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【墓】 こどもの アルレシャアルレシャが最後に目撃されたのは、スピカと別れた直後。窓から飛び出した絨毯と女の子を、庭師が見ていました。 けれども、それからアルレシャを見た人はいません。 もしかすると、遠くまで探しに行ったのかもしれません。 こっそり帰って来ている……なんてことは絶対にないでしょう。 だって、スピカと約束をしました。アルレシャは絶対に約束を破りません。 ……小さな『ただいま』を、まだ誰も聞いていないのです。 つまり、アルレシャはまだ帰って来ていないのでした。 (+0) 2022/01/22(Sat) 21:24:58 |
【人】 酔吟 ミズガネ>>0 ウミ 「お、おう…遠すぎるとそうなるもんなのか…?」 彼女がわからない事をわかるはずもないか。 素直に納得して置くことにした。異星はさすがにわからない。 「いや軽。……しかしどっちも、か。それで即次が見つけられるのも、そう言う技術があるのもすげーけどな…」 しかしやはり、子供なのか大人なのかわからない少女、少女?なのだなと思う。話が通じるから。 「んあ?……んー……。わかんねぇ、や。 最初は腹たった。拉致られたし。 次に、ここは俺は歓迎されてない国と感じた。 ……子供の為の国に思えたから。面子も、在り方も。だから、……嫌だったかな」 (1) 2022/01/22(Sat) 23:58:07 |
【人】 なんでも屋 アマノ「――――………!」 急に視界がひらけ、五感が戻ってきた感覚に軽くめまいを覚えた。 ずっとぼんやりと、客観的に見ていた女の部屋に俺は、片膝を付いている。 それはまるで、もう。 どっちが夢なのだかもわからなくらいで。 力を使いすぎた部屋の主が視界に入り、俺は、 ただただ……混乱したまま息を大きく吐いた。 「……………、魔女、イクリール」 「……どうして俺を、呼んだ?」 (2) 2022/01/23(Sun) 1:07:58 |
【人】 魔女 イクリール>>6 アマノ 「…………?」 緩慢に瞬きをしながらぼんやりと貴方を見上げます。 数秒後、漸く意識がはっきりしてくると、人違いだという事に気付いて魔女の顔がみるみる赤くなっていきます。 「ご、ごめんなさい……!私、つい……」 頬を両手で押さえながら狼狽えています。 「もしかして、貴方がアマノ……くん?」 これが彼の言っていたアマノさん。 まじまじと観察するように貴方を見つめます。 きちんと顔をよく見ると、無意識に くん 呼びになってしまいました。 やがてゆっくりと半身を起こして、軽い会釈とともに挨拶をします。 「初めまして。私はイクリール……薬師よ」 魔女は事の経緯を話し始めました。 ミズガネくんが貴方を殺してしまったとパニックになっていたこと。 魔女の秘術で貴方を生き返らせようとしたこと。 直接的に言わずとも、全てはミズガネのためだということは、言葉の端々から伝わってくるでしょう。 (7) 2022/01/23(Sun) 2:36:51 |
【人】 なんでも屋 アマノ>>7 イクリール 「……そうだ、俺がアマノだ」 「呼び間違えは別に……気にしてないが……。 俺は、ついさっきまで死んでたさァ、けど……何か知らんが、どうも神隠しみてぇなのに遭ってたらしいな。 色んなものが……見えちまった。 ミズガネのやつが暴れてんのも、お前サンが俺を呼び戻したのも……一歩引いたところで見てたぜ」 話を聞いていると、魔女とミズガネはかなり親しい間柄になっていたというのはすぐに理解できた。 この魔女が、ミズガネを慕っているということも。 そういう事を教えたつもりだったから、それはとても喜ばしいことだと、口端を上げる。 「アイツとは”契約”をしてね。 死なせないと約束したもんで護ってたんだがぁ……ミズガネの曲に興味を持ったばかりにどうやら……力が暴走したみたいでなぁ……」 「ったく、こんな形で死んで生き返るたァ思わなかったが……まぁ、礼は言っておく。 お前サンにゃ狩りを作っちまったようだな」 自分にも、今死ねない理由はいくつかあったから。 (8) 2022/01/23(Sun) 2:54:52 |
