人狼物語 三日月国


202 【ペアRP】踊る星影、夢現【R18/R18G】

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【人】 黒崎柚樹


[数ヶ月前の冬の夜、武藤に言われたことがある。
"目の届かないとこにいる時はいつも心配にはなる"って。

それはあの美術館の一件での、後遺症のようなもの。

その言葉は偽りではなく、どころか私が思っていた以上の程度だったようで、共に夜を過ごして迎えた朝、目覚めた時に私の姿が見えないとなれば、武藤は血相変えて私を探そうとした。

同じ室内、数メートル離れた距離に居たとしても不安気に視線が揺れ、離れた部屋に居るとなると、建物内駆けずり回る勢いで私を探しに来る。

"一人でどこにもいかないで"、と。
強く抱き締めてくる、微かに震える腕に、ごめんね、と謝って。

"武藤の傍にいるよ。ずっと"
宥めるように告げれば、漸く、ほっとした笑顔を見せてくれるんだ。]
(2) 2023/03/04(Sat) 22:04:54

【人】 黒崎柚樹


 ………………。

[ここ、どこだっけ……と、丸太が組まれた風な、見慣れない天井を見上げ、何度か瞬く。

明け方は冷え込むのが常なのに、ぽかぽかと温かいことに違和感を覚えたら、武藤の腕が私の背に回っていた。

あれ?と考え……、]

 …………っ!?!?!?

[驚きにがばりと身を起こした。

だって、この武藤は、"同級生の武藤"で、"恋人の武藤"じゃない。

私は昨夜、これ以上なく取り乱してしまい、武藤にしがみついて泣きじゃくったまま眠りこけてしまったようだった。]
(3) 2023/03/04(Sat) 22:05:26

【人】 黒崎柚樹

 …………ごめん、武藤……。

[疲れた風な顔をして眠っている武藤の頬に、手を伸ばす。

起こさなくて大丈夫だよね?
今の武藤は、私を探すことはしないよね?と、寝息を確かめるように指を輪郭に辿らせた後、私はそうっと起き上がった。

窓外はまだ薄暗く、でも朝の気配が感じられつつあるくらいの時間帯。

泣きながら眠ってしまったせいで腫れぼったい瞼に眉をひそめ、静かに顔を洗いに行って。その足でそっと着替えを手にして寝室を滑り出た。

半袖Tシャツに陸上部のロゴ入りジャージの上下。

頭ぐちゃぐちゃな時、悲しいことがあった時、叫びたいことがあった時、そんな時は、走るに限るんだ。私はいつもそうしてた。

ジャージのポケットにコテージの鍵を入れ、早朝特有のひんやりした空気の中を走り出す。

昨夜歩いたおかげで、道は頭に入っている。湖畔に行って戻ってくるのを3往復くらいすれば、いくらか気も晴れるだろう、と。

誰かから名を呼ばれた気がして立ち止まったのは、どのあたりだったんだろう。]
(4) 2023/03/04(Sat) 22:06:06

だから、代わってあげるって、言ったのに。


 …………ぇ……、

[それは聞き覚えがある、聞き覚えしかない、自分の声。
でもそれは、己が知るそれよりもいくらか高く、舌っ足らずのような甘えた響きがあって。

振り返れば、自分によく似た、自分が立っていた。
けれどその姿は、間違い探しのように、あちこち、どこか、違っていて。]

あの武藤に愛されたくはないんでしょう?

私が代わりを務めてあげる。

ちゃんと、女の子として愛してもらってあげるから。


 うるさい……っ。

[唸るように奥歯から声を出し睨めつける私へ、その女は紅く艶めく、私には持ち得ない蠱惑的な唇をにい、と持ち上げた。]


[この、もう1人の自分が現れたのは、あの美術館の絵画の中。

あの時は、"あの人の隣に居て、恥ずかしくない私に代わってあげようか"と、この女が現れて。
けれどあの時は、絵画の中から実体を伴って出てくることまでは無かった。

私と同じジャージ姿だけれど、でも、あきらか違う、身体の線。

薄く華奢な肩。
控えめに、けれど明らかに隆起している胸の膨らみ。
二の腕も太腿も。女らしいたおやかな曲線が隠れているのが見てとれて。

背が同じでも、体型が異なればこうも変わるのかというくらい、目の前の自分は正しく"女"だった。
今の己より数段艶やかで軽やかな黒髪が、傾げた頬にさらりとかかる。]

貴女の気持ちを楽にしてあげる。

"私"が愛されれば、解決。でしょう?

