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【人】 春日 幸貴お金……!! [ずっと夢物語と思ってきたから、逆に費用のことは全く考えていなかった。 金と言い出したら、まず俺は両親に長年負担してもらった治療費を半分は返したいんだけど。 そんなことを言っていたら、世界を巡る旅は本当に絶対実現しない夢な気がしてしまった] (1) 2021/03/14(Sun) 8:07:36 |
【人】 春日 幸貴[けれど、星見の突飛なアイディアには思わず笑った>>0:99] あははっ……! そのときは案内してくれる? 俺、この世界のことほとんど知らないんだ。 病院と学校以外は行ったことない。 この先、心臓移植手術が受けられたら、 アレルギーの心配もたぶんなくなるらしい。 そうしたら、いろんなところに行ける。 [病気に罹りやすいとか、アレルギーが起きやすいとかで、俺が行ける場所は少なかった。 だから俺は世界に拒まれてると思っていた。 そして病院と学校絡みの時間以外はゲームに入り浸ったせいで、この世界の知識は少ない。 何を見ても新鮮に違いない。 最初は、その時が来たら家族といろんなところに行くつもりだったけど。 星見ともあちこち行ってみたいと思った] (2) 2021/03/14(Sun) 8:08:18 |
【人】 春日 幸貴[これからも家族と星見が来てくれるのを楽しみにしながら手術の日を待つことになるだろう。 それまでにどのくらい動き回れるようになっているか、想像がつかないけど…… 体力が戻ってくるのが案外早いから、2週間あれば、事故に遭う前ぐらい動けるようにはなるかもしれない。 1階のロビーまで歩いて行って帰って来られるくらい。 階段も昇り降りしろと言われたら厳しいと思うけれど。 そのくらいになれたら、人工心臓の手術には申し分ないらしい。 だから今はそのくらいが目標だった]** (3) 2021/03/14(Sun) 8:12:52 |
【人】 春日 幸貴似てねー! [>>4星見が口ずさむジングル風の何かが、何を意味するのかはすぐにわかったけど。 正直に言って全く似てなくて、笑いながら突っ込んだ。 あれから、家族は見舞いに来れる日をはっきり教えてくれた。 俺が言ったんだ。「見舞いに来れる日が知りたい」って。その日を楽しみに過ごすからって。そうしたら簡単に教えてくれたし、数日おきに誰かしら来てくれた。 あの頃も、ただ寂しがるだけじゃなくて、そう頼めばよかったんだ。 家族が来てくれた日は家族と、それ以外の日は星見と。病院の中をあちこち歩き回って、行ける場所が日に日に広がるのを楽しんだ。 時には調子が悪くて、半日ベッドの上なんてこともあったけど、体力は確実に取り戻せていった] (6) 2021/03/14(Sun) 9:12:14 |
【人】 春日 幸貴[そうして手術の日。 全身麻酔だったから、手術前と終わった後の記憶しかない。 終わった後も、麻酔が抜け切るまでに会った人の顔も話の内容も覚えていない。 ICUにいる間、周りの機器がやかましかった。 だから出られたときはほっとした。 元の病室に帰って、やけに静かに思ってそのまま眠ってしまって、その後に目を覚ましたらまだ1日半くらいしか経っていなかった] (8) 2021/03/14(Sun) 9:13:07 |
【人】 春日 幸貴[手術後の傷は正直言って痛い。 腰のあたりに機械が取り付けられて、それが体の中のポンプと繋がっているらしい。 寝転がっている分には変化は何も感じない。本当にこれで学校の行き来ができるようになるんだろうか、と不思議な気持ちだった。 弟は胸の音を聞きたがるのかな、となんとなく思っていたが……実際にどうだったかは俺と弟だけの秘密だ。 食事は一旦お粥になったが、すぐ通常食に戻った。病院の食事は味気ないけど、安心感のせいなのか、手術のあと初めて食べた食事をやたら美味しく感じたのを覚えている。 そうしていつも通りの入院生活に戻りながら、俺は星見がまた来てくれるのを心待ちにしていた]** (9) 2021/03/14(Sun) 9:16:19 |
