人狼物語 三日月国


212 【身内村】桜色のエピローグ✿

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【人】 火澄 七瀬




 与太話だと笑い飛ばすことも出来ました。
 いいえ。そうするべきだったのでしょうね。
 なのに、私はどうしようもなく理解してしまいました。
 それは確かに神様で、その話は真実なのだと。

 実の妹への想いを抱えて不安定だった私の精神は、
 あの瞬間。どうしようもなく狂ってしまったのです。

 別に私が消える側でも構わないそうです。
 それでも世界の天秤は、問題なく釣り合うから。
 そうですね。選択肢がそれしかなければ、

 ………… きっと私も、間違えなかったのに。

 

(27) 2023/05/11(Thu) 18:29:59

【人】 火澄 七瀬




 しかし神様は悪意たっぷりの顔で、
 楽し気に代わりを提案しました。
 まるでそれが本題だというように。

 天秤を釣り合わせるために求められたのは、
 大切な肉親二人分と、大切な他人一人分。>>1:0

 それらを殺すことができたのなら、
 私も妹も、どちらの存在も許してくれるそうです。

 
     ………… 肉親は元より、大切な他人と聞いて。
     私は、貴方しか思いつけませんでした。
 
 
 
(28) 2023/05/11(Thu) 18:30:34

【人】 火澄 七瀬




 なのに私は貴方を殺せないばかりか、
 愚しい勘違いをしていたのです。
 あのバレンタインデーの日が来るまで。
 瀬名の隣にいるのは、私でなければいけないと。>>1:19
 瀬名の望みも私の隣にあるのだと。
 何とも都合の良い夢を見てしまっていたのです。


 でも、そうではなかったのだと。
 今の私は知ってしまいました。>>15



(29) 2023/05/11(Thu) 18:31:01

【人】 火澄 七瀬




 ごめんなさい。お父さん、お母さん。
 私は車のブレーキに細工をして、
 貴方たちを殺してしまいました。
 死ぬ必要なんてなかったのに。

 ごめんなさい。禎光。
 私は貴方が大切でした。
 でも貴方のことを殺そうとしました。

 ごめんなさい。瀬名。
 …… 馬鹿なお姉ちゃんで、ごめんね。
 
 

 
(30) 2023/05/11(Thu) 18:31:10

【人】 火澄 七瀬




 間違えてばかりでした。せめて最後は正しい選択を。


(31) 2023/05/11(Thu) 18:31:15

【人】 火澄 七瀬




    「 …… もしも、やり直せるのなら。
      どうか今度は間違えないように。 」
 
 
 
(32) 2023/05/11(Thu) 18:31:34

【人】 火澄 七瀬




 刃を煌めかせたのなら。
 ひらり。
 開け放たれた扉から飛び込んできた
花びら
が、


 
      雨ではない露に濡れ、地に落ちました。**



(33) 2023/05/11(Thu) 18:33:44

【人】 水面 禎光

 *****
 
 
 「 うん、ありがとう
   ああ …… 傘は僕が持つよ 」
 
 
 七瀬を瀬名と間違えたフリをした、あの日。>>2:24
 ひとつの傘の下で何気ない会話が続き ────
 七瀬だと気付いている事は、言えずじまいだった。
 
 " 何気ない会話 "。
 人格の違いは感じ取っているものの
 普段から同じように接しているのだから
 たとえ瀬名が七瀬であっても、違和のないやり取り。
 
 
(34) 2023/05/11(Thu) 23:57:29

【人】 水面 禎光

 
 
    見分けのつかない他の人みたいに
     どっちでもいい ≠フではなく
 
    優劣なんてつけたくないほどに
     どっちも大切 ≠セからだと ────
 
 
 接し方を変えない理由を
 綺麗な言葉で並べるなら、そういうコトだろう。
 
 
              ─── 簡潔に言うなら ?
 
