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【人】 西園寺 飛鳥[持ってきたコーヒーを手渡すと、緩んだ頬に、 きゅん、と心根が掴まれるよう。 愛おしさが溢れて、自然と表情は綻んだ。] 今日も冷やかしって思ってる? 律儀な冷やかし客だなーって? [と首を傾げて見せながら、いつもの席につけば、 小皿に乗った可愛らしいカップケーキが テーブルをすべって出てきただろうか。 そうしたら、わたしはそれを見つめて、 ぱちくりと目を瞬かせてから、 江戸川さんの方を見上げるだろう。] (31) 2021/05/21(Fri) 21:01:36 |
【人】 西園寺 飛鳥───すっごいかわいいんだけど! え!なにこれ!写真撮っていい? [とあからさまに一つ声のトーンが上がる。 はしゃいでスマホを取り出せば、 回答よりも先に一枚パシャリと納めた。 それから、にへ、とした笑みを向けて ちょいちょい、と手招き。 こちらにきてくれないなら仕方ない。 立ち上がってそちらに歩いて行き、 左手の手指で器用にスマートフォンを持って くいっと彼の腕を引きながら軽く背伸びすれば 長押しで連写。そうすれば、1枚くらいは ブレていないツーショットを 納めることができただろうか。 その距離にすぐに頬は緩んで。] (32) 2021/05/21(Fri) 21:01:51 |
【人】 西園寺 飛鳥隙だらけですよ、お兄さん そういうとこも好きだけど [と、悪戯の成功した子供みたいな笑みを浮かべて そそくさと席へと戻ろうか。 先程の写真は消せと言われても絶対に消さないし、 むしろ「ロック画面にしよ」と鼻歌混じりに スマホを操作し始めるだろう。 ちなみになぜ急に写真なのかと問われれば、 「今めっちゃ好きだなって思って、この瞬間を 撮りたいって思ったから!」と肩をすくめる。] えーでもほんとかわいくて、 なんか食べるのもったいないな [そうはしゃぎなから。 コーヒーのいい香りを鼻腔に吸い込み、 ティータイム…もといコーヒータイムをはじめよう。] (33) 2021/05/21(Fri) 21:02:22 |
【人】 西園寺 飛鳥[相変わらずつれない江戸川さんに、 今日はとっておきのお誘いがある。 カバンの中に忍ばせた、2枚のチケット。] あ、そうだ [と前置きしてそれを取り出せば、 す、と2枚、差し出して。 そうしたら、びっくりしたように問いかけが されるから、目を柔く細めて。] 綺麗なものは好きだから。 香水も、結構好きだし。 […で。] (34) 2021/05/21(Fri) 21:02:37 |
【人】 西園寺 飛鳥わたしとデート、しませんか? [そう言って、差し出したチケットを引き寄せ、 その影からちらりと顔を覗かせて、 そちらをじいっと見つめよう。 唇を噛み締めながらこちらを見ているのが わかれば、眉尻をそっと下げて。] (35) 2021/05/21(Fri) 21:02:52 |
【人】 西園寺 飛鳥…そんなに気負わなくても。 [唇をとがらせて、少しばかり 困ったように笑ってみせる。 それでも彼が手に取ってくれないなら、 ふぅ、とひとつ息を吐いて、チケットを 一度膝の上に下げるだろう。] ───展示に興味がないわけでは ないよね、そのリアクション的に。 つまり、今引っかかってるのは、 私とお出かけするってとこだよね。 [唇を結んで、ゆらゆら、今度はこちらが迷う番。 私も2人じゃまずいなにかがあるのか。 それとも、この隔たりを超えることになる、と 彼は思っているのか。 あくまで冷やかし客と店主の位置付けを 崩したくない、のだろうか。 ふぅ、と息を吐いて、また、眉尻を下げて笑って] (36) 2021/05/21(Fri) 21:03:07 |
