187 『Ambivalence』
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まともに交流しようともしない。
そんな浅見の行方なんて誰も知らない。
浅見はどうしたと聞いても
クラスの奴らは揃って首を傾げていた。
娘さんが学校に来ていません。
そんな連絡をしてみても親は知らんの一点張り。
最初こそ連絡をするようにしていたが
次第にそれも形式的なものに成り下がり
浅見を想う意義もなくなっていく。
誰も知るわけが無い。
堕ちるとこまで堕ちた女の行末なんて。
俺の思惑にハマり、
俺がかけた首輪を外せずに藻掻く有様も
その結果地獄の釜の底に立ったことも
まさか思うまい。
とんだくだらない逆恨み同然の憎悪の感情が
まさか教壇越しに俺に向けられているなんて。
浅見との密会がなくなってからしばらく
先にその切れた糸を辿ってきたのは
俺ではなくやっぱり浅見の方。
想像した通りに事が進むと
警戒心が薄くなるのが人間の性。
何の変哲もない日常に擬態するように
互いにしか分からない暗号を口にされれば
その本当の意味を理解しているのは俺だけだ。
この資料室に来るのも久しぶりな気がする。
ネットでなんでも書籍を引っ張れる昨今、
浅見の相手をする以外でこんな場所使いやしない。
資料室に入ると珍しく俺より先に来ていた浅見が
矢継ぎ早に本題を切り出すと
浅見の悪意に気づきもしない俺は
ソファーに腰かけながら笑って
「おいおい、俺にして貰えなくて
そんなに寂しかったのか?」
と浅見を煽る。
これからまた前のように俺の声で
また秘め事に耽ることになるのだと。
「んん……って、おい、がっつきすぎ…、っ!?」
強引に唇を奪われると
流石に俺も驚いて離れようとするが
いくら男女の体格差があろうとも
上を取られると押し退けるのは簡単じゃない。
いままでの比じゃない程の激しいキスに
俺が違和感を感じ始めた時には
何か塊が押し込まれて
無理矢理喉奥に流し込まれてしまっていた。
俺は思わず浅見を睨む。
けどその先の事が記憶にはない。
当然だ。だって俺は──────。**
耐えきれないって予想までは当たってた。
ただ、帰ってくる理由が違った、それだけ。
あなたの予想以上に、私が愚かだった。
わかってる、堕ちるとこまで堕ちたのは
私が自ら進んでいった道であって。
この感情がくだらないことくらい、分かってる。
でもくだらないことしてるって意味では。
私達は同じ穴の狢でしょう?
あなたの想像通りの行動をしたこの瞬間。
この時が一番油断するんじゃないかって。
そう思ってたし、そう思えばこそ、
私から声をかけることに躊躇いはなかった。
そして、差し出した餌にあなたは
私の思い通りにかかってくれたんだ。
久々に来た資料室。
あまり人が来ないこの場所は
今の私にとって都合がいい。
でも、万が一にも誰かが入ってこれないように
事前に鍵を持ち出しておいたから。
あなたが来てしまったらもう、逃げられない。
してもらえなくて寂しかったのか、とか
がっつきすぎだって抗議とか。
何言われるかなんて予想できてはいたけど
返す余裕なんてあるはずもない。
いつまでも薬を口に含んでいられないし
ここで失敗したら終わりだから。
あなたに覆いかぶさってしまえば
いくら力の差があっても咄嗟には振り払えない。
こんな激しいキス、何処で覚えてきたのかって?
