【人】 世界の中心 アーサー[ 責任の所在など、唯1人にしかないと思っている男は、 ──否、寧ろ擦り付けたのだ。 本来“にんげん”の被る筈であった傷を、 鏡に押しつけて、 音を出すことで知らしめた。 騒ぎにしない方法だって、有った。 ──窓を閉めていたら、それで良かったのに。 何にもしていないよな、男の手に、 使い込まれたおんなの指が滑る。] (209) 2020/05/23(Sat) 19:30:29 |
【人】 世界の中心 アーサー( ──その後特別大きな騒ぎもなく、 リドルと、かの“おひめさま”の父親の間で 問題のある程度は解決されたと言う。 障りがあったものと言えば、 おひめさまが“部屋にいたもの”を完全に勘違いし、 ──小間使いなんかと! とか叫んだおかげで 暫く“そういう”噂が立ったことと。 久しぶりに外に出た為に 次の日まで使い物にならなかった主人が、 懲りることなく“小間使い”に膝枕を要求するなど… ) (212) 2020/05/23(Sat) 19:33:28 |
【人】 世界の中心 アーサー* [ ここ数日の、日記を書いている。 全くだらしの無いもので、 たった一回の外出と交渉ですっかりやる気を無くし、 日記のみならず“リドル”としての仕事も 数日分溜めていた。 その仕事を、総て片付けた後の話。 この間彼女にひとつの依頼もしていた筈だ。 それだから過去を思い出しつ、暗い窓の外を見ている。] (214) 2020/05/23(Sat) 19:35:19 |
【人】 世界の中心 アーサー[ 執務室の上には、紅色の満ちたワイングラス。 薔薇に、葡萄の香りが混ざる。 犬の足音に聞き耳を立てながら、 細いステムをそっと 摘み上げた。**] (215) 2020/05/23(Sat) 19:37:25 |
【人】 女子高生 雨宮 千夏── 回想:去年の2学期 ── ぇ、‥‥‥? [あの日、 明るくて優しくて 誰からも好かれる渡辺さんから 言い放たれた言葉は とても、とても衝撃だった。>>94>>95 嫌がるとか、断るという選択肢が 自分の中に無くて、 お願いされたり 頼られたりしたら 親切にするのは当然と思ってた。 ────” 友達 ”だから。] (216) 2020/05/23(Sat) 20:23:53 |
【人】 女子高生 雨宮 千夏[けど、 彼女が傍に居てくれるようになって 分かった気がした。>>98 本当の” 友達 ”っていうのが、どういうものなのか。全部を任かすんじゃなくて 一緒にやったり 分担してくれたり。 もっと楽しくて 温かいものだってことが。] ごめん、 また断れなくて… [それでも、やっぱり 今までの癖みたいなのは抜けなくて 独りの時に頼まれると請け負ってしまう。 ゴミを焼却炉に持っていきながら 便利に使われてる?って思わなくはないけど こうしてる間は まだ見張っててくれるのかな、とか。>>97] (217) 2020/05/23(Sat) 20:23:59 |
【人】 女子高生 雨宮 千夏 (218) 2020/05/23(Sat) 20:24:02 |
【人】 軍医 ルーク[ 軍医なのに名前で呼ぶのはおかしいと、>>200 その言葉に、改めて思い知らされるのは、 日頃の『検査』での彼の扱いで。 何もできずにいた自分自身を、 どうしようもなく知らしめられる。 口にしたその名前は、願いのようでもあったと思う。 あの日記を読んでしまって、 いくつものことに気付いてしまった自分が、 いま、何よりも恐れていること。 そして、何よりも――望んでいること。 ここに居るのは僕だと、 そう告げてくれたのはきっと、 自分を害した人間ではなくここにいるのは彼だと、 そう知らせてくれる言葉だったのだろうけれど。 自分には、別の意味に聞こえた。 打たれ、切られた傷口よりも遥かに痛く、 今も透明な血を流し続ける胸の奥の空洞に、 そっと手を当ててくれているような。 ――… 君は、君のまま、ここに居るのだと。] (219) 2020/05/23(Sat) 20:55:21 |
