人狼物語 三日月国


203 三月うさぎの不思議なテーブル

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視点:人


厨房担当 那岐は、メモを貼った。
(a1) 2023/03/15(Wed) 1:21:41

【人】 厨房担当 那岐

[確定事項。
 確かに。あの人気ならば約束されたも同然だろう。

 へえ、と軽く相槌を打ちながら、
 他人事のように接してはいるものの。
 彼がどう応えるかには、俺も興味はある。

 だが、断ろうとしている理由が
 自身に関わっているというのがまた。>>6:+423
 
 半年以上も先の話。
 その時までこの関係が続いているのかも
 分からないと思っていた。
 だが、そこに自分の居場所も置いていてくれるのだと
 そう感じたら、そら豆を剥く手も優しくなる。]
(26) 2023/03/15(Wed) 14:21:15

【人】 厨房担当 那岐

[大人、と評する声に笑う。
 そんな自覚はないけれど、
 拗ねるような子供ではないぐらいには
 余裕は持っている、つもり。

 それは彼に好かれていると、
 確かな自信の下で生まれているということは、
 いつ本人に伝えようか。

 自身がこんなに秘密主義だとは思わなかった。
 名前を教えるまでに時間がかかったぐらい、
 そのことも伝えるには時間がかかりそうか。

 とはいえ。
 クリスマスはこちらも稼ぎ時。
 正直なところ休みを取る暇はないだろう。>>6:+425
 同僚にもいくつか春が訪れている訳だし。
 彼や彼女らが休むつもりなら、
 きっと自分は出勤するだろうなという考え。

 俺に作ることを教えてくれた従姉妹が、
 大切にしている店だから。
(27) 2023/03/15(Wed) 14:21:50

【人】 厨房担当 那岐

[イベント事をわりと重要視しているらしい
 口ぶりの彼のこと。
 
 年末やクリスマスに限らず、
 これからも共にすることがあるならば。
 いつかは休みが重なることもあるだろう。

 その時は盛大に。
 彼の好きなものを作って祝うのもいいかもしれない。

 旅行に乗り気な旨を告げられたなら、
 ぜひ、と双眸を細めて頷いて。]


  恋人と旅行も、初めてなんですね。


[意外な情報に、また一つ、初めてを知りながら。]
(28) 2023/03/15(Wed) 14:22:39

【人】 厨房担当 那岐

[湯気の立ち上る緑色のスープ。
 口にして美味しいと、好きだと零す顔。>>6:+427

 言葉を尽くして応えてくれる。
 そんな姿に目を細めながら。
 外へと視線を移せば、季節は既に春真っ盛り。
 窓の向こうには、
 桜のピンクに、藤の紫がそろそろ掛かり始める頃。

 ギャルソンエプロンに潜ませていた、
 常連様に向けた招待状を、
 そっと彼の目の前に、置いて。]


  もうすぐ、店主催の花見会があるんです。
  時期は――、


[さて、恒例の花見会に作るのは――。**]
(29) 2023/03/15(Wed) 14:23:08

【人】 厨房担当 那岐

―― ささやかなパーティ ――

[それは、藤の花が咲く少し前の時期の話。

 以前、話題に上がった>>2:34>>2:84>>2:116
 速崎の誕生日の祝うために閉店後の店を借りて、
 ささやかなパーティが開かれた。

 速崎本人にはバレないようにと、
 同僚同士で密やかに話し合いつつも、
 誕生日が間近(寧ろ当日)な状態で
 『閉店後、時間ある?』なんて話を振れば、
 本人にもバレバレだったかもしれないが。

 来店客の料理を作り上げていく傍らで、
 速崎にバレないように、
 料理やデザートの準備をそれぞれ行っていただろう。]
(47) 2023/03/15(Wed) 15:43:05

【人】 厨房担当 那岐

[そんな仕事の傍らで、大咲の後ろ姿を見つけたら。
 ヘルプの振りをして、しれっと隣に並んだ。]


  大咲、手伝う。


[並べられるフライパン。
 デザートに使うフランベをしていたところだったか。
 火の強さを調整しながら、
 彼女の手元で踊る、
 青にも赤にも見える炎を見つめたまま。]


  ……あれから、ケイさんと話した?


[他のメンバーには聞こえないように。尋ねる。
 まず、聞いておきたかったのは。
 時間を置いた今でも、会話の少ない彼女達が
 気になっていたから。]
(48) 2023/03/15(Wed) 15:43:19

【人】 厨房担当 那岐

[速崎へのプレゼントは。
 それぞれ料理だったり、事前に用意したものだったり。
 その中で、大咲はデザートを選んだはず。

 一緒に作っていたクッキー。
 最近黒原と共にデザートを担当することが増えた彼女。]


  ずっと話す機会なかったんなら、今日かなって。
  ……余計なお世話かもしれないけど。


[隣に立って『白』いプレートに描くのは。
 『オレンジ』ソースで象っていく
 ヘッドフォンをしたうさぎ。
 
 カウンターの向こうには
 以前にも訪れていた父娘の姿。>>4:73
 小さなお客様が喜ぶように、
 大咲にも教えたソースアートが今夜も役に立つ。]
(49) 2023/03/15(Wed) 15:43:45

【人】 厨房担当 那岐



 
  オニイチャンは、心配です。


[ふ、と冗談めかすように隣へと視線を投げて。
 彼女の反応を待った。*]
(50) 2023/03/15(Wed) 15:44:00

【人】 厨房担当 那岐

―― おにいちゃんといもうと ――

[「ツラ貸してくんない?」>>2:36
 ……の、頃の大咲を知っている身としては。

 触れた話題に沈黙が先に現れたこと、>>54
 大きな目の中に僅かに鋭さが見えたことも、
 しっかりと受け止めているつもりです。

 大咲の荒れていた時代は知ることはないが、
 普段の笑顔の多い人ほど冷えた視線は刺さる。]


  ――……触りだけ。


[言葉通り、全てを聞いたわけじゃない。
 踏み込みすぎたか?と一瞬考えたものの、
 彼女が再び口を開いたなら、
 止めていた手を再び動かし始めた。

 まだ、ではあるが。
 言いたいことは見えてきたらしい。

 それなら後は、切り出すタイミングだけ。]
(72) 2023/03/15(Wed) 18:45:44

【人】 厨房担当 那岐

[炎に向いていた視線が此方に移る。
 冗談に冗談で返すみたいに上がる語尾。>>55
 目を細めるだけで応えないままでいれば、
 苦いものを噛み潰すように、再び落ちていく視線。]


  心配くらい、いくらでも。


[大事な同僚で、可愛い妹分のようなもの。
 速崎の方は、頼れる姉貴分として。
 いくらかけられたってテーブルチャージ料にすら及ばない。]
(73) 2023/03/15(Wed) 18:46:01

【人】 厨房担当 那岐

[でも、この子は聡い妹だから。
 自分でタイミングを知っている。>>56

 私も、という声にやはり余計な世話だったかと
 杞憂を感じながら、問い掛けには。]


  スイッチ見るとさ。
  押したくなる方なんだよね、俺。


[流された視線に、少し悪戯の意味を篭めて笑い返す。
 いつかの知恵を唆したように。
 子獅子を突き落としたように、悪びれず。

 速崎の笑顔を望むのは、自身も同じ。
 ならば、もう心配はすることはないだろう。

 意外と強いな、と思った。 
 戸惑っていた彼女はもう居ない。>>2:281
(74) 2023/03/15(Wed) 18:46:16

【人】 厨房担当 那岐

 
  ……大丈夫そうだな。


[出来た妹の頭をくしゃりと撫ぜてやりたい所だが。
 今は、お互い手が塞がっている。
 双眸を緩めるだけでも、伝わるだろう。

 炎が青くなるのは、ガスが完全燃焼し、
 酸素の方が少し多くなるからだとか。

 きっと彼女たちが動けば、酸素も巡っていく。
 出来上がった『オレンジ』のうさぎは
 プレートの上で笑顔を浮かべている。]
(75) 2023/03/15(Wed) 18:46:35

