人狼物語 三日月国


29 【2IDソロル+ペア混合】交換日記【完全RP村】

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【人】 軍医 ルーク


  …… 莫迦、
  あとで、覚えてろ。


[ 恨めし気に顔を上げ、じーっと睨んだ。
 顔は真っ赤だし、
 口元は綻びたいのかぎゅっと結びたいのか
 ひどく難しい表情になっているし、
 まったく迫力なんてなかっただろうけれど。]
(279) 2020/05/30(Sat) 19:31:53

【人】 軍医 ルーク

[ それでもどうにかこうにか立ち直り、
 状況を確認する頃には、大分落ち着いてきて、
 ぺんぎんに義足の調達を頼む余裕も出てくる。
 動けなくてごめんと謝る声に、首を横に振った。]


  大丈夫。
  君は、あの機獣から守ってくれた。
  わたしだけじゃなく、皆のことも。


[ あのまま蛇型がここで暴れていたなら、
 どれだけの被害が出ていたか想像もつかないほどだ。]


  だから、此処から先は任せて。

  ……さっきも、今までも。
  戦えなくて、君が危険な目に遭っているときに、
  近くにいられないのが、怖かった。
  だから、出来ることがあるのは嬉しい。
  それに、彼らは君にとっても大事な連中だろう?


[ 医者として、戻って来る者たちを治すという使命感は、
 元よりあるけれど。
 それだけではなくて、力になりたい、
 出来ることがあるなら何でもしたいという望みでもある。
 だから、此処からは自分の仕事。]
(280) 2020/05/30(Sat) 19:32:47

【人】 軍医 ルーク

[ いまはゆっくり休んでいてほしいと、
 尻尾をそっと頭の下に差し入れて。
 だいじょうぶだよ、おやすみ――と、そっと耳を撫でる。
 その穏やかな表情に、あの頭痛は感じていないのだろうと、
 安堵を深くした。
 ずっと、不安だった。
 手を繋いでいると、忘れさせたりなどしないと誓っていても、
 いなくなってしまうかもしれないと、そう思うだけで、
 心臓が握りつぶされるような恐怖を感じていた。

 だから、水の中の夢の話を聞けば、
 いまでもどきりと鼓動が悲鳴を上げる。
 ――本当に、ほんとうに、
 帰ってきてくれて、よかった。]

  
  ……どこまでだって、行くよ。
  世界中のどこだって、水の中だって、
  ううん、世界の外だって。
 
(281) 2020/05/30(Sat) 19:33:54

【人】 軍医 ルーク

[ 温もりというには冷たいけれど、
 この手の温度を、感じていてくれたこと。
 彼の言葉のひとつひとつが、嬉しくて幸せで、
 あたたかくて、どうしようもなくて。

 “僕と、一緒に”
 その言葉の続きに耳をすましたのだけれど――
 続きの代わりに聞こえたのは、
 すー、と穏やかな寝息だったものだから。]


  ……、
   

[
そこは! 最後まで言ってほしかった!!!


 莫迦ー! 
 と思わず声を出しそうになるのを、何とか噤み、
 そっとその耳を撫で、おやすみ、と言った声は、
 自分自身でも聞いたことがないほどに、
 愛おしさを隠せずにいる、やわらかな声だった。]
(282) 2020/05/30(Sat) 19:35:32

【人】 軍医 ルーク

[ 最後の機獣が倒されたという一報が基地を駆け巡り、
 前線の兵士たちが帰還し、
 怪我人の搬送や戦闘後の機獣の処理が始まる。
 第二研究所の爆発を受け、爆発物等の確認は
 極めて入念に行われることになっている。
 ぺんぎんが運んできてくれた旧式の義足を取りつけながら、
 誰か手が空いたものに担架を持ってきてもらい、
 彼を医務室に運ぼうとしたのだが。]


  ん?


