188 【身内P村】箱庭世界とリバースデイ【R18RP村】
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( なんでアンタの方が泣きそうなの!?
どう見ても泣きたいのは私でしょうよ!?
何死にそうな顔してんの!?
絶対私の方が怖いんですけど!?
ああ 腹立ってきた
せめて一発ひっぱたいてやりたい
ぐぎぎぎぎぎぎ
……だめだ、腕あがらないや
というか体冷たくなってきた
痛みも感じなく……
あーあ ……あーあ
……本当、絶望した顔してんじゃないわよ
嘲笑ってたら思いっ切り憎んで祟ってやったのに
素直に恨ませなさいよぉ…… )
[……死ぬまでの短い間に、運命の輪は色んなことを考えた。
わざとじゃないんでしょ、しけた面するな、と一喝してやりたかった。けれど、伝えるすべは一切なく。
だから、その最期の心の内は誰に知られることもなく、教典にも残ってはいない。**]
| ―― 回想・姉というひと ―― [ 昔々の思い出、 涙を流す女の子と、 その子を抱きしめるフォルを見ていた。 >>0:376 ……初めて見るその子とは、その後改めて会ったかな? その子は新しく会う証持ちだった。 シャルレーヌという名前のその子が、 年上の子だって分かったら、 ぼくは無邪気に「シャル姉さん!」って言って 笑いかけたかな! >>0:552 ぼくの知ってる証持ち、 ヴェル兄さんと、フォル兄さんと…… だから、"姉さん"と呼ぶ人が出来るのは初めてで、 とても嬉しかった。 シャル姉さんにはすぐ懐いたし、 四人で洋館を駆け回るというのも、 フォル兄さんとシャル姉さんが来た日には、 よく見掛ける光景になったかもしれない。] (349) 2022/12/19(Mon) 16:40:27 |
| [ シャル姉さんも、外の世界から来る子で、 帰っちゃう子だったことは寂しかったけど、 シャル姉さんは今でも、故郷と行き来している。] シャル姉さんは、おうちでは何をしているの? [ 幼い頃そういうことを尋ねたことがあった。 聖女、というのは、本人から聞けたか、 それとも他の誰かから聞いたんだったかな、 「聖女ってなに? どんなことをするの?」って、 また聞いた >>2:120。] (350) 2022/12/19(Mon) 16:41:25 |
|
わ〜〜〜すごいね!
[ シャル姉さんが普段やってること、 それを聞いたらぼくは、笑顔でそう言った。 ……だけどもしも、それを話すシャル姉さんが、 浮かない顔をしていたなら、]
……シャル姉さんは、たのしくない?
[ 顔を覗き込んで、そう聞いたことも、 もしかしたら、あったのかもしれない。] (351) 2022/12/19(Mon) 16:41:42 |
| [ 『証持ち』が何かしら特別視されるものである ということは、このときは全く知らなかった。 フォル兄さんも、シャル姉さんも、普通だったから。 子どものうちから洋館と親元を行ったり来たり出来る ということは――少なくとも『証持ち』としては かなりまともな生活環境だからこそ、というのを、 知ったのはいつの頃だったか。 余談だけど、ぼくの痣も背中にある。 右の背中の、肩の辺り、杖の形をしたそれ。 自分では見えないし、触ることもすこしむずかしくて、 鏡を見れば、自分が証持ちであることは分かるけど、 ……常に自覚させるような、そんな痣じゃないんだよね。] (352) 2022/12/19(Mon) 16:42:30 |
| ―― 回想・少し前のこと ―― シャル姉さん〜 ちょっといいかなー? [ それはたぶん、そんな幼い頃の思い出からしてみれば、 わりと最近の話だ。 シャル姉さんが、前回故郷に帰る前、ぐらいの? シャル姉さんの前でも、笑顔のぼく〜という感じ ではあるけど、 同性の友達で、近くて遠い、そんなのがない分、 素直に甘えている感じは、あるのかもしれない。 シャル姉さんを誘えたら、 なんとなく花畑が見えるところまで連れて行って、 問い掛けた。] (353) 2022/12/19(Mon) 16:43:23 |
| あのね、 シャル姉さんは、フォル兄さんのこと、 どんな風に思ってる? [ 普段通りの笑顔で、普通に問い掛ける ……ことはできていたと思う フォル兄さんとシャル姉さんのことを 揶揄する気持ちとかは一切なくて、 それは純粋な質問だった。] (354) 2022/12/19(Mon) 16:44:29 |
| [ ……あの日、出会ったフォル兄さんとシャル姉さん。 だから、聞いたら少しぐらい分かるかと思った。 この心の中で苦しみを訴える愛のこと。 ぼくは『魔術師』が『女教皇』に抱く気持ちを、 どう処理したら良いのか、分からなかった。 だから、……だから、 『女帝』の証持ちのシャル姉さんなら、 この気持ちの付き合い方が分かるんじゃないかなって。 もしもシャル姉さんが抱く思いが、 誰かのものじゃなくて、自分のものと思えるなら、 なおさら、話を聞きたいと思った。 ……ということは話さずに質問だけ投げたから、 シャル姉さんにはどう受け取られたか分からないけど! ……もしも答えを聞けたあと、理由を聞き返されたなら、 キュリアちゃんとの向き合い方に悩んでることは、 話したかもしれない。** ] (355) 2022/12/19(Mon) 16:46:07 |
