【人】 羽井 有徒── 昨晩、蛍の沢 ── [胸に触れる真由美の手。 どきりと鼓動が跳ねて、それが伝わらなければいいと、その手を掴んだ。] さあな。 何も無いことを……かもしれない。 [小さく呟いたのは冷たい声で 目をつぶり笑みの消えた顔で。] ああ、きっとな。 明日もあのBARに居る。 一人寂しくかは”運”次第だけど。 [その答えは笑って、明るいいつも通りの声だった。] (1) 2020/07/29(Wed) 0:13:16 |
【人】 羽井 有徒[帰り道、蛍が少なくなっていくにつて、街灯の明かりが道を照らしていく。] こちらこそ、楽しい時間だった。 [そしてホテルに着けば別れ際に連絡先を伝えようとした。] ちょっと待って、これ俺のケータイ。 あと部屋は702だから。 [フロントを通せば彼女の連絡先がこちらに伝わることはない。 そう言って、彼女が連絡先をこちらから聞き出すようなことはしないまま。 軽く手を振って「また」と、その夜は真由美と別れた。]* (4) 2020/07/29(Wed) 0:16:00 |
【人】 羽井 有徒── 朝、乗馬クラブ ── [お決まりの朝のルーティーンを終え、割と早い時間からその姿は牧場の乗馬クラブにあった。 受付を済ませ、鹿毛の馬、ジェシーの元へ行くと首筋を撫でる。] 「今日はジェシーをご指名ですか?」 [スタッフが慣れた調子で尋ねてきた。 しばしの逡巡。昨晩はちょっとした意地悪であんなことを言ったけれど。] いや、今日もギンザンでお願いします。 [可笑しそうに笑って、そう告げた。]* (28) 2020/07/29(Wed) 6:53:01 |
【人】 羽井 有徒[次に気づいたのは自分が地面に横たわっていることだった。 ズキリと体が痛む。 目を逸らしたその瞬間に胸の高さほどの木の枝が強かに体を打った。 当たり前のことだが、馬は自分の頭より高い木の枝を避けたりはしない。だからそういう障害物は乗ってる者が避けようと馬に指示を出さなければいけいないのだが、“慣れ”からくる油断だった。 枝の打撃自体は大したことはなかったが、そのせいで大きくバランスを崩し、なんとか立て直そうとするも、あえなく落馬となってしまった。 スタッフが駆け寄ってきて安否を確かめている。 ─── 大丈夫だ、ちょっと体が痛むだけ。] (35) 2020/07/29(Wed) 9:21:39 |
【人】 羽井 有徒[結果として怪我は大したことはなかった。 打身、あとは左肩の捻挫。 大袈裟なテーピングを施された。 確かに少し肩を動かすと痛みが走る。 責任問題とか大ごとにしたくなかったので、そういうのは抜きにした。病院に行くのを勧められたけど、気が向いたらってことでそれも抜き。目眩や具合が悪くなったらすぐに行くってことで。] ……イテテ。 [幸いだったのはギンザンには特に何もなかったことだった。] (43) 2020/07/29(Wed) 10:26:18 |
【人】 羽井 有徒── 昼前、喫茶店 ── [結局、病院には行ってきた。 行ったのは頭と肩の検査で、特に異常はなかったし骨も無事だった。残されたのは大袈裟なテーピング。 流石に運動も制限されるし、プールもスパも難しいとくれば、一気にやることがまだ狭まってしまった。] まぁでも。 こうしてノンビリするのも。 [アリなのかもしれないと、コーヒーを一口含んで、カップを置けばカチャリと音を立てた。]* (55) 2020/07/29(Wed) 12:23:43 |
羽井 有徒は、メモを貼った。 (a24) 2020/07/29(Wed) 12:31:52 |
【人】 羽井 有徒── 昼前、遊技室 ── [ゆっくりと過ごしていた。 大したことがないとは言え、運動はすこし難しい。 軽く走るだけで肩の痛みが酷かった。 しかたなく遊技室で撞球に興じていた。 多少の影響はあるが、利き腕でなかったことが幸いした。 そんな風に過ごしていたところ、部屋の外、ガラスの向こうに見知った顔を見つけた。] …………確か [名前は”ハナ”だ。 人をガラ悪そうとか悪くないとかいった生意気で、そして昨日牧場で真由美と一緒にいた青年。 ふと笑って、クイっとグラサンの位置を直すと、キューを手にしたまま部屋の入口まで行って声を掛けた。] よ、……一人か? [そんなものは見ればわかる、わかりきっている。]* (101) 2020/07/29(Wed) 20:02:50 |