【人】 西園寺 飛鳥───あげる。 [膝の上に置いたチケットをテーブルに そっとのせて、そちらへスライド。 パッと手を離して、コーヒーカップをとり、 一口飲んだ。さっきより少し苦いかも。] 江戸川さんの好きな人と行って。 もちろん、わたしでもいいけど。 お誘いはいつでも待ってるから。 [と肩をすくめてもう一口。 ゆらゆら、揺れる水面に視線を落として] (37) 2021/05/21(Fri) 21:03:23 |
【人】 絵描き ルナリア時間は穏やかに進んでいく。 その空間には、私だけが存在している、 わけではなく。 いつの間にか、彼がそこにいるから それが当たり前のようになっていって。 注いでくれたお茶を飲んだり。 誘ってもらって食事をしたり。 毎日の生活が、彼に侵食されているのだ 気が付かぬうちに。 (39) 2021/05/21(Fri) 21:29:01 |
【人】 絵描き ルナリア気がついたのは、 いつものように絵を描いている時のこと。 ふと隣を見て、いつもいた存在がいなかったから。 そういえば、お腹がすいた。 そういえば、喉が渇いた。 最近は感じていなかったように思うこと。 久方ぶりに感じてしまい、 琥珀の目をぱちぱちと瞬いた。 (40) 2021/05/21(Fri) 21:30:20 |
【人】 絵描き ルナリアどうしてこうなっているのか? その疑問がまず浮かぶのは、人からしたら 鈍臭いと言われるものかもしれない。 でも、私はこうだから ひとつひとつ、考えるしかないのだ。 絵を描いていたから、とか。 食べたり飲んだりしてないから、とか。 …… 彼がいないから、とか。 (41) 2021/05/21(Fri) 21:30:39 |
【人】 『伽藍堂』 江戸川 颯介[カップケーキは、俺の想定していたよりも 大きな反応を齎した。 年頃の女の子がはしゃぐ様を こんな目の前で見た事がなくて 俺はつい、くしゃり、と顔を歪めてしまうんだ。 だから、きっと連写の中の俺は 6割くらいは笑っている─────かも。] ……お嬢さん相手に気張ったりしねェや。 [残りの4割の困り顔のまま捨て台詞。 この子相手に舌戦を挑むのは負け戦。 悪い男に捕まりかけてる時の 「彼氏なう」には構わないけれど この子の待受はそういうんじゃないだろう。] (43) 2021/05/21(Fri) 22:30:01 |
【人】 『伽藍堂』 江戸川 颯介それは、 [好きだと思ったのはカップケーキか、それとも。 聞き返せない俺は語尾を濁して 「そうかい」と小さく呟いた。 気に入ったんなら、行かないか。 知り合いのやってる店でな…… なんて、繋げてしまえば きっともっと喜ぶ顔が見れるんじゃないか。 分かっていても、踏み込めない。 踏み込んじゃならない。] (44) 2021/05/21(Fri) 22:31:09 |
【人】 『伽藍堂』 江戸川 颯介[古いものの匂いを払うように ふわ、と焼き菓子とコーヒーの香りが 二人の空気を満たしていく。 そんな中のお誘い。 やっぱりそういうことか、と 渋面を作れば、チケットの隙間から 心の迷いを見透かしたように お嬢さんはちょんと口をとがらせる。 問い掛けには、YesともNoとも返せない。 む、と口を噛んだまま言葉を探しに心の底へ。 何故こんな態度を取るのか 言うべきか、否か。 俺が迷ううち、ぱさり、とデートのチケットは カウンターの上に散った。] (45) 2021/05/21(Fri) 22:31:38 |
【人】 『伽藍堂』 江戸川 颯介─────おい。 [困った顔のまま、コーヒーへ口付けた お嬢さんを向いて、唸る。 あげるッつったって、 そんなの、受け取れるはずがない。 どんなに欲しいものであったって ここでお嬢さんからチケット巻き上げて 一体何が楽しいっていうんだ。 違う違う。そんな顔して欲しいんじゃない。 俺は─────] …………お客さんでいてやるッて、 ひとつも買ったことねェじゃねェか。 [ひどくいがらっぽい声で絞り出して 俺はコーヒーを一口飲んだ。 笑おうとして、唇が動かない。] (46) 2021/05/21(Fri) 22:32:35 |
