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【人】 転入生 二河 空澄[苛立ちとか、焦りとか、やり切れなさとか、 よくわからないモヤモヤで 頭の中がぐちゃぐちゃしてるからだろう。 夜気と冷たい指に撫でられて>>5 ぴくり、とはするけど 脇腹の痛みはほとんど感じない。 だけど、彼の置かれている現状を 知れば知るほどに、…辛くて 眉がぎゅっと寄っていたから 痛そうに見えてしまったかもしれない。] ……ん、っ [赤い痕全体を覆ってくれる湿布は スースーして思いの外、気持ちよかった。>>7 やっと安心したみたいに床へ座り込む彼の横、 同じように ぺたりと腰を落ち着けて ありがとうと告げると、 また話を促すように小さく頷いた。] (60) 2020/11/29(Sun) 16:11:53 |
【人】 転入生 二河 空澄[けど、分かったことがある。 真昼くんは、もう諦めてしまっているんだ…ってこと。 村のことや自分のことを語る口調は 淡々としていて あまり感情が見えない。 それが余計に 彼がどうしようもない現実として 心底 諦めてしまっているんだってことを ひしひしと伝えてきていた。 痛くて、切なくて、…… ] (62) 2020/11/29(Sun) 16:16:32 |
【人】 『ブラバント戦記』アズール平原の豊かな穀倉地帯に軍靴が響き渡る。 二万の軍勢を率いた新皇帝は無人の大地を瞬く間に駆け、 アリン家の構える居城へと迫った。 展開された公国側の兵は軒並み猛者と呼べるものではなく、 優秀な騎士団の前には為す術もない。 新兵を前線に立たせて稼いだ時間を用いて、 アリン家当主ジョセフは籠城作戦を企てていた。 帝都から遠乗りで一週間足らずの平原に位置する城は 強固ではあるが、安全に脱出する手段がない。 諸侯からの応援と補給を絶たれた彼等が 喉元に喰い付かれるのは時間の問題だった────…… (66) 2020/11/29(Sun) 17:13:43 |
【人】 仇討王 ヴィルヘルム[ 刀身を伝う雫を振り払う。 平原は赤く染まり、立ち開かる者は全て斬り殺してきた。 かつての学友。見知った顔。 家を継ぐ為に生家に戻り、戦に駆り出された者達。 打ち拉がれるものも、心悩ますことも最早存在せず。 ] [ 見えない痛みばかりが降り積もっていく。 ] [ 未熟な若者を殺した。肉盾紛いの老兵を殺した。 奴等が戦支度など出来ていなかったのは明白だった。 その上で、退かぬならば討ち滅ぼすのだ。 汚泥と化した大地に屍を積み上げ、 必要とあらば 灼 表面上の平穏を長年貫いて来たこの大陸に、 これ以上ない程の巨大な篝火を上げる。 ] (67) 2020/11/29(Sun) 17:14:14 |
【人】 『ブラバント戦記』赤く揺らめく 焔 。アーレンベルクの御旗に画かれる獅子が抱くもの。 夜の闇に新星の如く猛火が上がる度、 各地で人々は武器を取り、軍勢に加わった。 彼等はシェーンシュタインの雨以降、 滅ぼされた主君に与していた者共として領土を奪われ 国土の隅に追いやられたかつての戦士の末裔だった。 簒奪者を討ち滅ぼす焔を合図とするかの様に、 軍勢はより長大な列を成す。 今こそ新たな名君に剣を預け、雪辱を期す時。 (68) 2020/11/29(Sun) 17:14:55 |
【人】 『ブラバント戦記』『要塞を落とすには、敵の三倍の兵が要る』 高名な指揮官の言葉通りの戦力は帝国にはない。 各地で蜂起した戦士達を加えても尚、足りなかった。 跳ね上げられた橋、固く閉ざされた門。 静止の命令を受けた兵士達が沈黙を守る中、 分厚い人並みを割いて一頭の騎馬が前に出る。 腰に提げた剣を抜き、彼は号んだ。 (69) 2020/11/29(Sun) 17:15:13 |
【人】 仇討王 ヴィルヘルム我が民よ Brabant! 篤と視よ。之こそがお前達の拝する力。 幼帝に始まる暗黒の時代の幕を引く者の姿だ。 お前達は再びの栄光の先駆者となる。 我が祖先を屠りし雨を晴らさんとする者達よ、 其の御旗を、武器を、天に掲げるが良い! 『 我々は必ず借りを返す! 』 (70) 2020/11/29(Sun) 17:15:54 |
【人】 『ブラバント戦記』Ein Arenberg zahlt immer seine Schulden────『 獅子は必ず借りを返す 』 集いし者全てが声を揃えて繰り返した時、 濠の対岸に降り注いだのは赤い 雨 祖先を虚ろなる王へと変えた夜宴の意趣返し。 (71) 2020/11/29(Sun) 17:16:29 |