[ くいくい、と服の裾を引っ張られる。
 そこには、ずらりと並んだぺんぎんたちが、
 決意に満ちたきらきらした眼差しで此方を見上げていた。
 じい、と医務室のぺんぎんに視線を送れば、
 羽でしゅたっと彼を指す。
 先ほどの蛇型から自分たちも守られたと理解しているのか、
 それとも普段から仲の良いうさぎを運ぶお手伝いをしたい! 
 というところか。>>0:39]
(283) 2020/05/30(Sat) 19:36:21

【人】 軍医 ルーク


  多分、君たちには重いぞ? 
  この義手とか。
  人間が運ぶにしても何人かは要ると…

  ――
うわあ…?



[ 思わず変な声が出たのは、そう言っている間に、
 さらにわらわらっとぺんぎんが増えたからだ。
 近くの建物で息を潜めていた連中だろう。
 医務室の方角から担架を担いできた数羽が見えるに至り、
 まあいいか……と諦めた。
 この規模の戦闘なら、怪我人の搬送には鳥の手も借りたい。
 
 そのようなわけで、帰還した第一攻撃部隊隊員は、
 中庭で破壊され、停止した蛇型機獣の残骸を見て、
 彼らの隊長が基地を守ったということを知るだろうし。

 ―― タイミングによってはそれに加えて、
 見慣れない白狐に先導されたぺんぎん達に運ばれて行く、
 赤いうさぎを目撃してしまうことも、
 もしかしたら、あったかもしれない。>>269]
(284) 2020/05/30(Sat) 19:37:14

【人】 軍医 ルーク

  ―― 
医務室
 ――

[ それから暫くの間、
 医療班は負傷者の治療に総出で取り組むこととなる。
 出来るならずっと付き添っていたかったのだけれど、
 彼が目を覚ますまで、自分は自分のするべきことを――と、
 職務に打ち込んだ。
 それでも空き時間を見つけるたびに、
 臨時の医務室に顔を出し、様子を見ることは忘れない。
 人見知りのぺんぎんも、今回ばかりはと人前に出て、
 “おてつだい”業務に大忙しだった。

 自分が担当になった兵士は、
 相変わらず顔を青くする者もいれば、
 非常時にえり好みをしていられないと腹を括る者もあり。
 あるいは、フードを取った姿を見て、
 えっ…と固まっているようなのもいたが、
 あれは何に驚いていたのかよく分からない。

 逃げようとするやつには、
 逃げたらその腕の捻挫治すついでに四本位に増やすぞ? と、
 念入りに脅してやったものだ。]
(285) 2020/05/30(Sat) 19:38:40

【人】 軍医 ルーク

[ それで、だ。
 目を覚ましたと聞いて駆けつければ、そこに見えたのは、
 穴に潜り込んでも、どう見ても隠れ切れていない感じの、
 ふわふわぷるぷると揺れている、赤い尻尾。>>275]


  ……


[ ひとつ、ふたつ、瞬き。
 どういう状況だこれ――?
 ぺんぎんと顔を見合わせて数秒後、なんとなく察する。

 ( 自分もここしばらくの間仮眠をとるときなんかに、
  あのときのことを、何度も思い出しては赤くなり、
  尻尾がぱたぱたと動いてしまうことなんかが、
  あったものだから。 )

 それでも、あれから時間をおいている分、
 自分の方は彼に比べて“心の準備”が出来ているのだろう。
 ああ、そういえば、
 “後で覚えてろ”と言ったっけかなあ――と思い出し、
 寝台を指さし、うずうずしているぺんぎんに
 ゴーサインを出した。]
(286) 2020/05/30(Sat) 19:40:45

【人】 軍医 ルーク

 [ ぺんぎんはきらきらした眼差しで嬉しそうに、
 ててて、と寝台に飛び乗り、
 足元からもぞり、布団に潜り込む、
 以前義手を使った彼が運び込まれてきた時と同じように、
 顔の近くまでもぞもぞと這ってゆき、ひしっとくっつく。]

  
  起きたって、聞いたから。
  身体の具合は?
  薬を持って来たんだ。
  残念ながら薬は苦いから、
  また苦いものと苦いものの選択になるね。
  抵抗したら、また全部混ぜて口に突っ込むよ?


