人狼物語 三日月国


52 【ペアソロRP】<UN>SELFISH【R18G】

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【人】 終焉の獣 リヴァイ



( 「 ────“死ぬなよ” 」 )

   
(互いに安らかな死さえも許されない癖に。)



[静寂を割く翼の音に、意識が引き戻される。
秋も半ばの冷ややかな朝の光を遮るのは、受胎告知の天使には程遠い───いつかの遣い鴉。]


    (まるで呼び声に応じたかのようだった。
     引き合うように窓辺に静かに留まるのは、
     難解ではない達筆な文章が示す送り主は、
     最後に柄でもない約束を交わした相手は、
     喰らったあの子ではないと分かっている癖に。)
 


                …………… 臆。

 
(92) 2020/12/03(Thu) 19:33:29


[鉤爪で傷つけぬように包み込んだ、案外弱々しい背中は
傷だらけの冷たい身体を抱き寄せた時と重なってしまう。

    トロイメライを振り返っただけ。
    ただの自分のエゴイズム。
    だけれど、彼はそれを拒みもしなかったから、
    ……血濡れた手を、縋るように伸ばしたのだ。]

(よく切れる刃物など、復讐では都合の良い獲物なのに。
 遂にそれを使わずにしまっておいたのは、
 ……
約束
を果たす最後まで
 絶対に他者の血で汚したくなかったからなのか。)


 

【人】 終焉の獣 リヴァイ



[相変わらず、指先は見知らぬ誰かの赤で汚れていたから
遣い鴉の羽根は鉄の臭いと死の色が自然と乗り移る。

暗号化されぬ、わかりやすい文字を汚さぬように摘み乍ら
アイスブルーは最後の言葉に目を通した。>>83

   自分で背負った重荷が消えれば
   空虚な世界に映るは……獅子のみ。


光の映らぬ蒼目に仄かに光が灯る。
まろやかな息を吐き出せば、白く消えた。]


        随分と酷なことを言う奴だ。
        か弱い乙女が走る距離でもなかろうに。


(自分の行くべき場所が、見えた気がした。)


 
(93) 2020/12/03(Thu) 19:34:57

【人】 終焉の獣 リヴァイ



[文句を言う癖に口調が少し弾んでいるのは、
無事を安堵した安らぎ故か───それとも。
生者の息せぬ変わらぬ城内を再び走る靴音は、しっかりと意思のある重みを帯びていた。

朝を迎えてもあまりにも静かな城内は、罪なき平民の不安をいずれは煽ってしまう。その中から異形の怪物の姿や“ある意味有名な”己の姿が出てきたのだとしたら……尚更。


向かった先は密かに建設された馬小屋だ。
学び舎を巣立った時にも世話になった、相変わらず骨ばった黒い不気味な馬たちの特異性は、隠れて国を抜け出すには随分と都合が良かった。]


[小屋の奥で縮こまった、随分と鞭傷の激しい個体を選んで引き出したのは───縛られて息苦しそうな場所から自由にしてやりたいという気持ちの表れか。]



  [乗馬の知識はなかったけれども、
  そのセストラルは心が通じたようにおとなしかった。
  脆い背中にまたがって、合図するように腹を蹴れば
  黒き翼が鈍色の空に大きく羽ばたき飛び立った───]

 
(94) 2020/12/03(Thu) 19:35:23

【人】 終焉の獣 リヴァイ



[黒い天馬に任せた責務は、国の境界を跨ぐまで。
さんざ重荷を押し付けられた国家の動物に、これ以上の負担を背負わせることなどできなかった。

するりと背中から降り立ち地を踏めば、轡を外してやる。
硬い鬣をゆっくりと一撫でしてやれば、一歩下がって指笛を吹いた。

    甲高い嘶きと共に、再び青空へと舞い上がる。
    もう二度とその背に誰かを乗せることはない。
    解放された自由な世界で逞しく生きてほしい。
            心からそう願ってしまった。


姿が見えなくなるまで見送って、軍服のポケットから小型の薬品ケースを取り出した。
赤色の錠剤をひとつ摘み取り、口に含んで噛み砕く。
酷く酸っぱい味わいと、激しく揺らぐ視界に一瞬ふらつき反動に耐える。]