 

【人】 黒崎柚樹


 ……ッ、そんなの、要らない!

 私の武藤におかしなこと、しないで……!

[叫んで眼前の"敵"に掴みかかろうとした刹那、その姿は最初から無かったもののようにかき消えていた。

あれの言うことが本当なら、私は急いでコテージに戻るべきではあったのだけど。

────でも、だからと言って、どうすれば?

心も足も、鋼の板でも貼り付けたように重たく感じる。

だって私は、目覚めた武藤にどんな顔をして会えば良いのか、解らないままこうして走っていたのだから。

結局私は、自分たちの滞在コテージに至る曲がり角を曲がらないまま直進し、水音に誘われるままに川辺へ辿り着いていたのだった。*]
(5) 2023/03/04(Sat) 22:07:40
黒崎柚樹は、メモを貼った。
(a1) 2023/03/04(Sat) 22:10:46

[彼女の復唱を聞いて、楓は黙り込んだ。

 誰の命も奪わずに暮らせたなら、当然、それが最上だろう。
 けれど誰の命も奪わないことを望んだがために、身近な人たちを殺す可能性こそ楓が最も恐れる出来事。

 共に生きたい仲間と友達にとっての最大の“敵”、それは自分自身。
 何故って、彼らは──]

[──だからその“敵”を御するために、彼は人間の命を理性をもって奪う道を選んで、ここまで生きてきた。
 その過程で自分がもう人間ではありえないと、何度も思い知りながら]


  ……椿は、どうなんだ。
  いつから“そう”なんだ……、
  どうやって、今まで……。


[彼女は自分がヒトではないと認めているようには思える。
 その上で、それを悲しんでいるようにも。

 彼女は生を楽しんでいるわけではあるまい。
 そう思うからこそ、改めて尋ねてみたかったのだが……問う言葉は曖昧に途切れた。

 赤が全体に混じったヨーグルトを口に運ぶ。
 味を感じることはできなかった。]**

[いつものように幻想的な空間だった。
恋人になる前は口にはしなかった。恋人になった後はよく口にした。
幻想的で綺麗だ。と、恋人としての時間に囁いてもいた。

だがそれが命懸けによる儚さ故だとしたら――

手を振っていってくる。といった幼い仕草とは真逆に広がる光の粒子が、優しく暗い夜を照らす。

紡がれる祈りの言葉を聞きながら、不意に、とても、嫌な予感がした。]

[バシャリと音をたてた。
気づいたときに自分が湖に足を踏み入れたときの水飛沫の音だ。

最後の瞬間、彼女が見たものは、俺が見たものは―――]

 ・・・・・・・・・・・・

[腰までの半身が浸かったところで止まる。

水に彼女の力を伝えていって、風が彼女を見失った。]

 ・・・・・・なぁ・・・・・・

[息が苦しい。喉が渇き張り裂けそうに胸が痛い。
風がいつもより重く感じて、動くことさえ叶わないで、先程まで巫女が――ペルラがたっていたところを見つめる。

冷え切った体が幾時その姿勢のままでいたのかわからない。ただ、もう少しだったのに――もう少しだったのに―――]

 ・・・がんばったな・・・・・・ペルラ。

[消えてしまった。役目のためにいきて、役目のために消えた。
否応もなく自覚した。
悲しみはあった。怒りもあっただろう。だが覚悟もした。

彼女は、俺は、満足いっただろうか。いいや、いったんだ。
全部が全部叶ったわけじゃなくても、今この時まで懸命に

手の中のイヤリングをぎゅっと握る。
振り返り庵を目指して歩いていく。

満足したのだといおう。思いっきり愛したのだといおう。だが今日だけは――*]

-風呂場-

 ……これはすごいな。


[風呂場を探しながら部屋の中を歩いていたが、コテージ内にもこんな立派な風呂があると思わなかった。
大の男が二人ゆったりと浸かれそうなくらいの大きさの湯舟を見つけた。
こういうところにお似合いな、ふるぼけたようなオレンジ色の光が出る照明がほほえましい。
中を軽く洗って埃を落とすと湯をためていく。五右衛門風呂やかまどなどでなくガスでよかったとほっとしながら、とりあえずは要のところにもどろうか*] 

【人】 ??? 黒崎柚樹


武藤?