[ そう言いながら、布団に手をかけ、
 それはもう情け容赦なく、一秒も待つことはせず、
 べりべりと引っぺがそうとする。
 自分の力では剥がせないかもしれないし、
 案外剥がせてしまうかもしれないし、どうなるだろう。

 いずれにしても、もしうさぎが穴から顔を出したなら、
 微笑みを浮かべた紫の双眸が、
 すぐ近く、目と鼻の先にあるだろう。
 そうして、言ってやるのだ。]
(287) 2020/05/30(Sat) 19:42:14

【人】 軍医 ルーク


   おはよう、シュゼット。
   “これからも、僕と一緒に”の、
   続きを聞かせて?


[ そう、つまり。
 感情が戻ろうと、自覚しようと、
 やっぱり意地悪はするのである。

 ( ―― ほんとうに聞きたかったからだ。
   とても )

 でも、そう言いながら、やっぱり自分の頬も、
 心の準備なんてどこに行ったとばかりに赤くなっているのは、
 これはもう、仕方がない。

 運んできた薬瓶が苦いのも、どうしようもないことだけれど、
 それに加えてもう一つ、
 後に飲めば苦みを消し去ってくれるような、
 甘い苺味のジュースを作って持ってきていたのも、
 まだ、言ってやらない。

 手に持っているのは、あのタブレット。
 自分が書いた返事を、まだ読んでもらっていない。
 そちらはそっと枕元に置き、まずは返事を待つ。]*
(288) 2020/05/30(Sat) 19:44:34

【人】 軍医 ルーク

[ 右腕がまた動かない、のところで
 ぐっと表情を曇らせはするけれど、
 義手を使って全く反動がないということはないだろうと
 予測はしていた。
 “いつもと同じ感じ”ならば近々動くはず――と
 自分を納得させる。

 赤くなってしどろもどろになっているところを見ると、
 いつもの自分なら、さらに追撃――なんて、
 考えてしまうかもしれないのだけれど。
 間近に目を見れば此方の頬もかっと赤くなってしまうのは、
 どうしても数日前のあのときのこと――、
 触れあった感触を、克明に思い出してしまうので。
 心の準備どこに行った。

 それでも、“聞きたいこと”は聞きたいのだ。
 続きを聞かせて、と問うときも、
 仕切りの向こうの他の患者には聞こえないように
 そっと声を潜めていたりもする。]
(332) 2020/05/31(Sun) 14:20:32

【人】 軍医 ルーク


  約束してくれて、ありがとう。
  

[ “あんな威力の義手砲は”撃たない――
 彼自身が失われる恐怖に怯え続けていた自分にとって、
 それは何よりも嬉しい約束だ。

 撃つこと自体はやめないと言ったのは、
 これから何が起こるか分からない以上、
 言えないことだったのだろう。
 本当は、身体に負担がかかることはやめてほしいと、
 そう思ってしまうのだけれど。 
 出来ないことを言わないのは、その言葉が“本当”だからだと、
 分かってる。

 それなら、自分も出来ることを探したい。
 あのとき彼は、蛇型に襲われていた自分を、基地の者たちを
 助けるためにその力を使った。
 あのようなことが、二度と起こらないように。
 義手砲を使わなければいけないことが、なくなるように。

 ――そして、そうだ。]
(333) 2020/05/31(Sun) 14:26:04

【人】 軍医 ルーク


  撃たなくても良くなることが、
  何より一番だけれど。
  どうしても使わなければいけないことがあったとしても、
  体に影響が出ないように改良していく方法を、
  見つけたいと思ってる。
  わたしは技術者じゃないけれど、
  専門外だなんて言ってられない。
  これから探すし、考えるし、
  絶対に見つけるんだ。


[ いま布団の中でもぞもぞ言っているぺんぎんの、
 飛べない羽のこともある。
 自分の持つ技術の幅を広げてゆくことは、遅くないはずだ。
 もしかしたら、天の向こう、
 この義手が作られたであろう場所なら、
 そのヒントもあるのかもしれないと――
 そのようなことも、薄っすらと考えながら。]
(334) 2020/05/31(Sun) 14:27:20