羽井 有徒は、メモを貼った。 (a37) 2020/07/29(Wed) 20:04:19 |
羽井 有徒は、メモを貼った。 (a38) 2020/07/29(Wed) 20:05:07 |
羽井 有徒は、メモを貼った。 (a39) 2020/07/29(Wed) 20:17:22 |
【人】 羽井 有徒── 回想、再会 ── [それは出会いから1年ほど経ったころか。 実は意外とご近所さんである、羽井が構えている事務所と例の私立探偵の事務所は。それでもこの都会で1区画違えば出会うこともほとんどない、たとえスレ違ったとしても気づくはずもなさそうな、そんな街で。] よう、家出JK。 ……久しぶりだな。 [何でも屋、便利屋、探偵、そんな呼び名のある事務所に男は顔を出したとき、ちょうど事務所の皆は出払っていて、そこにいたのは”ナルセ エイ”ただ一人。 そんな再会の日。] (106) 2020/07/29(Wed) 20:28:56 |
羽井 有徒は、メモを貼った。 (a40) 2020/07/29(Wed) 20:29:39 |
【人】 羽井 有徒[まだ、ずっとずっと若いころ。 友人たちで集まってはダーツやビリヤードに興じていた。 シンやフジ、そのほかの仲間たちと。 でも、ここでも男の凝り性な性格は災いした。 のめり込み、どんどん腕を上げていく男はいつしか仲間内では敵なしとなっていた。 それは決して良いことではなかった。 結局、ゲームのできる相手を求めて違う場所へと移っていくことになるのだが。 けれど。 男はそれを不幸なこととは思わなかった。 自分についてこれない者を省みることはなかった。 ─── なお、ダーツの腕は並みである。]* (127) 2020/07/29(Wed) 21:59:36 |
【人】 羽井 有徒── 昼前、遊技室 ── いや、別に。 [これから食事と聞けば短くそう答えた。 眉を顰めるハナとは対照的にただの少しも表情を動かすことなく。] (136) 2020/07/29(Wed) 22:29:06 |
【人】 羽井 有徒はあ、今の若い奴は [確かに昔ほどビリヤードは流行っていないのは知っている。 自分たちにとってのボーリングとかそんな感じだ。 そういえばと、昨日の詩桜もやったことがなかったなと思い返した。] 簡単だよ、ボールを撞いて狙ったボールを穴に入れる。 単純明快だろ? [ゲームによってはもちろん細かなルールはあるが、結局のところそれだけのこと。 だか、シンプルだからこそ難しいし、腕の差が出やすいとも言える。] (137) 2020/07/29(Wed) 22:29:15 |
【人】 羽井 有徒コツ? 正しい姿勢で、正しく……撞く! [ブレイクショット。 だけどインパクトの瞬間、左肩に痛み。 そのぶんだけボールに余計な回転が掛かった。 パァンという音こそ小気味いいが、四方にボールが散らばっていくボールでポケットに入ったものは……一球もなかった。] …………… [散々な結果にグラサンの内側、目頭を押さえた。 格好つけた分だけ、めちゃくちゃ格好悪くて、頭を振った。] (138) 2020/07/29(Wed) 22:30:50 |
【人】 羽井 有徒── 回想、再会 ── ああ、いいから座ってろ。 [慌てて走り出そうとする瑛を制して。 それから勝手知ったるというわけでもないが、事務所の中をまるで自分の事務所かのように歩くと、冷蔵庫を開けてかってに麦茶を取り出した。] 飲むか? [なんて聞くさまは、どっちがここの所員かわからない。 最近こそここに来ることもめっきり減ったが、所長とは長い付き合いで。] で?もう慣れたのか。 [例のJKが名刺を頼りに無事就職したことは聞いていた。 今まで尋ねてこなかったのは上手くやっているならそれで特に何も思うことがなかったから。]* (141) 2020/07/29(Wed) 22:36:42 |
