夕凪は、メモを貼った。 (c30) 2021/08/16(Mon) 12:08:57 |
【墓】 枠のなか 卯波「今では、帰省した人たちの再会の場として、 夏を楽しむお祭り行事にでもなっていますけど。 盆踊りは、帰ってきた霊や、 行き場を失くした魂を、 安らかに踊り出すための舞、って言われてます」 十六夜の暮れ。提灯や覗く月灯り。 賑やかな人の流れ、喧騒に従って、 中心へとどんどん、距離を詰めていく。 近付くにつれ響きを増す、笛や太鼓の音。 飴を食べ切るまでは混じれないが、 それでもぽつぽつと人が踊りに集まって来る。 (+43) 2021/08/16(Mon) 12:11:53 |
【墓】 枠のなか 卯波「貴方も寂しかったんですね、婆ちゃん」 そう、祭囃子の端に佇んでいる 気がする 、皮肉気な笑みが素敵な彼女に声をかける。 孫に情けない姿は見せられなくてね、 なんて素直じゃないことばが聞こえた気がした。 (+44) 2021/08/16(Mon) 12:12:21 |
枠のなか 卯波(匿名)は、メモを貼った。 2021/08/16(Mon) 12:16:43 |
卯波は、彼らと花火を見終えたら、盆踊りに混ざりに行くだろう。 (c31) 2021/08/16(Mon) 12:19:37 |
【置】 警部補 添木添木には何もない。 両親の写真は、一枚もなかった。 一枚だけ祖母がとっておいたものを、見もせずにキッチンで焼いた幼いころ。 自分を捨てた大人なんかと、自分が繋がっている由縁を、一つたりともこの世に残したくなくて。 あんたは優しいけど。 ずっと前にいるのに、時折振り返って笑ってくれた。 ずっと一緒に過ごせるんじゃないかって、そう思わせてくれた。 嘘つきだ。 あんたは嘘つきだ。 本当にひどい。 でも、今度はその嘘を俺が引き継いで、誰かに背中を見せてやる。 こうしないと、きっと救われない”誰か”がいる気がすんだよ。 これでいいよな。 これでいいんだ。 きっと。 (L15) 2021/08/16(Mon) 13:22:55 公開: 2021/08/16(Mon) 13:25:00 |
添木は、寝たフリをした。少しだけ、泣いた痕が残っても、多分気付かれないだろうから。 (a24) 2021/08/16(Mon) 13:24:06 |
【見】 天狼の子 夜長【祭り、どこかのベンチ】 夜長は祭りの中、藍鼠の甚平姿。食べ終わった飴の棒を、行儀が悪いなと思いながらかじっている。つまようじみたいな味と、しみ込んだ飴の味。嫌いじゃなかった。 雅也さんに、もう母さんを探さないでいいと言われた。母さん、ここに来ていないんだな、と思った。雅也さんも言い切れない何かはあるみたいで、ちゃんとは言われていないが……そうだと思えば、本当なんだろうなと。 母さんが約束をなかったことにするなら、ちゃんとした理由があると思うから。 探して探して、俺でない他の人も、本当に誰も見ていなかったから。 いくらかくれんぼが上手でも、日が暮れたらみんな出てくるものだから。 父さんに怒る理由が増えたかもしれない。母さんがここに来ていないのなら、父さんの方が嘘をついていたことになる。雪子さんはこの村に来ていない。ああ、晴くんの方が先に来てしまった。モモチと同じで、母さんは気にしないだろうが。 (@2) 2021/08/16(Mon) 16:04:24 |
【見】 天狼の子 夜長【祭り、どこかのベンチ】 自分ひとりで考えて、自分ひとりで決めて、ここに来た。大人になったら、全部じゃなくても、そうやって自分で決めることが増えると思って。大人になったら、出来ないことがたくさん出来るようになるとも思っていた。 でも、けっこう出来ないことは出来なかったな。怒っているからあまり考えなかったが、父さんだったら上手く出来たのだろうということはいくつもある。 あの人も晴くんみたいに、誰かに迷惑をかけてごめんなさいをして、助けてもらってありがとうをしていたことはあるんだろうか? 今度話してみようと思う。怒るのが先だが。 (@3) 2021/08/16(Mon) 16:04:45 |