【人】 軍医 ルーク

[ やがて、名残惜しそうに身体を離し、
 ベッドの横に椅子を持ってきて腰掛ける。
 基地に流れる噂は、彼の耳にも入っていたようだ。
 
 なお、ぺんぎんに纏わる噂の方は、
 尾ひれがついて不思議なことになっているようだったが、
 面白いからそのままにしておいた。>>297

 医務室のぺんぎんは、患者に甘いものを差し入れされて、
 頭の上にハテナを浮かべて不思議そうにしていたけれど。
 食べきれない分を机の上に並べて困っていたから、
 仕事の合間にポシェットを縫って肩から下げてやった。
 というわけで、
 いま布団の中に潜り込んでいるぺんぎんのポシェットには、
 飴やキャラメルといった菓子が入っていて、
 “おすそわけのおみまい”を渡すタイミングを、
 いまかいまかと待っている。

 そして、“地上との交渉”という噂。]


  ああ、本当らしい。
  今は中央との折衝中だと聞いたけれど、
  近いうちに決定が出るはずだ。 
  次の襲撃までは間があるだろうけれど、
  それもいつまでかは分からないし、
  早いに越したことがないから。
 
(335) 2020/05/31(Sun) 14:28:45

【人】 軍医 ルーク

[ 彼が話そうとしている話の内容については、
 タブレットの話を聞くなら、過るものはある。
 こちらから口に出そうとはせずに、
 タブレットを見てくれたかという問いには頷きを返した。]


  総攻撃の前に、読んでた。
  その場で返事も書いたよ。
  いつ渡せるか分からないけれど、
  なんだか、黙っていられなかったから。
  どうしてもその場で書いてしまいたかったんだ。
 
  壊れてないし、動作も確かめたから大丈夫。
  東の外壁に置いておくいつもの方法だったら、 
  巻き込まれて壊れていたかもしれない。
  ぺんぎんに渡してもらって良かった。

 
[ もしかしたら、あのときは。
 “いつかはちゃんと届けられる”と信じたいがために、
 願掛けをするように、返事を書いていたのかもしれない。
 枕元に置いていたタブレットを取って、彼に手渡す。
 書かれていた返事の後半は、地上に行く話。>>3:$14
 自分は当たり前のように、
 “一緒に行く”場面を想定して書いていた。
 それは、口調の端々から伝わることだろうけれど、
 そういえば『一緒に行く』と書いてはいなかったことに、
 いま気付く。
 一人で行かせるなんて想像もしていなかったことだから、
 すっかりそこに自分もいる想定で描いていた。]
(336) 2020/05/31(Sun) 14:30:59

【人】 軍医 ルーク

 
  さて、と。
  話をしながらでも、まずはこっちだ。
  “パスワードをあけて”もらおうかな?
  もう何日も眠ってたんだから、体力を戻すのが先。


[ 当たり前のような顔をして、すーっと押し付けるのは、
 件の苦い、苦い薬。
 タブレットのパスワードだったAME015。
 何はともあれ、薬瓶を空けながらだ。
 自分も昼夜を問わず走り回っていたものだから、
 以前の飲食睡眠を忘れていたような状態よりましとはいえ、
 疲れはある。
 以前飲んで効いたなこれ、と覚えていたから、
 ポケットから自分の分も取り出して、
 至極平気な顔でくいっと飲んでみたり。

 話が先か、薬が先になるかは本人に任せるところだが、
 布団の中のぺんぎんは、
 がんばれ…! とエールを送っている。]*
(337) 2020/05/31(Sun) 14:32:37

【人】 軍医 ルーク

[ ぺんぎんがポシェットから取り出した苺飴に
 目を輝かせている様子を見ていれば、
 こんなささやかなことも、取り戻された平穏を感じさせて、
 思わず口元が緩んだ。
 地上に行く話のことは、自分でも色々と情報を仕入れていた。]


  前に何度も襲撃があって、
  残骸が回収されただろう?
  第二研究所に運び込まれた残骸は
  もう残っていないけれど、
  他の残骸は今も解析が進められていて、
  その中には、記録媒体も残されていたみたいだ。