| (a76) 2022/12/19(Mon) 16:53:37 |
「貴方は真面目だねぇ、正義。
私は適当だから、足して割れば丁度いいのかな。
なんてね、ははは。
でも、その真っ直ぐさ、結構好き。
いいじゃない、一緒にいればバランス取れてるわ」
[運命の輪は幸運と不運を繰り返す存在です。
そして、それぞれを自分の意思で呼び込むことの出来る「贈り物」も持っていました。
生まれたばかりの頃の運命の輪は、幸運が訪れても、未来に訪れるであろう不幸に怯えていました。素直に幸せが喜べなかったのです。
なぜ幸運だけを与えてくれなかったのか、と運命の輪は神様を恨んだりしました。けれど、不幸の後に幸せが必ずあるとわかっていれば、希望も抱けました。
ある時、戯れに自らの身に運命の輪は不幸を呼び込んでみました。来るなら来い、とあらゆる対策をしておきました。しかし、その不運は対策を超えてやってきました。運命の輪は悔しくなりました。
それと同時……面白くも思いました。次こそはうまく交わしてみせる、と思いました。それは、幸運だけを貰っていたなら味わえない感覚だったことでしょう。]
[やがて、運命の輪は幸運も不運もどちらも楽しむようになりました。何度も繰り返すうち、心構えが出来、慣れてしまったのもあるでしょう。]
「こんなに素敵な力を貰えた私は、神様に一番愛されているに違いないわ」
[運命の輪は、勝ち気で強気で傲慢でクソ強メンタルでした。
不運でケガをしたとしても、けらけら笑って受け止めるようになりました。
自分に幸運を呼んでは訪れる不運を笑い、不運を呼び込んではその後の幸運に喜び、気に入らない者には少々不運をもたらしたりなど、贈り物の力を自分の為にフル活用して遊んでおりました。
正義に窘められる時があれば、多少自重もしましたが。]
[けれど、そんな運命の輪も、愚者が悪魔に殺された時には、自らの力を使うのは控えていたのです。本当は、皆に幸運を与え、守りたく思いました。しかし、それをすると後でどんな不運がやってくるのか、わかりません。ほんの些細な力がどんな影響を及ぼすか、その時の運命の輪は怖れておりました。
つまり、運命の輪が誤って節制に殺されたのは、本人の力とは関係のない偶然の「不運」だったのです。
普通の人間にとって「失敗作」である証持ちは、教典の中でより愚かに書いた方が教訓になったのでしょう。
もし、運命の輪を愚か者として教典に書いた者本人と出会えたならば、運命の輪は厳重に抗議し、最も強い言葉で断固として非難しつつ、蹴りの一つでも食らわせたことでしょう。]
「 大丈夫、大丈夫。
バランスはいつか取れるよ、不運も幸運も量は同じだもの。
ねえ正義、愚者は欠けてしまったけど。
ちょっとくらいズレていてもいいじゃない、ご愛敬ってやつだよ、私だってついているし……、 」
**
[怒れなかった。
苛立ちは人の輪をささくれ立たせるから。
悲しめなかった。
悲しむ人がいないようにと願っていたから。
だから笑っていた。
本当はずっと辛くて苦しかった。
]
『ねえ どうして どうしてなのでしょう』
『どうして何も 変えられなくて』
『ただ不自由なくいることができないのか』
[それが幸せだと思っていたのに。
漂う昏い空気、減りゆく人数。
嘆いても声を上げても、崩壊は止められなかった。
ああ、ねえ、いっそ、もしかして]
[
『愚者』が死んだ日、僕が『悪魔』を殺していたら
]
[それが負の連鎖のはじまりにしかならないことは、わかる。
けれどもしも、そうもしもの話。
失うものがそれだけで済んだんじゃないか、間違っていたのは僕なのではないか、そんな疑念が、薄く薄く何枚も何枚も、重なって、重なって、もう、呼吸もできなくなっていて]
[思考が濁る。
これ以上誰も 失いたくなくて
誰が死ぬところも見たくなくて
なのに伸ばした手は届かなくて
悲鳴も怨嗟も 聞きたくなくて
眠れない日々に泣きたくなくて
]
[そう言って、首を掻き切った。
他愛無い、世間話のような時間だった。
ほんの一瞬。会話の延長線みたいに、隠したナイフが喉元に触れて、真横に引かれた。
ああ、ねえ、ごめんなさい『死神』。
誰が死ぬところも見たくない僕が、あなたにこんな瞬間を見せてしまうこと。
それでも、あなたの隣がよかった。
あなたに話を聞いてほしかった。
これは何も変えられなかった僕の、最期のエゴ]
[暑い日の木陰、時折吹く涼やかな風を受けながら飲んだ冷茶とよく冷えた果物。
寒い日の暖炉前、煌々と燃える火に温められながら飲んだ温かいスープと焼きたてのパン。]
あちっ!
