人狼物語 三日月国


221 Pledge ~sugar days~

情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 エピローグ 終了 / 最新

視点:


[現状、仕事の繫がりはないものの。
 自身の営業スマイルは既に威優も体験済みであり、
 その彼からもお墨付きをもらっている。

 おどけた言葉に威優も笑う。
 きっと出会った頃を思い出したのだろう。
 今となってはその時よりも、
 笑顔が表情に出やすくなっている。

 秘書室の定員に上限がないことを聞けばまた、
 安堵に口元が綻んだ。] 

 
  そっ……か、よかった。

  もし配属先聞かれたら秘書室希望したくて、
  それまでに資格は取るつもりだし。
  一度目では無理でも、
  何度か希望出してみようと思ってる。  


[秘書課に配属されたなら、
 今回のように出張があっても同行する機会を得られるかも知れない。]


  ははっ、癒やしが欲しくなったら
  会いに来てくれてもいいよ?


[威優も肯定的であることにホッとする。

 世間的にも、性格的にも庇護欲の強い彼のことだから、
 多少の波風が立っても護ろうとしてくれるだろう。
 
 それでも、愛されるだけに落ち着かず
 愛することを選んだから。
 私生活だけでなく仕事面でも支えていきたい。]

 
  ……なんて、言ってるけどさ。
  力になりたいんだ、威優の。

  仕事中に顔も見られるなら、オレも安心するし。


[やがて、知識と機会を身につけていけば、
 彼の目の下の隈も減らしていけるだろうか。]

[声が跳ねる。素直に反応を示すところが可愛い。
 会えると思うなら移動は苦にならない。
 寧ろ自宅で待っている時間のほうが苦痛だから。]


  ん、旅行気分で行くよ。
  威優が仕事してる間は観光してるし。

  夜だけでも直接会いたい。


[もし、明日戻ると言われていたら、
 笑いながらも受け入れていただろう。
 それくらい、自身も威優に飢えていたから。]

[喉を鳴らす音も隠しきれない程興奮している。
 自分でオナニーしていてもこんなに敏感に反応はしなかった。

 威優の言葉たった一つで身体が熱を持つ。
 いつか威優が言っていた言葉を思い出す。
 その内本当に名前を呼ばれるだけでイくかもしれない。
 興奮に上擦った息を零して、瞳を蕩けさせ
 濡れた下着を引っ張れば、後孔が疼いて。]


  ……ンッ、もう、濡れてるッ……、
  

[電話口で伝えながら、
 彼の眼にも映っているのだろう痴態を告げられて、
 触れられてもいないのに犯されたような気分になる。]

[威優に直接、ではなく。
 カメラに向けるのは少し、躊躇いがあったけれど。
 見たい、と言われてしまえば弱い。]


  ……ッ、んッ、……


[一度スマホを手に持ち、雑誌の山を作ると
 スタンド代わりにしてスマホが立つ。

 小さなレンズを見失いそうだけれど。
 画面には威優の顔が映ったままだから、寧ろ。
 そちらと目を合わせるようにした。

 ゆっくりと時間をかけて股を広げていく。
 視られているのが威優だと分かっていても、
 少し、羞恥が浮かぶ。]

[股の間には勃ち上がった昂りがピンクのレースを
 押し上げて隙間から濡れた下生えを晒し、
 殆どと布地のないような紐が戸渡りから後孔へと続いていた。
 頬を朱に染め上げながら、指先で紐をズラして
 ひくついている後孔を画面の威優に見せる。]


  ……、ッ、はぁッ、……


[こぷ、と愛液が呼吸するように溢れて。*]

[同じ会社で働くことを提案したのは
彼が興味を示してくれたのがきっかけで、
今の会社にΩ差別が存在している事実を知ればますます
自社の方がよりストレスなく働けるのではないかと思った。

そこからの配属は基本は本人の希望を汲むようにしている。
様々な経験を積みたければ数年で人事異動にかけるし
営業をずっと続けたい熱意がある者にはそのままの立場で
給与が上がっていくように手配するのが上の者の務めだ。

志麻は今広報をしていると言った。
転職して仕事に慣れない時期は、
業種が異なっても使うソフトなどはあまり変わらない広報を
希望するのかと思っていたし、
かといって「広報が良いと思う」なんて
影響力が強い己が言ってしまわないように気を付けていた。

「秘書検定に挑戦する」と聞いた時には
己の傍に来てくれることを考えているのだと
嬉しくなったものだ。]


 うん、資格がなくても助手は出来るけど
 俺の仕事に同行したり、スケジュールを管理するのは
 資格を取ってからになるね。


[一度希望に添えなくても、そこから資格を取って
もう一度挑戦して希望が通るのが自社の良いところだ。
くじけず目指して貰えることが、
「落ちたら何とかして」と安易に頼らないところが、
愛しくて堪らない。]



 癒されに行って戻りたくなくなったら
 結果的に出張が伸びるからね、
 悩ましいよ。


[そもそも己が先延ばしにしていたからこんなに一度に
回らないといけなくなった訳で。
完全なる自業自得なので、この度は真面目に専念すると
決めたのだ。

志麻の声を聞いていると、顔を見ていると、
その決意も揺らいでしまいそうなのが辛い。

冗談めいて言った言葉の奥に、
「会いに来てほしい」が透けて見えるだけに、余計に。]

[今でも充分心の支えになっているけれど、
志麻が目指す「力になる」というのはもっと
物理的なことだろう。
だから現状で「充分」と口に出してはいけない。

その代わり]


 嬉しい。
 俺といる為に志麻が頑張ってくれることが
 幸せで、嬉しい。

 ありがとう。


[週末、逢いに来てくれることも含めて礼を言う。
歓びの気持ちも隠すことなく。]

[先日から薄々感じていたことだが、
対志麻で己は変態になるらしい。

尻孔を拡げて見せろ、とビデオ通話で要求し、
素直に従ってくれる彼がまだ紐にしか見えない下着を
纏っていることに興奮している。

躊躇があるのだろうに、
己の目には焦らされているように映ってしまって、

待っている間に自分の息で画面が曇ってしまいそうな位に
スマホを握り締めている。
片手で何度も強く陰茎を擦っているのだから
客観的に見てかなり変な姿だ。]


 ああ、出て来た。
 志麻が「俺がほしい」って時に出すの、
 胃が疲れててもいくらでも飲める気がする。

 いっぱいびちゃびちゃ音を立てて弄ろうか。
 合わせて俺もこっちでペニスを扱くから。


[ふ、ふ、と扱くのに合わせて息を荒くする。
志麻の内部で果てることを覚えた自身は
己の手淫で達することができるか――

長くかかりそうな予感がする。**]

[威優の働く会社が前社に比べて福利厚生も充実してあり、
 Ω差別もなく、社員に向上心があると知るのは
 志麻が無事就職を果たしてからになる。

 大守の血筋が番を大切にするように
 社員も会社自体も大事にしていれば
 その血が途絶えることもない理由が分かる。

 前社での部署は希望を出して配属されたわけではないが、
 主にバックアップ面で人につく仕事は性に合っていた。
 故に、秘書に興味が湧いたのも、
 威優を支えたいという思いの他に、
 仕事としてやり甲斐を感じられそうな気がしている。

 転職への準備の間、威優は手を差し伸べながらも、
 彼自身の希望や意向は口に出さなかった。
 志麻の希望を優先してくれたのだろう。

 そのことが、
 信頼を向けられている気がして、見守る姿勢が嬉しい。]

 
  じゃあ尚更、資格は急いだ方が良さそうだ。


[悩ましいという声が
 真剣な響きを含んでいて笑い声が漏れた。

 どんな些細な悩みも共有したい。
 それが努力で補えることなら労力も厭わない。
 それだけ真剣に人と向き合うことを、
 思い出させてくれたのは他でもない威優だから。]


 
  ……うん。
  威優が喜んでくれるなら、オレも嬉しい。


[幸せと感謝の言葉が胸に染み込んでいく。
 それだけで、満ち足りていくほど──、幸せだ。]

[後孔から溢れた愛液が臀部を濡らしてシーツに染み込む。
 その箇所を晒すまで威優の言葉が途切れたのが、
 余計に羞恥を煽り、スピーカーから聞こえてくる
 衣擦れの音と威優の呼吸音だけが響いていた。

 とろりと零れていく愛液を威優が指摘する。]


  ……ぁ、……ッ、は、……


[飲めると言うだけで舌で嬲られたことを思い出して、
 こぷりとまた愛液が溢れ、中の蠕動を伝え。]

[溢れた愛液を指で掬い、濡れた中指を
 つぷんと第一関節だけ差し込んだ。]


  ッ、ぁ……んんッ、
なか、あつい、ッ……



[威優とセックスするようになって一人遊びを
 長らくしていなかったから久しぶりに
 自身で中の熱さを指で感じて熱にほぅ、と吐息を零す。
 愛液で滑りがよくなった指が、ぬぷ、と深く埋まっていき、
 注挿を繰り返せば、快楽が滲み瞳が潤み始め。]

 
  ……ん、ぁッ、
……んンッ……


  ……
はっ、
、……い、ゆぅッ……、のも、
  かたく、なって……る、……?