【人】 厨房担当 那岐

[炎の色より少し深い色をした、
 キャスケットのつばを上げて。
 ソースに使ったスプーンをくるりと手元で回す。
 我ながら良い出来に仕上がったことに
 満足の息をついたら、今度は妹から
 心配の声が上がった。>>57

 好きな人。そういえばその話もまだしていない。
 不意に飛んできた心遣いに、
 ふ、と息を吐き出すように笑ったら。]


  寧ろ見たいね、嫉妬するところ。
  そしたら、その後で思いっきり甘やかす。


[それで大事な人が出来たことは伝わるだろう。
 なんせ今は俺好みの身体に作り変えている途中なので。*]
(76) 2023/03/15(Wed) 18:47:31

【人】 厨房担当 那岐

―― 可愛い恋人の ――

[スキンシップは、意外と。
 嫌いじゃない方だという自覚はある。

 付き合っていた女性や一回り小さい従姉妹を、
 腕の中に閉じ込めることもしていたし。

 ただ、それが。
 "される"側の立場になる日が来るとは、
 思ってもいなかったけど。]
(164) 2023/03/16(Thu) 0:57:52

【人】 厨房担当 那岐

[今日は二つもある駄目になるソファの出番はない。
 何故ならば、座椅子代わりになった恋人の腕の中に
 現在進行系で捕らわれているから。

 嫉妬深いのは寧ろ、喜ばしいという話を
 大咲としたのはつい先日のこと。
 それが実際に形になって現れるのは予想外。

 どう思う?に>>-420、素直に嬉しいなんて応えたら。
 より拗ねたりしませんか、景斗さん。

 嫉妬をあからさまに表す姿は可愛いものの。
 さっきから耳元でぼそぼそと話す息が。
 耳元に掛かる度に擽ったくて、
 腰元から湧き上がる何かに身を捩ってしまう。]


  ……っ、……話すのは、仕事の話ですよ。  


[上擦りそうになる声をなんとか抑えて。
 そういえば、紹介したいって言っていた時も。>>5:+209
 そんな話をしていたのを思い出す。]
(165) 2023/03/16(Thu) 0:58:13

【人】 厨房担当 那岐

[面として言うのではなく、あえて。
 後ろから降り落ちてくる声が、背中に刺さる。
 
 トン、と懐くように押し付けられた額。
 微かな、懇願にも似たような呟きに。
 軽く、息を吐き出して、
 腰元に巻き付いた腕に手を重ねる。

 身を委ねるように、力を抜いて。
 背中に重心をかけるように預けて、
 後頭部を肩口に預けたら、逆さまになった彼の顔。]


  ……紹介するつもりは、あります。
  景斗さんが俺のこと、誰かに報告するみたいに。

  俺だって、あなたを自慢したい。


[すり、と頬を寄せ合って。
 機嫌を取るように甘えて、顎先に唇を落として。]
(166) 2023/03/16(Thu) 0:58:41

【人】 厨房担当 那岐

 
  嫉妬するところも可愛いなんて、言ったら。
  ……怒りますか?
 
  そんな可愛いところ見たら、
  どろどろに甘やかしたくなるんですけど。 


[悪戯めいた笑みを少し乗せて、
 ふぅ、とお返しとばかりに耳朶に吹きかけて。]


  他の人が目に映らなくなるくらい。
  …………夢中にしてくれますか?



[甘やかすようで、隠しきれない甘えたい気持ち。
 料理を覚え始めた貴方は、どんな食べ方をするだろう。*]
(167) 2023/03/16(Thu) 0:59:32

【人】 厨房担当 那岐

―― なんでもない日 ――

[パーティ当日。
 その日は杏に店の鍵を借りて、
 厨房でパーティメニューを作らせてもらっていた。
 花木の下、お弁当を広げるように食べるものだから。
 出来るだけ手にとって食べやすい、
 零しにくいものを選びつつ。

 出来上がっていったのは、
 鶏むね肉とベーコン、トマト、
 レタスとゆで卵を挟んだクラブサンド。

 野菜とあさりたっぷりのクラムチャウダー。

 豚バラを使った肉巻きおにぎり。
 レーズンを加えたキャロットラペに、
 カレー粉を使ったポテトサラダ。

 イングリッシュマフィンを使った
 きんぴらごぼうのサンド。

 りんごジュースとライムを混ぜて、
 オレンジ、キウイ、いちご、グレープフルーツを
 入れたノンアルコールのサングリア。]
(173) 2023/03/16(Thu) 2:09:23

【人】 厨房担当 那岐

[他に店員たちもきっと用意するだろうから。
 そこまで作り終えたなら、最後。
 
 デザートの準備に取り掛かる。

 使うのはまず米粉と砂糖、丁寧にだけどさっくりと。
 混ぜ合わせていったら卵をほぐしてから加える。
 バターは溶かした無塩のものを。塩はほんの少しだけ。

 牛乳を少しずつ加えていき、ハンドミキサーは使わずに
 時間を掛けて、泡だて器で静かに混ぜ合わせていく。
 なめらかになるように裏漉しをして、
 冷蔵庫に入れて生地を落ち着かせていく。
 時間をかけて、ゆっくり。
 
 フライパンは一度熱して油を引いてから、一度冷まして。
 余分な油はキッチンペーパーで拭き取る。

 クレープ生地は大体おたま一杯分。
 丸く生地を広げたら、弱火で焼いていく。
 表面が乾いてまわりが色づいてきたら、
 縁を剥がして生地を裏返して、また焼いて。
 
 生地が出来上がったら盛り付けに移る。]
(174) 2023/03/16(Thu) 2:09:34

【人】 厨房担当 那岐

[生地の上に生クリームで半円を描いて、
 もう半分にはバニラビーンズの入った
 カスタードクリームを半円。
 
 黒……、には見えないかもしれないけれど、
 小さく角切りにした生チョコ散らして、
 くるくると三角になるように丸めていく。

 円形になった天辺に散らすのは、
 紺色をしたブルーベリー。
 身から滲み出てしまう色は、少し違うけど。
 そこはご愛嬌として許して欲しい。

 黒と紺、色合いは地味かもしれないけれど。
 もちもちとした触感が好きだという条件は
 達成されているはず。]

  
  ……気づくかな。


[気づかなくても、構わない。
 美味しそうに食べる姿が見られたら。]
(175) 2023/03/16(Thu) 2:09:46

【人】 厨房担当 那岐

[作り終えて、エプロンを外して一息。
 他にも厨房を借りている同僚は居ただろうか。

 これだけの品数を作れたのは。
 自宅よりも近い場所から通う頻度が増えたから。

 彼の部屋に増えていく自分専用のもの。
 並べらた二つの歯ブラシや、
 彼には必要のない眼鏡スタンド、コンタクトケース。
 部屋から出られないようなゆるい部屋着も。

 少し手狭になってきたという声に。>>158
 多少の申し訳無さを感じながらも、
 自分のスペースが増えていくことが嬉しくて。]
(176) 2023/03/16(Thu) 2:10:12

【人】 厨房担当 那岐

[準備があったから一緒に会場に向かうことは
 出来なかったけれど、躊躇う声に。>>157


  俺が誘ったんだから、遠慮しないでください。
  それに、景斗さんも大事なお客様ですよ。
 

[そう背中を押して、部屋を出たのは今朝のこと。
 店の近くだから迷うことはないだろうけれど。]


