとも取れる謝罪、どう取ってくれても構わないと 作業する姿に投げかけた。 続ける。 ] アリア、先生にはお世話になってます。 いつも駄目患者が迷惑かけてごめんなさい。 [ 自己紹介じみた台詞。 思えば私にとっては初めてだな、 なんて思いながら、少し迷って続けた。 ] …………ごめん。あの日、 アリアの時間を使わせてしまって。 [ シトラがどう認識しているか>>2:383 >>2:384 は知る由もないのだけれど。 それでも事実、彼女らにとって最も互いを必要とする 時間の一欠片でも奪ってしまったのが心苦しく。 ……謝ってばかりだな、とそれも彼女に申し訳ない * ] (151) 2022/12/23(Fri) 22:57:40 |
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