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【人】 絵描き 要こっそり、こっそり木の影なんかに隠れ、 下を見ながら、人混みをやり過ごす。 「ふう、やっとか」 そんな作業に没頭していたら、ようやく、 正門から外に出られた。 すぐ出た道沿いをぶらぶらと いや、ふらふらと歩いていると、こじんまりとした 喫茶店を見つける。 これ、人くるの?と思うレベルの寂しさだ 丁度、僕の出してる喫茶店、みたいな……? お腹の空いていた僕はとりあえず、扉を開ける。 カランコロン 子気味の良い音が鳴った。 すると、中から、同じ制服を着た男子生徒が、入れ違いに出てくる>>34 あれは……?顔はよく見えなかった。 いや、見えていたとしても、どうせ、判別はつかないだろう。 少し気にはなるけども、どうせ知らない生徒だし、 そんなことよりお腹がすいている。 メニューを手に取り、 書いてあるキーマカレーを頼んでみた。 (145) 2020/06/19(Fri) 0:06:07 |
【人】 絵描き 要頼んだ理由……は、かなり強調してあったから。 暫くして、運ばれてきたのは 湯気がほわほわと浮かんでくるような 熱々のキーマカレー。 ただでさえ美味しそうなのに、空腹は最高の調味料状態の僕にとって、それは、とてつもない威力を発揮した。 「お、美味しすぎる……」 ピリッとしたからさと、ひき肉の旨味。それから野菜の甘みが相まって、ああ、このご飯ともものすごく合う! この辛さも程よいバランスで、カレーだけで食べるともちろん辛いんだけど、ご飯と食べるとちょうど良くて、水が欲しくなる程も辛くはない。そんな辛さだった。 みるみるうちに皿のカレーはなくなり、 膨らんだお腹を見て、満足気に微笑むと、 店主に代金を払った。 さて、腹も脹れた事だし持ち場に戻るか* >>142に続く (146) 2020/06/19(Fri) 0:11:37 |
【人】 絵描き 要あ、>>190 その声に振り返らずとも誰か分かる。 わざわざ言わなくても 先輩ならその服装と髪の毛とあと声でなんとなく判別はつくんだけど、それでもその気遣いが嬉しくって。何も言わないでおく。 持っていた筆を置いて、見れば あぁ、少し制服が汚れているような気がするけど まあいいや。 これだけ夢中で絵を書いたのって何時ぶりだろうか。 まだ完成はしてないけど。 とりあえず、先輩を待たせないように、と。 ライブが楽しみすぎて無駄に作りまくったキンキンに冷えたお茶を水筒二本分手に取る。 いや、飲むか知らないけど。 気づいたら作ってたんだから、仕方ない。 持っていかないのも可哀想だし……。 多分この量全部飲んだらおしっこ漏らすから多分飲まない。 とりあえず、絵はよし。絵の具もよし。水筒持った。 他に要るものないよね? ああ、電気は消して。 「すいません!待たせちゃって!さあ行きましょう!」 なんて、体育館の方向はよく分からないから適当な方に向かって指を指す僕は完全に遠足気分である* (192) 2020/06/19(Fri) 10:37:40 |
【人】 絵描き 要体育館 そこには既に大勢の人がいるようで。 僕はそれを必死に見ないように下を向いて、歩いていた。 それに気がついたのか、先輩は>>195 声を掛けてくれる。 でも彼女、なんて言われたら、流石の僕でもそのスーツ掴めないじゃん。と思った。 いや、いいけど。もとより甘えてばかりもいられないと、そこは頑張るつもりだったし。 「大丈夫ですよ。そのスーツの端は彼女さんに空けておいてください」 額から垂れた冷や汗を手で拭う。 「まあ、マジでダメだったら、うん、掴むかも、ですけど」 最後の方は語尾あやふやで、きっと情けなかったに違いない。 「そういえば先輩彼女いるんですか?」 なんて疑問をなげかけたのは、ちょっと気をまぎらわせたかったから。そして少し、文化祭前に話した彼女のことを思い出す* (198) 2020/06/19(Fri) 12:37:13 |
【人】 絵描き 要うわあ!すげえ! 僕は柵から身を乗り出して、和太鼓の演奏を見る。 唸りのような地響きのような すげえ! 少し動きはバラバラだったように思うけど、 それでもその熱量は全く衰えていない。 観客の熱気と、和太鼓の演奏が呼応するかのように。 そしてそれを見られることに。 僕は、とてつもない感動を覚えて……? ちらっと後ろの椅子に座ってる先輩を見ると、どうやら、スマホを見て、赤羽、と叫んでいる。 えっ? あ、そういえば僕スマホ見てなかったっけ? まあ家族からのLINEくらいしかないと思うけど。 そう思ってLINEをあけると、赤羽という人物から和太鼓のお誘いのメッセージがあるのを見つけた。 ……。 とりあえず、謝罪のLINEを返して、見なかったことにした。 (202) 2020/06/19(Fri) 12:47:05 |