【人】 羽井 有徒── 昼前、遊技室 ── [散らばるボールが二つ、ポケットに吸い込まれていく様を見た。 ルールはいわゆるベーシックゲーム。 順番もコールもなく単純に多くのボールを入れた者の勝ち。 だから、さっそく2点差をつけられたってこと。] まだ、そっちの番。 ポケットに入れ続ける限り交代はしない。 [ラックに組んだボールは9つだから、残り7球。 あと三つ入れられたら終わり。] ……いきなり負けそうだな。 [コテンパンにしてやろうとしてた思わぬピンチだった。] (170) 2020/07/29(Wed) 23:39:15 |
【人】 羽井 有徒そういえば。 明日花火大会があるの知ってるか? 真由美と約束してるんだが。 [唐突にそう話しかけた。 それが揺さぶりになるのかわからないが。] 何を着て行ったらいいと思う? [そう尋ねてハナのショットを見守った。 ハナが一度でも外せばそれで終わり。 一度でも外せばそこから二度とハナに手番を回すつもりはなかった。]* (172) 2020/07/29(Wed) 23:42:38 |
【人】 羽井 有徒── 昼前、遊技室 ── [カツンという乾いた音。 まともにボールを捉えられなかったときの音。] よくあることだ、気にするな。 [あとは独擅場、最後の一球がポケットにインすると同時にパチンと指を鳴らすと、同時に送られた拍手には軽い苦笑いを浮かべる。] ……甚平か、それもいいな。 [質問には答えず右肩だけ軽く竦めた。] (188) 2020/07/30(Thu) 0:30:16 |
【人】 羽井 有徒[ こいつ─── ッッッ!!!! 左肩に走る激痛。 思いきり顔を顰めて痛みに耐える。] …………ッ [文句の一つも口に出せなかった。 肩に乗せられた手を振り払うので精一杯だった。] (189) 2020/07/30(Thu) 0:31:04 |
【人】 羽井 有徒………勝負しようか、ハナ。 [痛みを堪えながら言葉を吐く。 だが、その目には怒りはなく、むしろ笑っていた。] 賭けるものは、勝った方が決める。 [ハンデはこの左肩。 いつもの調子であれば負けるはずのない勝負。 さっきまででさえ、一度のミスはあったもののその後は問題なかった。 だが、今は違う。 軽く叩かれただけだというのに左肩はズキズキといつまでも痛みを伝えている。] 別に、受けなくてもいいけどな。 [時計の針はもうすぐ頂点で一つに重なろうとしていた。]* (190) 2020/07/30(Thu) 0:32:24 |
【人】 羽井 有徒── 昼前、遊技室 ── フーーーーーーぅ。 [ハナの姿が遊技室から消えて少し。 壁に背を凭れるようにして大きく息を吐いた。] ……可愛くないクソガキだな。 [だけど口にした言葉と思っていることは裏腹だった。 スカしてるくせに挑発にはちゃんと乗ってくる、生意気だがそれは素直さでもあって。 それをどこか好ましく思っている自分もいる。 ─── 勝負の約束は今日の18時、ここで。]* (202) 2020/07/30(Thu) 1:24:03 |
【人】 羽井 有徒── 回想、再会 ── [なんの変哲も特徴もないグラスに麦茶をなみなみと次いで瑛の前に置いた。] 生きてるのは自分自身の力だろ。 別に俺が養ってるわけでもないし。 [切欠は与えたかもしれないけど、それでこうやってやっていける人間なんてそんなに多くない。 高給取りなわけでもなし、まっとうな仕事とも言い難いが、それでも自身の力で生活しているのだから。 むしろ、自分なんかに拾われなかった幸運に感謝したほうがいいかもしれない。 本来、家出娘の末路なんて知れたこと。] (206) 2020/07/30(Thu) 1:36:22 |
【人】 羽井 有徒[ただ、その心が理解できないわけじゃない。 だから「ありがとう」のその言葉は素直に受け取っておくことにした。 返そうとする金も受け取る。 確かにあのとき財布に入れて投げつけた金額と同じ。 だから、こう言ってやった。] 利子がたりねーな。 [ニィっと笑って、それから麦茶を喉に流し込んだ。]* (207) 2020/07/30(Thu) 1:37:16 |
羽井 有徒は、メモを貼った。 (a67) 2020/07/30(Thu) 1:38:28 |