【人】 軍医 ルーク[ 間近に見たその赤い瞳は、変わらず彼のものだった。 けれど、痛みに歪む視界がふっと像を結べば、 否応なく、異変に気付く。 数日前、通信機を探しに外出した時とは違う。 まるで何日も寝ていないような、目の下の酷い隈。 顔色も悪く、疲労の色を隠せずにいる。 あの日記の、最初の一文を思い出す。 起こりつつある何かが、どうしようもなく心臓を揺さぶり、 全身の血が凍り付きそうな“恐怖”を感じる。 殴られたときの方が遥かにましと思えるほどに。 声を出そうとしても、出なかった。 “痛み”に身体を抑えながら、蹲る。] (220) 2020/05/23(Sat) 20:56:03 |
【人】 軍医 ルーク[ 身体が床を離れる。 抱え上げ、運ばれているようだった。 背に当たる義手の感触は、固い金属のもので、 検査の折に、あるいは戦闘の後に担ぎ込まれてきた時に、 幾度となく見たことがあるものだった。 ――… 金属の片腕を持つ彼と、金属の脚を持つ自分。 お揃いのようだと思った言葉は、 そのまま口にせず、飲み込んだ。 この両脚は、彼の片腕とは違う。 その腕がどういうものであったかが、 いまのわたしには、朧げに分かる。 けれど、彼がその腕を、 この基地の者たちを“まもる”ために、 身を削りながら使ってきたことを知っている。 わたしのこれは、罪の証。 何一つ出来ずに、目の前の命を死なせた。 寝台に寝かされれば、柔らかな布の感触が身体を包み、 呼吸がいくらか楽になる。 無意識のうちに体に巻き付いていた尻尾に、 優しい手の感触が触れた。 その手に触れられているうちに、 少しずつ、身体のこわばりがほどけてゆく。 やがて、ふにゃりと力を抜いた白い尻尾は、 抵抗せずにそっと脚の後ろに横たわる。] (221) 2020/05/23(Sat) 20:57:53 |
【人】 軍医 ルーク[ 治療の際に身体を見られることに、抵抗はない。 こくりと小さく頷き、目を閉じる。 診る前に相手を安心させる術というなら、 患者の目の前に出る度に叫ばれる自分はどうなるという話だ。 大人しくそのままじっと待っていたのだが。] ……。 [ なんだろう。 何か、様子がおかしいような。 てっきり打たれた腹の辺りを見られるのかと思っていたら、 喉の辺りに触れられて、身体がぴくりと跳ねた。 それから、胸元。 重そうに首を傾げ、じー、と見上げてみる。 見上げた赤いうさぎは、 それはもう見事に赤くなっていた。] (222) 2020/05/23(Sat) 20:58:38 |
【人】 軍医 ルーク[ 何やら慌てはじめた彼の下に、ぺんぎんがやってくる。 背伸びしてガーゼや消毒薬を差し出して、 勢いよく褒めて撫でてもらえば、 おてつだいできた、えらーい! と 両手を挙げてくるくるはしゃぐ。 必要なものを持ってこられたことを褒められたのだと、 全く疑っていない顔だ。 それからも、 ボタンを嵌めようとしてもなかなか嵌らなかったり、 (本人は気付かなかったようだが、結局一つずれていた) 頬の消毒液がだばー、と枕の方に落ちて行ったり、 中々に、中々のことになっている。 手当てが終わると、ふらふらと立ち上がり、 医務室の隅っこで丸くなってしまった。 ……後ろを向くと尻尾が見えるなあ、と思った。] (223) 2020/05/23(Sat) 21:01:06 |
【人】 軍医 ルーク[ 彼が何に動揺しているか、この頃にはさすがに気付いている。 間違えられることは二度三度ではないから、 なんかもう面倒くさくなって、 一々訂正することもやめてしまっていたのだが、 やはり勘違いされていたか。 先ほど触れられた胸元に、自分の手を当ててみる。 我ながら自己主張というものが感じられない手触りだった。 もう一度医務室の隅に視線を向けると、 赤くふわふわした塊が、ぷるぷると震えている。 それを見ていると、久しぶりにこう、 擽られるものがあるというか。] 手当をしてくれて、ありがとう。 ところでさ、 [ 休めたのが良かったのだろう。 先ほどよりは幾分しっかりした声で、 その後姿に声を投げかける。] (224) 2020/05/23(Sat) 21:02:11 |
