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【人】 XIX『太陽』 ヒナギク[周囲を見渡していた視線が、戻ってくる。 私のもとに落ちれば、 滴る血の赤と、凪のような瞳が重なり合って、 ぽたりと、繋いだ手の甲を濡らした。 そうして、静かに響いた言葉に。>>94 ああ、やはり。彼も。 『証持ち』なのだと、幼心に合点がいった。 なんでもないかのように再び歩き出す『塔』に、 付き人たちが慌てて周囲を宥め、警戒線を引く。 『塔!傷を見せてください!』と、 私を連れて行く『塔』を引き止めるのに、 またひと悶着あったのは、別の話。 それが、私が初めて自分以外の、『証持ち』を見た印象。*] (411) 2022/12/17(Sat) 23:47:16 |
【人】 XIX『太陽』 ヒナギク―― 回想/中庭 ―― [洋館で暮らすようになってから、 プロセラと過ごす時間は、 一日のどこかで必ず作るようにしていた。 最初は人見知りのようなもので、 少しでも知っている人の傍に居たいという理由で。 他の証持ちとも話すようになってからは、 彼の元がなんとなく落ち着くからという理由で。 チェレスタに、マドカせんせいに、みんなに、 知識を、言葉を与えられた私は、 水を与えられた花のように吸収し、 それをプロセラに報告することが日課になっていた。 彼はいつも黙って聞いてくれているだけだけど、 じっと見ていれば、 僅かに表情に変化があることにも気づける。>>95 初めてそのことに気づいた時は、びっくりして、 『大ニュース!プロセラが笑った!』 と、洋館中を跳ね回って証持ちのみんなに伝えた。] (412) 2022/12/17(Sat) 23:48:09 |
【人】 XIX『太陽』 ヒナギク[教典の『太陽』が死んだのは、 『塔』がきっかけだと知ったのは、その後のこと。 教えられても、ぴんとこなかった。 『塔』が殺したわけじゃない。 ううん、例え『塔』が『太陽』を殺したとしても。 それは、私とプロセラの話ではない。 でも、彼が教典のことをどう思っているのかは、 直接聞いたことはなかった。 話す時は、いつも私が一方的に話していたし、 彼もそれを(多分)厭うこと無く聞いてくれていた。 それならば、今の関係を壊す必要なんてない。 私は彼の傍にいることが楽しいし、 きっと、それを彼も許してくれている。 ] (413) 2022/12/17(Sat) 23:48:41 |
【人】 XIX『太陽』 ヒナギク[彼は自らのことを語ることはない。 だから、彼の過去に何があったかを私は知らない。 ただ、私が笑えるようになったように。 彼にも、いつか変化が訪れれば良いと思う。 無理矢理にではなく。 いつかプロセラが自ら変化を求めるように。] (416) 2022/12/17(Sat) 23:50:24 |
【人】 XIX『太陽』 ヒナギク[メルロンを手に取ったプロセラが、 ひとくちぶんだけ千切って 半分以上残ったものを、私に向ける。>>102 私も差し出されたそれを笑顔で受け取る。] ありがとう、プロセラ! 半分こだね! [まるで食べることをしないプロセラに、 『いっしょにたべよ』と差し出したのも、 このふわふわの綿菓子のようなメルロンだった。 プロセラが何が好きか分からないから、 メイドさんに聞いてみたり、 ときにはチェレスタに聞いてみたり、 フォルスのお店を覗いたこともあった。>>0:38 結局、どれを渡しても今のところ、 同じような反応しか見たことはないけれど。 今のところ嫌いなものは見つけたことがない。] (417) 2022/12/17(Sat) 23:50:40 |
【人】 XIX『太陽』 ヒナギク[温かな陽光を浴びながら、 食べている間にも、今日あったことを伝える。 中には昔話も織り交ぜて。 口の中でとろけていくふわふわの綿菓子に、 あまい!とはしゃぎながら。 少し間を置けば、プロセラが口を開いた。>>103 彼が尋ねてくれる言葉は、いつも同じ。 だから、返す言葉もいつも、同じ。] ……うん、楽しかったよ! 毎日がきらきらしてるの!! [世界は明るい。世界は眩しい。 みんなが居るから。みんなが在るから。 尋ねたものとは違う言葉が返ってきても、 気にせずにそう目を輝かせて彼に応える。 そんな日が、ずっと。 これからも、続くんだと思っていた――――。**] (418) 2022/12/17(Sat) 23:51:23 |
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