人狼物語 三日月国


202 【ペアRP】踊る星影、夢現【R18/R18G】

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視点:


【人】 緑山 美海

これはこのキャンプ場で働く1人の従業員のお話だ。

朝早く出勤し、受付に行き、帳簿を確認する。それがその人のルーティーンであった。
その日の宿泊客の名前や人数を把握する、それは当たり前のこと。

受付の帳簿、普段は個人情報を守る為に閉じたままになっているそれが、珍しく開きっぱなしになっていた。
『誰かがそのままにしたのかな、後で注意しなきゃな』と思いつつ、視線をやれば。

”緑山” の名前の横に チェックアウトを表すレ点が印されていた。
(236) 2023/03/14(Tue) 8:39:50

【人】 緑山 美海

数日前に自身が受付を担当した、仲睦まじい夫婦。
その人たちの幸せそうな笑顔と左手の薬指に煌めく指輪が、何故か記憶に残っていた。

『楽しんで頂けたのだろうか』
受付をした時の光景を思い出しながら、そのことを考える。

あれだけの大荷物だ、きっと早くから準備をしていたに違いない。
お客さんの笑顔を見るのが好きなその人は、帰る時にも会話をしたかったな、と。

少し名残惜しい気持ちを抱いたが、人には人の都合があるし仕方がないと諦めた。
奥から同僚の1人が出てくれば、声を掛ける。

「あのご夫婦、もう帰ったんですね」

『あれ?今日は私が担当なんだけど、チェックアウトの受付なんてしたかな』『どのご夫婦ですか?』

「ほら、お揃いの赤い髪をしたご夫婦」
「紅葉みたいに綺麗な髪をしてたろ、目立つから記憶に残ってたんだよな」

同僚は不思議そうな顔で首を傾げ、口を開く。
(237) 2023/03/14(Tue) 8:43:16

【人】 緑山 美海

『そんなお客さん来ましたっけ?』


「············え?」












───受付の机上には、薄い茶封筒の中に入った宿泊費とホトケノザだけが残されていた。*
(238) 2023/03/14(Tue) 8:45:06