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人狼物語 三日月国


188 【身内P村】箱庭世界とリバースデイ【R18RP村】

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視点:


【人】 XIX『太陽』 ヒナギク

 
[周囲を見渡していた視線が、戻ってくる。

 私のもとに落ちれば、
 滴る血の赤と、凪のような瞳が重なり合って、
 ぽたりと、繋いだ手の甲を濡らした。

 そうして、静かに響いた言葉に。>>94


 ああ、やはり。彼も。
 『証持ち』なのだと、幼心に合点がいった。


 なんでもないかのように再び歩き出す『塔』に、
 付き人たちが慌てて周囲を宥め、警戒線を引く。

 『塔!傷を見せてください!』と、
 私を連れて行く『塔』を引き止めるのに、
 またひと悶着あったのは、別の話。

 それが、私が初めて自分以外の、『証持ち』を見た印象。*]
 
(411) 2022/12/17(Sat) 23:47:16

【人】 XIX『太陽』 ヒナギク

―― 回想/中庭 ――

[洋館で暮らすようになってから、
 プロセラと過ごす時間は、
 一日のどこかで必ず作るようにしていた。

 最初は人見知りのようなもので、
 少しでも知っている人の傍に居たいという理由で。

 他の証持ちとも話すようになってからは、
 彼の元がなんとなく落ち着くからという理由で。

 チェレスタに、マドカせんせいに、みんなに、
 知識を、言葉を与えられた私は、
 水を与えられた花のように吸収し、
 それをプロセラに報告することが日課になっていた。

 彼はいつも黙って聞いてくれているだけだけど、
 じっと見ていれば、
 僅かに表情に変化があることにも気づける。>>95

 初めてそのことに気づいた時は、びっくりして、
 
『大ニュース!プロセラが笑った!』
と、
 洋館中を跳ね回って証持ちのみんなに伝えた。]
(412) 2022/12/17(Sat) 23:48:09

【人】 XIX『太陽』 ヒナギク

[教典の『太陽』が死んだのは、
 『塔』がきっかけだと知ったのは、その後のこと。

 教えられても、ぴんとこなかった。

 『塔』が殺したわけじゃない。
 ううん、例え『塔』が『太陽』を殺したとしても。

 それは、私とプロセラの話ではない。

 でも、彼が教典のことをどう思っているのかは、
 直接聞いたことはなかった。

 話す時は、いつも私が一方的に話していたし、
 彼もそれを(多分)厭うこと無く聞いてくれていた。

 それならば、今の関係を壊す必要なんてない。
 私は彼の傍にいることが楽しいし、
 
きっと、それを彼も許してくれている。
(413) 2022/12/17(Sat) 23:48:41

【人】 XIX『太陽』 ヒナギク

 
[ あの日、彼が私を見つけてくれて。

  洋館にたどり着いた後、
  彼の背にある痣を見た。>>94

  背中に大きく広がる枝葉のような痣。
  
  それと、同時に目についたのは、
  彼の肌に幾度も幾度も与えられた疵。>>0:313

  子供の考えでは何が為されてきたのか
  分からないながらも、それでも。

  人為的に与えられたその痕は
  酷く痛ましいものに思えて。

  ただ、痛ましい疵を指でなぞり、
  その背にぴとりと身を寄せた。

  枯れたと思っていたはずの涙が、
  その時ばかりは、彼の背中を濡らした。 ]

 
(414) 2022/12/17(Sat) 23:49:29

【人】 XIX『太陽』 ヒナギク

 
[彼は自らのことを語ることはない。
 だから、彼の過去に何があったかを私は知らない。

 ただ、私が笑えるようになったように。
 彼にも、いつか変化が訪れれば良いと思う。

 無理矢理にではなく。
 いつかプロセラが自ら変化を求めるように。]

 
(416) 2022/12/17(Sat) 23:50:24

【人】 XIX『太陽』 ヒナギク

[メルロンを手に取ったプロセラが、
 ひとくちぶんだけ千切って
 半分以上残ったものを、私に向ける。>>102

 私も差し出されたそれを笑顔で受け取る。]


  ありがとう、プロセラ!
  半分こだね!


[まるで食べることをしないプロセラに、
 『いっしょにたべよ』と差し出したのも、
 このふわふわの綿菓子のようなメルロンだった。

 プロセラが何が好きか分からないから、
 メイドさんに聞いてみたり、
 ときにはチェレスタに聞いてみたり、
 フォルスのお店を覗いたこともあった。>>0:38

 結局、どれを渡しても今のところ、
 同じような反応しか見たことはないけれど。

 今のところ嫌いなものは見つけたことがない。]
(417) 2022/12/17(Sat) 23:50:40

【人】 XIX『太陽』 ヒナギク


[温かな陽光を浴びながら、
 食べている間にも、今日あったことを伝える。
 中には昔話も織り交ぜて。

 口の中でとろけていくふわふわの綿菓子に、
 あまい!とはしゃぎながら。
 少し間を置けば、プロセラが口を開いた。>>103

 彼が尋ねてくれる言葉は、いつも同じ。

 だから、返す言葉もいつも、同じ。]



  ……うん、楽しかったよ!
  毎日がきらきらしてるの!!



[世界は明るい。世界は眩しい。
 みんなが居るから。みんなが在るから。

 尋ねたものとは違う言葉が返ってきても、
 気にせずにそう目を輝かせて彼に応える。

 そんな日が、ずっと。
 これからも、続くんだと思っていた――――。**]

  
(418) 2022/12/17(Sat) 23:51:23