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【人】 倉科 宙[なんて、今更辞書を引くまでもなく知っている。 大学時代、どうしてもと頼みこまれて頭数合わせに数回、顔を出したこともあったな程度。 今や結婚も視野にいれて同棲している恋人がいる俺には、まったく、これっぽっちも、興味なんてない集まりだ。 だから。 日頃世話になってる職場の先輩に、「飲みに行くぞ」と。 同僚数人と共に連れてかれた店内、同人数の女性陣が集まっているテーブルに案内されたのは、完全に不可抗力だった。] (8) 2021/06/25(Fri) 22:34:08 |
【人】 倉科 宙[騙された、とすぐに気づいて抗議しようとした口は、先輩の手に塞がれ「これも付き合いだ」と、笑顔の圧を受け。 絶賛恋人募集中の同僚らからの頼みこむような視線に、場の空気を壊すのも憚られて。 しぶしぶ、俺もテーブルにつくことになってしまった。 とはいえ、愛想を振りまく気なんて最初からなく。 無愛想な顔で、ちびちび酒を飲んで料理をつまんで。 いい感じに酔って声を掛けてくる女性陣や同僚の声に、適当に相槌をうって。 ただ時間が過ぎてくのを必死に辛抱していた最中。 『今日、職場の飲み会いってくる』 そう、事前に連絡しておいた恋人から。 かかってきた電話に、無性に彼女の声が聞きたくなって。 さりげなく席を外し通話をしてしまった、その結果──── ] (9) 2021/06/25(Fri) 22:34:56 |
【人】 倉科 宙[職種が違えば、休日も違う。 だから、前々から休みを合わせて計画した初温泉旅行。 この連休の為に俺は、予め仕事を前倒しにしたり、終わらない同僚の分まで作業を手伝ったりと、数週間前から忙しく。 家に帰っても彼女と擦れ違い気味で、最後にちゃんと顔を合わせて会話したのはいつだろう。 それでも、きっと旅行を楽しみにしてくれてるって。 そう思って頑張ってたのだけど。] …………はぁ。 [小さくため息をつき。 女給さんが下がった部屋に二人きりで、落ちる沈黙。 微妙な距離をとったまま、俺も荷ほどきをしつつ。 気配だけは彼女を追いながら、どうしたもんかと弱り切ってしまう。] (11) 2021/06/25(Fri) 22:41:58 |
【人】 倉科 宙……その、 あの日のこと、まだ怒ってるのか? 一度説明したけど、 ただの飲み会だと思って行った先が 合コンだったのは、先輩に騙されたからだし。 そもそも俺らは自分から恋ができないから、 三四子が心配するようなことは何もなかった。 それはわかってくれたと思ったけど、違ってたか? [ゆっくりと彼女との距離を縮め。 さっきから視線の合わない顔を、覗きこもうと。**] (13) 2021/06/25(Fri) 22:44:47 |
【人】 倉科 宙[それ以上、追及できないまま。] いや、その…… 逆上せないよう、気をつけてな。 [腕を離した手で、ぽんぽんと彼女の頭を軽く撫で。 大浴場に向かう背中を見送ってしまった。*] (25) 2021/06/26(Sat) 18:04:39 |
【人】 倉科 宙──……はぁー。 [一人になった部屋で、詰まっていた息を吐きだせば大きなため息になり。 広い畳の上に倒れるように転がり、頭を抱えた。] (26) 2021/06/26(Sat) 18:11:44 |
【人】 倉科 宙あー……ほんと、なんなんだよ。 [こればかりは先輩を恨まずにいられない。 そもそも合コンなんか行かなければ。 でも恋人として過ごした期間は1年弱でも、付き合い自体は高校の頃からあったわけで。 恋をできない事実を差し引いたとしても。 俺がそもそも、浮気とか二股とかできるような性格じゃないことは、さっきの言葉通りちゃんとわかってくれてるはずだ。 じゃあ今は、何をあんなに怒って拗ねてるのだろう。 俺だって、彼女の性格は概ね把握しているつもりだけど。 言ってもらわなければわからないことは、たくさんある。 友達だった頃から、遠慮なく言いあえる関係だったこともあって、聞けば大体教えてくれたりしたのだけど。 こんな風にだんまりされた場合、どうすればいいのだろう。] (27) 2021/06/26(Sat) 18:13:14 |
【人】 倉科 宙はぁ……俺も風呂いくか。 [ここで転がってても仕方ない。 再び浴衣とタオルを掴み、俺も大浴場へ向かおうか。 と言っても、せっかくの温泉を楽しむ気分になれず。 長湯もせず軽く汗を流したあと、さっさと浴衣姿になり。 着替えを持ったまま大浴場の出口付近で、出てくる彼女を待ってしまうのだけど。 も一度話をしないとだよな。 やっぱり原因は俺なんだよな。 なんて悶々と考えながら待つ間、自販機で買ったアイスが、少しだけ頭も冷やしてくれた気がした。**] (28) 2021/06/26(Sat) 18:13:32 |
【人】 倉科 宙[少なくとも、さっきよりは明るい彼女の表情に安堵する。 でもそれが、普段より若干硬いことにも気づいてしまうから、内心もやもやしてしまうけど。 彼女がそのつもりなら。 俺も一旦、もやもやは頭の隅へ追いやることにして。] じゃあ、部屋に戻るか。 [食べ終ったアイスの棒をゴミ箱へ捨てて。 自販機を買う彼女を待って、ミルクアイス一口食べたい、なんて言ったりしながら。 並んで廊下を歩きだそうか。] (38) 2021/06/26(Sat) 21:37:14 |