  これまではそのほとんどが
  ブラックボックスだったのだけれど、
  通信機を解析する際に技術班が解いた暗号と
  同じ方式で解読できるデータがあって、
  地下に諜報員を送り込む際の『帰り道』についても、
  記載があったらしい。
  それを、遺失技術が発掘された地域の
  地殻調査のデータと照合して、
  二、三か所、それらしい箇所に当たりがついた。
  使用可能か調査も進んでる。

  詳しい話はジルベールに聞けば、
  多分、必要な情報の三倍くらいの分量を
  話してくれると思うから、
  おすすめ――はしない…
(414) 2020/06/01(Mon) 0:31:27

【人】 軍医 ルーク

[ 迂闊に詳細を尋ねてしまったところ、
 患者の治療があるからと去ろうとしても医務室に着いてきて
 最後まで喋り倒していたジルベールの早口を思い出し、
 遠い目にもなる。

 つまりは、この地下世界から地上に通じる抜け道が、
 今も残されているということだ。
 地上も把握している道であるから危険もあるが、
 いま直ぐに見つかるルートは他にないだろう。

 上下に物資を搬送する装置が備え付けられているのか、
 はたまた長い長い階段や梯子が嫌がらせのように
 据え付けられているかは、
 蓋を開けてみなければ分からない。

 後者の場合は、自分の脚について何か対策を――なんて、
 あの日記を読んでいる自分は、もうすっかり
 “地上に行く”という思考で考えているのだ。]
(415) 2020/06/01(Mon) 0:32:48

【人】 軍医 ルーク

[ タブレットの場所を示し、いつもの栄養剤を差し出せば、
 いつものように後ずさりするうさぎ。
 自分も飲んでは見せたけれど、
 苦みも味も感じないものだから、実は公平じゃない。

 あの日記に、いつか自分は書いた。
 情緒面と“感覚”に異常がある、と。
 きっともう、彼も自分の味覚のことは気付いているのだろう。
 
 ――失われたものが感情と味覚であったことの理由は、
 いまは、自分でも分かってる。>>2:178 >>76
 
 きっと最初から自分は、美味しい物や苦いもの、
 いろいろなことに感情を見せる彼を見ていたのだろう。
 それが最初は持っていなかったものとは知らずとも、
 惹きつけられるように――ずっと見ていた。

 なお、薬を飲みながら日記を読み進める彼が、
 また涙目になってぷるぷるするのを見ている自分の顔は、
 多分こんな感じだ(=x=)]
(416) 2020/06/01(Mon) 0:34:27

【人】 軍医 ルーク

[ けれど、ぺんぎんが取り出したジュースに
 ぱっと表情を明るくする彼の表情を見ていると、
 自分もまた自然と口元が綻んで、
 スツールの後ろに零れて床にまで届く長い尻尾が、
 ゆらゆらと楽しそうに揺れる。]


  この間とは砂糖を変えてみたんだ。
  ぺんぎんも、喜んで味見してた。
  苦い薬――は、
  飲む機会も、もうなくなればいいと思う。


[ 義手や強い栄養剤を使う機会がなくなるよう、
 あったとしても極力少なくなるように。]


  ああ、でも、もし
  風邪をひいたり何か体調不良があったら、
  薬って言うのは大体不味いものだから、
  そのときはまた、苦い目に遭うよ?
 

[ 脅すように、わるいえがおをしてみせる。
 そんな風に口うるさく言ってしまうのは、性分のようなもの。
 ――けれど、]
(417) 2020/06/01(Mon) 0:36:24

【人】 軍医 ルーク


  けど――
  君が美味しそうに食べているのを見ていると、
  食べるのは悪くない、って思えるから。
  美味しそうにしている顔を見たいから。
  だから、君が好きだと思うものを沢山覚えたい。
  手先は割と器用だよ?
  ああ、ただ、塩と砂糖間違えても気付かないから、
  そこは味見係の勤務状況に賭けてくれ。


