【人】 XIX『太陽』 ヒナギク[アリスの手を引いて、個室棟へと向かう。 彼女の部屋までを歩く道程で、 ぽつぽつとアリスと言葉を交わした。 "みんな、大丈夫かな?" "大丈夫だよ、きっと。" "これからどうなるの?" "……分からない、考えなくちゃね。" "なんだか、こわい。" "今は考えないで、アリスは休んで。" 答えを後回しにしていいものじゃないけれど、 6歳になったばかりの小さな子に、どう説明すれば良い? あなたの判断に世界がかかってるなんて。 とてもじゃないが、怯えた子供に言えやしない。 チェレスタの口癖を借りて、 自身も奮い立たせることしか、できない。] (180) 2022/12/16(Fri) 22:23:47 |
【人】 XIX『太陽』 ヒナギク (182) 2022/12/16(Fri) 22:24:00 |
【人】 XIX『太陽』 ヒナギク 『証持ちの方々は特別な方々なんです。 もちろん、"太陽"であるあなたも。 だが、教典には二十二人揃えば また過ちを繰り返すと書かれていることもある。 我々政府はいざというときのため、 あなた方の力になる為に証持ちを集めた。 何かあった場合にすぐに対応できるように。 これからも我々はあなた方を見守り、 何不自由ない暮らしを送っていただきたい』 広告塔の合間にずっと言い聞かされてきた、 政府の人たちの言葉を思い出す。 洋館の中は安全だと。 皆で、仲良く、暮らして欲しいと。] (183) 2022/12/16(Fri) 22:25:01 |
【人】 XIX『太陽』 ヒナギク[政府の言葉に特に反論はなかった。 洋館に住む証持ちたちには、 暴力を振るわれることはなかったから。 ユグやゼロみたいに、 チェレスタとエーリクみたいに、 洋館の中でも少しすれ違っている人は居るけれど。 それでも仲良く暮らせるんじゃないかって。 私自身もそう思っていたから。] (184) 2022/12/16(Fri) 22:25:35 |
【人】 XIX『太陽』 ヒナギク[広告塔の仕事を始めて、 洋館の外に出るようになっても、 外の世界は話に聞いた通りきらきらしたままだった。 政治の広報の傍らに東へ赴いても、 豊穣の祝いの祭りに歌を歌って欲しいと北へ赴いても。 以前のように私を証持ちだと蔑む人は少なくなっていた。 認められたのかと思った。 証持ちとして在ることが、罪ではないのだと。 証持ちである私が顔を表に出すことで、 横腹に刻印のように残る、 太陽にも向日葵にも見える丸い痣を晒すことで。 受け入れてくれる人も居るんじゃないかって、 最近はそんなことを思い始めていた。] (185) 2022/12/16(Fri) 22:26:09 |
【人】 XIX『太陽』 ヒナギク[私の知らないところで、 証持ちの広告塔など不快だと、 そんな誹謗中傷が数多の数届いていることは知らない。 私が傷付かないように、 周りが絶対私の目は入れないように守っていることも。 私は未だ知らずに、無邪気に笑っている。] (186) 2022/12/16(Fri) 22:26:49 |
【人】 XIX『太陽』 ヒナギク[私は世界が好きだ。 滅んでほしくないと思っている。 賑やかで華やかな中央の街を、 港から溢れる商業血気盛んな東の街を、 厳かで清廉な空気を纏う西の街を、 磯の香りと鉄の匂いが交じる北東を、 動物たちが草木を揺らす北の街を、 寒さに震えながらも美しい景色の北西の街を、 長閑で豊かな蓄えを持っている南の街を、 神秘的でまだ未知の調べさえある南西の街を、 独創的で異文化すら漂わせる島群を、 そして、私が生まれ育った南東の街を。 この目で見てきたものが、全て美しいと思えるから。] (187) 2022/12/16(Fri) 22:27:46 |
【人】 XIX『太陽』 ヒナギク[だから、ユグの言葉には頷くことは出来なかった。>>1:424 それでも。 此処に訪れた証持ちは多かれ少なかれ、 私と同じように迫害されてきている経験もあるだろう。 そう思えば、世界を憎んでしまいたいと 思う人も中にはいるかもしれない。 たった一日で二十一人の意見を纏めるのは難しい。 皆が私と同じように、壊さないほしいと思っているか。 今それを尋ねられたら、答えに窮してしまう。 気分が悪いというアリスをベッドに横たわらせ、 小さな身体を眠りに誘うように一定のリズムで叩く。 既にアリスは眠りに就いていたけれど、 物思いに耽っているせいで気づかないまま、 とん、とん、とシーツを撫でる音だけが響く。 でも、あの人が言うように、] (193) 2022/12/16(Fri) 22:29:33 |