羽井 有徒は、メモを貼った。 (a68) 2020/07/30(Thu) 1:38:28 |
【人】 羽井 有徒── ??? ── [──── 絶対に成り上がってやる。 俺、シン、フジの3人は友人と呼べる間柄だった。 生まれも育ちも境遇も背景も違う。 だけど3人ともに共通していたのは金がないということ。 同時期に夜の街に集い、出会った。 フジは何かの目的のために、俺とシンは成り上がるために、その街で泥水を啜るような思いをしながら必死に働いた。 月日は流れ、フジは目的を達してそのあとに探偵事務所という名の何でも屋を開いていた。 そして、もう一人は街からその姿を消していた。 シンは傍目から見てもかなり調子に乗っていた。羽振りよく遊び歩き、そしてすべてを失った。 そんな友を見て、俺はあの時、きっとわずかな優越感を抱いていた。] (233) 2020/07/30(Thu) 13:10:33 |
【人】 羽井 有徒[あれは敗北者だ。 志半ばで道から足を踏み外した。 俺はそうはならないと、ひたすらに、ただ必死に成功者になるために走り続けた。 そうして今の自分がいる。 今もあの街で、だけど使われる側から使う側に回って。それから表舞台にも手を伸ばし始めた。 ─── あいつは如月町にいる。 フジからそう聞かされた時、すぐには会いに行かなかった。会う意味がなかった。 だが、機会が訪れた。 スタッフたちが用意した休暇のプラン。 その街が、ここ如月町だった。] (234) 2020/07/30(Thu) 13:11:23 |
【人】 羽井 有徒[だから、会いに行った。 10年近く経って、あいつはこの街で小さな店を開いていた。あの頃、デカくなることばかりを夢見ていた男が、こんな街のこんなに小さな店にいる。 俺は落伍者を見に行ったのだ。 落ちぶれ、輝きを失ったあいつを、今のあいつを嘲笑ってやるつもりで。 でも。 できなかった。 輝きは確かに失っていた。 かつてあれほどギラギラとしていた男はそこには居なくて、そのかわり穏やかな日常に溶け込んで、ただ、幸せそうにしている男がそこにいた。] (235) 2020/07/30(Thu) 13:11:51 |
【人】 羽井 有徒[胸にチリと小さな痛みがあった。 ─── なぜ、お前がそんな顔をしている。 あの頃の何もかもを失って落ちていったお前が、そんなにも幸せそうに穏やかな顔をしているのに。 あの頃の夢を掴んだ自分が、なぜこんなにも ────] (236) 2020/07/30(Thu) 13:12:14 |
【人】 羽井 有徒[負けたのは自分の方なのか。 走り続けてここまで漸く辿り着いて。 俺が、俺こそが成功者としての地位を得たのに。 どうして、こうも妬ましいのか。 手に掴んだはずのものはただの砂なのか。 敗れ逃げ出したお前が宝石を掴んで、俺の掌にあるのはただの砂だというのか。 そこに嫌悪はなかった、憎悪も。 ただ虚無感と嫉妬心、焦燥だけが残っていた。] (237) 2020/07/30(Thu) 13:12:43 |
【人】 羽井 有徒[お前を、今のお前を。 お前を支える者も、お前の周りの者たちも。 お前の店も、そしてお前をそんな風にしたこの街も。 全てを否定してやる。 その全てを─── 壊してやる。] (239) 2020/07/30(Thu) 13:13:45 |
【人】 羽井 有徒── ホテル:自室 ── [カランと筆を転がした。] 俺に、こっちの才能はないな……っと。 [適当に書き殴った原稿をくしゃくしゃに丸めて、部屋の隅にあるゴミ箱へシュート。 知り合いの小説家に触発されて書き殴ってはみたものの、盛りに盛った話も全然面白くなくて、むしろ盛りすぎなのだろうかと思案してみるものの。そもそも、どうにもこうにも文才というやつは自分には備わっていないらしいと結論付けた。] 腹が減ったな。 [いつものようにルームサービスで済ませようと思ったのだが。] …………… [何を気するものか、腹が減ったから飯を食いにいく、ただそれだけのこと。 そうして、スマホと財布を手にすると部屋の外へと出た。]* (240) 2020/07/30(Thu) 13:17:05 |
