フィオレは、毒の花を芽吹かせている。 (a20) 2023/09/23(Sat) 2:27:15 |
アリーチェは、牢屋を後にした後、手で顔を覆った。 (a21) 2023/09/23(Sat) 2:31:03 |
カンターミネは、歌う、歌う、歌う。 (c23) 2023/09/23(Sat) 2:38:49 |
ペネロペは、缶ビールをもうひとつ開けた。 (a22) 2023/09/23(Sat) 2:40:01 |
コピーキャット ペネロペ(匿名)は、メモを貼った。 2023/09/23(Sat) 3:21:23 |
カンターミネは、歌うのをやめさせられた。 (c24) 2023/09/23(Sat) 4:05:35 |
ヴィットーレは、牢屋の中のベッドに潜り込んだ。 (c25) 2023/09/23(Sat) 6:36:25 |
ニーノは、家族以外に触れられることが、こわい。 (c26) 2023/09/23(Sat) 10:01:44 |
【墓】 黒眼鏡アレッサンドロ・ルカーニオ。 裏社会での通称を"黒眼鏡"という男が率いるのは、 ノッテ・ファミリーの活動において、主に物流を取り仕切る部門である。 彼らは密輸や禁制品の販売、人、物──場所を動かすだけで金が発生するもの。 そのほぼ全てに関わり、あるいは自らで全てを賄い動かしていた。 特にアレッサンドロの支配力が強いのは、多くの港湾設備を擁する三日月島周辺。 当然ながら海運業が強く発達したヴェスペッラにおいて、 彼らはいつしか──少なくとも、先代のカポ・レジームの時代には既に――"港"と呼ばれるようになっていた。 元ソルジャーらしさ、というのか。 規律と不正にひどくうるさいアレッサンドロの剛柔組み合わせた監視の下で、 "港"は強く統制されファミリーの地盤を固めるための一角を担っていた。 アレッサンドロ曰く、 「あって当たり前の仕事でミスるとリスクがデカい」 「需要が常にある以上、こちらからリスクを取るより顧客を依存させたほうが稼げる」。 商品がなんであれば、物流とはまるで生物の血管のごとく、 常に物を動かし続けることこそ最大の利益を生む。 そういった理念の下、"港"はそれが非合法的性格を多分に含むことを除けば ごくまっとうで理想的なビジネスのように運用されていた。 (+4) 2023/09/23(Sat) 11:06:02 |
【墓】 黒眼鏡だがそれはあくまで、アレッサンドロ・ルカーニオの影響だ。 従わないもの、自らの運営方針にそぐわないものに 直接的な脅迫、あるいは暴力をためらいなく行使し、 従うものにはポケット・マネーからの恩賞を躊躇わない。 それが正しいかはともかく、部下にとって「従うことにメリットがあり、従わないことにデメリットがある」ことのみを徹底的に叩き込んだ彼の下であるからこそ、そのシステムは正常に機能していた。 それゆえ、アレッサンドロ・ルカーニオが逮捕されてからの"港"の人員たちの反応は、大きく別れた。 一つは、システムを維持する者たち。 全体の六割を占めるこのメンバーは、思惑はどうあれ数日前と同じことを行い、数日先も同じことを行った。 これが長期化するならばともかく、多少のトラブルで今までうまく行っていたやり方を変える必要はない、と思ったのだ。 勿論中にはアレッサンドロのシステムこそが心地よいと感じるものもいたし、 あるいは「気を抜いた途端に黒眼鏡が戻ってくるのではないか」とバグベアに向けるような怖がり方をした者もいるが、 とにかく当面の間大きな動きをすることもないし、する必要もない者たちだ。 それは実に合理的な判断に思えたし、それこそが自然であると信じる者も多かった。 (+5) 2023/09/23(Sat) 11:08:08 |
【墓】 黒眼鏡一つは、これを機であると動き出す者たち。 アレッサンドロは部下たちに十分な利益還元を行っていたが、 十分なんてものはない。 逮捕の報をきいて早速自らの利益を拡大しようと、種々様々な活動が行われた。 そしてそれがうまくいくかどうかは置いておいて、アレッサンドロは"港"が自分の指揮下から外れた際、こういった活動を咎めるような仕組みまでは構築していなかった。 彼のことをよく知る部下曰く、「好きにやるならそれはそれでいいと思っていたのでは」──などというが、果たしてどうだろうか。 元々がマフィアという、法とは利益をどうやって味わうかのドレッシングに過ぎないと思っているような連中だ。 これらの数もそれなりに多く、後にファミリーが調べたところによれば全体の三割がこういった"独立"にいそしんでいたという。 そして残った、全体の一割程。 彼らは一見普段通りに業務を進めていたが、ときたま妙な振る舞いをしていた。 普段入らない場所に入り、普段しないことをする。 それはほんの少しだけ、ちょっとだけ足を延ばす程度のことで、 けれどそれをする意味も必要もないことだった。 それを見とがめられるものもいたが、「アレッサンドロからの指示で」と言えば大抵の場合は見逃される。 そしてそれは、別段長く続くものではない――ほんの少し、たとえば荷物を運ぶだけ。 そのことに気が付くものが、はたしてどれほどいただろうか? いたとして、それが何を意味するのか、組み立てられるものはいるだろうか。 多くの者は、「アレッサンドロが釈放されれば分かるだろう」と気に留めることもなかったが。 (+6) 2023/09/23(Sat) 11:08:33 |
【墓】 黒眼鏡──とにかく。 総合すれば、"港"は七割が普段通り。つまりはビジネスにおいて影響は無視できない程度ではあるものの、これまで通りに営業を続けていた。 ヴェスペッラの海には今日も、静かに白と青が揺蕩い踊っている。 三日月島の朝焼けはあの日も今日も、変わらずに美しい。 (+7) 2023/09/23(Sat) 11:09:23 |
ダニエラは、ふたつの中から、犬を選んだ。 (a23) 2023/09/23(Sat) 11:16:18 |
【墓】 幕の中で イレネオがん。 がん。 がん。 それは憤りだった。 男の義憤が牢を打ち檻を揺らした。 食い締めた歯がぎりと鳴る。奪われ消された子どもたちのことを思ってまた心が逆立った。「────くそ野郎が」 呻きに似た響きが落ちる。 まったく男は正義の徒であった。 (+9) 2023/09/23(Sat) 15:32:26 |
イレネオは、真面目な警官だ。自他ともにそう認めるように。 (c27) 2023/09/23(Sat) 15:32:53 |
カンターミネは、『お前じゃ無理だ』と笑う。吐いて、汚れて、まだ笑う。 (c28) 2023/09/23(Sat) 17:18:04 |
アリーチェは、止めてくれるはずの幼馴染二人は、傍にいない。 (a24) 2023/09/23(Sat) 17:45:13 |
リヴィオは、「これじゃあ無敵失格だね」といつも通りに笑う。 (a25) 2023/09/23(Sat) 18:15:07 |
ニーノは、十九年の人生で自分がした、悪いことを数えている。 (c29) 2023/09/23(Sat) 20:46:39 |
ニーノは、この現実がこれまでの罰であるなら、帳尻が合うはずだから。 (c30) 2023/09/23(Sat) 20:46:48 |
ペネロペは、知っている。 (a26) 2023/09/23(Sat) 20:57:58 |
ルチアーノは、猫は別に好きじゃない。 (a27) 2023/09/23(Sat) 20:59:28 |
ヴィンセンツィオは、揺さぶられながらも己を責める声をただじっと聞いていた。 (c31) 2023/09/23(Sat) 20:59:53 |
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