「きゃっ、大丈夫?」
ふふ、焼きたてが好きだから焦っちゃった!
[たわいもない会話が楽しくて何を話しても心地よくて
心配事や悲しい話は二人で涙したり、互いの恋の話もした……かもしれません。
いつも何度繰り返してもかけがえのない時間だったのです。
それが、いつのまにか。]
(どうしてこんなことになったの?)
「女教皇様、ご決断を」
「女教皇様、どうかご決断を」
(どうしてわたくしなの?)
[人々が口々に迫ってくる。
わかっている、決断の時をこれ以上遅らせられないと。
嗚呼そんなに責め立てないで。
わかっている、わかっている。
わたくしが隠者の狂いを正せないのならば、
隠者がわたくしの声にも耳を貸してくださらなくなってしまったなら。
わたくしたちは。
わたくしは。]*
[ 『死神』は、私に『愛』について尋ねました。]
『愛』について?
ふふ……貴方も、そのようなことを
考えるようになったのですね。
私も嬉しいです。
大丈夫。難しく考えなくても良いのですよ。
愛とは、誰もが持っている感情です。
人を、物を、世界を。
そのもの全てを慈しみ、大切にしたいと思う心。
たとえば、庭に咲く花をいとしく思えば
それは、花を『愛している』のです。
もっと身近な喩えとなりますと
私は汚れ無く、優しく、美しい心の持ち主である
貴方のことを『愛しています』。
人でも、物でも、何でも。
大切に思えば、そこに愛が宿るのです。』
[ 教皇は、純粋で汚れ無き存在の『死神』を愛していました。
質問があれば何でも答え、望みは何でも叶えました。]
── 『教皇』の記録(紛失部分抜粋) ──
[ 『教皇』は、仲間達に慈愛を与える中
時折、思い詰めた表情を見せることがありました。
しかし、誰かが気にして尋ねたとしても
「大丈夫です。気にしないで下さい」と
悩みを明かすことはありませんでした。
『教皇』は授かった “贈り物” について悩んでいました。
何故、このように危険な、悪く言えば暴力的なものを
賜ったのだと、神に直接問うたこともありました。
神は「清き心を持つ『教皇』だからこそ渡した」と仰いました。
しかし、神では無い教皇は知っていたのです。
人間は完璧では無いことを。
誰もが皆、内に醜い心を秘めていることを。
教皇自身もまた“悪の性質”を備えていたことを。
]
[ 『教皇』は、普段の慈愛に満ちた姿が嘘のように、
時折、苛烈な一面を見せていました。
元から、敵や悪しき者には
容赦なく断罪を下す傾向がありましたが
それとは違う、命の尊重の度合いが変わっていたのです。
その一面が表立って見え始めたのは
『悪魔』が『愚者』を殺した時からです。
それがきっかけで『悪魔』と『吊るされた男』が
対立し始めました。
教皇は、吊るされた男のことも可愛がっており
彼が自ら命を絶ったと聞けば周囲は
「教皇は悪魔を酷く問い詰めるのではないか」と思われ
実際、この時は悲しみに暮れる『死神』の分も含め
『悪魔』と対立していました。]
[『死神』は教皇の近くに居ることが多かったので
事細かな変化に早く気付いたのかもしれません。
箱庭内の争いが過熱する中、既に幾つもの血が流れ
生命が消えてしまいました。
教皇の様子は、表向きは普段と変わらないままですが
実際は、目に見えて変わり始めていたのです。
混沌が加速し、既に大半の命が消えた頃
『死神』は、教皇と言い争うことが多くなり
教皇もまた、避けるどころか
対立を隠さないようになりました。]
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