[荒いだ息が聞こえてくる。ふと視線を上げて
 画面を見れば慾を称えた彼の瞳がこちらを向いている。*]



 頼もしいな俺の奥さんは。


[己に仕事を減らさせる方向ではなく、
自らが時間を作る為に動ける。

それを義務ではなく「やりたいこと」と捉えてくれるのが
堪らなく嬉しい。

こんなに想ってくれる相手だと知ってから番ったのではなく、
どうしようもなく手に入れたいと思った相手に
愛される歓びを実感している。]

[カメラの向こうでは、志麻が自らの身体を慰めている。
快楽の発散の為ではなく、己の慾に晒されることを望んで。

熟れた肉を拓いて指が沈む。
音量を大きくしたスピーカーから、
くちゃりと卑猥な音が響いた。]


 ん、志麻のえっちな姿を見て、
 俺のも堅い、 ……っは、


[スマホを持ち上げ、己の局部を映した。
接写すれば顔は画角に入らなくなるが、
志麻の視線がきちんと注がれるように。

既に先走りでしとりとしている陰毛、
血管が浮いてごつごつした幹。

それを扱く指は、暫く志麻を愛撫しないのに
いつも通り深爪に近い短さに揃えられている。]



 見えるか?
 いつもこれが、志麻の尻に入って、
 ぐちゅぐちゅに掻きまわして、
 子宮にめり込んでる。


[てらてらと光る先端を映した後、
今度は顔も映す。

すると彼の痴態も目に映った。
視線の鋭さが物理的に彼の蜜壺を犯せたら良いのに。]



 は……――――
 志麻のナカに出したい……


[切なく歪んだ声が、射精が近いことを伝えた。*]


 
  ……ッ、


[奥さんという響きにドキリとした。
 番よりも婚姻することを掻き立てる表現。
 威優は無意識かもしれないが、本当に籍を入れて
 彼の伴侶になるのだと思うと込み上げるものがある。

 自身のやりたいことが彼に繋がるように、
 そして家族にも広がっていくように、
 大切に育てていきたい、この想いを。]

[くちくちと音が立ついやらしさに煽られて、
 指の動きが大胆になっていく。
 入り口だけを擦っていたのが飽き足らず、
 指を深く埋めて奥を目指し、届かないことに身悶えて、
 慰めるように浅い部分を突いて。

 電話越しに威優も興奮しているのが伝わる。
 言葉の中に混じる熱い吐息や、
 彼の声に挟むみたいに聞こえる水音。

 それが、もっと分かりやすく画面越しに映し出されて、
 そそり勃ったものに思わず舌を伸ばした。]


  はぁ、ッん、……みえ、てるッ……、
 

[その太さを堅さを、身体が覚えている。
 中に溶け込んだ指を後膣がきゅう、と締め付ける。]

[息が上がる。
 互いの高揚で部屋の湿度も増しているみたいに。
 言葉にされる度に、切なくなって
 指を締め付ける内壁が彼を欲しがっている。]


  んぁ、ッ、アッ、い、ゆうの、ッ……、
  はいっちゃ、うッ、ぁ、っぁんッ、

  ん、ンンッ、ぅッ♡


[慰めているのは自身の指のはずなのに、
 まるで威優に犯されているみたいにくらくらする。
 彼の言葉通りにぐちゅぐちゅと卑猥な音を立て、
 内臓を掻き回せば、愛液がどんどん溢れていく。]

[空いた手でぎゅうと乳首を虐め、
 後膣を弄る手の動きが追い立てるように早くなる。

 なのに、足りない。
 指じゃ威優が突き上げる最奥までは届かない。
 切なくて目尻に涙が浮かぶ。]


  
……いゆ、ぅの、で……イき、たいッ……、



[身体はもう充分に射精感を訴えるのに、足りない。
 威優が、足りなくて。苦しい。*]

[志麻が言葉に詰まる。

カメラを起動して貰っていて良かった。
「奥さん」と評した時の反応が見たかったし、
見たかった通りの表情が見られたから。

ふ、と己の表情が緩んだのも彼には見えただろう。]

[画面上では志麻が赤い舌を伸ばしてくれたのに
その感触は己には届かない。
ぬめった熱い粘膜で己を包み込み、先端が喉奥で揺れる
小さな肉片をぴとぴとと押す快感を得られない。

こんなに鮮明に見えているのに、切ない。

抱きたい、と小さく弱音が零れた。]


 ああ、こんなことなら
 俺のと同じくらいの大きさのディルドでも
 置いておくんだったな。


[そして己は彼のを模したオナホールでも、と思ったが、
余計空しくなりそうだ。
形だけが「彼」ではない。
熱や湿度や息遣いがすべて必要なのだ。]

[志麻も同じ気持ちなようで、
身体は十分昂っているのに射精に至らずに苦しんでいる。
酷なことをしてしまったか、と悔やんでも遅い。]


 じゃあ後ろは俺がはいるまで取っておいて。


 ……ベッドの傍の引き出しに、透明なビニル袋があるだろう?
 いつもティッシュを棄てる時に使ってる。
 それをスマホに被せられるか?


[此方はスーツケースの中から同様に
透明なビニル袋を取り出してスマホを入れる。

少し視認性は悪くなるが仕方がない。

彼の準備が整うのを待つ間、
萎えてしまわないよう裏筋をくちくちと弄っていた。]



 出来たか?
 じゃあ、画面にペニスを――……

 そう、カメラ越しに兜合わせなら、
 そのままイけるかも。


[昂ったまま達することなく電話が終われば
二人とも夜を持て余すことになりそうで。
今すぐ逢えなくても、何とか志麻と「ふたりで」
気持ち悦くなりたいと考えた末の提案だった。*]

[自身の挙動一つで威優が表情を変えていく。

 嬉しそうに目尻が綻んでいく顔も、
 触れられずに歪んで切なく寄せられる眉も、
 どれも、自身が引き出したもので、
 自分だけしか見られないことに愉悦を覚えた。

 それは自身にも言えることで、
 威優の些細な表情に変化や声色に一喜一憂してしまう。

 抱きたい、と小さく零れた声に息を呑んだ。]


  オレも、……威優が、ほし、い……ッ、
  お、もちゃじゃ、やだッ……ぁ、


[形だけ同じものではなく、威優の熱が欲しい。
 自身を繋ぎ止める楔だけじゃなく、
 頬を濡らす涙を拭う手が、産毛を擽る吐息が、
 全身で感じられるぐらい全部、威優に差し出したくて。]

[威優の前だとぐずり癖がついたみたいに、
 いやいや、と子供のように首を振って駄々をこねてしまう。
 それは身体を繋げているとき程、顕著に現れた。
 イきたくてもイけないのがつらいと嘆いたら、
 お預けを告げられ、指を引き抜いた。

 奥はまだ疼いていたが、足りない刺激を送れば
 余計切なさしか残らないだろう。]


  ……ン、……引き出し、


[四足歩行の動物みたいに、ベッドの上を這う。
 勃ち上がったままの昂りで歩きづらい。
 乱れた浴衣を引きずり、カメラにお尻を向けながら
 ベッドサイドに向かう様子も全て映っていただろう。]

[目当てのものを手に取って戻れば、
 教え通りにスマホをビニルの中に包んで。]


  ……、……?