【人】 絵描き 要それから色んな人の出し物を見て、 終盤、ステージは暗転。 しばらくした後に、じじっとか、きぃーんとか、ゴンゴンとか 音がした。 ざわざわとしだした会場。 僕は何事か、とキョロキョロすると観客たちは 何かを叫び出した。 それも一時。パッと明かりがつき、ステージに人がいるのが分かるようになると観客は一斉に静まりかえる。 「叫べー!!!!」 ボーカルらしき人物が叫ぶとそれに呼応するかのように 一斉に周りが揺らいだ。 凄い。 ああ、凄い。 今まで僕の嫌悪していた人混みって こんな熱量と力があったなんて いや、知ってたけど。 こんなの、一生体感できないって 思ってたから。 音楽と、観客と全部ひっくるめて、 ああ、凄い。 凄いなあ。 (203) 2020/06/19(Fri) 13:08:10 |
【人】 絵描き 要ステージにいる、矢川先輩はなんとなしに分かる 顔は見えないけれど、背が高いし、制服が違うし うん。僕にとってはすごいありがたい存在。 それがすげえ一生懸命で なんて言うか、いや、周りの人もそうだけど みんな、魂削ってるって言うか? ああ、それだと死にそうだからやめとこう。 なんだろう、光のせいとかじゃなくて 雰囲気が、とっても輝いて見えた。 でも多分それって、彼らだけじゃなくて、きっとこの文化祭に参加してる他の人たちの中にもきっと同じような光を持ってる。 ああ、だからさ、とっくの昔にお日様は顔を出してたんだって。 何言ってるか分からないけど 兎にも角にも凄いってことなんだ。 ほんとすごい。 すごくてすごくてすごくてすごくてすごい。 謎のポーズを取る先輩に>>177 ブンブンと手を振って見せれば、見えてるか分からないけど。 とにかく手が振ってみたくなった。 僕はここにいるしちゃんと見てるよって。 (204) 2020/06/19(Fri) 13:23:40 |
【人】 絵描き 要歌詞は(多分、恐らく?)英語で、何言ってるか、よくわかんなかったけど。 さすがに全部覚えてGoogle翻訳する訳にも行かないから。 って言うか無理だから。 何となくニュアンスを感じ取る。 きっと、大事な意味が、あったような、 気が、したから。 途中、ちょっと、先輩の雰囲気が変わったような気がしたけど>>214気にしないことにする。 うーん。 やっぱり雰囲気で読み取るのにも限界がある。 まあ後で、矢川先輩に意味聞いてみよう。 それに意味がわからなくても、感動できる音楽って、 やっぱり凄い。 その辺、絵画とかと似てるかも。 気がついたら、隣にいた先輩>>215 「落ちんなよ」 と注意されたけど。 「僕が落ちたら先輩が拾ってくれるでしょ?逆もそうだけど」 なんて、さっきと少し雰囲気が変わった先輩にいたずらっぽく笑いかけてみる* (218) 2020/06/19(Fri) 15:10:19 |
【人】 絵描き 要ぬう。なんと言う不平等。 まあ先輩がはしゃいで落ちる姿なんて想像も出来ないけど。 落ちたら、泣きながら引っ張りあげるであろう自分が容易に想像できる。それが少し悔しい。 「じゃあ僕はせいぜい落ちないように頑張りますよーだ」 と不貞腐れたような顔を作る。 別にほんとに不貞腐れてるわけじゃないけど。 ん。 大丈夫そうか?と尋ねる声。 この人はやっぱり優しい。普段は、こう、そんな素振りも見せないのに。 こういう、ふとした時に見える優しさに、惚れる女の子も少なくないよなあ、なんて考える。彼女がいないなんて信じられない。 こくり、と頷いてから、それじゃあ見にくいかもしれないなと、言葉を付け足す。 「凄い、いい場所貰っちゃったみたいですね。人の顔は見えないけど雰囲気は感じられる。ちょっとだけ、あの中に混ざりたいって気持ちは無くはないですけど、うん。大丈夫ですよ」 「あの中に混ざりたいって気持ちだけが強くならないのは、きっと、雨宮先輩が一緒についてきてくれたから。だから、ありがとうございます」 「あ、先輩も下に行きたくなったら、いつでも行っていいんですからね?」 と自分ばかりはしゃいでいたことに気づいて、 多少申し訳ない気持ちになり、言い出してみる。 どう受け取るかは知らないけど、これもれっきとした僕の本心だ* (220) 2020/06/19(Fri) 17:00:12 |