【人】 羽井 有徒── 回想、再会 ── [グラスよ麦茶を空にすると硬いソファに背を預けた。] お前が俺に借りたのはこの金だけか? “金を借りた”と思ってるなら、 その利子は当然お金で払うべきだろうな。 [ここの給料がそんなに高くはないことはよくわかってる。ここの所長が強欲というわけでなく、商売っ気がなさすぎるからだ。] そうじゃないなら、 それを金で払おうっていうのはどうなんだ? [お世話になりました、はいお金で借りを返します。 つまり、この小娘がやろうとしているのはそういうことなのだ。] (243) 2020/07/30(Thu) 15:10:08 |
【人】 羽井 有徒ま、こっちは貸しだなんて思ってないから、 何で返しても返さなくてもいいけど。 [JKに向けて惚けた笑顔を向けた。 ただ果たして、色硝子の奥、その双眸まで笑っていたか、成瀬 瑛にはどう見えていただろうか。]* (244) 2020/07/30(Thu) 15:10:42 |
【人】 羽井 有徒── 回想、再会 ── [ハァと大きく、これみよがしにため息をついた。 別に返して貰うものは何もないし、欲しいものは自分で手に入れる。この少女から貰うものなんか何もない。] 何もないな。 差し出せるものなんか無いだろ? お前が俺を助ける? 今のお前に何ができる。 [金もない、コネもない。 だからこそ得体も知れないのに縋ったのだろうから。: それとも身体でも差し出すか? [何も持たない女が差し出せる物なんて知れた物。]* (257) 2020/07/30(Thu) 17:45:35 |
【人】 羽井 有徒── 回想、再会 ── [楽しいかと言われれば、わざといやらしく視線を瑛の体に走らせて、わかりやすくふぅーーーと大きく息を吐いた。] 楽しくないな。 [さらに追撃でハッキリと断言した。] (273) 2020/07/30(Thu) 19:04:25 |
【人】 羽井 有徒そうだな。 [今は無くても明日はわからない。 自分だってその歳の頃は何も持っていなかった。] その時までに、 俺の役に立てるぐらいになれ。 もしくは俺が、 土下座して頼みたくなるぐらいのいい女になれ。 [ただの家出少女に暇つぶし以上の用はない。] (274) 2020/07/30(Thu) 19:05:06 |
【人】 羽井 有徒[ソファから立ち上がって、それから瑛の頭に手をポンと置いた。] それじゃ、帰るわ。 病人は大人しく寝てろよ。 麦茶ごちそうさま。 [それで友人の事務所を後にした。]* (275) 2020/07/30(Thu) 19:05:26 |
【人】 羽井 有徒── 遊技室 ── [18時よりもずっと早い時間。 一人、ビリヤードに興じていた。 小気味よく響く打音。 ボールとボールが打ち合い甲高い音を上げる。 ─── ブレイクランアウト。] よしっ…! [珍しく声が上がる。 こういう時ほど調子がよく、勝負を賭けたときほど結果を出すのが自分の強さだった。] (315) 2020/07/30(Thu) 22:18:25 |
【人】 羽井 有徒── 遊技室 ── [絶好調だった。 ここまで6戦して負けなし、肩の痛みも気にならない。 そんなとき彼女だ、現れたのは。] よ、やりにきたのか? [首元の空いたシャツ、袖を巻くって、手にはキュー。 折り目の綺麗なスラックスのポケットには対戦相手から巻き上げた何枚かの紙幣が入っていた。] 調子がいいんだよ。 [愉しそう嗤う、不敵に自信の満ちた顔で。]* (335) 2020/07/30(Thu) 23:20:15 |
【人】 羽井 有徒── 遊技室 ── お礼? [ラックには15個の球。それを三角形に組んで所定のポジションにセットする。] そんなこと言われるようなことあったか? [あったといえば一夜共にしたことぐらいで。 それだって彼女からお礼を言われるような物じゃない。]* (345) 2020/07/30(Thu) 23:44:59 |