【人】 なんでも屋 アマノ>>11 イクリール 「あぁ、楽器壊そうとしてたのも見てたからな……勿論話くらいはするさァ」 「いつまた俺もどうなるかわからねぇが……やれることはやっておくとするかよ」 カカっと笑うと、ベッドにおとなしく横になったあなたを見て、大きく頷いた。 死者を呼び戻すなんて高等な術を使ったのだ。 疲れてない方がおかしい。 「アイツにここに来るように言っておいてやんよ。 俺の事をしったらアイツのことだ。お前サンと話がしたいだろうからなァ」 再び生を与えられてしまった。 それならば。 せいぜい悪あがきをして生き抜いていこうと、そう思う。 その後は体を休めるあなたの邪魔になってはいけないと、早々と部屋を後にするだろう。 (12) 2022/01/23(Sun) 16:30:21 |
【人】 彷徨民 ウミ>>1 ミズガネ 『そうみたい』 ウミも詳しい訳ではないのです。 ただ、そういうものだと聞かされていたからそうなんだなーと信じているだけで。 『ただしぬのをまつのは、イヤでしょう?』 皆生きていたかったのでしょう。 それが生物の本能ですから。 『こどものためのくに』 ウミは子供や大人の区別があまりつきません。 ですが、広間の様子から子供と区分されていた者、大人と区分されていた者はうっすら理解しています。 自身が子供の、あなたが大人の括りに入れられていた事も知っています。 けれど、ウミはあなたが除け者にされていたように思えなかったので、首を傾げました。 『どんなところが、こどものためだとおもったの?』 『――だったなら、いまはイヤじゃない?』 (14) 2022/01/23(Sun) 21:32:34 |
【人】 なんでも屋 アマノ「……ったく」 イクリールの部屋を出て、がりがりと頭をかく。 考えることが多すぎるのだ。 ミズガネに会いに行かなくては。 あんなに飛び回ってたチビ……アルレシャが大人しくなってるのも気になる。 心配かけてしまったスピカにも……。 それに。 俺は、死んでる間にこの城の真相みたいなものに近づいてしまった。 この城には、……城主に協力してるやつが、二人いる。 ――そいつが誰というのももう、分かってしまったのだ。 (15) 2022/01/24(Mon) 1:00:21 |
【人】 酔吟 ミズガネ>>14 ウミ 「……大事なものがあれば、そうかもな」 死ぬのを待つのは嫌か。 その問いに、男ハッキリと答えられない。 いっそ世界規模で終わってくれたなら、諦めが付くからと諦観していたから。守りたいものの大切な物もなかったから。 「まあ完全な俺の被害妄想だろうけどよ。いつものことだが。……人選が、そう見えた。 アマノは嫁も子供もいた経験がある。 イクリールは見たまんまの献身気質だろ。 口煩い眼鏡のねーちゃんはしらねーけど……指輪着けてただろあいつ。だから既婚者みたいだし。 “あの”ラサルハグは子供好きだと聞いた。 ……“大人”が揃えられてんだよ」 そして、アルレシャとブラキウムがいるものだ。基本的に子供は女の方に懐きやすい。男の少なさも納得できた。ただの男の仮説だが。 「……まあ、そうだな。 人は知らねえけど、この場所自体に否定はされてないと思ったから、……それなら、もういいかって思うようにはなった」 視線を上げる。貴方を見る。 「──お前は?」 「ここがどんな世界に、国に、場所に見えてたんだ」 (16) 2022/01/24(Mon) 1:15:45 |