  『場所、ちゃんと来れそうですか?』


[オフだからと、ポケットに入れたままにしていた
 スマホを取り出して、短いメッセージを送る。
 今頃ベッド脇で鳴っているかもしれない。>>160
(177) 2023/03/16(Thu) 2:10:55

【人】 厨房担当 那岐

[意外にも持ち物の置き場所を決めていない
 あの人に、傍にいたなら、
 教えることも出来たかもしれないけれど。

 ベッドルームは一つが良いと>>159
 言っていたことを思い出して、
 じわりと仄かに頬に赤みが射すのは許して欲しい。

 嫉妬深い恋人は、別々に寝ることも厭うから。
(178) 2023/03/16(Thu) 2:11:41

【人】 厨房担当 那岐


 
   
……――――、


 
[今朝送り出される時の唇の感触を思い出して、
 無意識に自身の唇を指で、なぞる。


 隣で眠る寝息を、温度を、もう知ってしまったら。
 もう手放せないのは、此方も同じ。

 スマホをポケットに戻して、顔を上げる。
 さぁ、出来上がった料理たちを、会場へ運ぼう。**]
(179) 2023/03/16(Thu) 2:15:37

【人】 厨房担当 那岐

―― 甘やかす方法 ――

[いい?と聞かれることは度々。
 聞かれなくても、困らないのに。
 恋人だと告げた後にもどこか控えめな、
 遠慮を感じていたけれど。>>168

 それが少しずつ無くなっていったのは。
 時間をかけて、言葉にすると共に、
 『 恋人には甘えたい方』を何度か実践した後のこと。

 甘やかす方もわりと好きだと気付かされたのは、最近。]
(180) 2023/03/16(Thu) 8:32:31

【人】 厨房担当 那岐

[小さく落とされた返事に思わず笑う。>>169
 やっぱり擽ったい。心も、身体も。
 なるほど、手放せなくなるというのはこういうことか。>>81
 いつかの妹の忠告を身をもって痛感しながら。

 あれだけファンから愛されている人だというのに、
 たった一人の俺の挙動一つで不安になっている。]


  ……ふ、かわい。


[やっぱり漏れてしまうのはその可愛らしさ。
 肩口に後頭部を預けたまま、手を伸ばして。
 逆手のまま、慈しむように彼の髪を撫ぜて。

 愛しい、と覚えさせらた感情が育っていく。
 最初は小さな種だったものが、少しずつ大きくなって、花開く。]
(181) 2023/03/16(Thu) 8:33:55

【人】 厨房担当 那岐

[拗ねるような声。
 本当に思っていなさそうな態度にまた、
 くすりと、笑みを含ませた。
 彼と出会ってから本当に笑うことが増えたように思う。]


  もちろん、ありますよ。
  俺が好きになった人なんだから。


[好きにならないわけが無い。
 いつまでも誰かの心に残るくらいの人なのに。
 未だに、自信が無さそうなのはどうしてだろう?>>170

 それを教えていくには、まだ時間が足りない。
 これからも、時を重ねて、じっくりと伝えていこう。

 彼が好きだというスープみたいに。
 秘密の隠し味を使って、コトコト煮込んで。
 コンソメみたいに透き通る黄金色に輝くみたいに。]
(182) 2023/03/16(Thu) 8:35:40

【人】 厨房担当 那岐

[ようやく、少し真っ直ぐになってきた機嫌に、
 どう甘やかそうか、なんて考えながら。
 揶揄を含んで掛けた吐息に揺れる身体に目を細め、
 鼻先を頬に擦り寄せるみたいに甘えて。笑うけど。

 不意に温度の変わった音色に。>>172
 ぱちりと瞬いた。]

  
  ……ッ、  



[細められた瞳に一瞬見惚れて、気を取られ。
 子供をあやすみたい落とされる唇。
 背もたれの支えが無くなって身体が傾ぐ。

 宣戦布告にぶわりと一気に頬に、耳朶に、熱が広がって。]
(184) 2023/03/16(Thu) 8:37:04

【人】 厨房担当 那岐






[ もう、  彼の
しか  聞こえない。  **]
(187) 2023/03/16(Thu) 8:38:14
厨房担当 那岐は、メモを貼った。
(a12) 2023/03/16(Thu) 8:45:45

【人】 厨房担当 那岐

―― いもうとに教わる、こい ――

[同じような心配を、彼女もしていたのだと知る。
 仲のいい彼女なら尚更、察することもあったのだろう。

 ――抱えるのは、つらい。>>77

 その言葉に、うん、と同意するように小さく頷いた。
 大咲が安定してよかったと常々思う。
 しっかりものの妹だけど、
 時々、脆い表情をしていた頃を思えば。

 今は笑う彼女がとても、頼もしく見える。]
(276) 2023/03/16(Thu) 20:27:54

【人】 厨房担当 那岐

[他人に興味がなかった訳でもないけれど。
 自分から距離を詰めるようなことを、
 あまりしてこなかったと思う。

 適切な距離を保ち、付かず離れず、仕事仲間として。
 それ以上を踏み込むことは今までは。

 何の連鎖か。
 この春は、自身も大きく変えらえた。

 いつか知恵に投げた言葉を覚えていた大咲に>>78
 笑い返して、そう。と短く応える。

 実際に妹が居たらこんな感じだろうか。
 お兄ちゃんと呼ぶ声も心地良く響く。新しい音。]


  必要になったら、いつでも。


[兄として、旅立つ可愛い妹の背中を見送って。]
(277) 2023/03/16(Thu) 20:28:15

【人】 厨房担当 那岐

[可愛い嫉妬よりも、深い色を仄めかせたなら。
 同僚には見せていない男の意地悪い部分も、
 垣間見えてしまっただろうか。

 離れられなくなりそう、との感想に。>>80
 浮かべた笑みを深くしたら、聡い妹なら
 何を考えているかは容易に伝わるかもしれない。

 だけど。

 妹の鋭い指摘に>>81、出来上がったプレートを
 手にしたまま、ぴくりと動きが止まった。

 手離せなくなる。
 それは後日、身をもって体感することになるけれど。>>181 
 その時はまだ、実感していなかったから。]
(278) 2023/03/16(Thu) 20:28:42

【人】 厨房担当 那岐


  
  ……それは大咲の経験談?
 

[とぼけた振りをして、聞き返し。
 背中に突付かれる声をはいはいと聞き流しながら。
 今度こそ小さなアリスの下へと赴いていく。

 妹への報告は、桜と藤が咲き乱れる春の下で――。**]
(279) 2023/03/16(Thu) 20:28:56

【人】 厨房担当 那岐

―― もう一度、サクラサク ――

[作り終えたサンドイッチやおにぎりなどを
 バスケットに詰めた後、
 店を出ようとすれば、通知音が鳴って。
 液晶を確認すれば、出発の旨が伝えられていた。>>236

 店から然程遠くない彼の家からなら、
 到着までにそう時間も掛からないだろう。

 花見会の場所は美澄が確保してくれているはず。
 一人で場所取りだと拗ねるだろうから、
 誰か話し相手を連れていけば?と
 アドバイスしてみたが、さて、どうだろう。

 片手には、料理を詰め込んだバスケット。
 片手には、軽めの食器と使い捨てのカップなど、
 塞がった両手で、肩で扉を開ければ、
 春の日差しが降り注いでいる。]
(309) 2023/03/16(Thu) 22:10:44