【人】 春日 幸貴[>>11最初の魔王が弱いと言われて、俺は考え込んだ。 どんなだったっけ。 何しろ大量に倒したから、いちいち覚えていない。 最初の一体くらい記憶に残ってもよさそうなものだが……なんだか、全然思い出せない] 覚えてないくらいだからそうなのかも。 ……ステラは、最後だし。 [一番最後ではなかったのかもしれないけれど、たどり着けなかったくらい後のほう。少なくとも、俺の旅路では。 後から「真っ先にステラを倒しに行く人がいる」と聞いたのは、御蔵が先だったか、弟が先だったか。そのときは味気ない旅をする奴も多いんだなとしみじみした] (15) 2021/03/14(Sun) 11:22:59 |
【人】 春日 幸貴[>>12ベッド脇から、ステラぬいが見守ってくれることになった。それがとても嬉しかった] まぁな……付き合いの長さは断然、家族だもんな。 でも、星見のおかげで毎日が楽しいよ。 [それも家族のおかげでもあるけれど。 一緒に頑張ってくれる人が複数いるというのは、それだけで心の支えとなっていた。 だから手術後、自分の病室に戻ってきたあとにステラが迎えてくれたことで物凄く安心できたし、星見に会わないうちから労ってもらった気分になったのだった。 それまで星見と親しくなったことは弟には一言も言っていなかったんだけど――なんて言えばいいのかわからなかった――ぬいぐるみをきっかけに、やっと話すことができた。何を言われたかは、俺の心の中にしまっておこう] (16) 2021/03/14(Sun) 11:23:32 |
【人】 春日 幸貴な、なんでだ……!? [>>18謎の理由で勇者扱いされて、俺は大いに戸惑った。 というのも、俺はステラを強いのかなと思っていたわけで。 バグで弱い状態で出現するとは知ったけど、それなら余計に行きたくない。 強いと見込んだ魔王なんだ。 本気を見せてほしいじゃないか。 もしPaperMoonをまた遊ぶことがあれば、パッチを当てた上で打倒ステラのために手を尽くすことになるのだと思う。 ちなみに魔王としての俺の運命の勇者は弟だったわけだけど、勇者として運命の魔王がどこかにいるのかは考えたことがなかった。 もうあの世界に戻る気は――……ゼロではない、が、戻るとしても先の話だろう。 誰か引きずり戻したい相手ができたとか、なんだかんだ好きで大切なあの世界が危機に陥ったとか、そんなときなんだろうか] (21) 2021/03/14(Sun) 14:00:05 |
【人】 春日 幸貴[>>19 >>20アネモネの話、そして展望台の話を聞いた。 はじまりの魔王城に咲く花……。 そんな夢を見た気がするんだけれど、はっきりとは思い出せない。 けれど、紫のアネモネがステラの遺した花に見えるというのは、なんだかわかるような気がした] 運命の勇者と共にある…… だから紫、なのかな。 [青き月に導かれる勇者と、赤き月の加護を受ける魔王。二人が共にあったら紫なのだろう。 俺の槍が紫に輝いたのも、そういうことだったのかもしれないと思う。 俺は人も魔物も好きだし、共に暮らせる未来がほしかった。だからそれを阻んだアイルが許せなかった] (22) 2021/03/14(Sun) 14:00:36 |
【人】 春日 幸貴花になっちゃった奴の中に…… 俺が会う相手がいたりしたのかな……。 [俺がラスボスの元に辿り着く運命なんてあったとは思えないけれど。 勇者だった俺を待っていてくれた魔王がもしいたなら、今からでも会ってみたいとは思う] (23) 2021/03/14(Sun) 14:01:30 |
【人】 春日 幸貴でも、お姫様連れてラストダンジョン行くの? [一緒に戦うお姫様は全然珍しくないんだが。 というか、手術がボス戦だったなら、それまでの旅路で一緒だったことになるが。 今更ながらにちょっと釈然としなかった] (24) 2021/03/14(Sun) 14:01:52 |
【人】 春日 幸貴[丘の上の展望台と聞けば難易度は確かに高そうなんだが、学校だって階段の昇り降りから逃れられない宿命である。 走るのは不可と言われているが、階段ぐらい昇れないと日常生活が送れているうちに入らない] 入院中に階段に挑んでおくか……。 [人工心臓を得たことでどのくらい動けるようになったのか、一人で行って不安のない範囲でしかまだ確認できていなかった]** (25) 2021/03/14(Sun) 14:02:13 |