【人】 XIX『太陽』 ヒナギク……簡単に壊すなんて、できないよ……。 [その声に応えるものはなく、 聞こえたのは、小さな少女の寝息だけ。*] (195) 2022/12/16(Fri) 22:31:23 |
【人】 XIX『太陽』 ヒナギク[アリスの寝息が静かに落ち着いていくのを確かめた後、 何か温かな飲み物を用意しようと席を立った。 万が一目が覚めてしまって誰も居なければ、 不安になるかもしれないけれど。 少しの間なら、この様子なら起きないだろう。 彼女の部屋を後にして、渡り廊下を渡り、 生活棟へ赴けば、 使用人の人たちが妙にばたばたとしていた。] 何かあったの? [忙しいと分かっていながらも、 メイドの一人を捕まえて尋ねれみれば、 『ヒナギク様!』と腕を掴まれて。 中継機のある部屋まで連れて行かれた。] (196) 2022/12/16(Fri) 23:06:17 |
【人】 XIX『太陽』 ヒナギク[中継機のある広間は二十二人が入っても、 何ら問題ないぐらいの広さをしていた。 部屋の片隅を占拠するように 大きな中継機が鎮座している。 そこには何人もの使用人たちが集まっていた。 中継機から映像と共に音が響く――……。] (197) 2022/12/16(Fri) 23:06:54 |
【人】 XIX『太陽』 ヒナギク『……地域では大きな地震が起こり、 道路に大きな陥没が起きています。 建物も半壊しており、避難を余儀なくされて……』 『……では、大きな津波が発生し、 海沿いの地域は大変危険です。 今すぐに海沿いからは離れ、急いで……』 『……の街には大きな嵐が訪れる予報です。 既に風は強くなっており、外出が困難となるでしょう。 予定のない方は外出を避け、自宅で待機を……』 (198) 2022/12/16(Fri) 23:07:56 |
【人】 XIX『太陽』 ヒナギク[その映像に、報告に、大きな目を見開いた。 チャンネルを変えても、どこも。 異常気象や、天災のことで持ちきりになっている。 この目で見てきた美しい光景が、罅割れ始めている。] (199) 2022/12/16(Fri) 23:09:02 |
【人】 XIX『太陽』 ヒナギク『故郷が、故郷が……』 『家族は大丈夫だろうか。妻は、娘は……』 『今すぐに暇をもらって……』 [ざわつく使用人の中の誰かが、呟く。] 『これって、証持ちが全員揃ったから……』 『しっ!ヒナギク様がいらっしゃるのよ!』 (200) 2022/12/16(Fri) 23:10:02 |
【人】 XIX『太陽』 ヒナギク[嗜めるメイドの声に、ばっと視線が集まった。] ……ぁ、…… [憤りのような感情、縋るような思い。 哀しみにくれた瞳、今にも懇願を向けられそうな。 気圧されるように後ろに一歩。引いた。 世界が、崩壊してしまえば。 この人達は、どうなる――――?] (201) 2022/12/16(Fri) 23:10:45 |
【人】 XIX『太陽』 ヒナギク[ぐっと唇を噛み締める。 このままでは本当に世界が崩壊してしまう。 それだけは"理解"る。] ……私、みんなと相談してくる!! ホールに居ない人たちには端末で知らせて!! [そうして、踵を返してホールへと駆け出す。 ホールにまだ残っている人たちは居るだろうか。 居ないのなら駆け回っててでも、知らせなければ。 伝えなければ。 終わりがもう始まりだしていることを。 (202) 2022/12/16(Fri) 23:12:00 |
XIX『太陽』 ヒナギクは、メモを貼った。 (a43) 2022/12/16(Fri) 23:17:01 |
XIX『太陽』 ヒナギクは、メモを貼った。 (a53) 2022/12/17(Sat) 1:50:06 |
XIX『太陽』 ヒナギクは、メモを貼った。 (a54) 2022/12/17(Sat) 1:51:05 |