[ここまでしても威優の意図が掴めずに、
 透明な覆いの中のスマホを覗き込んで、
 こてんと首を傾けたら、少し籠もった音声が
 またいやらしいことを口にした。]


  ッ、……画面越しって、


[かぁ、と頬が熱くなる。
 威優が見せたように画面いっぱいに自身の昂りが
 映り込むということに一瞬、躊躇う。]

[だけど、このままではイけそうにない。
 兜合わせということは彼も同じことをするのだろう。
 それなら、確かに、一緒にシた気持ちになれる。

 溶け始めていた理性は、簡単に籠絡されて。]

 
  ……、ッ、ん、……こ、う……?
  ぁッ、すべ、って、ぐじゅって……するっ、……


[おず、とスマホを裏筋に当てて、上下に擦り上げる。
 つるつると滑る感覚は、少し似ていて。
 は……、と熱の籠もった息が漏れた。

 淡い刺激なのに、予想以上に感じている。*]

[互いが欲しくて始めた自慰の見せ合いが
こんなにも切なくなるとは思ってもみなかった。

彼を想い一人で慰めていた夜中は
セックス程の快感は得られなくても射精には至っていたから
こんなことは初めてだ。

ギリ、と歯軋りする。

どうして今、おもちゃじゃ嫌だと泣く志麻の
涙を舐めてやれないのだろう。]

[このまま同じ個所を弄り続けてもお互い辛いだけだ。
かといって、こんな状態で止めてしまうなんて、
切なくて気が狂ってしまいそうだ。

二人でしている気分になれることを考えて思いついた案は
志麻には予想もつかないことだったようだが、
寂しさにぐずついていても、己の言葉通りに
動こうとしてくれるところがいじらしい。

画面に映る乱れた浴衣と白い尻。
少し遠ざかるだけでも猛烈に寂しくて
追いかけたくなるのに捕まえられない。]


 そう。
 ああやっぱりビニル越しだとちょっと見えにくいな。
 でもそのままシて壊れたら明日絶対後悔するし……


[画面に直接性器を当てるのはリスクが高い。
スマホにとってだけではなく、スマホにもし何かが
付着していたら、性器が荒れてしまうかもしれないから。]


 はは、真っ赤になってる先っぽが見える。
 そこにくっつけるから、な……っ


[彼が先に示してくれた位置に合わせ、
己の先端を当てる。
感触は無機質なビニルだが、
視覚的には実際に志麻としているような画となって、
己の手で擦っていた時よりも興奮する。

ぷくりと浮き上がった先走りが
ビニルの皺を伝って画像を乱した。]



 好きだよ、志麻。
 先っぽくっつけたまま腰を動かせる?
 そう、俺をよく見て、

 ああ、やばいな、 ……本当にシてるみたいだ。
 志麻のペニスから出てる音もちゃんと聞こえる。


[はあ、はあ、と荒く息を吐く。

本来兜合わせをするなら、正面を向けば志麻の顔が
見えるだろうが、彼の顔は小さな四角の中にしかないので
必然的に下を向くことになる。

すると、開けたままの口から唾液が垂れるのも
止められず、ぽたぽたとシーツにシミが落ちる。

きちんと精嚢が重くなっていくのを感じる。
このまま擦っていけば達することができるだろう。
願わくば、君と一緒に。**]

[威優を考えて一人で慰める夜が数えるほど合っても、
 どれも、結局最後まで果てることはなかった。

 自慰が減っていったのは達しきれない切なさを
 繰り返してしまったせいでもある。

 もう一人では満たされることはない。
 ぐずついて泣いてしまうぐらいに威優がいい。

 威優じゃないといやだ、と告げた告白は、
 今や、志麻に繋がるもの全てに影響を与えている。]

[ビニル越しの威優の顔は少し歪んで見える。
 多少歪んでいても格好いいと少し見惚れてしまう。

 もとから造形は好みの顔をしていたけれど、
 今となっては、嫌いな箇所を上げるほうが難しい。

 スマホに陰茎を直接擦り付けるのではなく、
 しっかりとビニルを取りにいくことを選ぶ配慮も
 ただ精密機器が壊れることを危惧してのことじゃないことも。]

 
  ぅ、ンッ、もう、張り詰めて、いたい……、


[まるで性教育を施されたばかりの子供のような
 張りの現状を伝え、威優に助けを乞う。]

[すり、とビニルの上で腰を揺らすと、
 先端の膨らんだ陰茎がレンズの上を往復した。
 液晶の向こうでは同じように
 威優の太くて赤黒い昂りが画面を上下している。

 見て、と言われて画面を注視すれば、
 威優の切なげが表情が、しっかりと映り込んでいた。]

  ッ、ぁッ……ン、いいッ……、
  これ、ンッ、いゆうっ、と、シてるッ……、

  
ぁ、ぁんッ、
きもち、いッ……ッ、
 

[擬似的な兜合わせでも、先程より一体感があって興奮する。
 腰を突き出して、スマホに押し付け。
 腰の動きと合わせるようにスマホを持つ手も、
 次第に快楽を求めて、揺らぎ始め。]

[くちゅくちゅと水音が響く中に、
 ビニルのザラザラと擦れ合う音が交ざり、
 摩擦が激しくなっているのが分かる。
 どちらのマイクから拾っているのかもう分からない。 
 見下ろしている表情が、
 威優と抱き合っている時みたいに蕩けて。]


  んッ、おと、きこえるッ……ぁ、ッ、
  い、ゅ、……いっしょ、にッ、

  ぁッ、んンッ、んッ!
  も、でそ、ッ、……イく、ッ
  ……イッ、
────ッ !


[スマホを持つ手が震え、腰がびくつく。
 ぴゅくっと勢いよく飛び出した白濁は、
 画面を濡らすと共に、
 見下ろしていた自身の顔にも飛び散って。**]

[ビニルが彼我のカメラに掛けられただけで
途端に随分と離れたような気持ちになる。
なまじ解像度の高いカメラが搭載された機種だけに、
歪みが煩わしい。

それでも、不自由さを感じるとしても、
「志麻と一緒」が良い。

ビニルが擦れる音に合わせ、水音が響いた。
マイクの近くだから、息遣いよりも大きく聴こえるだろう。

己の耳に届いているように。]



 あんまり激しく押し付けたら
 摩擦で切れるかもしれないから慎重にな。


[己がよく彼の状態を言語化するからか、
彼も自己申告に抵抗がなくなってきているように思う。

痛みを感じる程に張り詰めているのは
志麻が己を
しているからで、
それでも自慰で射精に至らないのは
己が志麻をそうなるまで
してきたからだ。

擦れる音に負けないように告げる。]


 好きだよ、志麻。
 っは……兜合わせ、きもちいぃ、な?


[実際に触れているのは相手の性器ではなくとも
お互いがこの行為をそう呼ぶなら
これは「兜合わせ」だ。]

[あんなに遠かった射精感がこみ上げてくる。
志麻の方も同じ焦燥感を抱えているようで嬉しい。]


 俺も、イきそう。
 志麻、志麻……ッ ぁ、イく……っ


[びるるるる、とビニルが震える音がした。
電話の向こうでは大きなノイズになったかもしれない。

己の精液で画面が遮られ、よく見えない。
それでも、画面の向こうも己の像に向けて
射精していると確信したまま、何度か腰を振って新しい白濁を飛ばした。*]

【人】 田臥 志麻

── *** ──

[───そんな、蜜月は今もまだ続いている。
 
 贈られた浴衣に袖を通すことに慣れた今でも、
 着付けは威優に任せたままだったり。
 弟からのLINEに翌朝になってから気づくほど、
 威優とベッドの上で溺れたりして。

 威優の三週間の長い長い出張も終えた今、
 志麻は────、ダイニングのテーブルに
 テキストを広げて文字の羅列とにらめっこしている。

 試験は来週末。
 問題への予測も出来ているし、9割近くの正解率を
 自己採点では出しているから多少余裕はあれど、
 日が差し迫るとのんびりとくつろいでも居られない。

 専属の家庭教師が、様子を見に来るまでは、
 一人、ワイヤレスイヤホンを耳に付けて
 お気に入りの洋楽を流しながら、
 シャープペンシルをノートに走らせていた。*]
(0) 2023/08/28(Mon) 20:59:27
[慎重にという声に頷くことはしたものの、
 擦り付ける動きは止まらなかった。
 ほんの少しだけ、腰を揺らす動きを緩やかにして
 それがまたもどかしくて瞳を覆う水膜が厚みを増した。

 一緒に気持ちよくなっていることを知ってほしい。
 淫らな言葉を口にすることも厭わずに
 只管、快楽を追い求め、二人で悦くなりたくて。
 
 低温の甘やかな声に名前を呼ばれたら、
 鼓膜まで性感帯になったみたいに快感が突き抜けた。

 自身の飛沫がスマホを汚していくのと同時に
 画面の向こうで、威優の切羽詰まったような声と、
 薄い被膜が擦れる音が聞こえる。

 達した後の余韻に惚けながら、視線を落とせば。
 スマホに映る威優の顔を自身が吐き出したものと、
 彼が吐精した精液が重なって、汚して。]

[まるで自身にも吐精されたみたいで、
 ぞくんと達したばかりの腰が震え
 刺激も与えられていなかった後膣がまたきゅんと疼いた。]


  ……、は……、ぁッ、……


[熱っぽい息が、また、零れる。]



            
              
……会いたい……、




[吐精しても尚、彼の熱が足りない。*]

[ビニルが擦れるにつれて皺が寄り、
画面が更に見えにくくなる。
その分、己の様子は言葉にして伝えたいと思った。

達する時、実は上擦る声が聞いていて不快なので
普段は呻きに留まるように必死に声を抑えているのだが

今日は志麻と一緒に高みに上りたくて
解放時にそれと伝わるように言葉にした。

やはり己の声は好きではないが、同時にスピーカーから
聞こえて来た志麻のアクメの声がその不快感を相殺してくれた
気がする。]


 ……ビニル被せてて良かった。
 べとべとだ。


[射精後の脱力感で、苦笑も緩慢だ。
汚れた部分が内側になるように慎重に剥がし、
口を縛る。]



 ……体調不良にでもなるか。


[切ない呟きに返すのは、少し弱った声。]


 ほら、実際、胃が弱って今日の夕飯を
 部屋でとったくらいだし。


[「今すぐ行く」と強引に行動に移さないことから、
この度の出張が早々キャンセルできるものではないことが
志麻にも伝わるだろう。

立場があることをこんなに苦しく思う日が来るなんて、
思ってもみなかった。]



 志麻が有休使って来てくれる?