【人】 倉科 宙[そして部屋に荷物を置き、身軽になれば。] なぁ、夕飯まで時間あるけどどうする? 特にないなら外の温泉街、一緒に行くか。 [財布と携帯だけ持って、問いかけた。 行きたいところが、旅行プランにあるならそれでもいいし。 のんびり二人でぶらぶらするのも楽しそうだ。 彼女の意見を聞きつつ、ほら、と差し出した片手。 さっきは荷物とアイスで両腕が塞がってたから控えたけど。 もう手を繋いでも問題ないだろう。*] (39) 2021/06/26(Sat) 21:37:53 |
【人】 倉科 宙俺、ちょっと浮かれてるかも。 こうして二人で出掛けるデートも、久々だろ。 [はにかむように笑いながら、掌がじわじわと熱くなる。 照れを隠すように、コホン、と咳払いをひとつ。 今度こそ扉を開けて部屋を出たなら、玄関で下駄を借りて温泉街へ向かおうか。**] (46) 2021/06/27(Sun) 0:02:10 |
【人】 倉科 宙借りてきたDVDとか見たりして、 家でのんびり過ごすのも好きだけど。 いつもこない場所とか見ない格好とかって、 新鮮でいいよな。 [彼女が草履を履き終わるのを待って、再び手を繋ぎ。>>48 人並みではぐれないように気をつけながら、温泉街をきょろきょろと。>>49] 確かにこれ、油断するの腹いっぱいになりそうだな。 うーん。とりあえず、分けられそうなのは 二人で分ければ色々と食べられるんじゃないか。 [あちこちから漂ってくる美味しそうな匂いの誘惑に、早速目移りしそうになりながら。 先導する彼女が目をつけたものがあれば、アイスのように分け合おうと提案を。] (50) 2021/06/27(Sun) 14:12:48 |
【人】 倉科 宙[歩く度、楽しげに揺れる彼女のポニーテールに、目を細めながら。] あ。なぁ、あれちょっと見ていいか? ガラス工房だって。 [俺が指したのは、土産屋の一角に出た看板。 蜻蛉玉とか風鈴とかが店先に並んでいて。 一つ一つ模様が違って、見てるだけでも目が楽しいけれど。] フュージング体験もできるってさ。 好きな色ガラス組み合わせて、 ペンダントとかマドラーとか作るやつ。 後日出来上がったら、家まで配送してくれるって……どう? [ちら、と隣の彼女を見る。 さっき揶揄った時、プライベートだって返されたけど。>>47 物作り体験コーナーがあるとつい足を止めてしまう辺り、俺も人のことを言えないかもしれない。**] (51) 2021/06/27(Sun) 14:13:56 |
【人】 倉科 宙[通された木の椅子に並んで腰掛ければ。 目の前の木造りの大きなテーブルに、キラキラと細かいガラスビーズが入ったケースが並べられていて。 さて、何を作ろうかと一覧を見て思案する。] ストラップやボールチェーン付けたりもできるんだ。 それなら日頃使えるし、鞄や鍵につけてもいいし。 そうだ、出来上がったら交換するってのはどうだ? [勝負も楽しいけど、記念にもなるし。 完成見本の写真を見ながら、この色綺麗だなとか、どんな柄にしようかとか。 頭を突き合わせて、相談を。] (57) 2021/06/27(Sun) 20:36:07 |
【人】 倉科 宙[そうこうしていれば、ついいつものように思考が作品に集中してしまい。 ハッと気づいて隣を見る。 彼女と目が合えば照れたように笑って。] こうやって、考えながら作る時間が好きなんだよなぁ。 わくわくして、楽しいんだ。 [ちなみに、作り方は割と簡単で。 四角い透明なガラス板の上に、ピンセットでガラスビーズを好きな感じに置いていくだけだ。 予め花模様になったガラスパーツなんかもあったりする。 視線を手元に戻せば、真剣な顔でちまちまと使いたいガラスビースを手元のケースにとっていこうと。**] (58) 2021/06/27(Sun) 20:39:50 |
【人】 倉科 宙いいぞ、マッサージ。 俺が勝った場合はそうだなぁ。 ……あーじゃあ、膝枕とかどうだ。 [ふと、思い浮かんだことはあったけど。>>59 なんとなく今言うのは違う気がして、誤魔化しながら。 案内されたテーブルへ。] いや。仕事だとこういうのはほとんどないし、 これはただの趣味なんだけど。 でも、こういう技法とか作品とかを知ってると 仕事でたまに活かせたりはするかな。 どんなのが人気とかどうすれば綺麗に見えるか、とか。 三四子もそういうの、ないか? [例えば読んだ本の文章とか、人と話した内容とか。 取材したり記事に纏めたり、そういう地盤を作る知識の一部が俺の場合、こういう体験コーナーだったりするわけで。 現場によっては詳しく話せないこともあるけど、興味を持ってくれるのは嬉しくて。>>60 そんな風に説明しながら、交換の提案を。] (64) 2021/06/28(Mon) 0:27:40 |
【人】 倉科 宙俺がつけるからって、変なの作るなよ。 あ、その青いいな。三四子っぽい。 [透けるような青のビーズを覗きこみ。>>61 じゃあ俺っぽい色は何か考えてみるけれど、生憎羽根は無色半透明だ。 四苦八苦しながら、ビーズを吟味する彼女に目を細めながら。 俺も使う色を決めれば選んだビースを、細かく砕いたりしてガラス板へ並べていった。 手を動かして作業に没頭する間は、周囲の声も遠退いて。 彼女に見られてる、と気づいたのは完成間近の頃。>>63] ……三四子? ああ、うん。もうちょいでできる。 [なんだか歯切れ悪い様子に、首を傾げそうになったけど。 覗きこんでくる彼女の身体を支えながら、頭を寄せて手元のガラスを見せようか。] (65) 2021/06/28(Mon) 0:27:52 |
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