【人】 羽井 有徒── 遊技室 ── そう、……それならよかった。 [本当は酔いつぶして寝かせてしまうつもりだった。でも、綺麗なその目を曇らせて嗤ったあのとき、どうしても彼女を放っておくことができなかった。] 良い人、見つかったんだろ? [ホテルで幾度か目撃した背の高い、落ち着いた優しそうな男。] ……お前にとっても、この街は特別だったようだな。 [それは小さな呟きだった。 白球が綺麗に整理された15の球をバラバラに弾いた。 一つ、二つ、三つとボールがポケットに吸い込まれていく。] キューを体の真下に。 それから力を抜いて肘が楽に動くように持つといい。 それと、誕生日おめでとう……一日遅れたけどな。 [目を細めてどこか眩しそうに詩桜へと微笑んだ。]* (353) 2020/07/31(Fri) 0:15:01 |
【人】 羽井 有徒[時計に目を針がもうすぐ縦に一直線になろうとしていた。 約束通りならそろそろあいつが来る頃。] さて、どうしたものか。 [まともにやり合えば負けるはずがない。 それでは”勝負”とは言えない。 ハンデをつけるのが簡単なのだけど。] ………… [思い出す、さっきの光景を。 ざわつく胸に特別な想いを抱いていることに気づく。 それは嫉妬だろうか、それとも─── 憧れか。]* (356) 2020/07/31(Fri) 0:32:53 |
【人】 羽井 有徒── 遊技室 ── [立ち去る詩桜の背中、軽やかな足取り。 たしかにあのときの彼女とは雰囲気がかなり変わっている。] 良かったな……。 [本心からそう思う。 彼女のこの先幸多かれと、祈るように願うように撞いた一球は見事に最後のボールをポケットに叩き込んだ。]* (366) 2020/07/31(Fri) 1:13:14 |
【人】 羽井 有徒── 遊技室 ── ……逃げなかったか。 [楽し気に笑ってハナを迎える。>>371 キューを握る感触は申し分ない、左肩の痛みもほとんど気にならない。 その余裕が、勝負を前にしても笑顔を作っていた。] ナインボール。 ルールはシンプルで場の一番小さなボールを狙う。 そして、9番ボールをポケットした者が勝ち。 [昼間のときよりも少しゲーム性が高い。 だけど、どこからでも勝ちを狙えるので初心者でも、そして実力差があっても遊びやすいルールだ。] 先にお前が2回勝てばお前の勝ち。 俺が4回勝てば俺の勝ち。 これぐらいのハンデでちょうどいいだろう。 [だが、そうは言っても1ゲームも落とすつもりはなかった。]* (372) 2020/07/31(Fri) 1:41:28 |
羽井 有徒は、メモを貼った。 (a106) 2020/07/31(Fri) 8:20:07 |
【人】 羽井 有徒── BAR ── [居て欲しいと想っていたか。 居ないでくれと願っていたか。 いつもより賑やかな雰囲気。 マスターの披露するバーテンディングに少し懐かしさを覚える。] こんばんは、お一人ですか? [沢のやり取りに触れ、クスリと笑って促されるまま、もちろんと頷いて真由美隣に座った。] (396) 2020/07/31(Fri) 9:12:59 |
【人】 羽井 有徒頂戴しようかな。 [変に遠慮することもなく申し出を快く受け容れる。 ミモザ。 ─── 愛らしい黄色がミモザの花に似ていることから名付けられたカクテル。込められた言葉は「真心」 昨夜飲んでいたのはキールだったか。 静謐ささえ感じる店内。 その空気が気に入っていたのに、今はそれを破るかのように言葉が口をつく。] (397) 2020/07/31(Fri) 9:15:37 |
【人】 羽井 有徒今日の服もいいな。 よく似合ってる。 [クローバーのワンピース。 可愛らしさもありつつ、ボレロが落ち着いた雰囲気にしている。昼間ちらりと見かけたときと服装が違うのはBARにくるために着替えたのだろう。 昨日とは少し違う雰囲気で、これもよく似合っている。] 真由美はお洒落だな。 [シーンに合わせて装いを変えられるのはとてもお洒落だと思う。]* (398) 2020/07/31(Fri) 9:17:19 |
羽井 有徒は、メモを貼った。 (a110) 2020/07/31(Fri) 13:35:17 |
羽井 有徒は、メモを貼った。 (a118) 2020/07/31(Fri) 18:56:11 |