 
(35) 2023/05/11(Thu) 23:57:32

【人】 水面 禎光

 
 

         どちらかに踏み込むと
         3人で居られなくなりそうで 怖い

 
 
(36) 2023/05/11(Thu) 23:57:36

【人】 水面 禎光

 
 
 彼女が広げた薄紅色の傘。
 もう自分は七瀬だって自白しているようなモノだけど。
 
 
 「 七瀬の歌声…… 声楽だっけ?
   昨日も僕の家まで響いてきてたけど 本当に綺麗だね
   瀬名はやったりしないの? 」
 
 
 この日の僕は 悪戯心が増殖していたのだろう。
 瀬名と誤認したフリをしつつ、" 何気ない会話 "を。
 
 
 *****
(37) 2023/05/11(Thu) 23:57:40

【人】 水面 禎光

 
 
 会話の内容までは届かないけれど、
 別の部屋にいる七瀬と瀬名の声を遠くで感じながら。
 僕は今、書斎で誰かの日記を開いている。
 
 書き手の一人称は"私"。
 どうやら両親を亡くしたらしい。 >>0:0
 なにかに陶酔しているのだろうか ─── >>1:0
 " 対価 "とか、" 神様 "といった言葉が見てとれる。
 
 日々を綴ったにしては あまりにも話が突飛しすぎて。
 日記形式で なにか物語でも創作していたのだろうか ?
 
 
(38) 2023/05/11(Thu) 23:57:43

【人】 水面 禎光

 
 
 僕は、際限なく高まっていく鼓動を抑えるべく
 第三者が感じるだろう疑問を必死に浮かべた。
 
 
        ─── 心の奥底で 茶番だと知りながら。
 
 
(39) 2023/05/11(Thu) 23:57:49

【人】 水面 禎光

 
 
 覚えのある筆跡。
 両親が死んだ日付。
 以前からこの家に出入りしてたであろう動作。
 
 そして罪の告白。未だ釣り合わない天秤。
 
 
 全てが ひとりの人物を指し示していたとしても ───
 
 
(40) 2023/05/11(Thu) 23:57:53

【人】 水面 禎光

 
 
 日記を読み終えた時、
 書き手に感じたのは 
狂ってる
 
 
 嗚呼、でも僕も 人の事を言えないのかもしれない。
 " 大切な他人一人分 "。
 
 もし、僕の事だとするならば ────
 恐怖よりも前に 
嬉しさ
が先にやってきたんだから。
 
 
(41) 2023/05/11(Thu) 23:58:04

【人】 水面 禎光

 
 
 七瀬と瀬名。
 生きることの楽しさを教えてくれた、ふたりの天使。
 キミ達に出会うまでは死んでいるようなモノだったよ。
 
 すぐにお姉ちゃん風を吹かせたがる七瀬も
 対等じゃないとすぐにヘソを曲げてしまう瀬名も
 僕にとっては どっちも大切なんだ
 陳腐とも、不誠実とも思わない


           ──── どっちも、愛してる

 
 
(42) 2023/05/11(Thu) 23:58:07

【人】 水面 禎光

 
 
 瀬名を救うために七瀬が狂ったのなら。
 
 そして真実であれ、虚構であれ
 賽は投げられ、もう取り返しがつかないのなら ───


      よろこんで" 大切な他人一人分 "になるさ
      七瀬と瀬名の未来のために
      僕も一緒に 狂っていたい

 
 
(43) 2023/05/11(Thu) 23:58:11

【人】 水面 禎光

 
 
 「 七瀬! 違うだろ!! 」
 
 
 ふたりがいる部屋に戻った時、
 視界に飛び込んだのは 自身の胸元に刃を当てた七瀬の姿。
 その刃は僕に向けられるべきじゃなかったのか?
 僕は全力で駆け寄り、刃先を掴むべく手を伸ばす。
 
 少しでも七瀬が怯んだのであれば ──
 迷い込んだ花びらを鮮やかに染めたのは
 僕の手のひらから零れ落ちた紅だったろう。**
 
 
(44) 2023/05/11(Thu) 23:58:17

【人】 火澄 七瀬




 「 ありがとう。お願いするね。 」


 そう言って手渡した薄紅の傘は、>>34
 思いのほか高くまで上がりました。

 …… 私の幼馴染は、いつの間にか
 随分と背が伸びていたようです。

 出会った頃は、男女の身長差が顕著になる前。
 禎光が病弱だったこともあってか、
 そこまで差は無かったように思います。
 
 
 
(45) 2023/05/12(Fri) 10:56:40

【人】 火澄 七瀬

 


 歌を褒められれば、気恥ずかしさはありましたが。
 嬉しい気持ちもありました。
 
 姉である手前、あまり表には出しませんが。
 私は案外単純なんです。
 先程のつまらなさは、
 くすぐったい物へと変わっていました。

 思慮深く、他者を配慮を欠かさない禎光は、
 いつだって私達の欲しい言葉をくれるのです。
 
 
 
