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![]() | 【人】 『 大蛇 』 ラサルハグ 森の中で薄く照る裏葉色の少女は 美しいという形容が相応しかろう。 主と容姿が瓜二つだからでは無い。 それに、主の瞳は裏葉柳ではなくロベリアだ。 何も知らないであろう少女は 何物にも染まらない芯を感じさせるも 何物にも染まりそうな魅力を持つ。 不意に『ラサルハグ』は触れた頬を優しく撫で その髪を指先で梳いていく。 『ソフィア』を指先に刻むがごとく、触れる。 (311) 2021/06/18(Fri) 11:36:53 |
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![]() | 【人】 『 大蛇 』 ラサルハグ思わずそう吐息混じりの声で囁いた後。 絡み合っていた視線を最初に解いたのは 『ラサルハグ』だった。 人間よりも鋭敏な五感はたとえ森の入口であっても 人間達が森に立ち入ったことにはすぐに気づく。 恐らくはソフィアを探しに来ているのだろう。 そうだ。この少女には帰るべき場所がある。 にも関わらず村の者達はこの場所に来る前に 引き返していくのだ。 それはつまり『神』を恐れたからで あの者達にとっては村娘よりも神の怒りが怖いと。 『 大蛇 』にはそう思えてならない。 (313) 2021/06/18(Fri) 11:41:25 |
![]() | 【人】 『 大蛇 』 ラサルハグ『ラサルハグ』はソフィアに視線を戻し。 「どうやらお前を探しに来た者がいる。 しかしここには辿り着けないようだな。 まったくもって...救いようのない連中だ。」 『ラサルハグ』は呆れたようにため息をつく。 もし少女が不安がるようならば必ず村に帰すと 宥めることにするだろう。 『 大蛇 』は立ち上がれば その片手をソフィアに差し出して。 「こう夜が更けていては 本当に蛇が子どもを攫いかねん。 お前を村まで送り返してやろう。」 そう、少女の答えを待つのだ。* (314) 2021/06/18(Fri) 11:46:39 |
![]() | 【人】 龍之介[どきどきしながら見守っていると、 また嬉しいお言葉が 食べ終わったばかりの口元から飛び出してくる。>>292 その表情が、反応が、>>291>>292 とんでもなく可愛らしくて 此方まで溶け落ちてしまいそうだ。 (……もっと見たいな、) 急くような気持ちに後押しされて 次も差し出してみれば 見つめている自分の方が 幸せになれてしまうようなお顔とお声で、 褒めてくださるものだから>>293 どうしようもなく浮かれてしまう。 こんなに、 ”嬉しい” だけで心が塗りつぶされたのは何時ぶりだろうか。 思い出せないから、 初めてのことかもしれない。] (315) 2021/06/18(Fri) 11:47:24 |
![]() | 【人】 龍之介[そうしながら思い出すのは 先程の幸せそうなお顔。 (…あぁ、そうだ! ほんのり甘くした豆乳を 寒天でぷるんと固めて、きな粉をまぶす。 黒蜜を添えても良いかもしれない。) 思いついたら 居ても立っても居られなくて さっと掃除を終わらせ すぐ下ごしらえに取り掛かった。] (318) 2021/06/18(Fri) 11:47:59 |
![]() | 【人】 龍之介[此処に来る前は 弟が村で不自由なく暮らしていけるようっていう 息苦しい使命感だけだったのに… あの御方に 喜んでいただきたい、という ある意味、自分の欲のためにする努力は ────こんなにも楽しい。 失敗すれば、 追い出されてしまうかもしれないという 不安と緊張もあるけれど それを上回る 楽しみな気持ちを胸に沸き立たせながら 水に浸した大豆を すり鉢で静かにすり潰した。] (319) 2021/06/18(Fri) 11:48:03 |
![]() | 【人】 龍之介[全ての準備を整え終えたなら 沐浴を済ませ 教えていただいた自室で ことん、と 電池が切れたように眠りに就く。 待ち遠しい明日を 駆け足で迎えに行くような気持ちで。]* (320) 2021/06/18(Fri) 11:48:07 |
![]() | 【人】 龍之介[翌日だけでなく 来る日も、来る日も… 追い返されてしまわぬ限り、ずっと 龍之介は 喜んでいただきたい一心で 嬉々として片付け、新しい献立を考案し ふぅふぅと息を吹きかけては にこやかに差し出して ミクマリ様に尽くし続けた。 それは、もう ”生き甲斐”と言っても過言ではないくらいに 活き活きとした瞳で。]** (321) 2021/06/18(Fri) 11:48:15 |