【人】 『伽藍堂』 江戸川 颯介[コンマ一つ分の沈黙の後 俺は小皿の花を見つめながら切り出した。] ─────姉が、いてな。 5個上の。 [緩く巻いた茶髪の似合う明るい人。 瞼に浮かぶ彼女の顔は笑っているか、 それともどんよりと曇っているか。] 俺が大学に上がったその年、 突然腹に子どもをこさえて仕事を辞めた。 相手は職場の上司で、妻子もいてンのに。 [カウンターを無意味に掻いていた指先から まっすぐ、お嬢さんへと視線を向ける。] (47) 2021/05/21(Fri) 22:33:40 |
【人】 『伽藍堂』 江戸川 颯介それでも「愛してるって言われた」からって 一途にトンズラこきやがった男を待ってたけど 愛した男は知らぬ存ぜぬを貫いて 姉ンとこにゃ、男の奥さんからの 慰謝料請求しか来なかったよ。 ……まァ、後はお察し、ってやつ。 [愛を信じ続けた姉を中心に、 ボロボロと家が崩れていった。 あんなのは、もう二度とごめんだ。] (48) 2021/05/21(Fri) 22:48:10 |
【人】 『伽藍堂』 江戸川 颯介[つ、とチケットの1枚を 仏頂面のままお嬢さんの手元に突き返す。] 俺が2枚持ってたって 俺が2回行く他ねェや。 [もう1枚を唇にかざしたまま 受け取ってもらえるのを待つ。]* (49) 2021/05/21(Fri) 22:56:01 |
【人】 ぷにぷに グレザン[ たっぷりの生クリームにみずみずしいいちご、幸せのかたまりの“チョコ”がたっぷりの“クレープ”。 ほおばった瞬間の感想は、春にとける山の雪みたいに、夏の日差しに負ける氷のように、まるでかたちにならなかった。 口の中で美味しいものが暴れまわっている。ひとくち食べるたびに心がぽわぽわする。友人が書き記したメモ>>16の“あくまのたべものだ”という感想にはまるでうなずくしかない。自分もメモに“思いつく美味しさをこれでもかと詰め込んだおかし”と書く。これは本当にすごいものだ。 絵は友人にまかせて、自分は作り方を書き残しておいた。これでどんな風に出来上がるか、みんなも想像できるに違いない。] これは、なかなかいいすべりだしだな。 [ 友人のべたべたになった口の周りを、長い一本でふきふきしてから、ベンチからぴょんと降りる。お腹いっぱい元気いっぱい。探索再開だ。 初めて見る知らない店から、知っているのに山とはまるで雰囲気の違うお店まで。メモにたくさん記しながら、次は何を買うべきか相談しているときのこと。 ちりんと鈴の音>>0:2が鳴る。視線を向けたのは友人と一緒だった。] (50) 2021/05/22(Sat) 6:07:16 |
【人】 ぷにぷに グレザンなんだ? あ、ねこ。 [ 路地裏に一匹の猫がいた。赤い目の猫はこっちを向いて、じいっと見ているようにも思える。 山にも色んなもふもふがいるが、その中でも猫は特にかわいいもふもふだ。慣れた子だと毛並みをもふもふさせてくれるし、ぷにぷにの体に頭をぐりぐりと押し付けて挨拶もしてくれる。仲良し相手に体をくっつける文化を持つもの同士としても、猫は大好きだった。] (51) 2021/05/22(Sat) 6:07:31 |
【人】 ぷにぷに グレザンあの子はもふもふさせてくれるだろうか。 [ 街の探索中だが、猫を見かけるとつい近寄りたくなってしまう。心そわそわと友人に聞く。もふりたい気持ちが同じなら、よし、と一緒に猫の方へと向かう。 急に走っていってはびっくりして逃げてしまうかもしれない。そろりそろり、ひょこひょこと黒猫の方へ歩み寄る。 すると、その場でちょこんと待っていてくれた猫から、ちりんと音が鳴る。後もうちょっとの所でとことこと離れてしまった。 むむ、と唸る。そう簡単にもふもふはさせてくれないようだ。慣れてない猫なのかもしれない。山にもそういう子はいるから、遠くから眺めるだけでおしまいにしておくべきだろうか。 なんて悩んでいると、友人がなにかに気付いたらしい。あらためて猫を見てみると、少し離れてはいたが、また止まってくれたようだ。] (52) 2021/05/22(Sat) 6:07:44 |