【人】 XIX『太陽』 ヒナギク[ぱたぱたと足音を響かせて、廊下を駆け抜ける。 ざわめく使用人たちの間を抜けて、 ホールへと向かっていれば、 正面からシトラの姿が見えただろうか。>>205 こんな状況であっても、驚くことはあるらしい。 それ程に駆けるシトラは珍しいものに見えた。] シトラッ! どこへ行くの!? [急いでいる彼女を引き止めるのも申し訳ないけれど、 こちらも火急を要する事情であったから。 その場で駆け足をしながら、 アリアの元へ行くことを聞いたなら、 広間で見たことを手短に彼女にも伝えた。] (238) 2022/12/17(Sat) 3:18:32 |
【人】 XIX『太陽』 ヒナギク[シトラとアリアは二人でセットのような印象がある。 それは、現世での彼女たちから来るものか、 それとも『箱庭』の役目のせいなのか、分からないけれど。 少なくとも、二人が一緒に居るところで、 険悪にしているところを見たことはない。 彼女たちのことを『箱庭』からの仲だというのなら、 私とチェレスタもまた、同じなのだろう。 でも、今在る私たちだって。 初めて出逢って、触れて、語らって。 今の関係が出来上がっていったのだ。 少なくともシトラが、アリアを好んでいるのは。 役目 に縛られただけじゃないと信じたい。] (240) 2022/12/17(Sat) 3:19:18 |
【人】 XIX『太陽』 ヒナギクまた後でね! [と、一週間前と同じことを言って、 彼女の背中を勇気づけるように押して、別れた。 彼女とも話さなければ、世界のことを。 でも、今はそれよりも彼女が願う場所を優先して。 私はまたホールへと駆け出した。] (241) 2022/12/17(Sat) 3:19:52 |
【人】 XIX『太陽』 ヒナギク[ホールには疎らに人が残っていただろうか。 その場に残っている人が居たならば、 中継機で見てきたことを身振り手振りで伝えた。 中には故郷が被害に遭っている人も居ただろう。 チェレスタの姿も其処にあったなら>>220、 彼女にも仔細に事情を話して、戸惑っただろう。] チェレスタ……、 お世話になってる一座の人たち、 大丈夫かな……!? 連絡は取れる?今何処にいる? 心配だなぁ……、チェレスタも気になるよね? ううう……、どうしよう……。 [ここで話していてもどうにもならないことだから、 その場で無意味にじたばたしてしまう。] (242) 2022/12/17(Sat) 3:20:20 |
【人】 XIX『太陽』 ヒナギクとにかく、知らない人が居たら伝えてあげて! 私も他の人にも教えてくるっ! [チェレスタにはお願いも込めて、 そう、手伝いを申し出ながら。 落ち着いていられないとばかりに、 まだ辺りに人は居ないかと、見回した時。 ホールの片隅に倒れている プロセラの姿を見つけたのだ。>>1:412] ……プロセラッ!? [慌ててまた駆け出して彼の元に走り出す。 余談だが、これくらい走っても息切れはしないのは、 肉体労働あってこそだと思う。] (243) 2022/12/17(Sat) 3:21:07 |
【人】 XIX『太陽』 ヒナギク[倒れている隣にしゃがみ込んで身体を揺する。 意識を失っているのか、眠っているのか。 空腹なのか、具合が悪いのか。 唐突に意識を飛ばすプロセラの姿を見るのは、 正直これが初めてというわけではないけれど。 とにかく原因が分からないことには、 手助けの方法が分からない。 ひとまず、彼の胸元に耳を当てて、 心臓がまだ動いていることを確かめて。 今度は顔に耳を寄せて寝息を確かめる。] ……なんだ、寝てる……だけ? [ほっと脱力しながらも。 こんなベッドもないところで寝かせる訳にもいかず。] (244) 2022/12/17(Sat) 3:21:43 |
XIX『太陽』 ヒナギクは、メモを貼った。 (a57) 2022/12/17(Sat) 3:28:15 |
【人】 XIX『太陽』 ヒナギク[弱々しい懇願を聞きつけてくれたカルクドラが、 駆け寄ってきてくれれば>>275、 助かった!とばかりに泣きついた。] それが……、寝ちゃってるみたいで。 その内目を覚ますと思うんだけど……。 [おろおろと事情をカルクドラに伝えれば、 医務室に運んでくれるという。 プロセラを背負い込むカルクドラに、 大丈夫?重くない?と、道中尋ねながら、 後ろに倒れ込まないように背を支え。 休憩をするなら代わりを申し出ることもした。 私が運ぶことになれば、完全に背負うことは出来ず、 プロセラの足を少々引き摺ることになったのは許して欲しい。] (354) 2022/12/17(Sat) 21:44:37 |