(46) 2023/05/12(Fri) 10:56:57

【人】 火澄 七瀬

 


 …… ただ、少し困ってもいました。

 瀬名の意見。>>37
 予想して答えることはできたでしょう。
 私達はずっと隣にいた双子なのですから。
 それでも、私が決めていいことではありません。

 すっかり禎光の手の上で転がされていること。
 気付かぬまま、私はうんうんと悩みました。
 
 次第に明るくなっていく遠くの空を見ながら。
 結局私が言えたのは、
 当たり障りのない言葉だけでした。
 
 
 
(47) 2023/05/12(Fri) 10:57:09

【人】 火澄 七瀬

 


 「 …… やるかは、わからないけど。

   いつか禎光も含めた3人で。
  
   一緒に歌えたら、楽しそうだとは思うよ。 」



 *****
(48) 2023/05/12(Fri) 10:57:17

【人】 火澄 七瀬




 飛び込んでくる何者かの気配。
 思わずびくりと肩を震わせた頃には、
 その顔は、思いのほか近くにありました。

 刃を掴む手のひらからは、
 紅の鮮血が滴り落ち、花びらを濃く染め上げます。

 それが誰なのか。
 今さら確認するまでもありません。
 
 …… ひとりとひとりだった私達は、
 貴方と出会ったことで、

 さんにん、となったのですから。
 
 
 
(49) 2023/05/12(Fri) 11:29:17

【人】 火澄 七瀬




 思わずナイフを取り返そうとしましたが、
 しっかりと刃を掴んだ指は、
 私の力ではびくともしませんでした。


 「 ……禎光。 」


 あんなに小さかったのに。
 あんなに身体が弱かったのに。
 

     そこにいたのは
     立派に成長した、ひとりの男の子だったのです。
 


 
(50) 2023/05/12(Fri) 11:30:52

【人】 火澄 七瀬




 違うだろ。>>44


 「 …… ああ、私は、
   最後まで間違ってしまったのですね。 」


 ナイフの代わりに、貴方の言葉が胸を貫けば
 歪んだ顔から、涙が溢れ落ちます。

 ええ、そうです。
 きっと貴方が正しいのでしょう。>>46
 この場で愚かなのは、私だけなのです。

 それでもせめて、最後くらいは。
 貴方を殺せなかったこと。
 それだけは正しかったのだと
──── 信じたかった。


 
 
(51) 2023/05/12(Fri) 11:32:43

【人】 火澄 七瀬

 
 

 それでも私は、もう止まることができませんでした。


 「 禎光。 」


 再度名を呼んで、思い出します。
 貴方にはいつだって。

 言わなければいけなかったのに、>>0:16
 言えなかった言葉がありました。



 「 ごめんなさい。 」
 
 
 
 
(52) 2023/05/12(Fri) 11:34:11

【人】 火澄 七瀬

 


 ナイフから彼の指を剥がすことは難しかったでしょう。
 ならばと私は、貴方の腕ごとを掴んで動かします。

 貴方の手の分、隠れた刃。
 胸を貫くには、深さが足りなくなっていました。

 ならばと、刺すのは別の場所と。



 「 …… 大好きですよ、禎光。
   瀬名のこと、よろしくお願いしますね。 」


 ──── それが、最期でした。
 私は自身の喉に、刃の切っ先を突き刺しました。
 
 
 
(53) 2023/05/12(Fri) 11:35:30

【人】 火澄 七瀬

 

 

         ああ、これでもう、歌えない。>>48

(54) 2023/05/12(Fri) 11:35:40

【人】 火澄 七瀬




 吹き出す鮮血の熱が、鉄錆の匂いが、
 貴方の手や顔を覆ったかもしれません。
 人を貫く感触も、こびり付いて離れない。

 …… 最後まで私は、
 貴方にひどいことしかしませんでした。
 でも見逃して貰えると嬉しいです。

 全て忘れてしまうのですから。
 最初から、全部無かったことに。
 
 
 
(55) 2023/05/12(Fri) 11:36:25

【人】 火澄 七瀬





 …… ああ、声が聞こえます。
 そうですね。言っていましたよね。
 これは愉快な見世物≠セと。>>26

 ならば貴方がここにいるのは当然なのでしょう。
 
 

(56) 2023/05/12(Fri) 11:36:31
 




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