[ 分量や手順通りに物を作るのも、得意とするところ。

 以前は口に物を入れるたびに吐き出したくなって、
 栄養剤ばかり口にしていたようなものだった。
 けれど、通信機を取りに行った道すがら、
 飴を貰ったときのこと。
 自分は味一つ感じられなくとも、
 彼やぺんぎんが嬉しそうにしているのを見て、
 それが何より“嬉しかった”。
 自分にとって、“食べる”は――いまは、そういうこと。]
(418) 2020/06/01(Mon) 0:38:31

【人】 軍医 ルーク

[ ベッドに起き上がった体勢で、
 彼はタブレットを読んでゆく。
 無理な体勢にならないように、
 クッションを調達してきて背凭れにして、
 そのあとはじっと、椅子に腰掛けて待っていた。

 微笑みが返されたなら、笑い返す。
 自分が書いたものは日記というよりはむしろ――
 という自覚はあったものだから、
 照れが隠せない、はにかむような笑顔になる。

 タブレットに文字を綴ってゆく指先を、目を細めて眺め、
 やがて打ち終え、画面を示されたなら、
 横合いから覗き込んだ。
 この日記を読むときは、いつもそうしていたように、
 一語一句読み落とさないように、丁寧に、だいじに。

 “断られた後のことなんて考えてない”――
 信じてくれると思ってる、と、
 そう書いてくれたことが、とても嬉しくて。
 大好きな人と記してくれたことが、何より嬉しくて。

 じいっと目を見て、笑顔で頷く。
 そっと耳元に唇を寄せて、囁いた。]
(419) 2020/06/01(Mon) 0:39:46

【人】 軍医 ルーク



  君が傍にいない今も、未来も、考えてない。
  ずっと傍にいる、傍にいて。
  何があっても、わたしは君を守る。
  わたしが君を信じていると、
  分かってくれていて嬉しい。

  ――… 幸せすぎて、怖いくらいだ。
  これ以上嬉しいことなんてないって思っても、
  こうして隣にいて、言葉を交わして、
  笑ってくれるたびに、
  幸せだと思うことが増えてく。


[ 同じものを見る、同じ場所に立つ、
 一緒に時を過ごし、新しいことを知る。
 何があっても、乗り越えられる。
 それはきっと、“互いの中に色んなものを増やしていく”
 ――そういうこと。]
(420) 2020/06/01(Mon) 0:40:49

【人】 軍医 ルーク


  ……わたしにも、一つだけ、
  君に言っていなかったことがある。
  長い話になるから、そうだな、
  君がもう少しちゃんと回復したときに。

  …天の向こう、君と同じ場所から来た子がいた。
  第二研究所にあった残骸が爆発した時に、
  助けられなかった、
  何もできずに死なせてしまった子のこと。
  後悔が、ずっとずっと、消えない。
  
 
[ 互いに、失くしたことがある。
 悔いもある。
 この過去もまた、今の自分を形作る記憶だ。
 過去は過去として受け止めて、前に進むには、
 やはり自分はどうしても時間はかかるのだろうけれど――
 止まっていた時間は、もう動き出している。]
(421) 2020/06/01(Mon) 0:41:49

【人】 軍医 ルーク

  でも、止まっているのはやめにする。
  君はこれからも歩いて、
  わたしはその隣にいるんだから。
  いまも、これからも、ずっと。
  
  一緒に、行こう。
  君が書いた日記を読んでから、
  わたしも、上に行くことについて考えてたんだ。
  たとえば――


[ そう言って指さしたのは、彼の懐に収まっているぺんぎん。
 よばれた! と両手を上げて、自分の存在をアピールする。
 そのお腹の所には、いま菓子が入っていたポシェット。
 荷物袋はそれでいいかと思ったら、
 もう少し大きいのがいい、とでもいうように、
 医務室の緊急持ち出し袋の所で強請られたから、
 いま、新しいリュックを縫っているところ。]


  一緒にいる。
  この戦争を止めようと思う、君の力になる。
  わたし自身も――そう望んでる。
  
  それに、ね。


[ 窓の向こう、“天”に輝く灯りに、目を細めた。]
(422) 2020/06/01(Mon) 0:43:26

【人】 軍医 ルーク



 