夜長は、人を見ているのが好きだ。話を聞くのが好きだ。思い出に触れるのが好きだ。だから、 (t9) 2021/08/16(Mon) 16:04:55 |
夜長は、ひとりでもけっこう、この祭りをたのしんでいる。でも、 (t10) 2021/08/16(Mon) 16:05:04 |
夜長は、誰かと一緒の方がもっとたのしいだろうなと思った。 (t11) 2021/08/16(Mon) 16:05:11 |
【見】 天狼の子 夜長【祭り、どこかのベンチ】 「みんなでいて、たのしくないこともないと思う」 だからみんなのいる所に来ていたつもりだが、みんなはそうでもないのだろうか? 今日見ていない人は、俺が見ていないだけならいいと思う。 かくれんぼじゃないが、隠れている人はいるかもしれない。なんとなくそんな気がした。動かないでじっとしているだけじゃなくて、ひとりで歩いて鬼 -誰か- から隠れている人も、たぶん。隠れている人も、隠れていない人も見つけに行こう。鬼は得意でないが、そうしたいので。それが今の俺の、祭りをたのしんでみるだと思う。 (@4) 2021/08/16(Mon) 16:05:56 |
夜長は、ベンチを離れて歩き出した。見つけられるだろうか。 (t12) 2021/08/16(Mon) 16:06:08 |
夜長は、慈姑に手を振った。 (t13) 2021/08/16(Mon) 16:09:09 |
夜長は、ばあちゃんは祭りをたのしんでいるのだと思った。振り返ってどこかに行く後ろ姿が、ご機嫌そうだったから。 (t14) 2021/08/16(Mon) 16:09:26 |
【人】 君ぞ来まさぬ 百千鳥>>67 鬼走 【四日目/夏祭り】 「……あー、うん」 頬を掻いて一度、返答のなりそこないのような声を発した。 とはいえ何か言葉に詰まるような事があるでもなく、ただ そんなふうに見えているのか、という思いがあるだけで。 「うん、つまんないよ。 …てよりは、寂しいかなあ。 一人でご飯食べるのって味気ないじゃない? 多分、そういうことなんだと思う」 それが本来どんなに楽しい時間でも、一人では味気ない。 それがあなたにとって共感に足る心情かはわからないけど 一般論としては理解の及ぶものではあるはずだ。 そんな例題を一つ挙げて、だから大丈夫と笑って見せた。 だってもうすぐ、一人ではなくなるから。 (71) 2021/08/16(Mon) 16:10:43 |
【墓】 青嵐『青嵐って悩みなさそうだよな』 これは恐らく俺が最もよく言われる言葉。 初めて言われたのはいつだったか もう覚えてはいないけど。 確かに特に深く悩んだこともないし 何かに悩まされたこともない。 だから去年部活で県大会で負けて全国行けなかったときに、 3年にとっては最後の試合だったからどうにか先輩を励ましてやりたくて冗談言って笑わそうとしたら 「悩みないやつはお気楽でいいよな」 って言われたことも全然悩んでないし、 俺に求められてたのは表面の賑やかしだけだったってこともすぐ悟ったし、それから人の悩みとかにも深く突っ込まないようにした。 俺って立場弁えてるからね。 「……今が楽しければ、なんでもいいよ、俺は。」 皆だって、それを求めてるんだから。 (+45) 2021/08/16(Mon) 16:40:34 |
【人】 影法師 宵闇>>68 >>L14 >>69 >>70 御山洗 ──瞬き。 嗚呼、軽率だったな、と男は悔いた。 目の前の友人は、海で手を引いてくれた時と同じ目をしていた。 宵闇 翔にとっての御山洗 彰良は、幼い頃からの友人だ。 清和とぶつかり合っている中に無理やり引っ張り込んで 自慢していつも困らせているような。 けれどそれでも付き合ってくれて、影で頑張ってくれるような。 ──今でも、そうだ。 御山洗の言う好き、とは違っても。 ただ、大事な友人であることは確かだった。 何年経っても、再会できて過ごせたことは この夏のひと時は、安らぎだった。 今の宵闇 翔は今にも夢に縫い付けられそうな "かえりたくない" "このままでいたい" そういう思いでいっぱいの、だめな大人だった。 その夢が崩れていく音がして、ほんの一瞬、迷子のような妙な顔をしてしまった。 いつもの余裕で取り繕うことが、できなかった。 耳に届いた掠れた音が、苦痛を堪えるように目を伏せる姿が いつまでも焼きついていて、 気付いた時には、距離が離されていた。 男は、ただ無表情でその場に立ち尽くしている。 → (72) 2021/08/16(Mon) 17:54:17 |