[思わず言い出してしまうくらいには、志麻が恋しい。*]

【人】 田臥 志麻

[イヤホンを付けていても、
 周囲の環境が聞こえるくらいの音量にしかしていない。

 音楽に重なるように威優の声がすれば顔を上げ、
 風呂上がりの彼に、んー……、と。
 返答とも唸りとも取れる相槌を打つ。

 威優よりも帰宅が早い志麻も、
 彼より先にシャワーを済ませていた。

 風呂から上がった後も、浴衣を身に纏ってしまうと
 ついつい、だらけそうになってしまう為に
 外出にも使えそうなシープボアのカーディガンと
 ボトムスのセットアップを着ている。

 一緒に風呂に入りたい気持ちはやまやまあれど、
 ただ一緒に浸かって、だけで済ませられる気はしない。]
(5) 2023/08/28(Mon) 22:34:23

【人】 田臥 志麻

[自身に合わせてくれた威優のサポートもあり、
 ページの進み具合は順調といえば順調だ。
 複数ページについていたメモ付きの付箋も今は
 随分と減って、ノートの厚みも薄くなってきている。

 彼が手書きで書いてくれた付箋は、
 もう見ずとも答えられるが、捨てられないまま
 纏めてエシレのクッキー缶に詰め込んでいた。]


  ……順調といえば順調。
  暗記ものは概ね覚えられたと思うし、
  引っ掛けに躓くほうでもないから。

  ……お、サンキュ。


[暗記する方法はひたすら書いて覚える方が性に合っている。
 その話をすれば、数回読めば覚えると言った威優には、
 出会った時のように、わぁ……♡と、感嘆を零してしまった。
 このときばかりは地頭の良さに少しばかり嫉妬する。]
(6) 2023/08/28(Mon) 22:35:01

【人】 田臥 志麻

[濃茶色から甘い香りがする。蜂蜜だろうか。
 一口、口に含めばふわりとアルコールが広がって。]


  ……あ、これお酒だ?
  うまい。


[蜂蜜の甘さにほっとして表情が緩む。
 両手でグラスを包み込みながら、
 ストレッチ代わりに頸をぐるぐると回しつつ。]
(7) 2023/08/28(Mon) 22:35:13

【人】 田臥 志麻

 
  ほんと、焦ると計算する時にミスりそうでさ。
  どうせ仕事じゃパソコン使うんだし、
  試験でも計算機使わせて欲しい〜……。


[不安、というよりも半ば愚痴めいてしまう。
 ちなみに英語も、法律も。
 仕事で必要な箇所に集中的に絞って覚えた。
 地理だけは好奇心が勝って得意分野となったが。

 いずれ秘書室に就くのであれば、
 英語は必須になるだろう。
 今の会社でも使わないわけではなかったが、
 スキルレベル的には格段に上がっていくだろう。*]
(8) 2023/08/28(Mon) 22:36:29
[汚してしまったビニルを取り外して、
 歪みのない威優を映し出す液晶を改めて見る。

 滅多に聞けない威優の上擦った声に
 酷く興奮を煽られたから、
 今度ベッドの上でもう一度聞きたいとねだってみようか。]


  ……ははっ、オレも。


[苦笑する威優につられて笑い。
 もう一度ベッドサイドに寄ってガーゼを取り、
 顔にまで飛び散った飛沫を拭った。]

 
  
  威優とほんとにシてるみたいだった。 
  キス顔より、今のやつ録画したら良かったのに。



[綺麗に映るようになった向こう側に、
 片目を伏せてみせて、そんな冗談を口にする。]

[切なさが滲んだ声に、威優の声が重なった。
 役職以前に彼の性格上からも、出来そうにないのに。

 そんな言葉を口にしてしまうほど、彼も。
 会いたいと思ってくれていることに、
 今度は胸がきゅうと絞られるような感覚を覚え。]


  ……二人でサボっちゃう?


[だめ、とは言えずにサボタージュに誘うくらい。
 会いたい気持ちはより募ってしまったから、
 やっぱり遠距離恋愛になんて、向いてない。

 だから、珍しい彼のおねだりにグッと来た。]

[入社して以来有休は余り使えていない。
 今の会社を退職する直前に、纏めて使おうと思っていた。

 ならば、一日、二日くらい。
 許されるだろうか。

 瞬時にカレンダーを脳内に浮かべて、
 週末までの日数を数える。]


  ……、……行く。
  仕事が終わったら新幹線で。

  だから、……明日抱いて。


[もう、週末まで待てる気がしない。*]

【人】 田臥 志麻

[威優の地頭の良さは出会ったときから感じていたが
 生活を共にするようになり、家庭教師を任せた頃から
 より強く感じるようになった。

 勉強法が違うのはもちろん、要点の纏め方や
 教え方も相手に分かりやすく手法を変えている。
 地頭だけでなく性格由来のものも多分にあるだろうけれど。

 彼の好感が持てるところは能力をひけらかさらない点だ。
 ここまでくれば妬むどころか尊敬を覚えてしまう。

 まだ直接上司と部下の立場になったわけではないが、 
 威優なら間違いなく上司として、夫として、誇れるだろう。]


  そっか。
  最初は見慣れない単語ばっかりだったけど、
  新しいこと覚えるのって結構好きだから
  調子が上がってくれば勉強も楽しいよ。


[肩肘張らず、強がらなくてもいい。
 そんな環境下の中で集中できるのは有り難い。

 それは他でもない威優が与えてくれたものの一つだ。]
(12) 2023/08/29(Tue) 1:07:55

【人】 田臥 志麻

[こうして手渡してくれるさりげない労いも
 心が温まる心地で表情が緩む。]


  ホットミルクはたまになら嬉しいんだけど、
  実はちょっと甘過ぎて苦手。
 
  ああ、でもミルクにも蜂蜜入れるな。
  どうしても甘いものが欲しいときとか。

  これはちょっと苦味もあって好きだな。
  ……嬉しい。


[いつから用意してくれていたのだろう。
 大げさでもない、優しい励ましが心地良い。
 こくん、ともう一口飲めば、
 紅茶の奥に蜂蜜独特の癖が広がった。]
(13) 2023/08/29(Tue) 1:08:12

【人】 田臥 志麻

[電子機器は脆い。故障すれば自力で解決する他ない。
 威優の言い分も最もだけれど、小さく唸った。]


  そりゃそうなんだけどさー……。


[と、項垂れつつも続いた言葉には
 ぱっと表情を明るくしてマジ!?と声を弾ませた。
 とはいえ来週末に迫った試験に間に合うかは別の話。]


  んー?教えること?


[冷えたグラスを頬に添えて涼みながら、
 軽い調子で答えつつ、隣の威優を見遣った。

 「先生」の響きに、ふと悪戯めいた案が浮かぶ。]
(14) 2023/08/29(Tue) 1:10:21

【人】 田臥 志麻

[威優と話し始めた頃にワイヤレスイヤホンは
 外して、脇に寄せていた。
 今はスマホから細やかな音量の洋楽が流れている。

 試験箇所のお浚いはとうに二順している。
 追い込みと言っても切羽詰まった程じゃない。

 だったら、今必要なのは──、]


  ……じゃあ、
  
『格好いい専務を骨抜きにする方法』

  教えてくれる?

  威優せーんせ



[隣の"教師"に視線を合わせて、にやりと笑う。
 グラスを頬に当てたままあざとく小首を傾ければ、
 ガラスの中の氷がカランと、揺れた。**]
(15) 2023/08/29(Tue) 1:12:14
[情けなく上擦った声が出せたのは、
弱っている己の顔でも見たいと志麻が受け入れてくれたおかげ。

別の機会にベッドで聞かせられるかは、
余裕がどれだけ残った状態でセックスに至るかによるかもしれない。

余裕を剥ぐのが上手な番のことだから
きっと己が思うよりも早くその機会は訪れるだろう。]


 よく考えたら、俺はともかく志麻は
 後の処理を考えたらゴムの方が良かったかも
 しれないな。


[己は性器の形状的に市販のコンドームの装着が
困難なのだが、志麻はもし持っていれば、そちらを被せて
した方が飛沫を抑えられて後が楽かもしれない。

己とする時にはむしろべとべとにさせたいから
使う機会は限られているが。]



 感じてる顔を撮っても良いって?
 じゃあ今度「ハメ撮り」ってやつをしてみようか。


[出張が決まった時に、自宅にカメラを設置して
志麻の様子を観察したいと思わないでもなかったが、
盗撮は志麻を愛しているからというよりも
自己満足の為の行為に思えて止めておいた経緯がある。

本人が了承しているならいくらでも映像に残したい。
一人で感じている姿だけではなく、
己と繋がって善がる蕩けた顔を。]

[射精後の所謂賢者タイムも相俟って、
胸に穴が開いたような寂しさが募る。

何もかもを投げ出して傍に行きたいのに
何もかも失えば志麻との末永い未来がないと
理性がブレーキをかける。

弱った己に志麻の甘い誘惑。

窘めない彼も同じ寂しさを胸に抱えているのだろう。]


 ……明日?