【人】 厨房担当 那岐

[公園へ向かう間柄、AirPodsから流れるのは
 店でも時折流れていたBeatles。
 あの日以降、よく聴くようになったアーティスト。

 少しだけ覚えたフレーズを、
 知っている箇所だけ拾いながら、口ずさむ。

 速崎を祝った日から、
 既に10日以上、いやもっと過ぎただろうか。

 テーブルに並べられた料理の中には、
 初めて見る『ハギス』というものが中央に鎮座し。
 それを喜んだ彼女が居たかもしれない。>>107

 俺はと言えば、彼女が得意とする
 『スターゲイジーパイ』……ではなく。
 少しだけ肖ったいわしのレモンマリネと、
 彼女の生まれ年のワインを一本贈ることにした。
 
ワインの見立てに少し、景斗さんの力を借りて。
(310) 2023/03/16(Thu) 22:11:12

【人】 厨房担当 那岐

[一歩、速崎に踏み込んだあの日以降。
 時折、彼女と話す機会は増えた。>>220
 といっても、店のバックヤードで
 話を聞く程度ではあったけれど。

 速崎の家族に対する想いや、葛藤。
 田舎ならではという風習のようなもの。
 デリケートであろう性自認の話にも、少し。

 殆どが彼女から話されるものが多く、
 聞き手に回ることが多かっただろうけれど。
 ナイーブな側面も併せ持った性質の話まで、
 吐露してくれたことに、彼女なりに
 俺にも信頼を寄せられているのだと感じて。]


  俺の今付き合ってる人も、男性なんです。
  

[そんな話を、俺から彼女にも打ち明けた。]
(312) 2023/03/16(Thu) 22:11:30

【人】 厨房担当 那岐

 
  この話を、俺から誰かに話すのは、
  ……ケイさんが初めてかも。  

  価値観の摺り合わせは、難しいですね。
  凝り固まっているなら、尚更。

  でも、ケイさんみたいな人が育った家なら、
  大丈夫な、気がします。
  ……もしかしたら、時間は掛かるかもしれないけど。

  仮に。
  もし、否定されたとしても。
 
  俺は、今のままのケイさんを尊敬してますよ。
  一個人として。


[同僚として、人間として。
 五年以上掛けて見てきた積み重ねは、嘘をつかない。]
(313) 2023/03/16(Thu) 22:11:52

【人】 厨房担当 那岐

[そんな会話を交わしてから数日の今。

 もうすぐ、あの角を曲がれば桜が見えてくる。
 先に辿り着いている人たちも居るだろう。
 
 少し遅刻してしまったかもしれないと、
 気持ち、歩む速度を速めれば、
 ピンクの花びらが、風に靡いてきた。]


  春、だな。


[小さく呟く。改めて迎える春。
 温かく、やわらかな日が見慣れた人たちを照らしていた。]
(315) 2023/03/16(Thu) 22:12:29

【人】 厨房担当 那岐

[多少のケータリングもあったかもしれない。
 それぞれのスタッフの持ち寄りと、
 お客様からの心配りも。いくつか。

 花見会という名の、休日。
 今日はカウンターは挟まない。

 俺も持ってきたばかりの料理を幾つか並べ。
 先に来ていた同僚や、後から訪れる人達と
 いくらか会話を交わしただろうか。

 その中に、彼の姿も見かければ、>>246
 視線だけを向けて、微笑んだ。
 彼も話したい人は居るだろう。

 彼の手元のクレープに気づいたら。
 くすりと笑って、メッセージが伝わったかは。
 後での答え合わせにしようか。]
(316) 2023/03/16(Thu) 22:12:54

【人】 厨房担当 那岐

[そうして、隙間を縫った時間に。
 彼が近づいてくるのに気づけば、笑って。>>248


  楽しんでますよ。
  高野さんこそ、いかがです?


[聞き返しながら、カップに入ったビールを一口。
 今日はオフだから、少し気が緩むのも許して欲しい。
 昼間に飲むアルコールは多少の背徳感。
 それもまた相俟って、美味しく感じるから。]
(317) 2023/03/16(Thu) 22:13:24

【人】 厨房担当 那岐

[そうして隣に並んだ彼が、ポケットを探る。
 横目に眺めていれば、手を取られて。
 掌に落とされたものは――、

 彼がよく使っている鍵に
 うさぎのキーカバーがついたもの。

 瞬き、一つ、二つ、三つ。

 Hareの店員をうさぎに例えることは、よくあるけれど。
 あの時借りたヘルメットも。
 このキーカバーに付けられたうさぎも。]


  俺に?


[少し、驚きに掠れた声。
 鍵に視線を落として、もう一度、彼を見上げる。]
(318) 2023/03/16(Thu) 22:13:44

【人】 厨房担当 那岐

[彼の家に増えてきた自分専用のもの。
 色違いの歯ブラシ、コンタクトケース。
 ベッドサイドの眼鏡スタンド。

 そして、新たに渡された、鍵。]


  ……ありがとうございます。
  早速、今日使ってもいいですか?


[ぎゅ、と掌にうさぎを閉じ込める。
 もう一つ、増えた紺色うさぎの穴ぐら。

 さっきまで聞いていた曲が、リフレインする。
 『Eight Days A Week』。

 ああ、1週間に8日でも、貴方に会いたい――。**]
(319) 2023/03/16(Thu) 22:14:59

【人】 厨房担当 那岐

―― いつかの ――

[花見会が近づいてきていた日。
 カウンターでは杏が葉月を招待していた。>>251

 やりとりを横目に見ながら。]


  葉月さんが来てくれると、場が和みますよ。


[後方援護するべく、そんな追撃をしながら。

 彼から頼まれたメンチカツが、油の中で踊る。
 肉は豚ひき肉に、牛の切り落としを少し混ぜて
 旨味を引き立てたもの。
 添え物はシンプルに卵スープを用意しよう。

 メンチカツを食べられるくらいだから、
 今日はエナドリは飲んでいないのかもしれないけれど。]
(342) 2023/03/16(Thu) 23:09:42

【人】 厨房担当 那岐

[油の爆ぜる音に混じって、ドアベルの音。
 扉へ目をやれば、いつもより
 萎れている表情に気づいて首を傾げた。>>161

 温度調節が難しい今、フライヤーから離れることは
 出来ずにいれば、葉月が彼を出迎えただろうか。>>252
 会話の内容までは聞き取れないけれど、
 彼の目が此方に剥くようなら、
 ふわりと笑みを向けて、手元に視線を落とす。

 色づいていくメンチカツは、綺麗な狐色をしている。]
(343) 2023/03/16(Thu) 23:09:58

【人】 厨房担当 那岐

 
  お待たせしました、葉月さん。
 

[熱々の揚げたてのメンチカツと、
 とろみを付けたふわふわの卵スープを手に。
 葉月の下へ向かう頃には、彼の手元にも。
 飲み物が届いていただろうか。

 生のライムとシュガーシロップを
 ジンジャーエールで割ったサラトガクーラー。
 爽やかな香りのすっきりとした一杯。

 今日は来るという連絡はなかったはずだけど>>163
 疲れたような様子に。]


  ……大丈夫ですか?