【人】 影法師 宵闇>>68 >>L14 >>69 >>70 御山洗 「なあ、アキラ」 「……俺が、好きだって言ったな」 確かめるように、呟く声は夜の海みたいに、静かだった。 大きな体で小動物のように震える男を前にして まるで怯えさえないように、静かに言葉を紡いでいる。 「そりゃあ、さすがに驚いたよ。 けど、"今までありがとう"?別れの言葉に聞こえるなー…… だから俺と付き合いたいとかじゃないのかい」 わざとらしい、いつものような調子を作る。 「俺は、切り替えのできる大人ではあるが。 "はいそうですかさよなら"って今のやりとりで 友人捨てられるほど、薄情でもなかったらしい……」 「来なければよかった? なぜだ? 俺が好きなのに?」 「……どうして、逃げる? 俺が好きなのにかい?」 「なんで、そんなに怖がってるんだ」 「教えてくれないのかい、俺は聞きたい」 「話がしたい」 無責任なことを言っている自覚はあった。 → (73) 2021/08/16(Mon) 17:57:24 |
【人】 影法師 宵闇>>68 >>L14 >>69 >>70 御山洗 「──本音を言うとお前とこのまま別れたくないだけさ。 ……さよならするなら、納得がいってからがいい」 男は、まるで昔の諦めの悪い少年のような目をしていた。 「俺、この田舎にずっといれたらいいなって思ってるんだ。 ここにいたら忘れてしまった大事なことを取り戻せそうで。 ……帰りたくない、お前は、そうは思わないか?」 ──そんなことは無理とは、どこかでわかっているのに。 今の宵闇 翔は今にも夢に縫い付けられそうな "かえりたくない" "このままでいたい" そういう思いでいっぱいの、だめな大人だった。 男はあなたが本音を言ったのと同じように、本音を返してやった。 「……祭りには一人で行くよ、それは言う通りにする。 けど、──急に、いなくならないでくれよ。 俺がまた海に落っこちたら、そのまま沈んじまうかも」 笑顔を作る。 「"またな"」 男は一方的にそう言い放って、背中越しに手を振った。 (74) 2021/08/16(Mon) 17:59:29 |
【置】 学生 涼風拝啓 夕涼みにほっと一息つく、晩夏のきょうこの頃、いかがお過ごしでしょうか。 (中略) 今の私は沢山の欠片を持っています。 例えば、こうして便箋を手に取ってペンを持った時。 例えば、どこかの街で賑わう夏の祭りを目にした時。 やはり私は昔を思い出すのです。皆と会ったあの頃を。 いなくなってしまった人を思う度、美しい思い出たちはガラスの破片となり、振り返ろうとする私の足に噛みついて鋭い痛みを与えてこようとする。 痛みに泣いて、蹲って、砕けてしまった思い出をかき集めて抱きその場から動けなくなってしまったら、きっとどれほど楽だったことでしょう。 でも、優しい夢に囚われ続けるのであれば。 完璧な形でないといけない、そう思いませんか? いてほしい人がいない甘い夢では、いない人の事ばかり考えてしまうもの。弾き出されたその人が寂しい思いをしてしまわないかと、私は気になってしまうのです。 だから私はここにいる。こうして貴方に手紙を出す。寂しさが少しでも埋まるように、お裾分けできるような思い出の欠片を沢山拾いながら。 生者のエゴだと思いますか?ええ、きっとそうでしょう。葬儀とは、弔いとは、死者のために行うものは、生者が己の心の整理をする為にあると言われるほどですから。 じゃあこの手紙も送るのをやめましょうか?なんてね。 エゴかどうかは、生ききって私も死んだ先、貴方と合流してから答え合わせをしましょうね。 それまでに土産話を沢山用意しておきますから。 (中略) 敬具 20××年 8月××日 涼風薫 (L16) 2021/08/16(Mon) 18:42:39 公開: 2021/08/16(Mon) 19:00:00 |