[週末までには時間がある。
思わず脳内でカレンダーを展開した。

本当に有休を使う心算なのか。]



 滞在に必要なものは全部此方で手配する。
 だから荷造りしなくても良いよ、
 そのままおいで。

 明日が明後日になっても離さないから。


[明日、仕事が終わったら、というのが
志麻の仕事に対する責任感を感じる。
新幹線の時間を勤務時間中に早めたところで
此方の仕事が終わっていなければ逢えないという
冷静な判断も好ましい。]

[そうと決まれば明日の為に体調を整えなければ。
逢えると思ったら途端に身体に力が漲ってくるが
肝心の時に勃たないなんて困るから。


おやすみ、を告げる声は
もしもし、よりも明るく響いた。**]

[余裕に溢れた意地悪な顔で焦らされるのも、
 余裕がなくなった時に滲み出る声も、
 どれもが愛おしい。

 自分ばかりが夢中になっているのではないと
 思えるくらいに威優の気を引けているのだと分かれば
 破顔してしまうのも仕方がないだろう?]


  ゴムは……、
  威優のサイズのしか置いてない、から。


[自身用のコンドームは使う機会はないと思っていた。
 これからは避妊具として使うのではなく、
 栓をする役割として必要かもしれない。

 あれほどセーフティセックスを心がけていたのに、
 威優がコンドームを使うときですら、
 直接中に感じたくて使わないで欲しいと
 ねだるようになったのも志麻の一つの変化だ。]

[威優になら汚されても良い。
 汗と汁気でべとべとになって、
 零された白濁を舐め取りたいぐらいに。

 だけど「ハメ撮り」にはぎょっとしてたじろいだ。]


  バッ……冗談のつもりで言ったんだよ!



  ……でも、また出張があるなら、
考えなくも、
ない、けど。



[警備用のカメラですら意識してしまっていたのに、
 セックスしながら威優にレンズを向けられたら
 どうなってしまうか分からない。
 かと、言ってまた一人が続けば
 長い間彼を感じられないのも苦しい。

 羞恥と欲望を天秤にかける。
 それも、また威優の押しにかかれば
 なし崩しになってしまうのは時間の問題だ。]

[予定していたよりも早く、威優に会いたい気持ちが募る。
 画面越しに感じた熱をやはり直接感じたいから。
 明日といえば、少し間が空いて返事が戻る。

 さすがに性急過ぎたかと悔やみそうになったが、
 次に続いた言葉に心が凪いだ。

 明日抱いて、のアンサーに明後日まで離さないと
 言葉を選ぶ彼と想いを交わす。
 三角座りをして爪先同士を擦り合わせ、
 腕を伸ばした先のスマホに微笑んで。]


  …………うん。


[たった一言の相槌が意味を持つ。]

[明るく響いたおやすみにおやすみを重ねた後。
 自撮りにしたままのカメラに向かって、
 予告通りに目を閉じて、キス顔を撮る。

 瞼の裏に思い浮かべるのは出迎えてくれる威優。

 ああもう既に、──明日が待ち遠しい。**]

【人】 田臥 志麻

[試験勉強中のコーヒーの差し入れは、
 どちらが決めたわけでもないのに威優の役割となった。

 その時間を目安に休憩を入れる。
 一度のめり込んでしまえば集中は切れることはなく、
 威優が隣りにいても目の前の問題集に
 意識が向いて、浮ついた気分にはならずに済んでいた。

 もしコアントローを出されていたなら、
 喜んで口にしただろう。
 コーヒーとオレンジは相性がいいから。

 スナック菓子などは最近は食べない。
 代わりに、勉強の合間の糖分補給のために
 チョコレート掛けのオレンジピールや、
 ドライフルーツを常備していることを
 キッチンにも立ち始めた威優なら知っているだろう。]
(20) 2023/08/29(Tue) 17:48:06

【人】 田臥 志麻

[試験までの家庭教師役が終わっても、
 日常会話が通じるぐらいまでの英会話は引き続き
 教わるつもりでいる。
 そのことはまだ本人には確認していない。]


  ん、じゃあその時は威優の分も一緒に。


[美味しいと感じたものを二人で分け合うのも、
 二人で暮らし始めて当然のようになってきた。
 
 蜂蜜の香りがするお酒のように、
 威優との会話は酩酊感があって癖になる。]
(21) 2023/08/29(Tue) 17:48:22

【人】 田臥 志麻

[世界で30億再生も流された結婚式の定番のラブソングが、
 70歳になっても君を愛していると歌っている。

 「先生」よりも詳しいと指摘された生徒は、
 反応に笑いながら、少しだけ口を尖らせた。]


  だーめ、威優は今「先生」なんだから、
  オレにちゃんと教えてくれないと。


[取り上げられたグラスを視線が追いかける。
 間接的なキスでときめいているのが可愛らしい。
 ふふ、と思わず声に出して笑い。

 添えられた手の甲に甘えるように頬を寄せる。]
(22) 2023/08/29(Tue) 17:48:42

【人】 田臥 志麻

[今まで海外に大して興味が湧かなかったから、
 英語も学校で教わった程度の知識しかなく、
 英会話となれば実践での使い方の違いに驚いた。

 まずはヒアリングからを意識して、
 映画は字幕版を見るように意識し、
 普段何気なく聞き流していた洋楽も
 意味を調べるようになれば曲に深みが出てくる。

 不意に威優から投げかけられる英語での呼びかけに
 最初は「Please say it again」ばかりを
 繰り返していたときもあった。]


  今日はもう止めとこっかな。 
  マンゴーのドライフルーツまだ残ってるよ。


[一度途切れた集中力を再び湧き起こすより、
 時間を置いたほうが気分転換にもなる。
 
 短い夜の貴重な時間、
 威優と共に居られる時間も、作っておきたい。]
(25) 2023/08/29(Tue) 21:29:07

【人】 田臥 志麻

[ふと威優が歌詞の一部を口にした。
 プレイリストに入れていたお気に入りの一曲。
 彼も気に入ってくれたなら、嬉しいけれど。]


  毎日君に恋してるってやつ?
  聞いてると落ち着くんだよね、この曲。


[彼が口にしたフレーズを和訳で繰り返し、眼を細める。
 翻訳するまで意識していなかった音楽は、
 つい口から溢れてしまうほどの愛の歌だった。

 「先生」を強調し続けていれば、
 生徒の悪ノリに威優が乗ってくれる。]

  
  先生の教え方が上手ければね?


[などと、挑発めいた言葉を口にして。]
(26) 2023/08/29(Tue) 21:29:25

【人】 田臥 志麻

[英会話を話すときには無理に単語を探すより、
 知っている英語で会話を続けられるように。

 威優にそう教わってからは随分と気が楽になった。
 知識量とのしての単語はまだ足りないけれど
 伝えたいことを優先する為に、
 ボディランゲージや表情を変えてみたり。
 
 時には食事中は日本語禁止にして遊んでみたりもした。
 苦戦しつつも伝わったときの嬉しさを覚えてからは、
 英語でのコミュニケーションも増えている。]


  そう?
  じゃあお酒だけもうちょっと飲もっか。

  ……サンキュ。
  

[気にせず食べてもいいのに。と勧めるけれど
 この台詞は大抵の場合威優が言うものだ。
 何しろエンゲル係数は高いのはオレの方なので。

 テキストを片付ければ威優が後片付けを手伝ってくれる。
 つくづく気の回る男だと感心してしまう。]
(30) 2023/08/30(Wed) 3:00:09

【人】 田臥 志麻


[英会話の中で確認し合ったのは、日常会話だけではない。

 ベッドの上で試してみた日本語禁止は、
 喘ぎが演技じみていて、普段の喘ぎの方がいいと
 クレームをすぐにもらって腹を抱えて笑った。

 自身も威優の言葉をオートで脳内変換するのに
 時間がかかり、そんな余裕もないので、
 10分と続かなかったのもエピソードのひとつになっている。]