   君と一緒に、“星” が見たい。


  
(423) 2020/06/01(Mon) 0:43:54

【人】 軍医 ルーク

 ―― 
地上のどこかで
 ――

[ 土色のブーツが、地面に落ちた小枝をぱきりと踏む。
 周辺の調査を一通り終えて、木陰に戻ろうと。

 互いの目の届く範囲にいるから、
 此方がどこにいるかなんて承知の上だろうけれど、
 タブレットで作業をしているようだから、
 しーっとぺんぎんに合図をして、
 こっそり後ろに回り込んでみたり。
 けれど、邪魔になることもしたくはなかったから、
 樹の後ろからひょいと顔を出し、
 “ただいま”と耳元でささやくにとどめた。
 うん、本当に、耳が良い彼のことだから、
 こんな悪戯にもならない悪戯は気付いていただろうけど。
 

 地上の沢山の土地を回る。
 新しい景色を見る。
 子供の頃に本で読んだ、天の上の世界。
 “星”、あめ”――…、
 そして、あの日記で想いを馳せた、
 白く凍った世界、硝子の絵が描かれたの瓦礫の建物。
 生きているひとの、どこにもない世界。]
(424) 2020/06/01(Mon) 0:46:27

【人】 軍医 ルーク

[ 足を踏み出した当初は、そのあまりの広さと、
 耳鳴りがするような静けさに圧倒されて、
 何処までも広がる空に、雲に、
 世界そのものに押しつぶされそうで、
 このような場所をひとり、調査して歩いていたのかと、
 そのことをどうしても、思い出した。

 音を、空気を、世界を懸命に受け止めて
 感じ取ろうとするかのように、
 耳と尻尾がぴんと張りつめ、ふるりと震え、
 なんとか呼吸を整えて、
 手をつないでいて、と頼んだものだ。
 そうして踏み出した最初の一歩を、
 いまでも、よく覚えている。

 あちこち旅をするうちに、
 地上の人間が生きているシェルターを訪れる機会もあった。
 耳も尻尾もない人間たちには、自分の形は珍しいようで、
 子どもにぐるぐる囲まれて、目を回すこともあった。

 (敵対的な人間については――そもそも地下でも
  基本的に否定されていたので、
  個人的にはさっぱり気にはならなかったのだが、
  彼にそういう目が向けられたときは、むう、と睨んだり)]
(425) 2020/06/01(Mon) 0:48:45

【人】 軍医 ルーク

[ 何より安心したのは、義手を改良してくれる者たちが
 いたということ。
 最初に彼らと接触した際に、義手の構造を知りたい、
 出来るなら装着者の身体に影響が出ないように
 改良の手段はないか――と頼み込み、
 その時点でのデータを貰ってはいたのだが、
 改良に成功したとの知らせを受けたときには、
 飛び跳ねて喜んだものだ。


  “わたしを調べる? 
   それくらいなら全然かまわないけれど――”


 ぐるぐる回されようと細胞を取られようと
 まあいいか――と、頷こうとしたのだけれど、
 彼が義手砲なんて向けようとしたものだから、
 ばかー!! とぎゅうぎゅう抑え込んだ。

(そう言いながら、尻尾の方は、
 心配してくれて嬉しいという気持も隠せずに、
 慌てるやら嬉しそうにするやら、
 忙しいことになっていたのだけれど)]
(426) 2020/06/01(Mon) 0:50:30

【人】 軍医 ルーク

[ とはいえ、そういう自分も、彼らが


 『いやいや悪かった、
  ……でも良かったら、ほんの少し、
  地上と地下を行き来していた
  シュゼット君のことを調べて
  過去のデータとの比較をさせてもらっても
  いいかなあ、とか――』


 など言い出したときには、
 地上人は耳の代わりにどこを結べばよいのかな? 
 と、身を乗り出して、
 ぺんぎんが止めなければいけない相手は
 二人に増えた。]
(427) 2020/06/01(Mon) 0:51:30