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【人】 マシロ[ "可愛い"ものが好きだった。 可愛くなりたくて、いつの間にか好きになっていた。 小さい頃 街ですれ違う家族連れがいつも 子どもに紡いでいた、「かわいい」という言葉。 ──可愛くなれば私もお母さんに、なんて淡い期待を 抱いてしまったのが始まりだった気がする。 可愛いものが好き。 それが愛される様を見て過去の自分を救っていた。 可愛く在ろうとする道以外知らない。 親に愛されるための条件だと思っていた。 わらわなきゃ。 だって、"大咲"はたくさん咲うという意味だから。 わらわなきゃ。 ────いつの間にか義務みたいになっていた。 ] (37) 2023/04/04(Tue) 0:07:17 |
【人】 マシロ[ 腐ったように生きていく自分が惨めで、嫌いで、 それ以上いやになる前にとうさぎの穴へ飛び込んだ。 "独りでも生きていく術"は識っている。 せめて"一人でも生きていける心"を持てるように。 私の料理が、 私のなにかが、 ──誰かの笑顔になれるように。 貴方を初めて見つけた時、 確か貴方は、じっと此方を見ていたんだっけ。>>2:-173 穏やかそうな人だな、というのが第一印象。 声音も春の陽だまりみたいに暖かくて、 「カウンター席、おすすめですよ」なんて珍しく 自分から、店員と距離の近い席へ誘導した。 真っ直ぐに、自然に笑えた。 他愛ない雑談を交わすだけで楽しくて。 少しずつ好みを探るように変えていったブレンドが ぴた、と嵌った時の反応が、一等うれしくて。 ] (38) 2023/04/04(Tue) 0:07:28 |
【人】 マシロ[ 仕事終わりの 夜 。終電を逃しても、多少の危険を顧みず歩いて帰ったのは 貴方の名前に 夜 があると知ってから。 孤独を示すだけの夜が少し好きになれたのだ。 まるで貴方が近くにいるような気がして、 ──独りぼっちじゃなくなれた錯覚に抱かれながら。 そんな未来は有り得ないんだろうな、なんて諦観と共に 雪のように 心と思考に 貴方が積もった。 もし、 一緒に帰れる夜があったならどうしよう。 もし、 想いの花が咲いたら、どうなるのかな。 ────……答えは今、食卓の上にある。 ] (39) 2023/04/04(Tue) 0:07:57 |
【人】 マシロ[ 三月うさぎが開く"なんでもない日のパーティ"も 貴方となら毎日が特別ななんでもない日。 何月でも、どんな季節でも、いつの時間帯でも。 やっぱり神さまがくれた贈り物みたい、なんて アリスの冒険よりもおかしな夢見事だろうか? 今までの傷も過去も、全部全部 貴方と仕合わせて、幸せになる準備だった気がする。 ねえ、いつか私たちに家族が増えるなら たくさんたくさん愛して、幸せに出来るって 信じられるようになれたんですよ。 ────……少し前の自分なら、嘘みたいな話。 でも、これは全部、私たちの現実だから。 ] (40) 2023/04/04(Tue) 0:08:04 |
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