[少し、顔色を伺ってしまう。*]
(346) 2023/03/16(Thu) 23:10:58

【人】 厨房担当 那岐

 

  ははっ、いいと思いますよ。
  食事会の延長みたいなものですから。


[花より団子と聞けば、声を立てて笑ってしまった。>>355
 食事は三大欲求の一つ。
 美味しいものが並べば食べたくなるのは仕方がない。
 
 クレープの話になれば。
 会いたくなったという声にピンと来る。
 誰が作ったとは言わなかったのに、
 しっかりとメッセージは伝わっているみたいだ。

 潜められた声に耳を寄せれば。
 今朝のことを思い出して。
 アルコールに色づいた頬が、更に朱に染まっていく。]


  
……人前、ですよ。



[まだ理性が解ける程、酔いは回っていないから。
 視線を外したまま、こちらも声を潜めて返した。]
(375) 2023/03/17(Fri) 0:40:17

【人】 厨房担当 那岐

[貰わない選択肢はない。例え冗談だとしても。
 握りしめたうさぎを彼から避けるように
 身体ごと背けて、鉄壁の守りを見せる。]


  だめですよ。
  一度貰ったんですから、返せません。


[笑い混じりの冗談に乗る反面、水面下に本音を隠しながら。
 そんなじゃれ合いを交わしていたら、
 二人の間に、落ちる花びらが、ふわり。

 春を告げる花が、祝福するみたいに。

 二人で落ちていく花びらを見下ろして、
 久しぶりに落ちた、沈黙の後。
 彼が嬉しそうに言うものだから。>>356

 そうですね、と応える声には、
 人前と忠告した後でも、甘さが混じってしまっただろう。]
(376) 2023/03/17(Fri) 0:40:54

【人】 厨房担当 那岐

[そうして呑み進めながら、持ち寄られた食事と。
 クラブサンドを食べていたら。

 突然振られたら、杏の話。>>357


  ……あー……、


[視線を泳がせ、くぴりとまた口を湿らせる。

 悪い印象は、
 此処に呼ばれている時点で既にないだろうけど。
 座り込む姿を見下ろして。
 いつか言っていた言葉を思い出す。>>-420
(377) 2023/03/17(Fri) 0:41:21

【人】 厨房担当 那岐

[傾けていた缶を持ち替えて、彼の隣にしゃがみ込む。
 二人共身体を丸めて、蹲るように。

 同じぐらいの視線の高さになったら。
 両腕を膝の上に抱えて、]


  いい人だって、紹介する?


[今日はオフの日。仕事中でもない。
 いつものように店員と客を装うことも、ない。

 少し上機嫌なのは、弱いのに呑み始めた
 アルコールが既に回り始めているからかもしれない。
 いつもより砕けた口調で。
 顔を覗き込むようにして、隣で首を傾けた。*]
(378) 2023/03/17(Fri) 0:42:00
厨房担当 那岐は、メモを貼った。
(a20) 2023/03/17(Fri) 2:03:24

【人】 厨房担当 那岐

[聞き返す声のトーンが明るくて。>>364
 人懐っこく崩れた表情に、はい、ともう一度頷いた。
 そんな彼が、高野がカウンターに現れるなり気を回すように席を離れていく。>>366


  あ、葉月さ……


[気落ちしたような様子の彼も気になるけれど。
 と、高野の方を見たら
 同じように葉月の方へと意識が向いていて。
 今度は一転、笑っているものだから。>>384

 
  ……そうですか?
  高野さんも、話し相手が必要であれば
  呼んでくださいね。


[その大丈夫を信じて、去り際に少しだけ。
 グラスに伸ばされた手に手を伸ばし、一瞬だけ重ねて。
 密やかに温度を伝えて笑いかけ、離れていく。]
(396) 2023/03/17(Fri) 8:40:25

【人】 厨房担当 那岐

 
  葉月さん。


[食事を楽しんでいる葉月に呼び止めるように声をかけて、
 彼のカウンター前に着く。
 恒例のサービスになったお茶を卵スープの横に添えて。]


  気を使わせてしまったみたいで、すみません。
  店では、気をつけているんですけど。


[先日、高野から見せてもらったメッセージに、
 書かれていた祝いの言葉。>>365

 葉月を誇らしげに自慢する高野が微笑ましく。
 そのメッセージからも純粋な祝福が伝えられていた。
 
 あの時、誤解だと慌てて訂正する姿を見ていたから、>>0:401
 もしかしたら、彼にとっては敬遠するものかと思っていたけれど。]
(397) 2023/03/17(Fri) 8:41:39

【人】 厨房担当 那岐

[洗い終えたグラスを拭きあげながら、
 少し躊躇いつつも、言葉を続ける。]


  高野さん、葉月さんの話をよくするんです。
  仕事でもお世話になったって。>>2:331
  いい記事だったって、褒めてましたよ。


[いつも閉店間際まで仕事をしていた彼が、
 どんな仕事をしていたかは、
 高野を通じて知ることになった。
 相変わらず、時々遅い時間に見かける葉月の、
 食事情は今も少し心配だけれど。]


  少し、妬けますね。
  ……なんて、冗談です。

  栄養つけてくださいね。


[冗談を仄めかして笑い、そう言葉を締めくくる。
 もし彼が美澄と住むことになったら、
 その心配も無くなるかもしれない。
 彼のルームシェアの相手が決まるように願いながら、
 また一つ、夜は静かに過ぎていく。**]
 
(398) 2023/03/17(Fri) 8:42:57

【人】 厨房担当 那岐

――
、開く ――

[彼のことを考えて作ったデザートは、
 既に彼の身体の中に取り込まれていた。>>385

 新たな細胞を生み出す為に、また一つ。
 彼の身体を密やかに作り変えていく。

 貴方は気付いてないかもしれないけれど、
 俺にも、独占欲というものがあるんですよ。
 とは、今は口にしない。

 うさぎの鍵が手元にあるから。

 余り人に見せることの出来ない表情も、
 彼にはいくつも見られている。
 もう、隠すものすら無い気もするけれど。

 機嫌を取るように潜められた声が、
 優しく風に乗って耳に届く。
 ああ、今日も、好きな音をしている。]
(483) 2023/03/17(Fri) 20:59:20

【人】 厨房担当 那岐

[葉月が持ち込んだというクラフトビールを片手に>>302>>a16
 彼が分けてくれたスモークサーモンのマリネを頂く。
 好きだという話を覚えてくれていたらしい。

 口に運べば、サーモンに染み込んだオリーブの味、
 一緒にサク、とクラッカーが割れる音がする。

 従姉妹の評価は高い。>>387
 そのことに誇らしげに目を細め、顎を揺らす。]


  そう、俺の初恋の人。


[と、まだ彼にも言っていなかった事実を
 ビールを片手にさらりと告げた。
 従姉妹と結婚できるとは、その頃は知らなかったな。]
(484) 2023/03/17(Fri) 20:59:39

【人】 厨房担当 那岐

[覗き込んだ瞳と視線を合わせる。
 喜んで>>388、そう彼が応えたなら笑って。

 立ち上がり、彼の身体を起こすように手を引いた。]


  来て。


[食べかけの食事とビールは、席取りの為に留守番を。
 くすくすと笑いを漏らすぐらい機嫌が良い。
 今日は、春の気候か。酔いの回りが早いからか。
 ポケットに締まった、うさぎのせいかもしれない。]
(485) 2023/03/17(Fri) 21:00:09

【人】 厨房担当 那岐

[速崎に初めて付き合っている人が男性であることを
 伝えた時は>>433、僅かに手に汗が滲んでいた。

 大咲と話した時も。
 いつか伝えると言いながら、はぐらかして。>>81

 葉月と話した時、彼は知っていながら、
 何でも無いことのように話してもらえた。>>416

 高野が報告したいと言った時、構わないと伝えたけれど。
 自身の口から今まで話せなかったのは。
 まだどこかで、周囲から向けられる
 奇異の目を恐れていなのかもしれない。


 俺も、彼も、悪いことなど何一つしていない。
 ただ、惹かれ合っただけなのに。
(486) 2023/03/17(Fri) 21:01:20

【人】 厨房担当 那岐

[速崎に話した時に、彼女は『ありがとう』と。
 そう口にした。

 その言葉に思わず、震えそうになった唇を噛んだ。
 コンタクトの視界が滲まないように顔を上げて、
 込み上げそうになる何かを、引っ込めた。

 励ましたつもりで、励まし返された一言。>>437
 その柔らかな音に、どれ程救われただろう。

 だから――、]
(487) 2023/03/17(Fri) 21:01:48

【人】 厨房担当 那岐

[高野の手を引いて、桜の木の下。
 ふわふわとほろ酔い加減で笑っている杏と。

 周りには、彼女を囲むように。
 顔馴染みの常連と、
 スタッフの姿がいくつかあっただろう。
 そこには、速崎と大咲の姿もあっただろうか。]