 
(96) 2020/12/03(Thu) 19:36:44

【人】 終焉の獣 リヴァイ



[     「獣化解放薬」

抑える薬があれば、促進させる薬も存在している。
寧ろ戦争国家であれば其方の方が都合が良かった。
遺伝子を活性化させ、満月無しにその身を変えさせる。人外並の力も手軽に引き出すことが可能であった。

その効力も些か完璧とは言えず、飢えが湧き出る程に悪化もしなければ自我も落とされることはない。
殺戮に戸惑いが生じることは国としては都合が悪いが──速度だけ欲しい彼女にとっては都合がいい。


無理やり身体の組織を捻じ曲げる副作用は酷いもので、倦怠感、頭痛──その他数多のダメージは避けられないが、背に腹は変えられない。]



[残された時間なんて限られているから、辿り着くまで薬を重ねて誤魔化して──その後のことは考えない。
口内に残る酸味と共に、鱗に覆われる身体の変化が終わりきるよりも先に足を踏み出しかけ出した。]


 
(97) 2020/12/03(Thu) 19:37:14


[元より安らかな死など約束されない身であった。
抗うことを辞めてしまえば己は真のひとでなしとなり、全てを破壊し尽くすのみの血に飢えた化け物と成り果てる。

   有象無象に興味がなければ
   己のことだってどうだって良かったのだ…今までは。


何もかも壊す前から自分自身で手放してしまえば苦痛なんて湧かない筈だと信じていた癖に、結局あるのは変わらない地獄だ。]


(自分の道を決めた、たったひとつの人間性が
 今度こそ手放しはせぬと握りしめた──唯一無二。)


 



[歯車を自ら狂わせた者同士、
 噛み合ってしまうのは必然の道理。]
   
[借りものの命なら、使い込んで返せ。]

     [幕引きくらいは───望んだ通りの結末を。]

 

【人】 終焉の獣 リヴァイ



[野を越えた。
 山を越えた。
  川を越えた。
   数多の障害を経る。

計り知れない苦痛を更に酸味を飲み込むことで相殺し、悲鳴をあげる四肢を絶え間なく働かせる。

  どんな苦痛よりも、降り頻る雨が寒かった。
  鱗に注いだ水滴は乾くことを知らず、
  空気の冷気に冷やされ、体温を下げていく。


───何れ見えた砦の軍幕に見覚えがあれば、ラストスパートのように速度が上がった。
誰彼の視線も気にすることなく、巨体を外壁へ凭れかけ、鉤爪をめりこませ、荒い呼吸に合わせるように攀じ登る。]


(ひとつの賭けのようなものだ。
 「待っている」とは言ったものの、
 どこに居るかがわからない。

 権力者様なら高いところにいるのだろうと
 捻くれた偏見は───どうやら当たっていたらしい。)


 
(98) 2020/12/03(Thu) 19:39:17

【人】 終焉の獣 リヴァイ



[濁った赤目が窓を隔ててひとつひとつ、砦の内部を覗き込む。
その中に───身知った
を見つけた気がした。]


[かん ッ と、尾を硝子が割れない程度に強く叩きつける。
応じて窓が開けられるのなら、倒れ込むように開けた相手を押し倒していたかもしれない。]


         ………………………… 
無事 か。



[薬の効果が切れかけてしまえば、重ねた苦痛が一気に押し寄せて仕方がないから。
アイスブルーを取り戻せない濁った赤目が、魂が抜けかけたように揺れていた。
脇腹を抉った傷口は未だに癒えず、清めもしなかった身体からは死臭と鉄臭さが消えてくれない。

          
……屍のように凍えていた。


不意に感じた温もりに、縋り付くように抱きしめて。
────鉤爪で傷つけない程度にその背を撫でたりしたかもしれない。]*

 
(99) 2020/12/03(Thu) 19:39:54

【人】 終焉の獣 リヴァイ



[平民なら兎も角、兵士相手ならば斬り捨てられてもおかしくはない。
さんざ人を喰らった獣の見た目は禍々しいものだったからこそ───元からあった銃痕以外、此処に無傷で辿り着けたのは奇跡に近いのではないか。]