【人】 ぷにぷに グレザンこれは、もふもふチャンスありか? もう少し近づいてみよう。 [ しかし、もふもふするまでに猫は離れていってしまう。そういうのを何度か繰り返してから、浮かんできたもしかして? を口にする。] これは、どこかへ案内されているのでは? [ 友人も同じことを考えていたのかもしれない。怖がっているなら、走って逃げていくだけだ。でも猫は、ちょっと離れるだけで止まるし、こっちがついてきているか確認しているようにも見える、気がする。 なら、例えば猫のおうち。友人のいるところ。おいしいごはんのお店。それとも噂の“猫の集会所”。そんな場所に招いてくれているのかもしれない。 もう少しついて行ってみよう。意見が揃ったならその後も、夢中になって猫の後ろをとっとこ追いかけていく。 路地裏を通って、一つ曲がって、も一つ曲がって、それからそれから。自分たちがどの道を通ってきたかを、きちんと確かめずに追っかけてしまったことに気付くのは、まだしばらく先のことになるだろう。] (53) 2021/05/22(Sat) 6:07:57 |
【人】 ぷにぷに グレザン― “うつぎ” ― [ 黒猫の後ろをついていって、やがて辿り着いたのは一軒のお店だった。追いかけていた猫はするりと扉の隙間から入っていったが、自分たちはその前でぽかんと口を開いている。 街にたくさんある建物は、山よりも大きくて立派だと思っていた。それなのにここは、] もっと大きいお店だ…… [ 街の建物と比べてもまだ一回り大きい。入り口の扉も、他のものよりずいぶん高い位置に取っ手がある。 何のお店だろう。今までも街の大抵のお店には、看板やメニューのようなものが置いてあったのだ。きょろきょろと見回してる間に、友人が看板を見つけただろうか。 同じものを見上げた。見上げてみた、が。] (54) 2021/05/22(Sat) 6:08:16 |
【人】 ぷにぷに グレザン…… しょ、かん うつぎ。 しょかん? しょ…… あしょ、いしょ、うしょ、…… としょ…… 図書館? [ おそらくお店の名前が“うつぎ”で、前半はお店の種類だ。ただちょっと読めない。読める部分だけ音にして繰り返して、適当な文字をくっつけて考えてみる内に、ひとついい感じのものが思い当たった。 図書館。本がいっぱいあって、読んだり貸してもらったりできる場所のことだ。森にもある。しかし、ここは森よりもずっとずっと大きい。] (55) 2021/05/22(Sat) 6:08:30 |
【人】 ぷにぷに グレザン本屋はさっきあった。 しかし、ここはもっともっと大きい。 こんなに大きな図書館なら、 本がたくさんあるだろうな。 自由研究の役に立ちそうだ。 [ 今までの自由研究も、図書館の本で調べ物をすることが多かった。先生が教えてくれたことも、まだ教わってないことも、本を読めばたくさんのっている。 そしてこの大きな図書館なら、もっと面白い話が、知らない話があるに違いない。ここで行かない選択肢なんてなかった。] (56) 2021/05/22(Sat) 6:09:01 |
【人】 ぷにぷに グレザン[ ぱたん。 すぐさま扉を閉めた。 閉めてそそくさと扉の前から離れる。 友人も一本で掴んで引っ張った。 いや、いやいやいや、いや、そんな、見間違いか? え?] (59) 2021/05/22(Sat) 6:10:04 |
【人】 ぷにぷに グレザン今の、なんだ……? [ 大きく、毛が少しあって、体がいろんな色をしたなにか。 初めて目にする生き物に大混乱。長い二本と短い四本を落ち着かなさそうにふよふよさせながら、友人と話し合い。]* (60) 2021/05/22(Sat) 6:10:40 |
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