  杏。……それと、みんなにも。


[沙弥と知恵の姿も、あっただろうか。
 美澄は何をしていただろう。

 神田さんも、葉月さんも。
 いつもカウンターに座っていた栗花落も。
 仲睦まじく隣に並ぶ、栗栖と貝沢も。
 遠からず、聞こえる距離には居たかもしれない。]
(488) 2023/03/17(Fri) 21:02:12

【人】 厨房担当 那岐

[杏に声を掛ければ、いくつかの視線が飛んでくる。
 あまり注目を浴びるのが得意ではないから、
 少し身体が強張りそうになったけど。

 細く息を吐きだして。
 そっと隣に居る彼の指先に指で、触れる。]


  ……紹介したい人が居るんだけど。


[そう前置いてから、触れた指を絡め。
 恋人のように繋ぎ合わせて、隣を見上げる。]
(489) 2023/03/17(Fri) 21:02:58

【人】 厨房担当 那岐

 
 
  今更からもしれないけど、
  高野景斗さん。


[今なら、きっと。伝えても大丈夫。
 彼女たち、彼たちなら、きっと。

 Hareで共に働いてきた『うさぎ』たちなら。
 それに、店を愛してくれる『アリス』たちなら。]
(490) 2023/03/17(Fri) 21:03:25

【人】 厨房担当 那岐

[握りこんだ手を持ち上げて、
 彼の手の甲に、軽く唇を落として。]



  俺の、――――
大切
な人です。



[少しだけお酒の力を借りてしまったのは、許して欲しい。
 さて、そんな告白にどんな反応があっただろう。

 俺の『ヒーロー』は受け入れてもらえただろうか。**]
(491) 2023/03/17(Fri) 21:05:08

【人】 厨房担当 那岐

[伝える時には、やはり緊張はしていた。
 アルコールの力を借りて、気を緩めたとしても。
 完全に理性を飛ばしたわけじゃない。

 思わず縋るように伸ばした指の先。

 触れて、伸ばして、掴んだら。
 同じ強さで返してくれるから>>538
 そんなところが、好きなんだと再確認して。
 
 勇気づけられる。
 やっぱり景斗さんは『ヒーロー』だと思う。
 颯爽と現れなくても、寄り添うように。
 そっと背中を押してくれる。]
(591) 2023/03/18(Sat) 12:04:04

【人】 厨房担当 那岐

[タイミングも考えずに出た、
 俺の宣言めいたものに、やっぱり一瞬。
 その場に沈黙は落ちたかもしれない。

 先程まで微笑みに彩られていた杏の
 口角が少し固まってしまったから。>>563

 受け入れられないかも、という想像が頭を過ぎって、
 不安に、少し、繋いだ手に力が籠もってしまう。

 それは勘がいい人になら
 伝わってしまったかもしれない。>>547


  ……――、


[何か間を繋ぐように言葉を紡ごうと、
 緊張で乾いた唇を開きかけた時に。]
(592) 2023/03/18(Sat) 12:04:18

【人】 厨房担当 那岐

[すっとそれを遮るように上がった葉月さんの手。

 畏まった口調で紡がれるのは>>548
 さながら有名人にでもなったかのようなインタビュー。

 虚を付かれたように、ぱちり、瞬いて。
 慣れない環境に置かれた気になって。]


  ……え


[反応が遅れて、口から出た言葉はたった一声。
 明るい陽射しの中で炊かれるフラッシュ。>>549
 そちらを見ればにこやかに笑って
 カメラを構えている神田さんの顔。

 何も言わずとも見守ってくれる沙弥が居る。>>514
(593) 2023/03/18(Sat) 12:04:36

【人】 厨房担当 那岐

[栗栖の祝福する為の言葉と共に。>>557
 拍手が送られて、音に反応するように彼を見れば。
 やはり、そこにあったのは
 嫌悪を表したものではない、優しい表情。

 再び手を持ち上げられたと気づいたら、
 誓いに応えるみたいに、手の甲に落とされた。
 柔らかな口づけ。

 誰も、否定をしない。
 受け入れられたことに。
 じわりと熱が灯る。温かく。
 心に
が咲いていく。
(594) 2023/03/18(Sat) 12:05:29

【人】 厨房担当 那岐

[自身よりも早く、その手で顔を覆ってしまうのは、
 少し、狡いと思ってしまったけれど>>539
 そんなところも可愛らしいから、仕方ないか。

 インタビューには、彼のほうが慣れているだろう。
 応えるのは高野に任せることにして。

 タイミングを見計らって、
 高野を呼ぶ杏の声。>>564

 よろしくされた意味に、
 最後の不安の欠片も解けていく。

 やっぱり、彼女は素敵だ。]
(595) 2023/03/18(Sat) 12:05:48

【人】 厨房担当 那岐

[――――けど。

 そこで終わるのではなく、
 俺に関することをつらつらと話し出すのは流石に、
 羞恥で沈みそうになる。

 ただでさえ擽ったくて、面映ゆいのに。]


  …………杏。

  あーーーーん。


[目薬の話までは言わなくてもいいです。>>565
 彼女の言葉を遮るように、自分の声を被せながら。 
 頬と耳が熱を孕むのに、耐えきれなくなって。
 空いた片手で、顔を覆った。]
 
(596) 2023/03/18(Sat) 12:06:28

【人】 厨房担当 那岐




  …………
恥ずかしくなるから、やめて……



[本当にもう。
 幼少の頃から知られている従姉妹には、頭が上がらない。**]
(597) 2023/03/18(Sat) 12:07:48

【人】 厨房担当 那岐

[一般の方とか、そんなテレビでよく聞く台詞。>>606
 本当の記者会見でもないのに、
 まるで実際にしているみたいな対応。

 しれっとした顔で準備していたみたいに、
 すらすらと馴れ初めを話さないで欲しい。
 
一目惚れとか寝耳に水です。

 
 茶番のようでそれでも真面目に対応している
 彼とは裏腹に、段々と自分のしでかしたことを
 理解してきて一気に羞恥が襲う。

 酔った勢いって怖いと、まだぐらぐらする頭の中で、
 それでも、真摯に言葉にしてくれるのを耳にして。
 動揺と困惑の中に喜色が僅かに交じる。

 繋がった手を掲げるみたいに、
 披露された時には、もう顔も上げられなかった。

 ああ、もう顔も心もぐちゃぐちゃだ。]
(624) 2023/03/18(Sat) 15:16:13

【人】 厨房担当 那岐

[戸惑うように揺れた視界の隅に、
 驚きを隠せなかった速崎の顔。>>579
 彼女には前もって性別は話していたから、
 その驚きについては相手に対してだろう。

 視線が合い、彼女が笑顔に変わっていけば。
 また、鼻の奥がツンと来るような感覚がして、
 僅かに滲んだ瞳が細くなっていく。

 一瞬、様子を見るように焦った美澄が>>586
 いつの間にか、
 したり顔でギネスビールを傾けている。>>589

 ああ、
かい、な。
 どこも、かしこも。


 そんなつもりじゃなかったのに。

 ――
いてしまいそうだ。]
(625) 2023/03/18(Sat) 15:17:11

【人】 厨房担当 那岐

[保護者の世代交代みたいに、
 傍らでやりとりされる会話が耳に届くけど。>>608
 
 今、口を開いたら何もかも溢れそうになるから。
 杏の名前を呼ぶだけに留めておく。

 大切な人だと伝えたばかりの恋人は、
 さっきまで可愛らしく照れていたはずなのに。
 カメラワークが切り替えられたみたいに
 ポーカーフェイスを貫いている。

 未だ甘やかし上手な従姉妹に、
 両手を広げられて。
 思わず手を伸ばしそうになったけど。>>604

 不意に、陰る

 彼の手で視界が遮られたと気づいた頃には、
 背中に仄かに感じる体温がある。>>609
(626) 2023/03/18(Sat) 15:17:29

【人】 厨房担当 那岐

[嫉妬深い彼は、従姉妹もその対象らしい。
 綺麗に整った横顔が微笑みを浮かべるのを、
 少し呆けたように暫し見つめて。

 自分の耳にだけ届く密やかな音に。>>610
 不意に、ドキリとして。]