【人】 春日 幸貴そ、そんな謝られるようなことじゃ……。 [やけに深刻に受け止められてしまったらしく、とても心配になった。どうしよう。凹ませたかったわけではないのに] 俺が勇者なら星見がお姫様なのかなーって あのときの会話を思い出して言っただけで…… 星見にお姫様らしさを求めてるわけじゃないぞ? [それはそれで失礼なんだろうか……? でも、ステラは魔王だけど、星見は女の子だから。例えるならお姫様がしっくりくる]* (31) 2021/03/14(Sun) 20:08:59 |
【人】 春日 幸貴あ……、そうだ。 ステラ返さないとな。 [ベッドのサイドガードに結えてもらったステラぬいを外そうと思って、手を伸ばした。 何も言われなければ、外して星見に差し出すつもりだ]* (36) 2021/03/14(Sun) 21:16:50 |
【人】 春日 幸貴うん。ベッドに帰ってきたら労ってくれた。 [ステラをものとしてじゃなく、人格があるように扱うところにほっこりする。 手が触れたとき、ずいぶん暖かい気がして、赤くなった顔を改めて見つめた。 ――可愛い。 可愛くて、抱き締めたくなってしまう。 けど、それはちょっと躊躇った] 朱里……、散歩行く? たくさん歩いたほうが傷の治りも早いらしい。 [理屈は全くわからないが、この病室に戻った次の日から普通に歩かされた。 病棟の外まで一人で行くのはちょっと不安があって、まだ行ってなくて、どのくらい楽に動けるのかは未だ試していない。 だから気になってもいた]* (41) 2021/03/14(Sun) 21:46:49 |
【人】 春日 幸貴[そういうわけで病棟の廊下に出て、恐る恐る歩くペースを早めてみた。 手術を受ける前、それ以上に早く歩くのは厳しくて限界と感じていたぐらいの速度が、一般人の普通くらいの速度だったと思う。 けど、それくらいで限界とはあまり感じず、もうちょっと早足くらいでも歩けそうな気がした。 そんな感じだったから、病棟から出るのはすぐで。 エレベーターと階段を見たとき、少し迷った] ……階段降りてみていい? [一階降りてキツければ、そのあとはエレベーターでもいいだろうし。 そう思って朱里をじっと見つめた]* (52) 2021/03/14(Sun) 22:50:58 |
【人】 春日 幸貴無理してるって感覚はないな。 前は、このくらいで限界を感じてたけど。 [隣を歩いてくれる朱里に答える。 学校に行く分には、ゆっくり歩くことになっても間に合えば問題ない。 辿り着けるくらい、長く歩けるなら。 そこはスタミナの問題だろうから、慣れていくしかないだろう] (55) 2021/03/14(Sun) 23:31:23 |
【人】 春日 幸貴[朱里はとても頼もしい。>>54 それでもふらついて彼女に支えてもらう事態は避けたくて、慎重に行こうと決意が湧く] ありがとう。 ……俺、階段ほとんど使ったことないけど…… 頑張る。 [言い終えてから、階段の手すりを掴んで、朱里の手を取って、恐る恐る降りてみた。 一段降りるごとに、足に体重がかかる。 その感覚が慣れなくて、ぎこちなくちょっとずつ降りていくことになった。 ゆっくりだったから、心臓の負担は特になかったけれど、半分降り切っただけで結構足が疲れて] ……ちょっと休憩。 [情けない話だなと思いながら、踊り場の隅で一休みすることにした] (56) 2021/03/14(Sun) 23:31:53 |
【人】 春日 幸貴[小さい頃に数回、階段を途中まで昇ってダウンしたことがある。 死ぬまでは行ってないから今があるわけだが、あのときは周りの人たちが超人みたいに見えたものだった。 こんなに苦しくなるのに、なんでみんな平気で昇れるんだろうって、あのときは……羨ましいとか妬ましいとかよりも、恐怖が浮かんだ] (57) 2021/03/14(Sun) 23:32:09 |
【人】 春日 幸貴[それとは別に、異世界の記憶がある。 あちらで体を動かした感覚は、当たり前だけど、この体には刻まれていない。 頭ではわかっていても体が知らない。そんな状態だ。 あっちでは階段を何段も駆け上がっても平気だったけれど、こっちでは階段なんかろくに使ったことがないわけで。 つくづく奇妙な経験だった。 あの体の軽さを思うと、この体の重さはとんでもないもので、でも……俺がずっと馴染んできたのもこの体。 あっちで動けたくらいにこっちで動けるようになることは、きっとないんだろう]** (58) 2021/03/14(Sun) 23:32:25 |