![]() | 【人】 『ただの子供』 ソフィア村を守る代わりに贄を差し出せと言われ 最初は男女ともに差し出していたが>>303 いつからかそれが女性だけになったのは、 神として崇められ始めたからか、 大蛇が従っていたという医学の神に準えたのか、 それとも……。 思惑はどうであれ、成人した女を一人>>304 毎年神へと嫁入りさせる習わしが村には出来ている。 決して多くない村人の数を補うために 遠くない親族同士で契りを交わす時もあるとか。 (322) 2021/06/18(Fri) 14:47:28 |
![]() | 【人】 『ただの子供』 ソフィア*** 顔を顰める様子を見れば>>306 自分が怒られたかのように身体を震わせた。 「 えと、ごめんなさい……? でも、色んなことを村にしてくれる すごい人なんでしょう? 」 神様という言葉は人が呼ぶ敬称でしかない というのなら、自分から名乗っていないのは頷ける。 顰めた顔がどういう理由からのものか よくわからず、オロオロと眉根を下げる。 (323) 2021/06/18(Fri) 14:48:15 |
![]() | 【人】 『ただの子供』 ソフィア神様だとは信じても、人ではないだとか 蛇だとかは、未だによくわかっていないもの>>307 触れた手の冷たさに内心びっくりしながら 先程までとは違うような、 どこか冷ややかに感じる顔を見上げる>>308 「 ……覚悟。 」 神の元へと手伝いをしに行くには 重い覚悟が必要なのだろうか。 一体なにの手伝いをしているのか、 それを聞いてもいいものだろうか。 『ただの子供』はただの子供でしかなく 深く疑うことを知らない。 聡明というには遠く、見える世界しか語れないのだ。 (324) 2021/06/18(Fri) 14:48:41 |
![]() | 【人】 『ただの子供』 ソフィア (325) 2021/06/18(Fri) 14:49:03 |
![]() | 【人】 『ただの子供』 ソフィア話が途切れ、静寂が辺りを包み込むと>>310 いつの間にか、手を当てている胸の鼓動が 落ち着いていることに気がついた。 今でも大きな存在として、重圧を感じるけれど、 話している間にすっかりと慣れてしまった ということだろうか。 彼の髪は燃えるように赤いのに 瞳は湖面のように静かで>>311 真逆な色合いを不思議そうに眺めていると 頬に当てられていた手が白縹の髪を撫ぜていく。 (326) 2021/06/18(Fri) 14:49:23 |
![]() | 【人】 『ただの子供』 ソフィア「 え? 」 囁き声が一瞬理解できなくて>>312 聞き返すように声を上げれば すい、と彼の目線が私から離れた>>313 褒められたのかな、いや、気の所為かな。 流れ星のように通り過ぎて行った言葉を なんだか雰囲気の硬くなった彼に聞けないでいる。 (327) 2021/06/18(Fri) 14:49:38 |
![]() | 【人】 『ただの子供』 ソフィアどうしよう、そう思っている間に視線がまた こちらに帰ってきたけれど>>314 その表情はどこか不機嫌そうに見えて やっぱり、聞く時ではないと感じた。 「 人が来たの? 探しに来てくれたんだ。 神様はそういうこともわかるのね すごい。 」 安心したように息を吐けば漸く笑みを浮かべる。 神様が優しい人だからといって、森の中で 知っているものがいない状態は、やはり心細かったのだ。 (328) 2021/06/18(Fri) 14:49:58 |
![]() | 【人】 『ただの子供』 ソフィア「 いいの? ……ありがとう! 」 送ってくれると差し出してくれた手を そっと小さな手でとって。 すっかりと打ち解けた気持ちの神様と帰路へつく。 村で他の村人と顔を合わせたのなら こっぴどく怒られることだろう。* (329) 2021/06/18(Fri) 14:50:07 |
『ただの子供』 ソフィアは、メモを貼った。 ![]() (a27) 2021/06/18(Fri) 15:02:55 |
![]() | 【人】 『 大蛇 』 ラサルハグたとえば『ソフィア』が見える世界だけを語り、 深く疑うことを知らなかったとして。>>324 犠牲 だとすれば、この話を知るにはまだ早いのだろうか。 今教え伝えることが正しいのか否か。 『ラサルハグ』はその答えを知らずにいる。 「いや...謝るな。お前じゃない。 少しばかり昔を思い出しただけだ。」 すごい人 (蛇だが) なんて大層な存在ではないとここで否定したところで意味はなく。 『ラサルハグ』はソフィアの質問には答えず ただ狼狽える小さな身体を宥める。>>323 (330) 2021/06/18(Fri) 16:32:30 |