【人】 彷徨民 ウミ>>16 ミズガネ 『だいじなものって、きづきにくいんだよ』 『だから、さいごにおしくなるんだよ』 星がなくなると知ってしまったとき、ウミの星の人々がそう思ったように。 あなたにもなにか、大事なものや諦められないものがあるようにウミは思いました。 まったく的外れな推測かも、しれませんが。 『おー。ウミ、きづかなかった』 『ミズガネはひとをよくみてるんだね』 すごい。ぱちぱちと手を叩きます。 仮説ではありますが、しっかりした根拠があるように思えたのです。 『ウミに?うーん……』 ぷかり。床から離れて考えます。 ウミには国だとか、そういう括りがよくわかりません。 ウミが知っているもので例えるなら。 『ーーゆめ、かなぁ?』 『だれかとおはなしして、ふれられて』 『ウミもひとみたいになれたもの』 『きっとだれでもかんげいしてくれるばしょなんだなーって、おもったよ』 (17) 2022/01/24(Mon) 1:39:09 |
【人】 酔吟 ミズガネ>>17 ウミ 「星を無くした奴らに言われると、重みが違うな…」 思わずデリカシーはないとわかっていてもしみじみ呟いてしまった。 「ま、普通はそうなのかもな。俺は逆だったからハッキリと気付けた。大事なものに気づけないのは満ち足りてるか、多忙で振り返る余裕がない時だ。……どっちもなかったからな、見つけた時は、すぐわかった」 それはまるで、ほんの最近できたかのような言い草で。貴方の推測も間違ってはいないだろう。ただ、思った以上に最近のことかもしれないけれど。 なお拍手されると複雑な顔。実際当たっていたならまだしも、むしろ外れてそうな推論だし、なにより人をよく見るというよりは、顔色を窺う癖があっただけ。 「……夢?」 その言い方だとまるで。 「お前は、これが夢だとしたら、覚めたらどこに戻るんだ。……誰とも喋られず、誰とも歓迎されず、人として扱われてない場所に今もいるのか?」 (18) 2022/01/24(Mon) 12:20:20 |
【人】 灯された星 スピカ「…………アルは約束をちゃんと守る子よ。大丈夫、大丈夫だから……」 それは他人に言っているのか、それとも自分に言い聞かせているのか。 「……魔法の力だとしたら、いったいどうしたら……」 使用人に聞いてまわって、最後に庭師にたどり着いた。窓から飛び出して探しに行ったのは自分も知っている。けれど、その後は何も聞いていないのだ。 それこそ魔法で見えなくされてしまったかのような消失。 それでも、諦めない選択肢はない。 きゅ、と拳を握り、女はブランケットと少しのパンや紅茶を詰めたバスケットを抱え、もう一度城を歩き回り始めた。 (19) 2022/01/24(Mon) 17:36:35 |
【墓】 こどもの アルレシャ「ただいま! ねえ、ただいまったら!」 ふと目を覚ますと、大きなぬいぐるみに抱えられていました。城の近くでしたから、そのまま一時帰宅をしたのですが……どうも皆の様子がおかしいのです。 「ね〜え〜……そーいうのはよくないんだよっ、ママもいって、た、もん……?」 使用人に触れようとするも、その手は空を切ります。 どうやら、人に触れないようです。まるで透明になったかのよう。もしもそうだとするなら、皆が無視をすることにも繋がるでしょう。 慌ててぬいぐるみを呼び出します。 ……ぬいぐるみには触れました。 ぬいぐるみが人に触れます。 ……ぬいぐるみも触れられませんでした。 ぬいぐるみも透明になったかのように。 「…………」 じわ、と目に涙が浮かびます。溢れる前に袖口で拭い、広間へ駆け出しました。 もしかしたら、アマノやラサルハグがいなくなったのは、こういう理由だったのかもしれません。 誰かに伝えなきゃ。アルレシャは、そう思いました。 (+1) 2022/01/24(Mon) 18:23:28 |
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