 
(31) 2023/08/30(Wed) 3:00:48

【人】 田臥 志麻

[毎朝毎夜のように交わすキスはまだ忘れる間もないくらい
 威優の愛の味を覚えている。
 今し方もその味を味わったばかりだ。

 70歳になるまでには知らないことなどないぐらいに
 威優の全てを知りたい。

 何で悦ぶのかも、どこが好きなのかも。
 どうされると嬉しいのかも、全部。]  
(32) 2023/08/30(Wed) 3:01:16

【人】 田臥 志麻

── 式に向けて ──

[海外旅行に行ったことは一度もない。
 興味がなかったという点も理由の一つではあるが、
 他にも理由は二つある。
 
 一つは仕事で多忙な両親の為に
 年の離れた弟を一人放っておけなかったこと。
 もう一つは、旅行先で偶発的なヒートに
 見舞われたときの対処法が思いつかなかったこと。

 懸念材料を理由に足が遠ざかっていたけれど、
 その二つは威優がいとも簡単に取り除いてくれた。
 彼との日々の英会話も重ねてきた今では、
 実際に試したいこともあり積極的になっている。

 初めてのパスポートはつい先日手に入れた。
 記載されている名前は自身の名字も
 今では威優と同じ大守に変わっている。]
(37) 2023/08/30(Wed) 22:03:17

【人】 田臥 志麻

[転職に合わせて籍も入れたものの、
 披露宴やメディア自体にはまだ発表されていない。
 新しい職場はモラルがある人達ばかりで、
 口の前に戸を立てずとも
 自身の立場は対外的に漏れていないようで感謝しか無い。

 入社したばかりなのに休暇も申請受理されて、
 今から上等なお土産を考えるばかりだ。

 その旅行でのメインであるウェディングドレスの準備は、
 旅行準備よりもずっと前から始まっていた。
 
 威優に連れられて大守系列の服飾メーカーに赴き、
 全身のサイズを測られた後は、
 生地の素材や、デザイン、全て。
 一からオーダーメイドで作るという。]
(38) 2023/08/30(Wed) 22:03:43

【人】 田臥 志麻

 
  ……一度しか着ないのに?
  既存のものでもいいけど……、


[と、最初は戸惑ったものの威優の考えは違うらしく、
 最終的には良いドレスを着たい気持ちを
 上手く唆されて首を縦に振っていた。

 マーメイドドレスや、ミニドレス、Aライン。
 どれもメディアで見たことがある憧れのデザイン。

 レースやドレープがたくさんついたものもあるが、
 自身の見た目的にはシンプルなものが
 似合うのではないかと思い至り、
 デザインよりも、生地に拘っていくようにした。]
(39) 2023/08/30(Wed) 22:04:11

【人】 田臥 志麻

[フィッティングルームの前に並ぶ、
 数百着以上のドレスの間を、渡り歩いていれば
 目移りしてしまう。
 女性用の服、ましてやドレスに関しての知識もない。
 一生に一度、と反芻しつつ。]


  ……色は白一色、が、いい。
  トレーン?を長くするなら
  デザインはすごくシンプルなやつで
  あと……、

  やっぱり、ちょっと照れくさいから、
  ヴェールで顔隠したい……



[ウェディングドレスは憧れが詰まっている為に、
 はしゃぐ気持ちもあれば、
 腰が引けてしまう思いも、少し。*]
(40) 2023/08/30(Wed) 22:05:18

【人】 田臥 志麻

 
  プレ……、なに?
  コルセットも着るの?ガーターも?

  
ガーターベルトはなんかエロい感じがする……。 



[そんなもの弟の漫画でしか見たことがない。
 下着と合わせると良さそうだなという邪念が過りつつ、
 いやいや、と首を振った。

 説明を聞きながら自身よりも前のめりになって
 威優が意欲的に聞いている。
 まるで威優が着るみたいだ、と笑いつつ。

 ヒールは履き慣れないのでフラットシューズに。
 可愛らしいレース素材の透けているものを選ぶ。
 
 ヒールを履いて同じ目線になるのもいいが、
 威優を見上げる角度が好きだから。]
(44) 2023/08/30(Wed) 23:20:49

【人】 田臥 志麻

[ありのままの姿を好きだと言ってくれたから、
 胸元もそのままに。
 白を選んだら威優も賛同してくれる。]


  うん、長い方がいい。
  靴がレースっぽいものだから、
  ヴェールもレースを足して……チュール?
  光が反射するのはいいかも。


[威優の手が伸びてきて頬を撫でる。
 人前だとどうにも面映ゆくて視線を伏せてしまう。

 こんな状態でメディアの前に出る頃には
 対応できるだろうか。
 以前ならもっと慇懃無礼な態度を取れていたはずなのに。

 威優の所作一つにこんなにも心が跳ねる。]
(45) 2023/08/30(Wed) 23:21:17

【人】 田臥 志麻

 
  あと、……どこかは一つ。
  威優とお揃いがあると、嬉しい。


[ウェディングドレスとタキシード。
 作りや素材も違うだろうから、そういった注文が
 罷り通るかは分からないまま口にする。

 もし無理な注文であれば、
 薬指で光るものが同じであるからそれも問題ない。]
(46) 2023/08/30(Wed) 23:21:48

【人】 田臥 志麻

[オーダーメイドというものは
 何から何まで自分で決められるらしい。

 威優が普段着ているスーツも確かそう言っていたか。
 だから、慣れている部分があるのかもしれない。
 こちらは初めての体験に戸惑いつつも、
 一緒に悩んでくれる人が居たから胸を撫で下ろせた。

 初めて尽くしのことに質問を重ねながらも、
 希望を汲み取ってくれるところが嬉しい。

 式場も自宅でもタブレットを二人で駆使しつつ、
 絞っていき、何度か相談した上で
 彼が指し示した資料を横から覗けば、
 ガラス張りの教会の写真が目に飛び込んでくる。]
(47) 2023/08/30(Wed) 23:22:37

【人】 田臥 志麻

 
  どれ? ……へえ、綺麗だな。
  夜なら海に来る人も少ないだろうし。

  式が終わったあと、砂浜歩けるかな?


[子供のような提案をして少しはしゃいでしまう。
 十字架まで続くヴァージンロード。
 夜になれば南半球の満天の星も見れるだろう。

 聖域に相応しい場所で、愛を誓えるのなら。
 それは夢にまで見た光景だ。*]
(48) 2023/08/30(Wed) 23:22:54

【人】 田臥 志麻

[コルセットと聞けば中世の女性が苦しそうに
 着ているのが印象深いから、耳にしたときは
 "痛いのでは?"という想像が真っ先に浮かんだ。

 威優と自身の話を聞いていたスタッフが、
 ご覧になってみますか?と声をかけてくれたので、
 少し挙動不審になりつつ、はい、と頷いた。

 普段履いているランジェリーは
 全てネット通販で購入している。

 だから女性の前で女性ものの衣類の話をするのは
 今回が初めてだったりする。

 少数精鋭のスタッフに絞ってくれているとは、
 威優から聞いていたがまだ気恥ずかしさが残り
 声をかけられた時も咄嗟に、
 傍に居た威優の裾を掴んで背中に隠れてしまった。]
(54) 2023/08/31(Thu) 2:38:07

【人】 田臥 志麻

[少し二人の時間があった後、
 何種類か広げられたコルセットもガーターベルトも、
 正直、「可愛い」と思わず声に出そうになるほど
 興味を惹かれてしまった。

 やはり威優は自身好みを知り尽くしている。
 これが似合う、と提案されたものは
 どれも頷いてしまうもので
 正直に言って、早く着てみたくてそわそわした。

 シューズも、小物から一つずつ決まっていく。
 自分たちで選んだものが細部まで拘られて。
 ヴェールに選ばれるチュールも
 派手過ぎず上品な光沢に近く、好ましい。]


  うん、良いと思う。
  オレもそっちの方が好き。


[オーダーメイドに関しては格段に詳しい威優に
 まるで光源氏に育てられていく若紫のように、
 彼の好みに育てられている感じがする。]
(55) 2023/08/31(Thu) 2:38:56

【人】 田臥 志麻

[シルクサテンのリボンと同じタイ。
 シンプルな肩口に「可愛い」と「好き」が増えて、
 威優とお揃いになる。
 ポケットチーフとヴェールも重ねれば、
 お揃いがもう一つ。

 彼が出したアイデアに、
 みるみると瞳を大きくして輝かせ。]


  それがいい。
  どっちもしたいっ。

  ははっ、最高。絶対可愛くなる!