[自身が経てきた時間は彼と比較すると激動と言うには程遠いのかもしれない。

  大半を診療所で過ごしてきた。
  勝負に出たのは最後の一年間のみだというのに
  祖国を崩壊させた人生は、屍の数が多すぎる。


酩酊したかのように揺れる意識を支えるように抱えれば、
彼に初めてこの姿を曝け出した時のように倒れ込む。
見た目の変化こそあれど、相変わらず打たれ弱い身体だと思った。]


   ……喧しい。
   月に頼らずお前の元に辿り着く等酷にも程があるわ。
   一定時間だけ力を解放しただけだ……直に戻る。


[軋む絨毯に唸り声をあげ、手を床につき、軽く上半身を起こそうとする。
濡れた髪を鬱陶しそうに揺らし乍ら不機嫌そうな声を返した。>>106]

  
(109) 2020/12/04(Fri) 0:01:15

【人】 終焉の獣 リヴァイ



[瞼が下りそうな怠惰感が全身を襲っているのに、開きっぱなしの窓から吹く風は刺すように冷たく、湿った鱗に叩きつけてくる。
「寒い」と抗議の声を漏らせば相手を片手で抱えたまんまよろよろと立ち上がり、雑な動作で再度閉め下ろす。

温もりを探すように雫を落とし、無抵抗のまま目眩と戦う相手を半ば引きずるようにして彷徨い───寝台を視界に入れればそのまま放り投げた。]


        ………………怪我は。
  (あの子はいつも傷だらけだったから。)



[相手に息があったのはひとつめの幸運。
命こそ存在されど、受けた傷の程度をこの目で確認しなければ満足できなかった。
ナイトガウンを邪魔臭そうにはだけさせれば、器用とはいえない鉤爪さばきで相手の身体を暴こうとする。
彼女に下心は皆無ではあれど───側から見れば夜這いと勘違いされていてもおかしくはない。


具合を直接見えなくとも、証明のように包帯が巻かれているのを見ることが出来たならば、そのかんばせは酷く歪んだに違いない。]

 
(110) 2020/12/04(Fri) 0:01:47

【人】 終焉の獣 リヴァイ



(なんだこの怪我は。
 お前は私の獲物だと前にも言った筈ではないか。
 文句は決壊したダムのように溢れて止まらない癖に
 久しぶりに得た人肌の温もりが酷く身に沁みる。

 ……何れはそれも反応が涎を垂らす一因にもなる癖に。
   もう与えられる資格などないに等しいはずなのに。)



        …… 良かった ……


[枯れきって流さない涙の代わりに、雨粒が髪を、鱗を伝って滴り落ちる。
文句の代わりに安堵の四文字を並べたのは、隠された本心が漏れ出たもの。最後に残ったたったひとつが失われていないことがただただ嬉しかった。]


 
(111) 2020/12/04(Fri) 0:02:24

【人】 終焉の獣 リヴァイ



[ぐうらぐうら。
何重もの副作用が襲う頭はまともな思考回路を保ってくれない。
中途半端に暴きかけた据え膳のような状態のまま、力尽きたように倒れ込み、そのまま抱え込んで胸に顔を埋めてしまった。

  幼児のように擦り寄れば、大きく息を吸う。
  混ざり合った体温がいつも以上に心地が良い。
  触れても触れても命なき冷たさばかりに触れていれば
  そこに燃えている熱に縋ってしまうのは当然のこと。


「……ん、」と小さく声を漏らせば、密着するように身体を文字通り重ねようとした。
変化時に衣服が破れてしまえば、鱗に覆われていれど裸体同然の姿なのだが麻痺した頭は碌に気にもしないまま。

足りない熱を補うことだけに意識を向けて、まだ薬の効果が残り続ける長い尾までもを巻きつけた。]

 
(112) 2020/12/04(Fri) 0:02:52

【人】 終焉の獣 リヴァイ




(相手のことを異性としてみたこともなければ
 下心さえも存在していない故─────
 これは一種の気の迷い。

 彼女自身も深く考えちゃいない、熱を求めるが故の行為。
 冷えた身体は通常の人肌の温度では足りなくて、
 更に温もりを享受したいと本能が叫ぶ。

 自我も忘れてそれに従ってしまうのならば……
 今、満月は昇ってこそいないが、
 今夜だけは───欲張りな獣に成り果ててしまおう。)*


 
(113) 2020/12/04(Fri) 0:03:35
 




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