【人】 XIX『太陽』 ヒナギク[医務室に辿り着いて、 気を失ったように眠ったままのプロセラを 白いシーツの包み込むと、安堵の息をついた。 カルクドラも一緒にその場に居てくれるという。] ……本当にありがとう、カルクドラ! 私一人だとここまで運べなかったから、 すごく助ったよ! [ベッドの傍に丸椅子を運んで腰を落ち着け、 カルクドラに向けて、両手をパンっと付き合わせた。 食事をすることにも、眠ることにも、 プロセラは執着をしない。 洋館に一緒に過ごしている時間があれば、 見たことがある光景なのかもしれない。 彼自身に興味が向けば、の話ではあるけれど。 ] (355) 2022/12/17(Sat) 21:45:14 |
【人】 XIX『太陽』 ヒナギク[小さく上下する胸元が彼が生きていることを伝える。 そのことを、確かめてから。 もう一度、カルクドラへと視線を移して、見上げた。 場所が変わったからか、 プロセラのことで全てが吹っ飛んでしまったか、 先程までの焦っていた気持ちは、 少しだけ、ゆとりが生まれていた。] なんだか、大変なことになっちゃったね……。 [それは、カルクドラの柔和な表情にも 引きずられて出たものかもしれない。 いつもより少し乾いた笑みを浮かべながら、 そんな、会話の水を向けた。*] (356) 2022/12/17(Sat) 21:45:44 |
【人】 XIX『太陽』 ヒナギク―― 邂逅/『塔』 ―― [『見て、決めると良い』>>91 彼は、そう言った。 私は、小さく頷いた。 たったそれだけで、隣に在ることを 手を繋ぐことを、許してもらえた気がした。 私に手を上げる両親とも違う、 私のことを気遣う老夫婦とも違う、 他の誰とも違う、不思議な空気を持った、ひと。 『とくべつ』ってこういうことをいうのかな。 『証持ち』ってこのひとみたいなのかな。 あまり湧くことのなかった人への興味が、 息を吹き返すみたいに芽吹いていく。 彼と手を繋いで家を出て行く前に、 なんとなく後ろを振り返った。 『元気でね』と、 手を振りながら見送ってくれた老夫婦の背中は、 最初に見たときよりも、小さく、丸くなっていた。] (406) 2022/12/17(Sat) 23:42:17 |
【人】 XIX『太陽』 ヒナギク[家を出て一歩、踏み出そうとした。 騒ぎを聞きつけた町の人々が 家を囲むようにして集まっていた。 何かを手にした男が、振り被るような仕草をして。 その姿に敏感に危機を察知した私は、 繋いでいない方の手で、咄嗟に顔を覆った。] 『……――っ、!!』 [ゴツ、と重い音が響いて。>>92 痛みが来るかと思ったのに、痛くなかった。 投げつけた男が怒号をぶつける。 その音を煩わしいと思いながらも、やっぱり少し怖くて。 腕をそうっと下ろして、見れば。 その男が少したじろいだように此方を見ていた。 男に乗っかったように周囲の人たちも、 口々に「出て行け」だの「痣ありが」だの、 言っていたけれど、男と同じように言葉を失っていく。] (408) 2022/12/17(Sat) 23:43:53 |
【人】 XIX『太陽』 ヒナギク『…………?』 [その様子が気になって、視線の方向を追えば。 手を繋いだ彼の目尻を濡らすように、 深い赤い色が滴り落ちていた。] (409) 2022/12/17(Sat) 23:44:49 |
【人】 XIX『太陽』 ヒナギク[溢れ出る血は目尻から頬を濡らして、 無表情な彼の顔に彩りを添える。 痛いはず、なのに。声を上げることもなかった。 罵られているのに、苛立ちすら浮かんでいなかった。] 『……、 ぁ ……』 [私を庇ったのだろうか。とも思った。 ならば、告げるべき言葉は謝罪の言葉で。 でも、表情一つすら変えない彼の様子に、 小さな私も少し、驚いて。言葉が出なくて。 ただ、握りあったままの手は、 離してはいけない気がして、無意識に。 ぎゅう、と握る力を強くしていた。] (410) 2022/12/17(Sat) 23:45:39 |