![]() | 【人】 『 大蛇 』 ラサルハグ「覚悟」の本当の意味 即ち、死 を恐らくソフィアはまだ知らないだろう。>>324 本来ならば教えなければならないのだ。 「覚悟」と犠牲が皆の平和を作っていると。 知らぬことこそが『 大蛇 』の逆鱗。 知らねば、知らしめる他ないのだから。 (331) 2021/06/18(Fri) 16:34:17 |
![]() | 【人】 『 大蛇 』 ラサルハグ しかし『ラサルハグ』は少女に残酷な仕打ちを しようなどとは毛ほども思えない。 彼女が犠牲となった者を忘れていないから。>>325 『ラサルハグ』が望む在り方を少女は実現している。 『 大蛇 』が牙を向く道理も残酷な 事実を突きつけることも、この少女に対しては不要。 ともなれば『ラサルハグ』が取る行動は 厚情に満ちたものとなっていく。 (332) 2021/06/18(Fri) 16:35:57 |
![]() | 【人】 『 大蛇 』 ラサルハグ(世界がお前のような人間で溢れていれば 私もあんな過ちは犯さなかったかもしれない。 お前のような子を、私はずっと.....。) (333) 2021/06/18(Fri) 16:39:51 |
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![]() | 【人】 『 大蛇 』 ラサルハグ「あぁ。元気だ。恐らくはな。 今は違う村に住ませているせいで 正確な事までは私にも分からぬ。」 他の村へと送った後のことは『 大蛇 』にも 正確には辿ることが出来ない。 とはいえ訃報はすぐに届くはずなのだから つまり皆不幸の道はまだ辿ってはいないのだろう。 だがこの小さな子どもに真実を全て打ち明けるには 幾許かの時を要する。 「いつかまたお前と会う時があるとして お前が今よりも大きく育っているならば その時は.........お前に全てを話そう。」 つまりはまだ幼子に話せることでは無いのだと ソフィアは納得してくれるだろうか。 そのVまたVを数奇な巡り合わせが連れてくると、 それは『ラサルハグ』にとっても誤算に違いない。 (335) 2021/06/18(Fri) 16:42:03 |
![]() | 【人】 『 大蛇 』 ラサルハグ*** 戸惑いを声に漏らすソフィアがこちらの機嫌を気遣い 口を噤んでくれているとなどとは気づきもせず、 横槍は結局『ラサルハグ』の呟きを曖昧に溶かす。 「便利なことばかりじゃない。 聞きたくなくても耳を塞げぬのは 時として拷問に近しいものだ。」 安堵に微笑む少女に『ラサルハグ』も苦笑が浮かぶ。 たとえ少女に対する厚情はあれど村に情はない。 もしも己の険しい表情がその身を竦めさせていたと 知らされたとしたら。 『ラサルハグ』は密かに反省をすることになるだろう。 (336) 2021/06/18(Fri) 16:46:02 |
![]() | 【人】 『 大蛇 』 ラサルハグこの少女を前にすると妙に調子が狂うのは、 己の考えている人間の枠組みから外れた少女が 『ラサルハグ』の知る常識を覆していくからか。 少女の手を引いて村を目指す間 『ラサルハグ』の放つ雰囲気は幾分も柔らかく。 さしずめ少女の陽気に当てられたというべきか。 (337) 2021/06/18(Fri) 16:47:47 |
![]() | 【人】 『 大蛇 』 ラサルハグしばし歩み続けた先。 森をぬけて村の入口が見えるところまで来れば 『 大蛇 』はソフィアの手を離す。 「私のことは他の者には言うな。 言えば混乱を招きかねん。」 村人達のことをよく知らない『 大蛇 』は 神様を知っているという理由でソフィアが 奇異の目に晒されることを危惧していた。 少女の反応を伺いつつも ソフィアから離れるように一歩後ろに後退り。 (338) 2021/06/18(Fri) 16:50:29 |
![]() | 【人】 『 大蛇 』 ラサルハグ「これに懲りたら...もう森には近づくな。 さもなくば、今度はお前を攫うぞ。」 ソフィアにそう言い残して 『 大蛇 』は少女に背を向ける。 『ただの子ども』はこの日を境に 『神の招待を知る子』であり 世界でただ一人の『蛇に魅入られた娘』となる。 ── ▷ 蛇と花嫁 ──** (339) 2021/06/18(Fri) 16:51:53 |
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