  ……――はい、


[こくんと、小さく頷きを返してから。]
(627) 2023/03/18(Sat) 15:17:57

【人】 厨房担当 那岐

[杏に向き直り、はにかむように微笑む。]


  ごめん。


[もう彼女を腕に収まることも、
 反対に閉じ込めることはないけれど。]


  ……でも、杏に認めてもらえてホッとした。


[背伸びしたくて、呼び捨てるようになった彼女の名。
 上司であり、肉親である可愛らしい従姉妹。
 そっと、赤らんでいる頬に顔を寄せて。]
(628) 2023/03/18(Sat) 15:18:16

【人】 厨房担当 那岐

 
 
  好きだ好きだったよ、
杏おねえちゃん。



[ほんの少しだけ、頬に唇を掠める親愛のキス。
 幼い頃にそう呼んでいた愛称で伝えて。離れ。]
(629) 2023/03/18(Sat) 15:19:04

【人】 厨房担当 那岐

[隣にある少し高い肩から、彼の横顔を。
 もう一度、覗く。]


  さっきの景斗さん。
  ――――テレビよりも、格好良かった。


[そう屈託なく笑いかけた。
 滲んだ視界はもう、過去と消えていく。

 彼の手を取り直したなら、
 愛の逃避行に、連れ出してもらおうか。**]
(630) 2023/03/18(Sat) 15:19:34

【人】 厨房担当 那岐

―― レシピの行方 ――


[それは、一大決心をする前だったか。
 それとも一幕あった後のことだったか。

 後でのことだったなら、名前を呼ばれた際、>>646
 少し気恥ずかしさを押し殺しながら
 手にしていた瓶を少し揺らして応え、頭を下げた。
 
 いつかの日に提供したスープ。
 あの日彼女は黒板のおすすめ全部食べたいと、
 言っていたっけ。>>3:80

 帰り際に渡したレシピのメモは、
 役に立ったようで、報告を受けたなら。]


  結構、簡単だったでしょう?


[だからと言って手を抜いた訳でもないけれど。

 料理を提供すると共に、自身で作ってみたいと思う
 お客様も中には時々居るから、その時は
 出来るだけ家でも作れるようにアドバイスも。

 作る楽しみは、料理を作る職だからこそ知っている。]
(652) 2023/03/18(Sat) 17:52:13

【人】 厨房担当 那岐

[それでも、店が一番と言ってもらえたなら。
 それは、誇らしく喜ばしい一言。

 今日もいくつか用意したものも食べてくれたらしい
 彼女は本当に胃袋が二つ在るのかもしれない。
 なんて、密やかに笑いながら。
 クレープの話なれば、ああ、と声を洩らして。]


  あれは、今日だけの『特別』なんです。


[米粉のクレープも、ブルーベリーも。
 リクエストがあれば望まれるままに応じるけれど。
 あの組み合わせのものを次から作る時には、
 たった『一人』の為に、作ることになるだろう。]
(653) 2023/03/18(Sat) 17:52:31

【人】 厨房担当 那岐

[彼女が言葉にしない限り。
 こちらからもその色の意味合いを伝えることはない。

 もし知られたと知ったなら、
 その時ははにかんだだろうけれど。]


  次回にいらっしゃる時は、
  好きな食材を教えて下さい、栗花落さん。


[直接聞いたわけではないけれど、
 何人かのスタッフが口にしていた彼女の名前を。
 今更ながらに口にして瓶を彼女の方へと向けたなら。
 乾杯、と示し合わせるように、瓶を揺らしてみせた。**]
(654) 2023/03/18(Sat) 17:52:53

【人】 厨房担当 那岐

[照れたのか、妬いたのか。
 ぶっきらぼうな返答に少し首を傾げながらも。>>645
 
 手を握り返されたなら、笑う。
 女性のように細くはない互いの手。
 俺の手は水仕事で少し、荒れたりもしているけれど。
 彼の手は長く、大きく包み込むように。

 しっかりとその手を引かれたなら、
 隣に並んで、彼と歩むことを選んでいく。

 格好いいと、言ってくれた手前。
 不格好な姿は見せられないと、応えただろう。

 彼の前でだからこそ、格好良くありたい。
 
だから、滲んだ視界には気づかないで欲しい。
(695) 2023/03/18(Sat) 20:49:30

【人】 厨房担当 那岐

[普通の男女のように、堂々と手を繋ぐことも、
 キスをすることも出来ない。

 それは彼の仕事のこともあるし、
 俺が抱えたマイノリティに対する、
 恐れが完全に払拭できたわけではないから。

 今日みんなに伝えることが出来たのは、
 関係性を築いてきた信頼の下で出来たこと。

 それは一般的にはまだ、
 受け入れられにくいことも知っている。

 だから、ほんの少し。
 そんな夜は、甘えさせて欲しい。

 なんでもない日が、特別な日に変わった夜。

 貰ったうさぎの合鍵で、彼の部屋に訪れたなら。
 彼の背中に擦り寄って、掠めるよりも深い
 恋人だけの、キスをいくつもねだって。

 深い深い
に、溺れていく――。
(696) 2023/03/18(Sat) 20:51:25

【人】 厨房担当 那岐

 
 
[いくつもの夜を彼と重ねて、超えて。

 彼の下半身の傷にも見慣れる程になって。
 その傷を、傷ましいと思うよりも、
 愛おしいと思えるほどに。

 言葉で、唇で、
を注いで。

 注いだ以上の
を、返されて。
 時に、その大きさに翻弄されて、
 酷く掻き乱された
も、あっただろう。]


 
(697) 2023/03/18(Sat) 20:52:35

【人】 厨房担当 那岐

―― そして、月日は過ぎて ――

[一週間よりも8日。8日よりも一ヶ月。
 一ヶ月よりも、半年。

 そうして、また桜が咲く頃には、
 彼と共に過ごすようになって一年が経っていた。

 うさぎのカバーが少し色濃くなって。
 寒い冬を超えて、またあのヘルメットが
 活躍できるようになってきた季節。

 スキンシップ過多な俺にも、慣れてきたのか。
 この頃には指で触れ合うことも、多くなっていたけど。
 その裏の意味までには、気づけずに。>>370

 今日も飲んでいるコーヒーは、
 いつもの砂糖もミルクも入っていないブラック。]
(698) 2023/03/18(Sat) 20:53:07

【人】 厨房担当 那岐

[テレビのなかった自宅と違って、
 日常のように置いてあるテレビを観るようになった。
 液晶の傍らには、湖で二人で撮った写真と>>4:+165
 その隣には、桜と藤に染まるはにかむ姿。>>549

 流れてくるメロディは、何年か前に流行ったという。
 アップテンポなアイドルソング。>>1:78

 可愛らしい衣装で踊る10代の女の子達に、
 どこか、見覚えのある姿だと既視感を覚えたけれど。
 それが今の貝沢だとまでは繋がらない。

 彼の足音が聞こえれば、視線だけを横に流す。
 テーブルに置かれた書類の束は、
 不動産情報と書かれていただろうか。>>371

 口をつけていたカップを下ろせば、
 おもむろに彼が書類から顔を上げて、口を開く。]
(699) 2023/03/18(Sat) 20:55:35

【人】 厨房担当 那岐

 

  ……緊張?