【人】 絵描き 要「ん。行ってらっしゃい」 自分で言っておきながら、少し、寂しさを感じたけれど。 僕は大丈夫。 「次の出し物はなんだろ……」 なんて何気なくつぶやく。 その頃には、先輩はあの人混みの中に紛れるのだろうか? もしかしたら先輩の頭なら見つけられるかもしれないけど。 ……流石に無理か* (225) 2020/06/19(Fri) 18:08:48 |
絵描き 要は、メモを貼った。 (a27) 2020/06/19(Fri) 18:36:23 |
【人】 絵描き 要隠したはずの、感情を読み取られて 悔しいような、嬉しいような 複雑な気持ちがおしよせる。 僕にだって、少しくらい、カッコつけさせてくれればいいのに、なんて口を尖らせる。 でも何を言っても格好がつかない気がして。 まあ先輩だから仕方ないんだけど。 仕方ないんだけど。 「タピオカ、待ってる」 一度、飲んでみたかったけど、行列が怖くて飲めなかったんだ、なんて 付け加えて、彼を見送る* (229) 2020/06/19(Fri) 19:00:30 |
【人】 絵描き 要なんて言うか やっぱり羨ましい。 あんなに人の前に立てるのも あんなに色んな人に囲まれて 協力して、 僕の手に出来なかったものだ。 いや、捨ててきたものだ。 それでも、羨ましいけど、でも、 僕は僕で、僕にしかできないこともあるから。 それをみんなに見せつけてやって、羨ましいって 思わせてやる!!!!! (240) 2020/06/19(Fri) 19:53:31 |
【人】 絵描き 要なんて。 少し思わなくもない。 でも今の僕はそれだけじゃなくて ただ純粋に 楽しい。 心地よい。 嬉しい。 ああ、上手く言葉にならないな。 でも、こんな気分にさせてくれた 矢川先輩には後でお礼を言わなきゃな* (241) 2020/06/19(Fri) 19:58:51 |
【人】 絵描き 要矢川先輩ライブ終わって、 次に出てきたのは、スーツ姿に、金髪の、 「は?!雨宮先輩?!」 断言するほどの自信はなかったけど、あんな目立つ容貌の人、他に居ないだろう。 チラリ、とこちらを向いたような気がするのは気の所為ではない、と思いたい。 それから、音楽の知らない僕でも聞き覚えのある曲を弾いてゆく。それが何となく、先輩っぽい気がして。 「くすくす」 笑ってしまう。 それから、微かに聞こえた、孤独な理科室で聞いた、 あの曲のピアノ部分。 あの時は、友達が二人もできるなんて、思わなかった、なあ。 泣きそうになるのをぐっと堪える。 ああ、そうか。なるほどね。 驚きはしたけど、さっき程の驚きはない。 何となく胸にストンと落ちた。そんな感じだ。 ……先輩も意地悪な人だ。ピアノ弾いてたのが先輩だったなんて、 すげー演奏する二人だな、って思ってた二人と、友達になれたなんて。 ギリッと歯を食いしばる音が聞こえた。 僕は、すげえ幸せ者だな。 (254) 2020/06/19(Fri) 21:52:39 |
【人】 絵描き 要それからちょっと、演奏者二人に 僕の絵が見られてことが急に恥ずかしくなってきたけど、 それは思考の隅に追いやる。 「ははは、先輩、凄い」 輝いてるよ。 うん。凄い、輝いてる。 やっぱり少しは羨ましいけれど、 誇らしい気持ちの方が強くて。 最後の曲はよくわかんないけど、 穏やかに、ピアノ音が重なっていくのが心地いい。 (258) 2020/06/19(Fri) 22:03:25 |
【人】 絵描き 要彼が、何に悩んでいたのか? 直接は教えてもらってないけれど、何となく 想像はつく。 でも、それはきっと、このステージを見たら、 乗り越えられたんだな、って。 認められたんだな、って。 そんな先輩の姿はやっぱり、カッコイイ。 だから、 だから、 演奏が終わった瞬間、まっさきに、人一倍大きな拍手をした。 それ以上に何かを言うことは出来なかったし、する必要も無い、そんな気がした* (261) 2020/06/19(Fri) 22:11:23 |
【人】 絵描き 要去りかけた先輩の背中に 「先輩!!!」 ありったけの力を込めて、思いを込めて 叫んだ。 甲高い僕の声は、きっと、彼に……。 届いた?だろうか? (284) 2020/06/19(Fri) 23:24:35 |
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