【人】 仇討王 ヴィルヘルム[ 血のような瞳に映り込んだのは、 城壁を焦がしてゆく無数の焔。 誰もが天を仰ぎ其れを見詰めた。 斯くも怨みとは激烈であるか、と。 対岸から黒煙が上がるのと同時、 眼前の橋は遂に降ろされた。 然れど望むのは交渉ではなく。 裏切り者の 命 を以て代価とする未来のみ!雄叫びを上げ、軍勢の先頭から境内へ流れ込む。 退路を切り開く為に現れた敵兵とぶつかり合い、 全ては燃え盛る戦場と赤い霧の中に消え行く──── ] (72) 2020/11/29(Sun) 17:17:05 |
【人】 仇討王 ヴィルヘルム[ 其れから幾許かして出された手紙。 小さく丸められた羊皮紙を渡鴉の鉤爪に括り付け、 小瓶に残された微かな魔力を道標に、空へ送り出す。 “Arryn” 『 白き鯉は獅子の懐にて灰へと変じ、 アズールの流れに揺蕩う薔薇の一欠片が 今は遠き故郷への路を報せるだろう 』 初陣から快進撃を重ね、兵を引き上げれば 次に攻め込むのは山脈に掛かる雪が融けた後。 暫しの休息であると示す様に。 ] ( ……何も変わりない。地図が少し塗り返されるだけだ。 其れを真っ先に伝えたかったのは待つ民でなく、 一足先に戦いへ身を投じた誰かだった。 返事は期待しておらなんだ。 故に復路の為の筆と紙を運ばせる事もせず。 )* (73) 2020/11/29(Sun) 17:17:33 |
仇討王 ヴィルヘルムは、メモを貼った。 (a1) 2020/11/29(Sun) 17:21:01 |
【人】 地名 真昼[それらの言葉には根拠がない。 理非がない。 何より彼には、利益がない。] ……っっ [向こう見ずの勇気だから 真っ直ぐに突き刺さる。 顔の皮膚がビリビリと痺れる。 胸の奥、深いところが震え、手足へと伝わり、 元の震えを強めることとなった。] (76) 2020/11/29(Sun) 20:04:47 |
【人】 地名 真昼[頭を倒し、彼の肩に埋めた。 教室のときとは逆向き、正面から。 二人の間、重なる手の上に ぽたりとあたたかな雫が落ちる。] ……僕の、そばに 居てぇ……っ [――暫し、その体勢に甘えさせて貰っただろう。 肩を揺らす嗚咽が収まり また明日、と彼を帰すその時まで。] (77) 2020/11/29(Sun) 20:05:02 |
【人】 地名 真昼── その後 ── [食事が始まる時間も終わる時間も把握している。 団欒の終えた頃合い、ニノマエの屋敷の裏口に呼び出し 緊張を隠せていない顔が近づいて来るなり 喉を強く押し壁に叩きつけた。] ……、蹴った時、態と巻き込んだよね これはおかえしね べつに怒ってないけど [怒っていないのは事実。 寧ろ歯向かうことを覚えたのだから 褒めてやりたいくらいだけれど それはそれとして躾は必要だと思うのだ。 どちらの立場が上なのかを、忘れさせぬ為に。] (79) 2020/11/29(Sun) 21:51:41 |
【人】 一 夜端── 翌日 ── [小便しに行ったら、 手ェ洗ってる転入生を見つけた。 真昼の姿はないようだった。 こっちも取り巻きは連れてない。 転入生名前なんだっけ、知らねえ。 吉田も言ってなかったよな。 だからオイ、って話しかけた。] 真昼に関わんのはやめとけ [放課後がくる前にやる忠告は お前の為であり俺の為。*] (84) 2020/11/29(Sun) 22:38:35 |
【人】 Conqueror リヴァイ[月夜でなければ、略奪は常に慈悲深い。 その一手に命ごと掴み花散らす事が出来るなら 其処に伴う苦痛からの解放も早かろう。 それが罪なき平民たちであるなら猶更に。 然し───現実は理想通りに語らない。 仮に無残に枝折られし樹の声が聞こえるなら そのひとかけの慈悲でさえも飢えた獣のそれへと変わる。 そう─────あのときのように。] (86) 2020/11/30(Mon) 1:33:37 |
【人】 朽ち果てた日記 計画は思いのほか障害もなく進んでいる。 ビビの戦友、ジズとは学徒の頃から密かに文通を交わし、 月光病の治療方法について長年意見を交わしてきた。 ビビ 喰らってしまった戦友に関しては、 迫害に耐えれず逃げて行方不明──ということにしている。 そうでもしなければ、きっと信用なんて得られなかった。 戦争の絶えない祖国において、 少年兵の怪我など日常茶飯事だ。 迫害に苦しみ喘ぎ、隠れて生きている者ばかり。 卒業後、診療所を開きたいと言ったのはほんの気まぐれ。 ジズは大層喜んで、建物の準備までして待っていてくれた。 かりそめでも、彼等の心の拠り所となればいい。 この治りようのない絶望的な患者のホスピス代わり。 この国の全ての被害者が集まり、苦痛を和らげ、安らかに…… (87) 2020/11/30(Mon) 1:35:31 |
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