[いつもと少し違う様子に、
 こちらも聞く姿勢を作る為にテレビの音量を絞った。
 カップをテーブルに置いて、
 身体を傾ければ、意識ごと彼に向かっていく。

 初めて想いを打ち明けてくれた時も>>4:+129
 彼が言っていた『隣の存在』>>372
 
 おはようも、おやすみも。
 この一年の間に、重ね続けてきた。

 持ち上げられた手が、薬指に触れる。
 愛おしむように何度も撫でる仕草に、
 手元に視線を落として、その意味を探る。]
(700) 2023/03/18(Sat) 20:55:51

【人】 厨房担当 那岐

 
 
[人はいつか、死ぬ。
 その時は、きっと。どれ程傍に居ても独りで。

 あれから何度も目にした彼の瑕。
 死ななくて良かった、と、口にする。
 過去を恨むような姿はもうそこにはない。>>6:+230

 
(701) 2023/03/18(Sat) 20:56:27

【人】 厨房担当 那岐

[引き寄せられる手が、口元に運ばれて。
 薬指に誓いみたいに、落とされた唇。

 それから、目を見合せて告げられた言葉に。>>374
 小さく、息を呑んで。目を瞠った。]


  ――――……、


[最期の日まで、共に。
 その相手として選んでくれたこと。
 
 考えてもいなかったキーワードを口にされて。
 ようやく、彼が薬指に触れていた意味を知る。]
(702) 2023/03/18(Sat) 20:56:53

【人】 厨房担当 那岐

 
[一緒に居られるならば、それでいいと思っていた。
 『結婚』という意識がなくても。
 『恋人』として傍にいられるなら、それで。
 十分に満ち足りていた。

 なのに、彼の人生の中に。
 自身が隣に居ることを、当たり前のように。
 考えていてくれたことに、胸が詰まる。

 
(703) 2023/03/18(Sat) 20:57:31

【人】 厨房担当 那岐

[久しぶりに、また込み上げてくる感覚に。
 堪らなくなって、頭を振って。
 微笑いかけて、微笑いきれなくて、崩れて。]


  ……――どうしよう、


[声を震わせて、どうしようもなくなって。
 俯き、彼の肩に頭を埋めた。]
(704) 2023/03/18(Sat) 20:58:03

【人】 厨房担当 那岐





    
言葉にならない。



 
          [口下手な、俺じゃ。とても。]

 
(705) 2023/03/18(Sat) 20:58:40

【人】 厨房担当 那岐

 
[押し付けるみたいに額を、すり、とシャツに擦って。
 噛み締めるように言葉を呑んでから。
 ようやく顔を上げたなら、取られたままの。
 指先に、きゅ、と力を込めて応える。

 言葉にならない分。
 隙間を失くすみたいに、距離を縮めて。
 ゆっくりと唇に唇を、押し当てた。

 今までより一番、柔らかくて優しい
キス
を贈る。

 
(706) 2023/03/18(Sat) 20:59:46

【人】 厨房担当 那岐

 
 
 
  こちらこそ、末永く。
  あなたの傍に、居させてください。



[健やかなる時も、病める時も。
 敬い、慰め合い、共に助け合い、
 その
ある限り
真心
を――――、尽くして。**]

 
(707) 2023/03/18(Sat) 21:00:54

【人】 厨房担当 那岐

―― 時は少し遡る ――

[それは、幾つかの季節を過ぎた冬。
 いわゆる年末と呼ばれる時期のこと。

 クリスマスシーズンを迎え、
 予約客がいつもの倍以上に増え。
 忙しくなってきたMadam March Hareは、
 いつものメンバーもさすがの疲労を訴えるほど、
 連日連夜の賑わいだった。

 速崎は新たに増えた新規の客にまた
愛称
を付け、
 
沙弥
はケータリングとの二足草鞋も相変わらず、忙しい。
 大咲の
デザート
の腕はめきめきと上達し、
 
黒原
にも追いついてきている程。
 知恵は沙弥の手伝いをすることで少し
自信
がついた様子。
 美澄は一年も経たないのに既に
折り紙
付きになっている。

 12月は慌ただしく過ぎていく。
 年末の大舞台に出演を決めた彼と、
 おはようとおやすみの挨拶も出来ないまま、
 擦れ違う日も、増えてきていた。]
(822) 2023/03/19(Sun) 0:50:05

【人】 厨房担当 那岐

[そんな修羅の日々をくぐり抜けて、
 年末年始のだけは、うさぎたちも本当の穴ぐらへと帰る。 
 出演時間にはまだ早い。
 テレビの放送すら始まっていない時間。

 スマホの着信音が鳴って、手に取れば。
 彼の名前が表示されていた。>>775

 少し柔らかさがくたびれたソファに埋もれながら、
 好きな彼の声に耳を傾ける。

 たった数分間だけ交わす会話。
 これから出番だという彼のおねだりに。
 肩を揺らして笑って、より近く声が聞こえるように。
 スピーカーを耳に当てながら。]


  誰よりも格好いい姿を見せてきてください。

  愛してますよ、景斗さん。
  ……画面越しに、惚れさせて。


[もう何度も、恋に落ちているというのに。
 この人と来たら、まだ足りないらしい。]
(823) 2023/03/19(Sun) 0:50:33

【人】 厨房担当 那岐



  [ そんな冬を超えて、春が訪れて。
       大きな約束を一つ、交わし合って。 ]
 
 
(824) 2023/03/19(Sun) 0:51:09

【人】 厨房担当 那岐

[また季節が巡る頃。

 いつもの時間に始まる彼のラジオ。
 少し広くなった家で、男二人でも余るベッドの中。

 音声アシスタントから今日も彼の声が聞こえてくる。
 はじめの挨拶はいつも名乗りから。>>711
 
 ただその日は、少しばかり声が畏まっていただろうか。
 僅かな変化に気づくほど彼の声を覚えたから、
 ベッドに横になって隣で聞いている彼と、
 顔を見合わせれば、微笑まれた後。

 唐突の発表が流れた。>>715


  ……――景斗さ、……!?


[隣を見れば、してやったりの顔。]
(827) 2023/03/19(Sun) 0:51:42

【人】 厨房担当 那岐

[突然のサプライズ報告に。
 目を大きく瞠って、彼を凝視ししてしまった。
 聞いてない。こんなの。
 ラジオから流れてくる内容も頭に入ってこない。

 そんな発表して良いのかとか。
 事前に伝えておいて欲しいとか。
 言いたいことは、山程あったけれど。

 嬉しそうに笑っている彼を見てしまったら、
 もう言葉を返すことも出来なくて。]


  ……もう、知りませんよ。
  明日からどうなっても。


[どうなったとしても。
 離れるつもりは、こちらも毛頭ないけれど。
 翌週以降を落ち着いて聴けるだろうか。]
(828) 2023/03/19(Sun) 0:52:02

【人】 厨房担当 那岐

[子供のように目を細める彼が愛おしくて、
 シーツの中で、足を絡める。

 沢山ある中から、選んでくれた俺の音色。
 彼の音色と混じり合って、より深い色へ。

 こつんと、額を突き合わせて。]



    貴方に会えて、良かった――。



[それが、最高の。『なんでもない日』。**]
(831) 2023/03/19(Sun) 0:53:51
 




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