ただいま。
*
(11) 2023/03/04(Sat) 23:04:12

[武藤が見たもの は、きっと。

知る姿よりもいくらか華奢で、ジャージ姿の服の上からでも見てとれる女性的な肢体を持った"黒崎柚樹"。

常の彼女ならそんな声音では話さない、飴玉を転がすような甘い声を出しながら、"それ"はにっこり微笑んだ。

慣れ親しんだ呼称が聞こえたのかもしれない。
違うでしょう?と首を傾げながら、なお、微笑んで。]

ゆずき、だよ。

柚樹って、呼んで欲しいな?


[囁いた。]


[コテージに一歩一歩足を踏み入れながら"それ"は告げる。]

"かわいい"って言ってくれたの、すごく嬉しかった。

武藤の"かわいい"は、"好き"、なんだよね?
私、知ってるよ。

私は、あのみたいに鈍感じゃない。

武藤が嫌だと思うこと、好きだと思うこと、
全部察してあげられるよ。

他の男たちにはちゃんと警戒するし、
自分を過信する無茶とかしない。

おしとやかにする。

────ねえ。
理想の恋人だと、思わない?


[私も"柚樹"。

邪険になんてできないでしょう?

と、"それ"は艶然と微笑んだ。*]
 

[まだ風呂場がどれ程の大きさかは見ていないが。
このコテージの作りからして、それほど小さくはないだろう。いやぁ、中々に至れり尽くせりやな。と足をばたばた。ベッドの上で彼が来るまでの時間を過ごそうとして。
もぞっと足の先を合わせてしまう。


乱れた花が疼く感覚
抱く側だった頃は知らなかった
この感覚に少しばかり囚われてしまうものの]



 …そや、カメラ。


[むくっと起き上がり。
彼がおきっぱなしにしたカメラを見つければ、手に取りやすいよう棚の上に置きなおそう。一眼レフにデジカメ。スマートフォン。思えば色んなもので撮られたものだ。その中身を持ち主が居ない間に確かめるつもりはない。やって一緒に見た方が興奮するし。彼だけのものだからと見せてもらえない場合もあるけど、そこは仕方ない。

――というか、正真正銘彼だけの自分が嬉しいて堪らない。
明日は、どないな写真撮るんやろ。とわくわく。
自分もカメラを持ってきてはいるが。

彼と一緒にいると被写体に回る事が多く。
ついつい撮られたがってしまう。]



 ……。

[ここは何処か。
いつからここにいるのか。

深い湖の奥深く、水中をたゆたっているようでもあり。
空に放り出されたか、彼と一回転したときのように、自身の重さなんて感じずに雲と浮いているようでもあった。

あたりは、薄らと青かった。
ともに飛んだ空を、彼の瞳を思い出させる色。]


 …やー、でもほんま上手なったなあ。


[自慢の恋人やとデレを口にした処で
彼のスマートフォンの画面、其処に送られたメッセージを見てしまう。ロック画面に乗った送り名は今年入ってきた後輩のもの。彼に、好意を持っているらしい可愛い系の男子学生のものだ。]


 …ふーん?


[寿達也という男はとても魅力的だ。
その子も目の付け所がよい。とも思うが。

その名前が浮かぶスマートフォンを片手で掴み。
そのまま、ベッドに転がれば、仰向けになった。さてどないしようか。帰ってくる彼をえっちなポーズでお出迎えというのもええけど、まだまだ二人っきりの時間は長い、流石に飛ばし過ぎやろか。とスマートフォンをベッドの脇に置き。

戻ってきた彼を前にすれば]



 …おかえり、ええ子にしてたで?

