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【人】 XI『正義』 マドカ————あぁ、 [神様の言葉>>4:3を聞いて初めに零れ落ちたのは、 確かな 絶望 間違いを指摘されてもなお、 僕は『僕』を曲げることができない。 僕は『僕』の生きられる場所を求めて、 世界の終焉を望んだし、箱庭を願った。 けれど、出された結論は、そうじゃない。 ……わかっていた、きっと。 『人の子』ならば。 きっと、神様にはわからない。 神様にとって僕らは『証』もつ『愛する子』だから。 本当は、どちらだったのだろう。 僕たちは…… 『証持ち』だったのか。 それとも…… 『人間』 だったのか。] (217) 2022/12/24(Sat) 10:59:02 |
【人】 XI『正義』 マドカ[心臓が苦しくなる。 ぞわぞわと、皮膚が粟立つような悪寒がする。 僕たちは、僕たちは…… 『証』を持つだけの、『人間』だったのか。 どんなに拒絶しても、その『現実』は目の前にあった。 他の『証持ち』達によって、そして神様の口から、 その事実が証明されてしまった。 それはまごうことなく『絶望』だった。 『証』を持つだけの『人間』達が、 それ以外の『人間』達に迫害されることを、 赦す世界。 けれど迫害されてきた『人間』たちは、 それでも自らをはじき出した世界を赦す。 滅茶苦茶だ。気持ち悪い。寒気がする。 この感情の、表現のしようがわからない。] (218) 2022/12/24(Sat) 10:59:20 |
【人】 XI『正義』 マドカ[ それが、 『君たち』 の選択なんだねどうして、わからない こんな世界は、 君たち にとって不幸せではないの?どうして 君たち は、この世界と共に生きようとするのだろう わからない、 わかってしまう、 いやだ、わかりたくない、 わかってはいけないとおもうのに、 わかるのだ、だって、ほんとうは、 僕 だって………… ] (219) 2022/12/24(Sat) 10:59:40 |
【人】 XI『正義』 マドカ[幸いなことに、胃の中は空っぽだった。 幸いなことに、手元にはナイフも毒薬もなかった。 さようなら、と貴方が言う。 いやだ、捨てないで、置いていかないで。 僕の中で僕自身の魂が叫ぶ。 けれど僕は、そこから一歩も動けぬまま。 自分の身体なのに、自分の意思では指先一つ動かせない。 貴方の……否、ヴェルトの身体が崩れ落ちる。 僕は呆然と、その姿を見つめていた。*] (220) 2022/12/24(Sat) 11:01:22 |
【人】 XI『正義』 マドカ―― 4d以降のヴェルトへ ―― [僕は君の傍に、膝を抱えて座り込んだ。 君が一人で座っているか寝ているかしている時を、 ]狙って僕は近づいた…というより、 その時しか近づけなかったんだ。 ……ヴェルト。 君は、神様の『気持ち』を覚えてる? [僕の『気持ち』はといえば…… 多分、親とはぐれた幼い子供のそれに近かった。] (221) 2022/12/24(Sat) 11:02:01 |
【人】 XI『正義』 マドカ[ “ あの時 ” を境に、 確かに僕の中から消えていくものはある けれど、例えば木が枯れた時、土の中に遺る根のように 僕自身に深く根付いた魂は、 跡形もなく消えるなんてことはない 深く絡みついたからこそ、消えてはくれないものだった 僕はもしかしたら 今後『平等』を誰かに押し付けなくても 生きていけるのかもしれない 自身の肌を掻きむしらなくても、 息ができるのかもしれない けれど、だけど、だめなのだ 今だって、まだ、ずっと この世界への違和感は、消えてはくれない そして、 『証持ち』から魂に刻まれた『証』が消えたとして、 肌に刻まれた『証』が消えない以上、 きっと、 『人間』はやっぱり『証持ち』を否定するのだろうと そう思えば、余計に僕は、『人間』を否定せざるを得ず その刃はきっと、いずれ、 ただの『人間』だった自分へと向いてしまう] (222) 2022/12/24(Sat) 11:03:05 |
【人】 XI『正義』 マドカ[僕の預かり知らないことだけど、 過去の『正義』の証を持つ子供たちも、 皆そうだった 最期は決まって、 自分自身を裁くように、その生を閉じてきた] (223) 2022/12/24(Sat) 11:03:23 |
【人】 XI『正義』 マドカ僕は、思うんだ。 22人の『証』が揃っても、世界は滅びなかった。 そう言う人も、いるのかもしれない。 けれど、それよりずっと多くの人間が、 22人の『証』が揃ったことで、災厄に見舞われた、 ……って、思うんじゃないかな、って。 結局『人間』というものはどうしたって、 理不尽の理由を求めている。 ……理由が無いから、理不尽なんだけどね。 理由がないままだと怖いんだ。 いつ、また起こるかわからないのは、怖い。 (224) 2022/12/24(Sat) 11:04:04 |
【人】 XI『正義』 マドカ[僕は小さく笑う。 僕は何もかもを、諦めていた。 『人間』のことも、この世界のことも。 もう、何一つ期待する気はなかった。 だけど……君にはひとつ、期待しても良いかな。] 僕、箱庭に行くよ。 神様と、共に行く。 だから、機会があったら誰かに伝えてほしい。 もう、『正義』の証はこの世界に現れない。 もう二度と、22人の証はこの世界に揃わない。 [そもそも今後、『証』が生まれ変わるのか、 新たな誰かの肌に刻まれるのか、 多分刻まれないんだろうなってこと、 僕らにはわかっても、きっと『人間』には分からない。 もっと、分かりやすくてシンプルな安心が必要だ。 教会の人間さえ納得してくれれば、 後は彼らがどうにかしてくれるんじゃないかな。 『世界』の君が、この世界から、 『証』を刻まれて生まれた子たちを護ってよ。] (225) 2022/12/24(Sat) 11:04:38 |
【人】 XI『正義』 マドカ[贈った小さな張り子人形を手に喜んでくれた 『愚者』 あの日、抱きしめたら逢いたかったと泣いた 『運命の輪』 ノートと鉛筆だけじゃない、僕から言葉を受け取った 『太陽』 休みの日に焼いたパンケーキを頬張っていた 『吊るされた男』 いつかの夜同じ唄を口ずさんだ 『審判』 彼らだけじゃない、 僕が傷つけてしまった人たちも、みんな、ほんとうは 大切な、大切な仲間だった ごめんなさい、って、言うことはできないけれど、 そもそも謝って許されることではないけれど 僕は最後まで、僕が間違っていたと認められないけど、 君たちの幸せを、僕は願っています 君たちが不幸にならないことを、僕は願っています ] (226) 2022/12/24(Sat) 11:07:01 |
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