【人】 羽井 有徒── BAR ── [乾杯、って同じようにグラスを掲げる。 濡らすように唇を付けて少しだけ喉を潤す。] ……ウマイな…… [酒か、口がか、その両方か。 真由美が「待ってた」と言えばそれだけでその気になる男もいるだろう。もちろん自分だってそう言われて嬉しくならないはずはない。] (441) 2020/07/31(Fri) 19:14:31 |
【人】 羽井 有徒[─── 聞きたいこと。 何だろうか、乗馬、のことではなさそうだし、彼女の興味を惹くようなことがあっただろうか。 思い当たる節もなく。] ハネイ ユウト、32歳 バツなし、子なし、コイビトなし 飲食経営、趣味はビリヤードと乗馬 女の好みは──… [だから多分一番違うであろう答えを並べていった。 だけど。 真由美の顔から綺麗な笑顔が消えていて、じっとこちらを覗き込むその瞳に口を噤んだ。] (442) 2020/07/31(Fri) 19:15:05 |
【人】 羽井 有徒── BAR ── ………怯える? [視線は真っ直ぐに交わったまま。 その瞳に吸い込まれそうになりながら、その言葉に瞳が揺れそうになる。] 俺が………? [口を突いたのは答えではなく疑問。] 怯えてなんか、 ……いないさ、何にもな。 [目蓋が降りて真由美の視線を遮る。 それが何よりも、自分の答えが嘘であると雄弁に語っているというのに。]* (446) 2020/07/31(Fri) 19:34:55 |
【人】 羽井 有徒── 遊技室 ── [マスワリでもなければ先行を渡したところで大した差にはならない。] どうぞ。 [たまにブレイクショットで9ボールが入ることもあるが、稀中の稀。第一、そんな運が味方するならそのゲームは負けを認めてもいい。] 簡単にはうまくいかないから、 技があって、練習をする、なんでもな。 [ガコンと強い音を立てて1番ボールがポケットに消えた。] (447) 2020/07/31(Fri) 19:35:15 |
【人】 羽井 有徒[そこからは順調にボールを入れていく。 それでも僅かなミスもあって、ハナに順番を明け渡すこともあった。 そうそうノーミスで勝てるほど簡単には行かない。 そして、もう一度こちらの番になる。 狙うのは7番ボール。 だけどそこでハナが話しかけてきた。それはキューがボールを捉える瞬間だった。 白球が7番ボールの側面を叩いてその軌道はポケットとは大きく外れていく。] ………人のデートに割り込む趣味はないな。 [シュルシュルと回転をかけて7番ボールはクッションを叩き、さらに軌道を変えて黄色のボールを叩いた。 それ──つまり9番ボールはそのままポケットに吸い込まれる。] (448) 2020/07/31(Fri) 19:35:43 |
【人】 羽井 有徒まずは俺の1勝だな。 [ハンデはやっても手を抜くつもりはない。 大人げないと言われようと、素人相手でも、プロが相手でも、勝負事なら絶対に。]* (449) 2020/07/31(Fri) 19:36:02 |
【人】 羽井 有徒── BAR ── [それなら、欲しいと思っても掴めないのは準備ができていないということなのか。まだ何か準備が必要なのか。 わからない。 だとしたらそれは。 本当に欲しがっていると言えるのだろうか。 考え込みそうになる頭に、不意の誘い。] ………プール? [小さな驚きに目を開ければ、そこには明るい笑顔。 一瞬だけ肩のことが気になったが。] ああ、いいよ。 [その笑顔には抗えそうにない。]* (469) 2020/07/31(Fri) 21:29:50 |
【人】 羽井 有徒── 遊技室 ── [ハナの大きなガッツポーズ。 それを目を細めて眩しそうに眺める。 いつかの光景、一球一球に一喜一憂していた。] まだ1球……だろ? [さっきのハナを真似て皮肉る。 でも、きっとそう言った自分の顔は楽しそうに笑っていた。] ああ、決まってる。 じゃないと、 ……勝負しようなんて思わないだろ? [サングラスの奥から鋭い双眸がハナを射抜くように見つめていた。] (475) 2020/07/31(Fri) 21:51:18 |