 …… もうちょい遅かったら
         オナニーしてたかもやけど


[なんて揶揄い半分で手を伸ばし。
お湯が溜まったら、連れてってとオネダリをしただろう。お湯が溜まるまでは頭を摺り寄せ、彼の膝を枕にいちゃいちゃをして、運ばれれば、オレンジ色の古ぼけた光の中にある大きめの湯舟に、やぁ二人で入れるなあ。と嬉しそうにしただろう。

入ったら彼の上に座り、足を少しばたつかせる。
そんな遊びを試みるかも*]


 ……アスル!

[呼んでも返事はない。

ぼろぼろと涙が落ちて、空なのか水なのか、溶けていく。
片方だけの耳飾りが淡くあたたかい。]

 アスル、

 アスル…………ありがとう、……っ

[泣きながらでも微笑めた。
やりきった。巫女として。そして、彼と。

たくさん想い、想われてきた。
溢れるほどに愛され、温もりを分け合ってきた。

大丈夫。ずっと、ずっと。
私の中にはアスルが在り続けるから。]




 …………愛してる、アスル。


[また逢える日まで、待っているから。**]

 

[どれほど長い時をここで過ごすのだろうと思っていた。
とうに覚悟はあった。
心は落ち着いてきていた。

耳飾りの温もりが、彼の手の温度を思い起こさせるから、彼に贈った片方と通じ合っているようで嬉しかった。

しかし、異変は突然。
悠久の時を過ごすまでもなく、訪れた。

アスルがおじいさんになるどころか、おじさんになる暇もない、とペルラの体感時間は言っていた。
まさか何かあったのか、と青ざめたのは一瞬。
これはそういうものじゃない。
元の世界にあった不思議な力が充満していたこの場所に、まるで種類の違うだろう、異質な力が混ざり込んできていて。

悪い意志は感じない、けれど。
なにかを引き起こそうとしている、と。]


 あなたは、だれ……?

[目の前に揺らぐ空か水か。
そこに映ったのは、自分とそっくりな姿。

正確には、髪や瞳の色が変わる前の、若い頃の自分と。

でもすぐに分かる。
これは記憶や過去なんかじゃない。
別人だ、それも恐らく、別の世界を生きる――。

誰かの声が聞こえた気がする。
混ざり合った力が、何かを動かそうと、変えようとしている。
必死で止めようとしても今の自分はまだ空っぽで。
尽きたばかりの力は戻っていなくて。

あの子が、引き込まれてしまう――ここへと。]


  わたくしは……


[どう答えれば良いのだろう。少し考える。
 とても簡単なことではあるけれど、果たして信じられるかどうか。]


  “はじめから”です、楓様。
  わたくしが人間だったことは、ただの一度もありません。


 ……へ!?

[最初に思ったのは、私湖に落ちたの!?だった。
目の前に広がる世界が、うつくしい青色をしていたからだ。

――私のピアスの石みたいで。……つまり、は。

そして落ちてきた身体を支えてくれたのは、自分より小柄で細身で、自分より年上そうで、自分と、そっくりな人。]

 え、実は夢見てる? もう寝てたの私?

[雅空兄ぃがいたら起こしてくれないかな。
多分今頃魘されているはずだから、と現実逃避しかけていれば、お姉さん(仮)が必死そうな顔で語りかけてくる。
これは真面目に聞かねばならないと思わせられるが、その前に、多分声まで自分とそっくりと知ることになった。]

“狼”というのは人喰いの化け物の総称です。
獣の呪い、月の狂気、あるいは一種の病……なりかたは様々ございます。

わたくしはその中でも最も愚かな……自らの手でたましいを引き裂き、獣に堕ちた者。

旧い魔術でございます。ヒトのたましいを善と悪との二つに割り、悪を滅する。ある求道の者が、己を高みに至らせる道としてそれを行いました。
失敗だったのか、そもそも術が不完全だったのかはわかりません。ともかくそうして、その者はたましいを切り離すことができず、不完全に繋がった二人となりました。それが、わたくしとあの人です。

 




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