[借りてきた猫だった表情が破顔する。
 こくこくと頷いて賛同を示し
 浮わついた心を抑えきれずに手を取ってはしゃぐ。

 重ねた手に嵌っている「お揃い」のリング。
 大好きな瞳と同じ色をした石がきらりと煌めいた。]
(56) 2023/08/31(Thu) 2:39:24

【人】 田臥 志麻

[ブーケは花の種類が分からないから
 色を決めてから、選ぶことになった。

 白いウェディングドレスに映えるように、
 「可愛い」の代表のピンクの花がいいと告げて、
 可愛らしくなり過ぎないように
 ピンク合わせる色にはクールな青系統を選ぶ。

 白いチャペルに白いウェディングとタキシード。
 ブーケは夜に輝く差し色になるだろう。]


  南十字星、初めて見るな。
  夜の海ってちょっと怖いイメージあるけど、
  灯りがない分、空見上げたら星がたくさん見られそう。
  

[威優と出会ったのは夏の頃。
 オーストラリアに行く時期にはちょうど、
 あちらが夏と同じ暑さぐらいの季節。

 きっと、出会った頃を思い出すだろう。**]
 
(57) 2023/08/31(Thu) 2:39:48

【人】 田臥 志麻

[仕事として接してくれている女性スタッフたちは
 例え可笑しいと思っていても
 プロだから態度に出すことはないだろう。

 Ω性の男性であっても大半は揃えてタキシードを着る。
 披露宴の時に自身も対外的に着るみたいに。

 LGBTやトランスジェンダーの問題は今や、
 公言しても蔑まれることは少なくなってきているが、
 志麻が消極的なのはそういった根本的な問題以前に、
 骨格が細いとはいえ女性的な丸みのない成人男性である
 自身が可愛いものを着ても似合わないのでは、
 と、誰よりも自分自身が思ってしまうからだった。]
(61) 2023/08/31(Thu) 21:28:04

【人】 田臥 志麻

[威優の可愛いを切っ掛けに視線が上向けば、
 接してくれる女性スタッフたちの表情も良く見えた。
 話を親身に聞いてくれる様子は決して嘲笑うものではない。
 そう気づいたら、随分と気持ちが楽になった。
 最初から拘っていたのは自身だけだったかも知れない。
 そう思えば、少しずつ相談に前向きになれた。

 二人で一から作っていくウェディング。
 ドレスから小物、式場、時期まで。
 たった二人だけで挙げるために。

 話が進んでいくにつれて一生に一度のものが、
 最高になると確信していく。

 リボンのアプローチも一度じゃなくて、
 正式な発表の場でも「お揃い」に拘れるように。]


  そうしたい。
  
  挙式の気持ちを持って披露宴に挑めるなら、
  緊張しないで済みそう。


[もう一つの予定が組み込まれるからには、
 素材選びはまた慎重になりハードルが上がりそうだ。]
(62) 2023/08/31(Thu) 21:29:57

【人】 田臥 志麻

[「愛情」が意味として含まれる花々達の中に
 「かわいらしさ」と「信じ合う心」が含まれる。
 
 自身が選んだピンクに、彼の好みを足せば
 「恋の誓い」が生まれた。
 互いに初めての恋を知った二人によく似合う。]


  知ってる?
  星座の中で一番輝く星って"α星"って言うんだって。
  南十字星には二つもあるらしいよ。


[十字架の前で愛を誓った後、見られるであろう
 夜空の十字に思いを馳せる。
 その中には、威優と同じ意味を持つ星がある。
 
 自身の中でもたった一つだけ、
 誰よりも輝く一番星が────すぐ傍に。*]
  
(63) 2023/08/31(Thu) 21:30:31

【人】 田臥 志麻

[威優が居なければ相談もまともにできないまま、
 既製品でいいと言っていたかもしれない。

 「志麻さま」と呼ばれ続ける中で、
 たった一度だけ「ご新婦様」と言いかけた
 スタッフが恐縮して名前に呼び替えた。


 「大丈夫です、呼びやすい方で。」


 と、照れくさいながらもそう答えられるくらいには
 余裕も生まれて、打ち解けていく。]


  無理。
  リボン見たら絶対ニヤけちゃうもん。

  その時は一緒に笑って。


[どんな思い出になっても
 威優となら良い思い出になることは間違いないから。
 挙式も、披露宴も、笑顔で迎えられたら良い。]
(68) 2023/09/01(Fri) 1:46:26

【人】 田臥 志麻

[街灯が綺麗に並ぶ中を手を繋いで歩く帰り道。
 海の近くのように星は見えないけれど、
 その代わりに冬のライトアップが美しい。]


  Ω星はないんだ。

  オメガ星雲ってΩの形をしたやつならあるけど。
  星雲は星じゃなくて、塵やガスの集まり。

  ああ、でも恒星の光を反射するんだよ。


[冬の空気に冷えていた手が彼の手で暖かくなる。
 自身の星はなくとも、一番星の。
 彼の光を受けて、光ることなら出来るだろうか。]
(69) 2023/09/01(Fri) 1:46:35

【人】 田臥 志麻

── 来たる挙式当日 ──

[初めての海外に戸惑いながらも、
 現地の天気は心を映し出すように晴れやかで。
 一人前の食事の量の多さに感動しながら、眠った翌日。

 最終調節のためになんどか試着を重ねた
 完成されたドレスをお披露目するときがきた。

 ウェディングドレスを着るのなら、
 素っぴんとは行かない。
 ドレスに見合うようにメイクを施されて。
 ベイスメイクはもちろんのこと、
 薄いのチークにマスカラ、色づいたピンクのリップ。

 鏡の中の白いドレスにメイクをした人物は
 まるで自分じゃない、ドラマの中の人みたいだ。

 憧れていた『お嫁さん』の形になっている。
 想像していたよりも遥かに美しく、
 立派なドレスを纏っていた。

 メイクを施された後も、
 鏡の前から離れられずに入れば、ノックが響く。]
(70) 2023/09/01(Fri) 1:47:00

【人】 田臥 志麻


  どうぞ。


[威優かと思い、促して扉の先を見てみれば。
 威優と共に、父の姿がそこにあった。

 みるみる志麻の目が見開かれていく。]


  ……と、うさん……、?

  え、なんで。
  ……えっ、……


[二人だけと聞いていたからその姿を見たときは、
 本当に驚いて、咄嗟に声も出なくて。
 説明を求めるために父と現れた威優を見つめる。]
(71) 2023/09/01(Fri) 1:47:17

【人】 田臥 志麻

[彼の前では穏やかな父がにこやかに笑顔を浮かべて、
 綺麗だね、と感極まったように呟くから。]


  そ、それは威優の言うやつだろ……!?


[嬉しいけど、……
嬉しいけど!

 混乱と照れ臭さと嬉しさでつい親子の素が出てしまう。
 だって二人きりだって!言ったから!
 その台詞は威優から先に聞きたかった。
 
 その父から母と弟も一緒に来ていることを伝えられ、
 更に困惑を広げながらも、
 最終的には威優の方へと眉尻を下げて。]


  
こ、こんなの……聞いてない……、



[と、気恥ずかしさを浮かべながらも。
 複雑な表情を浮かべて、花嫁とは思えぬ動揺を見せた。**]
(72) 2023/09/01(Fri) 1:48:17

【人】 田臥 志麻

[エステもマッサージも綺麗になる為の準備。
 一人で受けるのではなく、二人で施術を受けたから、
 気分も楽ですっかり気持ちも解れていた。

 その時も威優は全くいつも通りに話していたのに
 裏でこんな下準備をしていたとは驚かされた。

 「連れてきてくれてありがとう、威優くん」
 なんて、嬉しそうに感謝を伝える父。

 父の傍らに立った威優が、
 期待していた言葉を口にする。
 (しかもさらっと奥さんって言った!)]


  …………〜〜〜〜〜ッ、

  あー、もうっ……!
二人共ありがとっ!



[ヴェールを下ろした後では
 乱雑に髪を掻き乱すこともできない。
 頬に触れるのもメイクを崩してしまいそうで。
 二人の視線から逸らすみたいに顎を逸らして
 上を向く天に投げかけるみたいにお礼を告げた。

 そうしないと瞳がまた潤んでしまいそうだったから。]
(77) 2023/09/01(Fri) 21:35:51

【人】 田臥 志麻

[バージンロードの意味は威優の口から語られるまで
 調べたことはなくて、初耳だった。

 ドラマや映画ではそのシーンを何度も見てきたけど。
 父親役の人と腕を組んで、
 新婦が新郎の元まで送り届けられる意味。
 それは、家族のバトンを受け渡す意味があるのだろう。

 ────家族から新しい家族へ。

 そのバトンをちゃんと受け取りたいと
 考えてくれた威優と、役目を担ってくれる父に。
 堪えていた涙腺がまた瓦解しそうになってしまって。
 唇を噛み締めて二人の話を聞き、
 彼らの言葉が途切れた後、
 自身の返事を待つように少し沈黙が、落ちた。]
(78) 2023/09/01(Fri) 21:36:35

【人】 田臥 志麻

[今日は笑っていたいから。
 深く、息を吐きだして感情が落ち着くのを待つ。

 それから、二人を見て。]


  ……威優のところまで、
  父さんが、エスコートしてくれる?