【人】 軍医 ルークそうか、合わせる顔がないのかあ。 なら尚更、顔を見せてもらわないと? ああ、そうだね、それじゃあ、 その耳、触らせてもらおうかな? それでお相子。 [ もし彼が振り返ったなら、 寝台に横向きに横たわり、両手を差し出し、 擽るように指を動かしている様子が見えるだろう。 いつぞやの結ぶ結ばないの話を覚えているかは、 さあ、どうだろう? なお、声に出すときに“きみ”と呼び続けていた自分が、 内心では、うさぎ、と思っていたのは、 その赤い髪から覗く、感情豊かな耳を、 つい目で追いかけてしまっていたから。 もし動かずにいるなら、 此方から這い寄ってやるくらいの心算だった。] (227) 2020/05/23(Sat) 21:05:03 |
【人】 軍医 ルーク[ 彼のいる場所のすぐ近くにあのタブレットがあるのに、 気付く余裕もないようだった。 こんなやり取りは、 向こうはそれどころではないかもしれないけれど―― 暫く前までの自分たちを、思い出させるものでもあった。 それは懐かしいようで、 けれど、沢山のことを知ってしまった自分は、 もう何も知らずにいたあの頃には戻れない。 戻りたいとも、思わない。 少しずつ、正解も分からずに、 暗闇で組み立ててきた硝子の破片のパズル。 出鱈目につながりながら、音を奏で始めたピアノ。 告げたいと思うことが、たくさんある。 渡したいと思うものも。] (228) 2020/05/23(Sat) 21:06:15 |
【人】 軍医 ルークああ、そうだ、 どうせならもう一つ頼んでもいいかな? そこの戸棚に鍵がかかってるんだ、 開けて、中を見て。 耳を触らせるのと、鍵を開けるの、 二つ合わせて、さっきのとお相子だ。 [ ぺんぎんが、ぱあっと表情を明るくする。 机の引き出しを開けて鍵をとってきて、どうぞ、と渡した。 その顔だけで、何があるか分かってしまいそうなものだが、 棚を空ければそこには、 瓶に入った薄桃色の苺シロップと、 砂糖漬けの苺で作った小さなジャムの瓶があるだろう。 ぺんぎんが調達してきたとうもろこしの茶の袋も。 確認したいことがあったという、 その話も気になっている。>>1:362 そして、自分も。 まだ気付かれずにいる棚のタブレットを、 それとなく視線で確かめた。 この先にあるものが、何であったとしても、 踏み出したいと、強く、願っている。]* (230) 2020/05/23(Sat) 21:11:21 |
【人】 神置 穂村[余裕はないとはいえ学費の心配だけはなく 仕送りとバイトで生活はカツカツでもない 故に、苦学生ではないとは思っているが 彼の金銭感覚というものに、頭を抱えた 喩え親しい仲であったとはいえ 金銭が絡む貸し借り然り 奢る奢られるということを含めても やはり、心理的に抵抗がある それをどういえば、いいのだろう 言語の山脈どころの話ではない おそらく好意としてだろうからこそ きちんと線引きしないとならないと思う] (232) 2020/05/23(Sat) 21:12:42 |
【人】 神置 穂村悪い…ユージン、俺の分…今、払うわ [日頃から財布には小銭もある程度ある 足りるであろう金額を小銭入れから出して それをテーブルの上に丁寧に並べてから 彼の方に指先でそっと、寄せて届くようにする] (233) 2020/05/23(Sat) 21:14:40 |
軍医 ルークは、メモを貼った。 (a25) 2020/05/23(Sat) 21:15:34 |
【人】 神置 穂村自分の分を自分で払える以上 特別な理由なく奢ってもらうのって やっぱり、俺自身が納得出来ない 俺はユージンに雇われてる人間でもないし もちろん、親子や兄弟でもない 今日会ったばかりの他人同士だろ? これが仮にともだちだったとしても 俺は、絶対断ると思う 金が絡むと対等じゃない気がするから …俺はユージンと対等でいたい (235) 2020/05/23(Sat) 21:17:03 |
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