マシロさん……！？

[声に驚く前に、反射的に手が伸びました。
　唯一残った、体温を伝える手。
　ぎゅっと握れば、安堵で胸がいっぱいになります]

　マシロさん、どうしてここに……！？


[マシロさんと喋りたかったのに、第(66)^1d1000さんに乗っ取られました！
　視線を真下へ、その先に世界《ﾖﾙ》の力を収束していきます]

[――視線の先、富獄の真下に現れたのは闇の球体。
　新月、あるいは皆既月蝕のよう。
　ぐるぐると渦巻く闇が、辺りの光を吸い込んでいきます。
　――それは擬似的な光の強奪。夜の帳を強引に下ろす行為。
　辺りがすっかり昏くなれば、もう、わたしたち《ﾖﾙ》の時間]

[つまらぬものでも退けるように、踵で球体を後ろ蹴りします。
　ダストシュートの先には富獄。
　輝かんばかりの虹色の光を、球体はどんどん強奪します。
　虹色を吸うたび、球体は大きくなり、
　やがて富獄すら超え――]

[完全に富獄を飲み込んだ球体は、
　キュボッ、と音を立てて消失しました。
　擬似的な夜も消え、陽の光が見えます。
　後には、お山をえぐり取ったような後が残るだけ*]