【人】 羽井 有徒[センスがある。 その一言で片付けることはできる。 だけど、それだけじゃない。 まだ二度目。 なのに、これだけの実力差を前にしているのに。 “本気で勝とうとしている“ それはどんな場面でも、どんな条件でも、勝負において最も大切なもの。] (476) 2020/07/31(Fri) 21:51:41 |
【人】 羽井 有徒── BAR ── わかった、それじゃプールで。 [─── 何だろうな。 もちろん嫌じゃない、嫌だと思わない。 それは本当は単純なこと。] 水着姿、……楽しみだ。 [ニっと笑って、グラスに残る黄色の花を飲み干した。] (483) 2020/07/31(Fri) 22:25:11 |
【人】 羽井 有徒── 上階のプール ── [上階にある屋内プール。 天井はガラス張りで夜には月と星が見える。 それと、ナイトプールと違って派手なライトアップはないが控えめな照明がまた違ったムードを作り出していた。] ……何でまたプールなんだ? [蛍の沢も今日のプールも。 嫌いじゃないけど、その意図は時々わからない。 (わからない?) 考えることをやめて、ハーフパンツ型の水着にパーカーを羽織って彼女を探した。]* (484) 2020/07/31(Fri) 22:26:30 |
羽井 有徒は、メモを貼った。 (a125) 2020/07/31(Fri) 22:39:19 |
羽井 有徒は、メモを貼った。 (a126) 2020/07/31(Fri) 22:39:41 |
【人】 羽井 有徒── プール ── [─── 何で、そんなに。 その笑顔が綺麗だと思った、その笑顔が怖かった。] そ、いいところだろ? ちょっと今日は、肩を痛めて泳げないけど。 [ゆっくりとした足取りで真由美の元へ。] (500) 2020/07/31(Fri) 23:07:07 |
【人】 羽井 有徒昔、捨てたものとかさ。 昔、逃げ出した奴が。 自分より幸せそうにしてたら。 [それはただの嫉妬。 ずっと走り続けてきたのに満たされない。 乾きと焦燥感はずっと大きくなっていくのに。] 今の自分はなんだろうってな。 [だから認められない。 認めれば自分で自分を否定してしまいそうで。] (501) 2020/07/31(Fri) 23:07:47 |
【人】 羽井 有徒ほんと………嫌な女だな。 [これでもいつもは頼れる羽井さんなのに。 大人で、金もあって、余裕があって、格好良くて、なんでもできて……いや、ちょっと盛りすぎた。 でも、そういうところだけ見ていてくれればいいのに。] あとは、何を聞きたい? [もっと深い事情があると思った? もっと何か幼少の頃のトラウマとか、もっとドラマチックな過去を引き摺ってるとか思った? 残念、全然大したことじゃない。]* (502) 2020/07/31(Fri) 23:09:18 |
【人】 羽井 有徒── 遊技室 ── ………できてたまるか。 [ちょっと一瞬ほんの少し微妙に驚いたけど、気を取り直して次の一球を見定める。 台に腰を掛けて斜めに構える。 片足のつま先だけを床に付けて、右手でブリッジを作って痛めた左手でキューを構えた。 目を瞑れば軌跡がハッキリと見える。 入れれば勝ち、外せば負け、これはそういう一撞きだ。] 俺は、笑った顔以外も見たいけどな。 [真剣な顔とか、怒った顔とか、泣き顔はあまり見たくないかもしれないけど、たまにはそういう顔も見せてほしいと思う。 そう、思ってしまっている。 だけど、やっぱり。] 俺も彼女の笑顔が──── [痛みを堪えて左手を引いて、見定めた先へと伸ばす。] (518) 2020/07/31(Fri) 23:38:46 |
【人】 羽井 有徒── プール ── それを聞くかよ。 [聞きたいことを尋ねれば、もしかしたらそう聞いてくるかもしれないって予想の中に無かったわけじゃない。 こういうのもまた、息が合うって言っていいのだろうか。] あんまり。 自分から言ったことないんだけどな。 [でも仕方ない。 その笑顔には抗えないから。] ああ、──── (520) 2020/07/31(Fri) 23:40:02 |
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