[頷く代わりに目尻に皺を作ってみせれば、
 やっぱり、少しだけメイクが崩れてしまった。]
(79) 2023/09/01(Fri) 21:36:51

【人】 田臥 志麻

 

  母さんも、莉久も呼んで。

  ……うちの家族が来るなら、
  威優のお義母さんも呼べばよかったな。


[最後は威優にそう言って笑った。

 赤く燃えていた空が夜空に変わっていく。
 青と緑に囲まれた中で白いチャペルが一層映える。

 立ち上がると威優と拘った
 トレーンの刺繍が綺麗に床に広がった。*]
(80) 2023/09/01(Fri) 21:37:23

【人】 田臥 志麻

[二人だけの挙式にしたいと言ったのは、自身の方。
 威優もその意図を汲み取ってくれていた。
 
 人に見られるのが恥ずかしいというところから
 始まった挙式への準備。
 二人で作り上げてきた計画は
 ウェディングドレスの素材から式場、
 どれもこれも拘って選んできたものだった。

 威優が「可愛い」と言ってくれたことは、
 己を卑下していた自己肯定にも繋がる。

 当初からの計画が二人で、だっただけに。
 家族には見せることはないと思っていたけれど。

 いざ目の前に家族が現れたなら、
 見て居て欲しいという想いに繋がっていく。

 苦労や心配をかけてきた自身が、
 自ら選んで番となった人と手を取り合っていく瞬間を。
 小さい頃からの夢であった
 「およめさん」になった姿を──。]
(86) 2023/09/01(Fri) 23:16:10

【人】 田臥 志麻

 
  わかった。
  威優とオレが一番気に入ったやつを送ろう。


[長男の門出の涙につられて涙腺が緩んだ
 父の背中を撫でて微笑む。

 威優と父を送り出したら、
 母と莉久が入れ替わりでやってきた。

 メイクを直してもらいつつ鏡越しに莉久と視線が合えば、
 父と全く同じセリフを口にしたので
 また笑ってフェイスパウダーがよれそうになった。

 フラワーボーイなんて出来るのか?と揶揄えば、
 威優から聞いたのだろう役目を誇らしげに語る。
 
 「威優さんの元に辿り着くまでしっかり護るよ」

 庇護の対象だった弟からそんな言葉が出てくるのが感慨深い。]
(87) 2023/09/01(Fri) 23:16:51

【人】 田臥 志麻

[元の唇がほんのりと色づくくらいのピンクのリップ。
 最後に仕上げてもらえば、鏡に映るのは最高の自分。

 祭壇で待つ彼の隣に立っても恥じない姿で、
 胸を張っていられるようになりたい。

 母が目の前に立ち、ヴェールを両手に取った。


 「志麻、夢が叶って良かったわね」

 
 レース越しに見える母が口にしたその言葉に、
 覚えていたのかと僅かに目を見開いた。]

 
  ……もう、メイクを直したばかりなのに。


[外で待つ威優と父を、
 更に少し、待たせることになってしまっただろう。]
(88) 2023/09/01(Fri) 23:17:41

【人】 田臥 志麻

[荘厳な音と共に扉が開けば、
 真っ直ぐ続いていく真っ赤なアイルランナー。
 莉久が散らしていく「清め」の花が絨毯に落ちる。

 隣に立つ父と目線を合わせ、
 腕を添えて、一歩、一歩、進んでいく。
 人生を歩んできたみたいに。
 
 十字架に近づけば母の姿が見える。
 また、震えそうになる唇を引き結んだ。

 愛している家族に見守られながら、
 愛しい番の元へ、導かれて。
 祭壇の前、白いタキシードに身を包む威優と目が合う。]
(89) 2023/09/01(Fri) 23:17:53



  [父の腕から手を離して、最愛の人の元へ──。*]


 

[
 二十四歩、


            ――己と出逢った。
                     ]



 ――Yes, I will.


[意思の籠った言葉で誓う。**]

【人】 田臥 志麻

[自身の人生の数だけの歩幅を歩む。
 
 十九歩、二十歩、  ──まだ藻掻いていた時期。

 二十一歩、二十ニ歩、──妥協を知った。

 二十三歩、     ──全てを諦めたようとした。


 威優が少し立ち位置を変える。

                そして──、]
(93) 2023/09/02(Sat) 1:53:51
[
 二十四歩、


            ――威優と出逢った。
                      ]

【人】 田臥 志麻

[少しだけ足を止めて、目を見合わせて微笑む。
 レースの手袋に包まれた手を彼の腕に添えて。

 二十五歩、二十六歩、その先も。

 これからの人生のように、威優と並んで歩いて。
 
 たった三人しかいない参列者。
 静謐な空気の中で、儀式が行われていく。

 威優が誓いを立てれば、自身の名前を呼ばれた。]


  "Will you love him, comfort, hornor and keep him
so long as you both shall live?"
(94) 2023/09/02(Sat) 1:55:10
 

  ――Yes,はい I will.誓います


[ブーケを持つ手に力が籠もる。
 ヴェールに覆われた中で、また唇が震えた。**]

【人】 田臥 志麻

[同じ方向を向いて、同じ言葉を並べて。
 神に誓いを立てる。

 十字架の奥に海から顔を出す月が見える。

 いつかの日にも見た丸い形をした満月が
 太陽の代わりに、細やかな明るさを齎していく。

 神父の言葉が終わり、彼と向かい合う。
 威優の手がヴェールを持ち上げれば、
 倣って視線を上げ、愛おしい翠緑の瞳を見つめた。

 少し、潤んでいただろうか。
 気づきはしたけれど、自身も同じくらい。
 それ以上に、視界が滲んでいたから笑うだけに留める。]
(97) 2023/09/02(Sat) 21:12:48

【人】 田臥 志麻


 
  オレも、──愛してる。


[何度もつっかえた言葉を、
 今はもう澱みなく伝えられる。

 距離が狭まっていくのに、そっと瞼を下ろして。
 誓いのキスを交わす。]
(98) 2023/09/02(Sat) 21:13:14

【人】 田臥 志麻


[月が海から完全に顔を出して、空に浮かぶ頃。
 教会を出て、ガーデンを歩く。
 夜でも写真が撮れるように照明が点いている。

 家族との記念写真を威優に促され、]


  ……うん、そうだな。
  せっかくだし。


[頷いて両親と弟に声をかけた。
 三人とも笑顔で喜んでくれた。

 ブーケを手にしたままアーチの下に立つと、
 傍らに母が、その隣に父が。
 そして、自身を挟んで反対側に弟が立つ。
 
 プロのカメラマンが撮ろうとする前に、
 莉久がスマホでも撮りたい!と新郎である
 威優にお願いしに行ったことには、
 こらっ!と兄の顔をして叱った。]
(99) 2023/09/02(Sat) 21:14:04

【人】 田臥 志麻

[少し気恥ずかしい、一生に一度の記念写真。
 何枚か納めた後は、家族の代わりに威優が喚ばれる。

 スマホを威優から受け取った莉久が、
 ちゃっかりカメラマンの横を陣取り、
 自身もカメラマン気取りでレンズを構える。


 「ほらもっと、威優さんの傍に寄って。
  新婚らしく、ほっぺにちゅうとかする?

  大丈夫、ここ海外だから!」


 ポーズまで指定してくるはしゃぎっぷりに、
 呆れながらも、誓いのキスとは違う写真用は 
 些か嬉しさよりも、照れ臭さのほうが前に立つ。]
(100) 2023/09/02(Sat) 21:14:17

【人】 田臥 志麻

 

  ……ごめん、莉久が浮かれてる。


[隣に立つ威優を見上げつつ、
 指定通りに隣の距離を詰めながら、
 何とも言えない表情を浮かべて眉根を寄せる。

 
 「せっかくだからリングも見せて!」


 更にもう一つ、注文がついた。]


  お前ね……プロの人に任せなさいよ。


[言いながらも注文に答えるように、
 左手を胸元に持ち上げながら。*]
(101) 2023/09/02(Sat) 21:17:38

【人】 田臥 志麻

[撮影会は弟の注文のお陰で賑やかになった。
 
 お姫様抱っこは自宅でもされているが、
 人前で、しかも家族の前とあっては
 さすがに照れが勝ってしまう。

 けれど、腕の中で暴れたらドレスを汚してしまいそうで、
 莉久を睨みつけながら渋々大人しくした一場面もあった。

 翌日からは家族は観光に回るという。
 ガイドも威優が手配してくれていたらしく
 それならば、と安心もした。]
(105) 2023/09/02(Sat) 22:17:38
 




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