【人】 XIX『太陽』 ヒナギク[周囲を見渡していた視線が、戻ってくる。 私のもとに落ちれば、 滴る血の赤と、凪のような瞳が重なり合って、 ぽたりと、繋いだ手の甲を濡らした。 そうして、静かに響いた言葉に。>>94 ああ、やはり。彼も。 『証持ち』なのだと、幼心に合点がいった。 なんでもないかのように再び歩き出す『塔』に、 付き人たちが慌てて周囲を宥め、警戒線を引く。 『塔!傷を見せてください!』と、 私を連れて行く『塔』を引き止めるのに、 またひと悶着あったのは、別の話。 それが、私が初めて自分以外の、『証持ち』を見た印象。*] (411) 2022/12/17(Sat) 23:47:16 |
【人】 XIX『太陽』 ヒナギク―― 回想/中庭 ―― [洋館で暮らすようになってから、 プロセラと過ごす時間は、 一日のどこかで必ず作るようにしていた。 最初は人見知りのようなもので、 少しでも知っている人の傍に居たいという理由で。 他の証持ちとも話すようになってからは、 彼の元がなんとなく落ち着くからという理由で。 チェレスタに、マドカせんせいに、みんなに、 知識を、言葉を与えられた私は、 水を与えられた花のように吸収し、 それをプロセラに報告することが日課になっていた。 彼はいつも黙って聞いてくれているだけだけど、 じっと見ていれば、 僅かに表情に変化があることにも気づける。>>95 初めてそのことに気づいた時は、びっくりして、 『大ニュース!プロセラが笑った!』 と、洋館中を跳ね回って証持ちのみんなに伝えた。] (412) 2022/12/17(Sat) 23:48:09 |
【人】 XIX『太陽』 ヒナギク[教典の『太陽』が死んだのは、 『塔』がきっかけだと知ったのは、その後のこと。 教えられても、ぴんとこなかった。 『塔』が殺したわけじゃない。 ううん、例え『塔』が『太陽』を殺したとしても。 それは、私とプロセラの話ではない。 でも、彼が教典のことをどう思っているのかは、 直接聞いたことはなかった。 話す時は、いつも私が一方的に話していたし、 彼もそれを(多分)厭うこと無く聞いてくれていた。 それならば、今の関係を壊す必要なんてない。 私は彼の傍にいることが楽しいし、 きっと、それを彼も許してくれている。 ] (413) 2022/12/17(Sat) 23:48:41 |
【人】 XIX『太陽』 ヒナギク[彼は自らのことを語ることはない。 だから、彼の過去に何があったかを私は知らない。 ただ、私が笑えるようになったように。 彼にも、いつか変化が訪れれば良いと思う。 無理矢理にではなく。 いつかプロセラが自ら変化を求めるように。] (416) 2022/12/17(Sat) 23:50:24 |
【人】 XIX『太陽』 ヒナギク[メルロンを手に取ったプロセラが、 ひとくちぶんだけ千切って 半分以上残ったものを、私に向ける。>>102 私も差し出されたそれを笑顔で受け取る。] ありがとう、プロセラ! 半分こだね! [まるで食べることをしないプロセラに、 『いっしょにたべよ』と差し出したのも、 このふわふわの綿菓子のようなメルロンだった。 プロセラが何が好きか分からないから、 メイドさんに聞いてみたり、 ときにはチェレスタに聞いてみたり、 フォルスのお店を覗いたこともあった。>>0:38 結局、どれを渡しても今のところ、 同じような反応しか見たことはないけれど。 今のところ嫌いなものは見つけたことがない。] (417) 2022/12/17(Sat) 23:50:40 |
【人】 XIX『太陽』 ヒナギク[温かな陽光を浴びながら、 食べている間にも、今日あったことを伝える。 中には昔話も織り交ぜて。 口の中でとろけていくふわふわの綿菓子に、 あまい!とはしゃぎながら。 少し間を置けば、プロセラが口を開いた。>>103 彼が尋ねてくれる言葉は、いつも同じ。 だから、返す言葉もいつも、同じ。] ……うん、楽しかったよ! 毎日がきらきらしてるの!! [世界は明るい。世界は眩しい。 みんなが居るから。みんなが在るから。 尋ねたものとは違う言葉が返ってきても、 気にせずにそう目を輝かせて彼に応える。 そんな日が、ずっと。 これからも、続くんだと思っていた――――。**] (418) 2022/12/17(Sat) 23:51:23 |
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