あなたの知らない所で、ですよ。
ちょうどこんな風に薬飲まされたんです。
開き直ったように言って。
くすり、と笑う。
その笑みは子供の悪戯に見せかけるにしては
邪気を隠せてなかったかもしれない。
あなたが意識を失うのを見届けて。
まだ起こさないように慎重にソファーへと寝かせ。
前もって資料室に隠していたロープで
抵抗できないように手足を縛りあげた。
もし解いたらくっきり痣が残るくらいに、きつく。
それから、衣服のポケットを漁って、
スマホを持っていたならそれを抜き取り、
誰かから連絡が来ても分からないように
電源を切ってから、あなたの手が届かない場所へ放る。
助けなんて呼ばせませんよ。
部屋に鍵をかけてしまえば、
ここで起こる出来事を邪魔できる人はいない。
あなたが起きるまで、
私はあなたが寝ている横で座って待っていたけれど。
目を覚ましたのに気づけば、
あなたに馬乗りになって、
「やっと起きました?遅いですよ。」
と、楽しそうに笑いながら、瞳を覗き込んだ。
安心なんて欠片も出来ない状況で
無意味な言葉を吐き捨てると。
あなたのスーツに手をかけて、衣服を乱していく。
ネクタイを外して、ワイシャツのボタンを
一つ一つ外して、はだけさせて。
いたって優しい手つきで肌をなぞっていく。
そう、別にあなたの身体に
物理的な傷をつけたいわけじゃない。
私はただ、あなたと繋がりたいだけ。
「寂しかったのか、って言ってましたよね。
寂しかったですよ、すごく。
気づいたんです、私。」
「他の誰とでもない。
あなたと、イイことをしたいんだ、って。」
行き過ぎた依存心を持っているように
見せかけるために、敢えて省いた言葉で
あなたに語りかけながら、頬を撫でてみせる。
敵意なんてありませんよ、と言いたげに。
私自身は何一つ乱れていない制服のまま。
今まで私をいいようにしてきた人が
今は私に言いようにされてる、と思うと
少しそそられるものもある。
「私からの質問は……
さっき後回しにするって言いましたし。」
「聞きたいことがあるなら答えてあげますよ。」
あなたの耳元で囁いて、
そのまま、耳の中を嬲るように舐めて。
息を吹きかけると、くすくす笑った。*
失うものがなくなったやつの狂気は
常人じゃ推し量ることさえできない。
目を覚ますと俺はソファーに寝ていたが
その違和感に気づいたのはすぐのことだ。
両手と両足が、動かせない。
よく見れば縄が俺の肉に食い込んでいた。
もちろん犯人なんて一人しかいない。
目を覚ますと同時に俺は身を捩らせる。
しかしそんな赤子のような抵抗は意味をなさずに
浅見が膝の上に乗ってくればもう動くことも出来ず。
まるで獣をしつけるような手つきで
身につけていたスーツを剥がされていくと
ひび割れた台詞に俺は寒気すら覚えてしまう。
「お前……。
そういうこと言うキャラじゃない、だろ…。」
何かは分からない。
でも何かを企んでいなければ
浅見律という女はこんなことはやらない。
しかもその何かを考える時間すら
浅見は俺に与えるつもりじゃないらしい。
耳元で囁く姿はまるで悪魔だ。
狩る側から狩られる側に落ちる恐怖を
俺は今、もっとも最悪な形で味わっている。
耳を嬲るなんて俺の教えていないことを
慣れた手つきでやられてしまったのだから。
「っはは、傑作だ…。
さんざん仕込まれた腹いせか知らねぇけど
この期に及んで新しい性癖開拓か?」
俺が浅見に散々そうしてきたように
その報復にも思えて仕方がない。
しかし身体は正直なもので
肌で感じた柔らかな感触が身体に熱を与えると
ちょうど浅見の身体の下で
ほのかに硬く主張をし始めてしまった。*
見せかけの言葉は違和感だらけだったらしく。
キャラじゃない、という言葉に目を細めて。
「リップサービスですよ。
こう言ってほしかったんだと思って。
想像するだけでそそられる、
って
あの時そう言ってましたよね。」
と、違和感に違和感を重ねてしまう。
あなたが言ってほしいことを
頑なに言わなかった浅見律とは
正反対のことを口にしていたけれど。
あなたと繋がりたいと思うのは
そこにどんな目的があれ、本心だ。
でも、企んでいることの内容は教えない。
教えられていないことを
これ見よがしにしてしまったのは
別にあなたへの当てつけとかではなく。
ただ、興奮を煽ろうとしただけ。
恐怖を煽るつもりはなかった。
あなたが反応してくれないと困るから。
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